自分を仮面ライダーと勘違いした一般改造人間系転生者 作:超高校級の切望
特異災害対策機動部二課の地下には『サクリストD』ことデュランダルという完全聖遺物が保管されている。
ここ最近のノイズの出現傾向から言って、狙いはそれだと予想出来る。
故に移送することとなった。起動できていないとは言え希少な完全聖遺物だ。元より政府も二課が所有し続けている現状をよく思っていないのだろう。
永田町最深部に存在する特別電算室、通称『記憶の遺跡』に移すようだ。そこが二課ほどのセキリュティを持つかと言われればまああそこなら、と言った程度。しかし木っ端役人でしかない二課は政府に逆らうことなど出来るはずもなく。
明朝、防衛大臣殺害犯を検挙するという名目で検問を配備し一切の邪魔なく記憶の遺跡まで突き進む櫻井了子と響を乗せた車と、護衛車。
敵の狙いがデュランダルである以上、当たり前だが襲撃が起きた。下水道を伝いノイズが襲ってきたのだ。
飛び出してきたノイズにマンホールと共に吹き飛ばされる車が響達の乗る車に向かい落ちてくるが、空中で両断される。
中にいた人間はゴミ捨て場に投げられた。中身の詰まったゴミ袋がクッションになったようだ。
「ラスティさん!」
走る車の風を斬る音の中でも聞こえたのか片手を上げるラスティ。飛んできた瓦礫を掴み赤い塵に変え、銃に組み直すとノイズを撃つ。
「それでも数が多いわねぇ………やばいんじゃない? この先の薬品工場で爆発事故でも起きたらデュランダルが……」
『わかっている。さっきから護衛車を正確に狙い撃ちされているのは、ノイズでデュランダルを損壊させないためだと思われる。ノイズの狙いがデュランダルの確保なら、敢えて危険な地域に滑り込み攻め手を封じるって算段だ!』
「勝算は?」
『思いつきを数字で語れるものかよ!』
ラスティになんとか連絡をと、響が窓から顔を出そうとするとラスティが親指を立て薬品工場に向かい指をさす。どうやら通信を傍受していたようだ。
薬品工場に辿り着くと同時にノイズの動きが鈍る。狙い通りだったが、飛び出たパイプに引っかかり響達の乗る車がひっくり返った。
『南無三!』
幸い二人とも無事だ。車から何とか這い出す。
無理に襲ってはこないがノイズ達が響達を囲む。
「りょ、了子さん、これ重い………」
デュランダルが入ったケースを抱えようとする響だが中身は大剣。少女の腕には重い。
「いっそここにおいて私達だけ逃げちゃう?」
「そんな事、駄目ですよ!」
「冗談よ、冗談」
「っ!」
と、その時ノイズが車を破壊する。爆発に吹き飛ばされる響。立ち上る煙が上空のヘリから響達を隠す。
倒れた響にノイズが襲いかかるが了子とラスティが防いだ。
「!? お前………」
「あら、女には秘密がつきものよ」
パチリとウィンクしてくる了子にラスティは困惑しながらもノイズ破壊を優先。復帰した響も戦闘に参加する。
「ヒールが邪魔だ!」
ハイプが張り巡らされた工場敷地。ヒールが引っかかり転んだ響はそう叫び踵を強く地面に打ち付けヒールを破壊した。
地に足をつき、放たれた一撃はノイズを破裂させる。
「うわ…………」
肘打ち、踵落とし、蹴り、拳、鉄山靠……この前までまともに戦えなかった少女の姿はそこになく、一人の戦士としてそこに立つ。
と、そこへ無数の水晶が連なった鞭が襲いかかってくる。
「今日こそものにしてやる!」
「響!」
飛び上がり回避した響を蹴り飛ばすネフシュタンの少女。
「てめぇはこっちと遊んでな!」
と、ノイズが襲いかかってくる。
「ちっ、まあ良い。ものは試しだ」
ラスティは青い金属板を取り出しバックルの金属板と入れ替える。
『
『アナリシス!』
ラスティから吹き上がるエネルギーがノイズを消し飛ばしながら身にまとう鎧が変化する。
頭部の横にアメノハバキリのギアを思わせるパーツが現れたかと思えば脚部、腕部も同様に変化する。
鎧は赤から青に代わり赤い塵を介さず剣が生み出される。
「確か、こんな感じか………」
千ノ落涙!
無数に生み出された剣が雨のように降り注ぎノイズを貫いて行く。
その際、ラスティから放たれるアウフヴァッヘン波形も変化していた。
『この反応、アメノハバキリです!』
「アメノハバキリ、だとぉ!?」
ヘリで弦十郎も驚きのあまり叫んでいた。
「そらよ!」
「ぐっ!?」
そのまま新たに生み出した剣を少女に向かい投げつけ動きが固まると同時に斬りつける。
「ぐぅ!」
「こんな感じだったか!?」
蒼ノ一閃。
「ぐあああああ!?」
放たれた斬撃に吹き飛ばされる少女。そこは完全聖遺物、耐えてはいる。だが、純粋な戦闘能力に明らかな上乗せ。元々シンフォギアとも渡り合えるラスティにさらに追加されたアメノハバキリの力はオリジナルを超える。
「このままとどめだ」
『アタックトランス!!』
「この………負けてたまるかよ! てめぇみたいな、力ぁひけらかす大人なんかに!」
「鏡見ろクソガキ!」
『オロチノアラマサ!』
振るわれる一振り。放たれる八撃。少女が咄嗟に出したノイズを切り裂きながら突き進む斬撃は竜すら屠る神の一刀。少女が吹き飛ばされる。鎧の一部が砕ける。
「!? あ、があああ!?」
「あ?」
その鎧が修復していくが、明らかに少女本人の肉体を蝕んでいる。
「チッ。クソガキ、そこ動くな。今すぐひん剥いて…………」
と、その時だった。爆発音が響きデュランダルが入っていたケースが爆ぜる。
空中に浮かび上がるデュランダルは明らかに異質なエネルギーを発している。
「起動したのか………」
「ぐ、あああ!!」
鎧に食われていた少女は激痛に悶える体を無理矢理従わせデュランダルを奪取しようと跳ねる。
「させない!」
響も飛び出す。
手にしたのは響。脈動するようにエネルギーが膨れ上がる。
「響………?」
「ううう、うううう…………!!」
苦しそうに呻く響。ラスティが駆け寄ろうとすると膨大なエネルギーが響を中心に広がり赤い光が天へ昇る。
「なんだ!?」
錆びついていた大剣は黄金に輝き形を変えている。
対照的に剣を天へと掲げる響の体は黒く染まり赤い両眼だけが凶悪に輝く。
「うおああああああ!!」
少女は恍惚とした表情を浮かべる了子を見て悔しげに顔を歪める。
「そんな力を見せびらかすな!!」
ソロモンの杖を使いノイズを呼び出せばノイズに反応したのか敵意に反応したのかギロリと睨みつけデュランダルを振り下ろす。
膨大なエネルギーで形成された光の刃が工場を切り裂きノイズを消し飛ばし余波だけで少女を吹き飛ばした。
「響!!」
崩れ落ちてくる瓦礫に対してラスティが叫び赤い塵に変えて消滅させる。
「派手にやったわねえ」
「…………この剣。お前ら、響に何をさせている」
「あらやだ、私達の仕業じゃないわよ。響ちゃんの歌の力が思いのほか強くって………まさか完全聖遺物を起動させちゃうなんてねえ」
ラスティはジッと了子を見つめる。
「それよりぃ、私は貴方の力が気になるわぁ」
「……………」
「了子くん、響くぅぅぅぅん!!」
ズン、と弦十郎が降ってきた。大柄な筋肉の塊がそれなりの高さから落下したのだ。その衝撃は人体を容易く破壊するだろう………が………
「墳!」
地面がめくれ上がるのみで弦十郎は無事。
「あらぁ、弦十郎が落ちたにしてもすごい破壊規模ねえ」
「落下の衝撃を発剄で地面に逃したからな!」
「だから発剄はんな万能格闘技術じゃねえって…………はあ、もういい」
ウルフライドを呼び寄せ跨る。
「君の正体を聞かせてもらうわけには、いかないか?」
「子供を戦わせる組織に、戦える力を持つ奴が日常捨ててまで教えると思うか? 生憎俺は、俺がやりたいことだけやる独善者なんでな」
ブルルンとグリップを捻りエンジンを吹かすとラスティは元来た道を引き返すように去っていった。