朝日が
「皇帝が国を空けていいの?」
リンが心配そうにルドラを見上げて問いかけると、彼は淡々と首を振った。
「問題ない。必要があればすぐ戻れるよう手は打ってある」
その言葉に、ヴェルグリンドが微笑を浮かべる。
「ルドラは時々お忍びで街の様子を見に行ったりするのよ。案外、宮殿を抜け出すのが好きなの」
(自由人かよ……)
リンは内心でツッコミを入れながら、まあ自分の目で確認するのは必要だよねと納得した様子で頷く。
しかし、ルドラとギィが直接顔を合わせることについては、リンの中にどうしても一抹の不安が残った。
(いきなりガチバトルに発展したらどうしよう……)
ギィとルドラは「ゲーム」という形で世界の覇権を巡って争っている。一応は敵対関係にあるはずだが、直接戦闘を避けるルールがある以上、大丈夫だろうとリンは自分を安心させる。
「ねえリン、この
ヴェルグリンドが上を見上げながら問いかけてきた。
「もちろんいいよ!」
リンは驚きながらも即答する。ヴェルグリンドは満足そうに微笑んだ。
その会話に続いて、ルドラが思い出したように口を開く。
「そういえば、各地の
「ギィさんもそんなこと言ってたなあ」
リンは思い出しながら頷く。
「見た目より中はすごく広いし、確かに不思議な存在かも」
ルドラは少し考え込むように目を細めた。
「“不思議な存在”か……お前はこの
「え?だって生きてるでしょ?喋るし。まあ今は
その答えにルドラは感慨深げに頷く。この
「……面白いものだな」
ルドラは小さく呟いた。
「うん?」
「いや、なんでもない」
そのとき、空気が一変した。前回の
「これはギィの……」
ルドラが扉を見上げながら呟き、ヴェルグリンドも少し懐かしげな表情を浮かべている。
扉が静かに開き、そこから現れたのは深紅の髪を靡かせたギィ・クリムゾンだった。鋭い目つきで辺りを見回し、最初にリンに視線を止める。そして、その後ろに立つルドラとヴェルグリンドを見て、口元に愉快そうな笑みを浮かべた。
「……マジで来やがったのか」
その声に、ルドラが微かに笑いながら答える。
「ヴェルグリンドに誘われたからな。邪魔なら帰るが」
ギィは肩をすくめて、冗談めかした口調で言い放った。
「別にかまわねえよ。妙な真似をしやがったら放り出すけどな」
そう言いながらギィはリンの手を取る。
「行くぞ、リン」
「う、うん」
緊張した声で答えるリンを引き連れ、ギィは颯爽と扉をくぐる。その後、ルドラとヴェルグリンドもそれに続いていった。
扉が閉じ、空間が静寂を取り戻す中、
荘厳な扉をくぐったリンたちは、白氷宮の中でも特に豪華な一室に通された。天井の高い広間には、豪華な装飾が施された家具が並び、純白のカーテンが風に揺れている。すでに待機していたヴェルザード、ミザリー、レインの三人が一行を出迎えた。
最初に動いたのはヴェルザードだった。彼女は静かにリンに歩み寄ると、柔らかな手でリンの手を取り、そっと握った。
「いらっしゃい、リン。待っていたわ」
優美な笑顔がその美しい顔に浮かぶ。
リンは少し戸惑いながらも微笑み返す。
「こんにちは、ヴェルザードさん」
その挨拶に、ヴェルザードはクスリと笑うと、柔らかく首を振った。
「呼び捨てでいいのよ?なんなら、姉様でも」
「えっ……姉様は……」
リンはぎょっとして、言葉を詰まらせる。もごもごと口ごもるリンに、後ろからヴェルグリンドの朗らかな声が飛んできた。
「いいわね。それなら私もグリンド姉様と呼ばれたいわ」
「ええっ!?」
リンは振り返りながら、目を丸くした。ヴェルグリンドは微笑みを浮かべながら、リンに一歩近づき、顔を少し寄せてきた。
「だって、あなたと仲良くなりたいもの。ほら、呼んでみて?」
「いや、あの……」
リンは吃りながら、微妙に後ずさる。それでもヴェルグリンドはぐいぐいと距離を詰めてくる。
そんな二人の様子を冷ややかに見つめていたヴェルザードが、視線をヴェルグリンドに向けた。
「……久しぶりね、ヴェルグリンドちゃん。あなたがリンと仲良くしたいだなんて、何を企んでいるのかしら?」
その冷たい微笑みを受けて、ヴェルグリンドは穏やかに微笑み返す。
「企むだなんて人聞きが悪いわよ、お姉様。リンと仲良くしてはいけないの?」
ヴェルザードは静かに肩をすくめると、冷笑を浮かべた。
「だってあなた、ルドラ以外に興味ないでしょう?」
ヴェルグリンドは表情を崩さないまま、柔らかく答える。
「リンは可愛い子だもの。一緒に楽しく過ごしたいだけよ」
「ふうん、珍しいこともあるものね」
ヴェルザードは冷たく言い放ったが、ヴェルグリンドは意に介さない様子でリンに向き直る。
「リン、私のことはグリンド姉様と呼んでね」
にっこりと微笑みかけるヴェルグリンドに、リンは困惑を隠せない。
(えっ、この話まだ続くの……?)
リンは竜種の距離感が独特すぎて、正直どうすればいいのかわからなくなっていた。しかし、本人が呼んでほしいなら別にいいかと、心の中で折り合いをつける。
「……じゃあ、グリンド姉様」
小さな声で呟いたリンに、ヴェルグリンドは満足そうに笑った。その瞬間、ヴェルザードがじっとリンを見つめ、手をぎゅっと握りしめてくる。
「ねえリン、私は?」
「えっ……」
困惑するリン。しかし逃げ場がないことを悟り、観念したように呟いた。
「……ヴェルザード姉様」
ヴェルザードの顔に、満足げな笑みが広がる。
「これからはそう呼んでちょうだいね」
(なんか妙なことになったな……)
リンはそう思いながらも頷く。その背後ではヴェルグリンドの視線が刺さるように感じられるが、リンは怖くて振り返れない。
ギィが呆れたようにため息をつき、ぼそりと漏らす。
「……何やってんだか」
ルドラはそんな二人を見て苦笑した。ヴェルグリンドがリンの信頼を得るために「グリンド姉様」などと呼ばせるとは思わず、内心で彼女らしい策だと感心していた。
一旦その場が落ち着くかと思いきや、ミザリーとレインが突然リンの両脇に回り込む。
「さあ、リン。準備の時間よ」
「今日は特別な日だからね」
「え、えええ!?」
リンが驚く間もなく、二人はリンを別室へと連行する。
「待って待って、まだ心の準備が……!」
必死に抵抗するリンの悲鳴のような声が広間に響く。
それを見たヴェルザードとヴェルグリンドも、揃ってミザリーとレインに続くように部屋へ向かう。
「リンのドレス、楽しみね」
「どんなふうに着飾るか、相談しなきゃ」
リンは内心で「誰か助けてええええ!」と叫びながらも、完全に四人に包囲されてしまった。
ギィはそんな光景を見つめながら、苦笑いを浮かべて呟く。
「……ホント、あいつは愛されてるな」
そして、白氷宮の一室から、リンの遠慮がちな抵抗と、女性陣の楽しげな笑い声が混じった喧騒が続いていった。
うっかり予約じゃなくて即時投稿してしまった。危ない危ない。
さて、ギィさんとルドラ、竜種姉妹にミザリーとレインというカオスなお時間がちょっと続きます。
リンが新しく獲得するスキルはどれがいいですか?
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樹界移動を進化させる
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聖域創造を進化させる
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万象再生を進化させる
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深淵樹霊を進化させる
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「神智核」一択
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魔王覇気とか
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特に思いつかない