「……だらだら最高……」
声に出して言ってみたら、ちょっと笑えてきた。
だけど、ふと、頭の奥でひっかかるような違和感が顔を出す。
「……そういえば、試練のとき……『未来予測』使えばよかったんじゃない?」
私のユニークスキル、
確か、未来予測って……高確率で次の動きを読める、はず。
あんなに魔物に囲まれて苦労して戦ったけど、未来予測しておけば、無駄な魔素の消耗もなかったかもしれない。
「ねえ、
《解。《試練は
「……うわ……それ、チート技使ってたら“未達成”扱いってこと……?」
たしかに、あの試練のキツさは今でも鮮明に思い出せる。けど、未来予測で回避してたら、その努力すらカウントされなかった可能性があるなんて……。
「いやぁ、ズルしなくて良かった……。ねえ、
《評価:曖昧な概念。ですが否定はしません》
ちょっと照れたような、そうでないような返事にくすっと笑う。
「……っていうかさ、試練のときも、飛ぶ練習のときもだけど、ぶつかるたびにすっごい痛かったんだよね。私、精神生命体なのに。物理攻撃、効かないんじゃないの?」
《解。
あまりにサラッとした言い回しに、しばらく口を開けたまま固まってしまった。
「……えー……いや、もう、私の感覚どうなってんの……?」
まるで全てが無駄だったかのように感じて、私は少し肩を落とした。そんなこと言われたら、今後何が本当に痛いのかわからなくなるじゃないか。
「……でも、まあ、そういうものなのか……」
自分自身のことが少しずつわかってきて、喜ばしいような、ちょっとしたショックを受けたような複雑な気分だった。
「はぁ……今度から、気にしないようにしようかな……」
私は自分に少し呆れつつも、心を切り替えることにした。
その後もごろごろと横になりながら、私は引き続き
「この世界には色んなスキルがあるって聞いたけど、他にどんなものがあるの?」
《解。この世界に存在するスキルは多岐にわたります。ユニークスキルや
「錬金!? おお……ファンタジー世界って感じ! 私もいつか使えるようになるかな~。ユニークスキルとかって、誰にでも手に入るわけじゃないんだよね?」
《是。ユニークスキルは特定の個体にしか与えられず、他者が同じスキルを得ることはできません。また、
「なるほどね……」
そんなことを言いながら、私はいつものように
「いただきまーす」
パクリ。
「……あれ?」
もぐもぐ……。
「なんか酸っぱい」
思わず顔をしかめて、実をじっと見つめる。……色がちょっと違う。淡い緑じゃなくて、黄緑に近い感じ?
「……って、これ別の種類じゃん!」
見渡してみると、どうやら枝によって味や色が違うっぽい。今まで気づかなかったけど、
「へぇ……甘いのと酸っぱいの、あるんだ。これって、もしかして辛いのとか苦いのも……いや、それはちょっとイヤだな」
なんてブツブツ言いながら、別の実を試してみる。こっちはやさしい甘さで、ふわっと体が軽くなる。
「やっぱこっちの方が好みかな~。……でも、たまに酸っぱいのもアリ。気分転換になるし」
新しいおやつの発見に少し得意げになりながら、私はまた横になってごろごろ。
「見た目似てるのに、全然違う……これって、種類違うのかな?」
私は思わず尋ねた。
「ねえ、
《解。現在の演算能力では、詳細なリスト化には時間を要します。サンプル蓄積および順次解析により、将来的な分類は可能です》
「なるほど……今すぐは無理ってことね。でも、地道に集めていけば、いつか“
ふふっと笑いながら、私は酸っぱい実をもう一口。これはこれで癖になる味だった。
「……いいね、味の違いを楽しむのも。ちょっとした贅沢って感じ」
私はそのまままた横になり、今度は別の実に手を伸ばした。甘いの、すっぱいの、いろいろあるのがなんだか楽しい。
「ねえ、
《了。リスト及びマップ生成を開始します》
「マップ!それナイス!!」
まるで気ままな食レポのようなこの日々。でも、こうしてだらだら過ごす時間も、悪くない。