自分を仮面ライダーと勘違いした一般改造人間系転生者 作:超高校級の切望
協力関係になるのは問題ない。二課ではなく、響のだが。
そして正体に関しては、流石に上に隠せない。彼等は公僕なのだ。申し訳なさそうな弦十郎だったがそもそもノイズに触れられる体質自体はあの妙な女にも見られ、それを各国に周知される可能性がある以上後ろ盾は必要。
「君の身の安全は俺達が必ず保証する」
「最低限の身は自分で守るが、まあ後ろ盾は必要ですね」
「そ、そうですよ! 外国に誘拐されちゃったりするんですよ!?」
「ええ!? だ、大丈夫なんですかあきらさん」
「流石に一国の軍はきついな」
一部隊ではなく一国らしい。まあ、さっきも人一人抱えてビルの上まで跳んでたし。
「身体検査の結果が出たわよ〜」
と、あきらの体を調べた了子が戻ってきた。いきなり脱いでと言い出した時は響と未来が思わず割って入っていた。
「あきら君の言う通り、色々改造されてるわね〜。錬金術………聖遺物とは異なる異端技術だから私でも分からないことも多いけど、ゲノム改変に機械的な改造………弦十郎君の40%の身体能力とノイズと戦える事を抜いても世界が欲しがる情報ばかり」
「え、俺改造人間なのに改造受けてないただの人間の半分以下なの」
「やはり最後に信用できるのは鍛え抜いた己の肉体だな!」
「師匠………私、頑張ります!」
頑張ってもどうにもならないから改造して力を増やすんだと思うんだけどなあ。
「まあ弦十郎君は科学でも説明できないから置いといて、あきら君も聖遺物と融合してるわね。響ちゃんを融合症例第一号って名付けちゃったし、第零号ってとこかしら」
「融合……?」
「そしてその力を遺憾無く発揮した姿が仮面ライダー。シンフォギアのようにエネルギーを鎧に変換するのではなく、肉体そのものを変化させる。人と聖遺物の
「それって、大丈夫なんですか?」
変身すると血液が死毒で侵されるとか、聖遺物との融合とか、聞いてるだけで不安になる要素ばかりだ。
「ん〜。症例が2件だけだしなんとも。まあ大丈夫でしょ!」
「そんな簡単に………」
「まあ先を考えて今を歩めなくなってもあれだしな。先の事は身体に異変が起きてから考えりゃいいさ」
「あきらさん………」
未来は心配そうに見つめてくる。
(まあ実際、一時的に味覚や色覚を失ったりしてたが、時間が経てば戻ったしな………)
因みに味覚がない時は痛覚である辛味を良く取ってた。
「青春ね〜」
「そ、そんなんじゃないですよ」
「隠さなくてもいいのよ。私にも覚えがあるわぁ、思い続けた男の為に、何かしたいと思うのは女として当然でしょ?」
「了子さんにもそんな時代が!?」
と、響が興味津々と身を乗り出す。花の女子高生、恋バナには食いつくお年頃なのだ。
「もちのろん。私の恋バナ百物語聞いたら、夜も寝れなくなるわよ」
「まるで怪談みたいですね」
「了子さんの恋バナ!? きっとうっとりメロメロお洒落な銀座の恋の物語〜!」
「そうね。遠い昔の話になるわね………こう見えても呆れちゃうぐらい一途なんだから」
「「お〜!」」
響だけでなく、未来も恋バナには興味津々のようだ。
「意外でした。櫻井女史は恋というより、研究一筋であると」
「命短し恋せよ乙女というじゃない。それに女の子の恋するパワーってすごいんだから」
「女の子ですか」
と、呆れた小川がぶん殴られた。しかしあきらは見逃さなかった。小川は拳を目で追い、威力を殺していたのを。
「私が聖遺物の研究を始めたのもそもそも…………」
「「うんうん、それで!」」
キラキラした目を向ける女子二人に恥ずかしそうに頬を染め咳払い。
「まあ私も忙しいから、ここで油を売ってられないわ」
「関係ない話を始めたのは君だがな」
櫻井女史の裏拳! 櫻井女史は痛そうに腕を押さえた。
「それにほら、あきら君にだって記憶を失う前に恋人いたかもしれないわよ?」
その言葉に響と未来があきらをみる。
「んなこと言われても覚えてないしな。人格の形成は歩んできた人生と人との繋がり。記憶を失う前の俺と今の俺じゃ別人だろ。俺がそいつを知らねえように、そいつも今の俺を知らない………他人と変わらねえ」
「………あきらさん」
「そうねえ。人と人は簡単に分かり合えないもの。知らないと、ただその一言で争い合うわ」
「つってもエンキの遺したバラルを失わせる訳にもいかねえしな。彼奴がいの………? エンキ?」
自身が無意識につぶやいた名に首を傾げるあきら。エンキとは誰で、バラルとは何だ?
「────」
「あきらさん? エンキって、どなたですか?」
「……………知らねえ。リビルドライバーと同じだな………知識に引っかかってる」
「エンキ………メソポタミア神話の神様の名前よ。人々に知識や魔法を与えた……錬金術という知を探求する過程で知ったのかもね」
「そういうもんか」
「それじゃあね、私は研究に戻るわ」
「俺も用がある」
了子が立ち去りあきらと立ち上がる。
「あきらさんにも用事が? 引き留めてしまいましたか?」
「野良猫に飯を渡しに行くだけだ」
何処からともなく現れるコウモリ型のロボット。音楽プレイヤーに変形したそれにイヤホンを接続し、あきらは二課を後にした。