破滅の鍵   作:高度経済成長兄貴

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作戦会議

「会長が、アリスちゃんを!?」

 

ミレニアムサイエンススクールの生徒会に所属している早瀬ユウカは驚きのあまり大声でそう言った。

驚くのも無理はない。

リオ会長が突然、行方を暗ましアリスのヘイローを破壊すると言うのだから。

何か知っているかもと思い話したが初耳だったようだ。

 

「そんな事になっていたのですね、、、。少しショックです」

 

ユウカと同じミレニアムサイエンススクールの生徒会に所属している生塩ノアも動揺を隠せないようだ。

 

「アリスを拉致してその上ヘイローを破壊するですって!? 意味がわからないわ!」

 

ユウカは完全に冷静さを失っている。

それもそのはず、

アリスが突然暴れ出しヴェリタスの部室を破壊したのはユウカも知っていたのだが、そこまで問題視する話では無いと思っていたからだ。

学園都市キヴォトスではそういった問題がたくさん起きている。

今更、生徒一人が起こした問題をここまで引っ張るとはユウカを含め誰も思っていない。

 

「普段から突発的な行動をする方ではありますが、、、」

ノアは口に手を当てて困ったそうな顔で喋った。

 

「リオがアリスを何処に連れて行ったか調べて欲しいんだ。もしかしたらセミナーの予算を横領して厳重な設備を作っているかも知れないし。」

先生は頭を深々と下げてお願いした。

 

「分かりました。セミナー内部の情報を確認してみます。リオ会長の痕跡が残っていると思うので。」

そう言うとユウカはセミナーの部屋に走って行った。

 

 

数時間後、、、、

 

 

 

「リオ会長がアリスを何処に連れて行ったか分かりました。」

ユウカが深刻そうな顔でそう言った。

 

「先生の話を聞いてまさかと思い調べましたが、、、まさか本当にセミナーの予算を横領していたなんて、、、。」

 

「本当にショックです、、、。そんな事をする方だったなんて、、、。」

ノアもユウカもガッカリしている。

二人ともリオ会長の事をとても尊敬していたのでダメージが大きい様だ。

 

「えっと、、、どういう事?」

先生は首を傾げながら聞いた。

 

「その、、、セミナーのデータベースから、削除された意図的に隠蔽された様な痕跡があるデータを調べた所、予算の一部に不透明な流れを発見しました。」

先生の予想は的中した様だ。

 

「そうやって追って行った先がコレです。今、画面に映します。」

画面に映し出されたのは都市の画像だった。

         

「データベース上から消去された資料を復元した所、とある都市のデータが見つかったんです。コードネーム エリドゥ。」

皆んな、予算の一部を使っていると聞いたのでそこまでたいそうな物では無いと思っていたが想像以上に立派で驚いている。

 

「リオ会長が秘密裏に建設していた、終焉に備えるための要塞都市だそうです。いつの間にこんなものを、、、」

ここまでの都市を短い時間で作れるのは、流石キヴォトス一の科学力を持つミレニアムサイエンススクールと言える。

 

「それにお金の流れを隠す事だって難しかったでしょうに、、、」

確かにユウカの言う通りだ。

予算の一部といっても相当な額になるはず。

それをバレずにやり繰りするのは至難の業だ。

 

「あ、、、、もしかして前回のコユキさんの一件と関わりがあるのでは?」

アカネがその指摘をした途端、ユウカの顔が険しくなった、、、

 

 

 

コユキ。ミレニアムサイエンススクールの問題児。

ユウカ、ノアと同じ生徒会所属。

頻繁にミレニアムサイエンススクールの予算を盗みカジノに明け暮れるいわゆる不良的な存在の生徒だ。

別にミレニアムサイエンススクールの保管の仕方が悪いわけじゃない。

なんせミレニアムサイエンススクールはキヴォトス一科学が優れているのだから。簡単には盗めない。

それにちゃんとした金庫で保管されている。

しかもこの金庫を開けるには暗証番号を入れないと開かない。

だがコユキは簡単に金庫を開けてしまうのだ。

コユキは物理的な暗証番号、コンピュータシステムの暗号などを感覚で解いてしまうという特異な能力を持っている。

本人曰く一応、天賦の才らしい。

ユウカは開けられるたび、暗証番号を変えているらしいがそれでも無理だそうだ。

なのでコユキは反省部屋(金庫)に入れられているそうだが、何度も部屋から抜け出すので半分諦め状態らしい。

そんなコユキがある日を境にお金を盗まなくなった。

監視カメラの映像には姿が映ってなく、警報も鳴らなくなった。

コユキがようやく反省した。そう思い安心していたのだが、また予算が削られている事に気づきコユキの行動を監視していると、、、

金庫に入って行くのが見えたので追いかけて捕まえた。

そのあと、反省部屋で事情聴取をした。

どうやら監視カメラの映像と警報を改造してバレない様にしていたらしい。

多分だがこの時にリオ会長は予算を横領したと考えられる。

 

 

「あのバカ、ただじゃ置かないわよ」

相当コユキに怒りを覚えているらしい。

 

 

「どうして都市なんかを?」

都市を建てるよりも他に良い案があっただろうに思い先生はノアに聞いた。

するとノアは少し笑って、

 

「リオ会長はご自身がやると決めた事に関して絶対に迷いません。合理的な判断を、時には重大な決断が必要な時も何ら躊躇う事なく目標達成の為に強引に事を進めます。そうして危険を排除し、キヴォトスの終焉を防ぐべく奔走した結果できたのがあの要塞都市エリドゥなのでしょう」

 

「アリスはエリドゥの中心部にあるタワーに連れて行かれた可能性が高いわ」

ユウカは画像を指さしてマグネットを貼り付けた。

 

「エリドゥの座標を送りますね」

ユウカがそう言いパソコンでデータを先生のスマホに送った。

 

「立場上、私達が手伝えるのは此処までですが、、、」

 

「お願い!リオ会長を止めて! そしてアリスを連れて帰ってきてください!」

ノアとユウカは自分達も行きたそうな顔でそう言った。

 

「うん、任せて。」

 

 

「エリドゥの座標は確認できたけど、問題は潜入方法だね。会長ならきっと、対侵入者用の防御システムを構築してるだろうから何の準備もなく接近したらエリドゥが何故、要塞都市と呼ばれているのか身を持って知る事になるだろうね。」

流石エンジニア部と言った所だ。

彼らは武器を開発しているので見ている部分が一般人と比べ違う。

 

 

「じゃ、じゃあ、どうすればいいの!?」

 

「近づく事も難しいなんて、、、一体どうすれば、、、」

モモイとミドリはガッカリしながらウタハに質問した。

 

「それはあくまで普通に接近した場合の話だよ。私達エンジニア部は別のルートを知ってるんだ。」

ウタハは得意げな顔で返事を返した。

 

「都市建設の人手だったらリオ会長のドローンで事足りるだろうけど、資材となると話は変わってくる。無から有は作れないからね。」

ミレニアムサイエンススクールでは建設の作業はドローンで行っている。

他の学園でも一応使われているが使う頻度は少ない。

ミレニアムサイエンススクールが一番ドローンを有効活用している。

 

「ミレニアム自治区の郊外には輸送用の無人列車がある。都市建設の資材をミレニアムから運んでいたと仮定するならその路線のどれかがエリドゥに、繋がっている可能性が高い。つまり路線さえ分かればエリドゥに行けるという事だ。」

エンジニア部は、よく無人列車を使っている。

武器のパーツを運ぶのに丁度良いそうだ。

だから思いついたのだろう。

 

 

「で、でも、路線はいっぱいありますよね、、、? 一体どうやって探せばいいんですか!?」

不安そうな顔でミドリは言った。

 

「ああ。なので、その辺りは私達がサポートしようじゃないか。」

自信満々にウタハは返事をした。

 

 

「次はアリスをどうやって連れもどうすかだね。」 

潜入方法が分かったので先生は次の問題に話を進めた。

 

「ええ。要塞都市と呼ばれるくらいですからリオ会長には万全の備えがあるのでしょう。」

アカネがエリドゥの座標を確認しながら言った。

 

「話を聞いてる限り、リオ会長の護衛をしているメイドが一番の障害ですね。」

コタマがメイド姿の生徒の写真を持って来て指差した。

 

「トキさん、、、でしたよね。あの時の彼女の動き、、、まるでチートプレイヤーみたいでした。」

ユズが少し怖がりながら言った。

ユズとミドリとネルは一回だけだが彼女に会った事がある。

アリスが連れて行かれる時に。

リオ会長がゲーム開発部に来て、アリスを連れて行くと言った時にユズ、ミドリ、ネルは抵抗しようとしたがリオ会長を護衛していたメイド、トキに邪魔されてしまったのだ。

ネルとトキで戦闘になったがトキにやられてしまった。

 

 

「アタシらに必要なのは作戦だ。」

ネルは自信満々に言った。

 

「え?」

皆んなキョトンとした。

作戦会議中に必要なのは作戦と言うので皆んな驚いている。

しかもその発言をネルがしたからである。

ネルは普段から作戦を考えずに突っ走って力で解決する脳筋だ。

そんな人が真面目に作戦を考えているのだ。

それはそれは珍しい事だ。

 

「うーん。ネル先輩どういう意味か聞いてもいいかな?」

ハレが、頭を傾げて聞いた。

 

 

「無事にエリドゥに着いたとしても、だ。そこがリオ会長の領域である以上、アタシらの動きは丸見えだ。だからよー、あれこれ浅知恵こねくり回す暇があるんだったら、初っ端から突っ込んだ方がいいってことだ。」

脳筋のネルが考えそうな事である。

 

「ですが部長、それではリオ会長の思うツボでは?」

アカネが冷静なツッコミを入れた。

それに対してネルは、

 

「だから作戦が必要って言ってんだよ。正確には陽動作戦か。」

と返した。

 

「このゲームの勝利条件は単純明快だ。アタシらがやられる前にあのチビを助け出す。アタシらC&Cが正面から騒ぎを起こしてやる。そうしたらリオはもちろんトキ、アイツらもアタシらの相手をせざるを得ないだろ? その間にお前達がチビ、いや、アリスを救え。どうだ? 簡単な話だろ?」

ネルの様な脳筋がこんな作戦を考えることが奇跡みたいなものだ。

 

 

「でもネル先輩大丈夫ですか? 相手はあのチートプレイヤーだし、、、」

モモイがそう言うと、

 

「あ? アタシを何だと思ってやがる。アイツには一杯食わされたからな。次会ったらやり返してやるって決めてたんだよ。後は実行するだけだ。」

ネルは拳を合わせて言った。

 

 

「それではこれで決まりですね。正面は私達C&Cが担当します。なので後方から潜入するのはゲーム開発部、エンジニア部、そして先生でお願いします。」

アカネが作戦をまとめてくれたので皆んな頷いた。

 

「よし。それじゃー明日の夜9時に作戦を始めるから各々準備しといてー。解散!」

 

 

 

 

 

エリドゥ内部 中央隔離施設

 

 

私は今リオの手によってエリドゥ内部の隔離施設に監禁されている。

 

私の名前は明星ヒマリ。

ミレニアムサイエンススクールの非公認ハッカー集団ヴェリタスの部長をしている。

足が悪く車椅子で移動している。

何故、監禁されいるのかというと、

アリスを助ける話になった時、一番厄介になるのは私だからだ。

私が一番リオ会長がどんな人か、知っている。

だから私を監禁するのも理解できる。

リオは目標達成の為に友達をも捨てる人だ。

で、そんなリオに監禁されているが、一向にここから抜け出す方法が見つからない。

ヴェリタスの部員に連絡したいが連絡手段が無いので何も出来ない。

私がじっとしていると、

 

「やる事がなくて暇かしら?」

リオが来た。

 

「リオ、、、あなたのやっていることは本当に忌むべき事です。直視に耐えられません。」

私は今までのリオの行動を知っているから分かる。

今まで一番酷い。

 

 

「ヒマリ、、、貴方はいつも悪し様に私の事を罵るわね。陰気だとか浄化槽に浮かんだ腐った水だとか、、、まあ、いいわ。そんな風に私を非難出来るのは、このミレニアムで、、、いや、このキヴォトス上でヒマリ、、、貴方くらいでしょうね。」

無理矢理にプラス思考に捉えて考えるのは何ともリオらしいと私は思った。

 

「そんな貴方だからこそ、私が今からしようとしている事を理解してくれるのではないか、期待していたわ。」

今からリオがしようとしている事それは、

 

 

「アリスのヘイローを破壊する行為をですか?」

 

アリスを、いや一人の生徒を殺す事だ。

 

 

「ええ。アリスは無名の司祭によって作られたキヴォトスを終焉に導く鍵が入れられている器よ。」

確かにリオの言う通りだ。

無名の司祭。自然に模った形で顕現するという「名もなき神」を崇拝している宗教団体的な奴らだ。

そんな奴らが作ったロボットソレがアリス。

だが、

 

 

「あなたは自分のする行いを、ミレニアム、ひいてはキヴォトスを守る為の、、、そういった類の行為だと信じているのでしょうけど。結局のところ少女を誘拐して都市に監禁し、ヘイローを壊そうとしているだけじゃないですか。」

 

私はそうは思わない。

アリスはちゃんとした意識を持っているし、何かした対策があるはず。

 

 

「その言葉は間違ってはいないわ。でも、、、いえ、そうね。貴方はそう考えているから、私の事が理解出来ず許容もできないのでしょうね。」

 

 

「ええ。私はあなたに賛同しません。そしてシャーレの先生も黙ってないでしょう。」

 

こんな事、先生が許すわけがない。

 

 

「そうね。先生がアリスを回収しにくるのは確実。それにC&Cというミレニアム最高峰の戦力も向こうの手に渡っている。まったく、誰一人私の事を理解してくれないのね。ただの一人でさえも、、、」

 

 

「リオ。あなたはそれを理解しているというのに、こんな、、、」

 

これも何ともリオらしいところだ。

自分の信念を曲げず己の道を突き進む。

 

 

「この一連が終わったら、ヒマリ貴方には、、、」

何か言おうとしていたが丁度、エリドゥの内部にあるモニターが侵入者を探知し警報が鳴った。

その瞬間リオの無線機が鳴り、

 

 

「リオ様。侵入者の様です。」

とリオに仕えているメイドの声がした。

 

「分かったわ。対処してちょうだい。」

とリオが言うと無線が切れた。

 

「話はここまでよ」

そう言い残し部屋に戻って行った。

 

 

「先生どうかアリスを、、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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