自分を仮面ライダーと勘違いした一般改造人間系転生者 作:超高校級の切望
仮面ライダー? 変身?
板場が好きそう、なんて何処か他人事に思ってしまうほど混乱する未来。
そんな彼女の思考など当然考慮せずに襲い掛かるタコ型ノイズ。先の焼き回しのようにその触手を蹴りつける。
先程はただ触手を弾くだけ。今回はその衝撃がタコ型ノイズの半身を抉り取った。
【■■■■■■!!】
ボロボロと崩れていくタコ型ノイズ。即座に他のノイズが迫るも、ラスティは銃の絵が書かれた金属板を迫る鳥型のノイズに投げつけた。
『ガンメタル!』
『アナリシス!』
突き刺されながらも突進してきた鳥型ノイズを受け止める。
『リビルド!!』
鳥型ノイズは赤い鳥に分解され銃に再錬成。放たれる銃弾はノイズを次々貫いていく。
「す、すごい………」
人類にとって抗う手段のない災禍を一方的に破壊する金属戦士。その姿も相まり、本当にヒーローのよう。
と、オタマジャクシ型のノイズが寄り集まり巨大化する。重量を以て押しつぶそうと迫るノイズに対して、ラスティは『ガンメタル』を取り外しバックルに挿入。
『アタックトランス!』
銃にエネルギーが供給され、極大の光線がノイズを消し飛ばす。
【■■■■■■■!!】
と、今度はブラキオサウルスのような大型級。さらに巨人型。ラスティを叩き潰そうとチョップを振り下ろそうとして腕が吹き飛んだ。
「未来ぅぅぅ!!」
「響!?」
監視カメラか、ケータイのGPSか、兎に角響が未来を救うために現れた。
「ラスティさん!?」
「そのまま巨人は任せるぞ」
『アタックトランス!』
ベルトのバックルを押す。今度は片足にエネルギーが溜まる。
「は、はい! そっちは任せます!」
響はそのまま巨人型を殴りつけ、ラスティは大型級を蹴りつける。2体のノイズはそのまま肉体を貫かれた。
今のが最後のノイズだった。
「…………何とかなったな」
「未来!」
「わぷ!」
と、響が未来に抱き着く。避難しているはずの親友がまだ街中にいると知り慌てていたようだ。
「良かった………良かった!」
「響…………いた! いたいよ響ぃ!」
「あ、ご、ごめん!」
シンフォギア纏っての抱擁は流石にやばかったらしい。慌てて放す響。そのままラスティに向き直る。
「ラスティさんも、未来を助けてくれてありがとうございます!」
「俺にも未来を守る理由はあるからな」
「未来………? だ、駄目ですよ! 未来がかわいいからって! 未来は私達のです!」
「響………」
もう、と頬を染める未来。相変わらず仲が良いようで、とラスティは笑いバックルを回転させると響達から距離を取る。
「あ、待ってください! ええと、どうこう? して………」
「あ……」
「え?」
と、ラスティが去ろうとしていると思ったのか慌てて駆け寄る響。変身が解除され赤黒い液体が撒き散らされる。当然近くに居た響はもろに浴びた。
「え、あきらさ………ん? これ、え…………血?」
「……………血だな」
「ちぃぃぃぃ!?」
響の悲鳴が無人の街に木霊した。
それからどしたの。
一同はリディアン地下、特異災害対策二課本部に移動した。
「彼が、そうか………」
「そうなんです! ラスティさんが未来を助けてくれて、かと思ったらあきらさんで!? あきらさんが私達を守ってくれるのは何時もの事でだけど変身するなんて知らなくて!!」
「いったん落ち着け、立花」
「は、はい………」
翼の言葉に混乱していた響は取り敢えず落ち着いた。それでもチラチラあきらに視線を向けていた。
「ちゃんと話してください。約束ですもんね」
と、未来。
「ああ、そうだな。まあ簡潔に言うと、仮面ライダーラスティは俺だったんだよ」
「な、なんだってー!?」
「響ぃ………」
未来が可哀想なものを見る目を響に向けた。
「正体隠してたのは謝るよ。響はともかく、二課、だっけ? というよりは俺は基本的に政府を信用してないからな。政治家ってのは何時だって利益優先だろ」
「そうじゃない官僚もいるぞ」
「そういう官僚が口を挟む」
「………………」
否定はなかった。こういった特異技術を扱う彼等も身に覚えがあったのだろう。
「今回正体を明かしたのは、少しは私達を信用してくれたからってこと?」
「未来と響を見てたらな………俺もこの二人に隠し事するのはなぁ、って………んで、響は絶対隠し事無理だし」
確かに、と頷く未来。ええ〜と不満気な響。付き合いの短い二課達も、あきらの言葉に納得したような反応がほとんどだ。
「まあ、今はそこはどうでもいいのよぉ。私達が今知らなければならないことは一つだけ……ノイズと戦えるその技術をどうやって手に入れたか、これに尽きるわ」
「知らね」
沈黙が流れる。えっと、と未来が勇気を出して静寂を破った。
「実はあきらさん、2年ほど前から記憶がないらしくって………」
「知識として使い方なんかは知ってるけどな」
「あれ、大丈夫なんですか? なんか血が出てたけど………」
「ああ、変身すると血を消費すんだよ」
「血?」
「厳密には俺の体内にはパナケイア流体ってのが生成される機能が植え付けられてんだが、これは俺みたいな稀血………Rhソイル式の血液でしか機能しなくてな。機能したはしたでその後死毒に変わって血液を汚染すんだよ。で、それを体外に排出した結果があれだ」
放出された血は全て猛毒だったらしい。結構おもいっきり浴びた響は顔を青くする。
「血中に巻き込まれなけりゃ問題ねえよ。経口でも量が量なら死ぬが」
「あきらさん、そんな危ない力使ってたんですか!?」
「そこはこのバックル………『リビルドライバー』に血液保存と輸血機能があるからな」
「でも、あんな量の血液」
「俺、傷の治りや血の生成は早いからな。てか響、危ないことすんなってのはお前が言っても説得力ねえぞ」
「うう………」
響はチラリと未来を見る。未来に説得してほしいようだ。しかし、未来は首を振った。そもそも響が戦ってるのを止めないと決めた時点で未来にはあきらを止められない。
「では、ノイズと戦っていた箱型ロボットや狼型バイクは? あれが量産できれば………」
「あれの燃料は俺の血だからなあ…………」
「それもパナケイア流体が関係しているのかしら?」
「どっちかと言うと哲学兵装」
「哲学?」
新しい単語に首を傾げる響。
「人々がこうに違いないと何年もその認識を蓄積させ本質を歪めたものだ。血ってのは悪魔の召喚、神に捧げるだの、『人がそれ以外に繋がる対価』になりうる。後『命の源』………その哲学を利用して動かしてんのが彼奴等だ」
『人がそれ以外に繋がる』………その哲学を以て、あきらのロボ達はノイズの位相差障壁を破るのだ。
「そ、そんなに簡単に?」
「簡単じゃねえよ。ノイズの位相差障壁を再現する術式を発動させるための媒体みたいなもんだからな………当然その術式を用意して、今となっちゃただで抜かれる血液に価値を与えるために『希少』であるという……まあ色々してんだ」
「術式? 君は、魔法使いなのか?」
「仮面ライダー兼……錬金術師だ。見習いのな」
錬金術? とまた困惑する響。
「それって、石を金に変えるとか言うあのオカルトの?」
「
「それは………本当ですか? なら、その者達は何故その力を人々を守る為に………」
「『全人類には早すぎるのさ、錬金術は』……ってのが俺の師匠の言葉だな。過ぎた技術を今の人類が持て余すと思ってんだろ」
『だが信じているよ、僕は。成長するとね、不完全な故に君達は』とも言っていた。
「…………君の師に会えないだろうか」
「俺あの人の連絡先知らねえ」
初めて会った時もそうだが向こうから唐突に現れるのだ。後は、何故かある古めかしい電話が鳴ると連絡が出来る。
いたい何処のアダムなんだあきらの師匠は………