自分を仮面ライダーと勘違いした一般改造人間系転生者 作:超高校級の切望
二課の手伝い、ノイズと戦うことを決めた響は部屋の外に出た翼にも伝えに行く。
それがどれだけ残酷な事なのか、響は気付かない。
彼女が無神経なのではない。自分を救ってくれた人の力への興奮もあるだろうが、そもそも知らないのだし。
「……………」
一緒に戦いましょうと差し伸べられる手を取らない翼に困惑する響。と、その時、基地中に響く警報。
ノイズが現れたのだ。
「昨日の今日で……ノイズってのは通り魔に遭う可能性より低い遭遇率じゃなかったか」
文句を言いながらあきらはベルトを出現させる。
時間は夜。人はない。
『フラットメタル』
『アナリシス』
「変身」
周囲の物体を削り取りながら、仮面ライダーラスティに変身したあきらはウルフライドに乗りノイズの反応に向かう。
「出現地特定! 座標でます! リディアンより距離二百!!」
存外、近隣。直ぐ様迎え撃たんと飛び出す翼を見て、響も飛び出そうとする。
「待つんだ! 君はまだ………!」
「私の力が、誰かの助けになるんですよね? シンフォギアの力か仮面ライダーさんじゃないと、ノイズを倒せないんですよね? だから、行きます!!」
そう言った響もまた、部屋から出ていく。
「危険を承知で誰かのためになんて、あの子………いい子ですね」
「果たしてそうなのだろうか」
響の真っ直ぐさに微笑む男性職員に対し、弦十郎は眉間にシワを寄せていた。
「翼のように幼いころから戦士として鍛錬を積んできたわけではない。つい先日まで、日常に身を置いていた少女が誰かの助けになると言うだけで命を懸けた戦いに赴けると言うなら、それは………」
歪な事ではないだろうか、とそう疑問を口にする弦十郎に了子は目を細めた。
「つまり、あの子もまた私達と同じ………こちら側という事ね」
一般人を炭に変えながらリディアンを目指すノイズは、風を切る刃の如き翼と相対する。
その中でも一際巨大。捕食能力などないくせに、綺麗に並んだ歯を持つノイズが背中に生えていた木の葉のような器官を飛ばしてくる。
「このおおおお!」
「!!」
翼を飲み込まんと大口を開けたノイズに、響の蹴りが突き刺さる。
「翼さん!」
「くっ!」
ボヨンと弾かれる響と入れ替わるように飛び上がる翼。その姿に目を輝かせる響。
【蒼ノ一閃】
蒼白い斬撃がノイズ諸共道路を切り裂く。そのノイズの特性か、或はガス管でも埋まっていたのか爆発を引き起こした。
「翼さーん!」
炎を前に佇み背を向ける響。
「私、今は足手まといかもしれないけれど、一緒懸命戦います! だから、私と一緒に戦ってください!」
「そうね…………」
「………!」
「貴方と私、戦いましょうか」
「…………え?」
スッと向けられる銀の剣。鋭く射抜くその瞳に響は狼狽えることしか出来ない。
「あ、あの………そういう意味じゃありません。私は、翼さんと力を合わせて………」
「解っているわ、そんな事」
誤解があったのかと言葉を選ぶ響だが、翼は真意を違えてはいなかった。
「じゃあ、なんで………」
「私が貴方と戦いたいからよ」
「へ?」
「私は貴方を受け入れられない。力を合わせ、貴方と戦うことなど風鳴翼が許せるはずもない。貴方もアームドギアを構えなさい」
チキッと刃が鳴る。
「それは常在戦場の意志の体現。貴方が、何者をも貫き通す無双の一振、ガングニールのシンフォギアを纏うのであれば、胸の覚悟を構えてご覧なさい!」
「か、覚悟とか…………そんな。私、アームドギアなんて解りません」
今日がたった二度目の使用。シンフォギアがどういう物かは聞いたが、ノイズを倒せる以外に何ができるかも知らない。
「解ってないのに構えろなんて、それこそ全然解りません!」
「…………………」
その言葉に翼は剣を引き再び背中を見せる。
「覚悟も持たずに、ノコノコと遊び半分で戰場に立つ貴方が、奏の…………奏の何を受け継いでいるというの!!」
叫びながら飛び上がる翼。放り投げた剣が巨大な剣となり、足のパーツからエネルギーを噴射し加速した翼の脚と接続され剣自体もエネルギーを放ち加速しながら迫る。
【天ノ逆鱗】
「………!!」
「よっとお!」
響に向かい迫る断頭台の刃の如き剣が、銀色のバイクとぶつかり合う。ゴムとは思えない硬度を持つタイヤは前輪でありながら回転を続け火花を散らし、巨大な剣を砕いた。
「仮面ライダー!!」
「ラスティさん!?」
バイクに乗っているのは仮面ライダーラスティ。体に付着した炭は、彼もまたここに来る間にノイズと戦っていたのだろう。
「っ! 邪魔を…………!」
「するねえ。新人イビリか?」
ザザザとタイヤで道路をこすりながら着地したラスティはバイクから降りると地面に金属片を落とし、道路を赤い塵へと変えて剣を生み出す。
「しっ!」
「ふっ!」
二本の剣が振り抜かれ………受けるは鉄ではなく、人の腕。
「ふぅん!」
2人の間に割り込んだ人影が両足で大地を踏み抜く。アスファルトが革靴、靴下と共に弾け飛び、翼の剣が砕けラスティの鎖が弾かれる。
水道管が破裂し、周囲に水が雨のように降り注ぐ。
「………お前は」
「司令………」
「ふぅ〜。こんなにしちまって、何やってんだお前達は。この靴、高かったんだぞ」
「いやお前だろ。後、道路のほうが高いわ」
ラスティは剣と男………弦十郎の腕を見比べながら言う。
「どういう事だ?」
「いかに鋭い刃でも、圧を発剄でかき消しちまえばカミソリにも劣る」
「お前さては発剄といえば何してもいいと思ってるな」
弦十郎はフッと笑う。発剄とはそういうものだと思ってるようだ。そのまま翼へ歩み寄る。
「らしくないな翼…………」
そして、頬を走る水滴に気づく。
「お前、泣いてい──」
「泣いてなんかいません! 涙なんて、流してません。風鳴翼は、その身を剣と鍛えた戦士です。だから………!」
「翼さん………」
響は慌てて翼に駆け寄る。
「私、自分が全然駄目駄目なのは解ってます。だから、これから一生懸命頑張って、奏さんの代わりになってみせます!」
「…………あ」
ラスティが声を漏らし、翼が肩を震わせる。
パンッと頬を叩く音が響き、翼の頬に流れる降り注ぐ水とは異なる水滴が見えた。
「つ、翼さん………?」
「今のはお前が悪い」
「え?」
去っていく背中を呆然と見つめる響。ラスティは呆れながらも響を咎め、弦十郎に視線を向ける。
「始めましてだな、仮面ライダー」
「ああ、はじめまして。此奴等の上司っぽいが」
「特異災害対策機動部二課………そこの司令をやっている」
「二課?」
「表向きには一課だけだが…………やはり、裏の事情には精通してないようだな」
だとするならそこまで組織だった存在ではないのかもしれないとラスティを眺める弦十郎。
「他2名の仮面ライダーも、お前と関係があるのか?」
「…………2名? 他………他の仮面ライダーがいるのか!?」
「知らないようだな。ならば、部外者のお前に詳しくは話せん」
と言う割には申し訳無さそうな弦十郎を見て、良いやつなのだろうと思うラスティ。
「…………………」
聞きたそうだが、大人しく前のめりになった体を戻す。それは少なくとも、二課に入る気はないという事だろう。
「この際力の詳細も、出所も聞かない。ただ一つだけ……君は今、何のためにノイズと戦う」
これまで姿を一切見せなかった3人目の仮面ライダー。最近この力を手に入れた訳でないのなら、何故今、いかなる目的があるのか。
「…………俺なりの正義。独善に従ってな。その結果ノイズと戦う事はあるだろうが、まあこちらから積極的に敵対する意思はねえよ」
ブウウンとバイクが搭乗者もなく動き、ラスティは飛び乗る。
「お互い深く関わらないで行こうじゃねえか。互いに利用し合う程度が、俺達には丁度いい」
「一つと言っていて、図々しいが………その力は、他の誰かにも使えるのか?」
「無理だな。不可能とは言わねえけど、死者出しまくって可能性を引き寄せる必要がある」
歌ってもらい確認するシンフォギアシステムとは異なるようだ。パッチテストで死者が出るような技術を、弦十郎は使用する気はない。
だが、多くの国は死者を出してでもノイズと戦える、シンフォギアに匹敵する力を欲しがるだろう。
「解った。深くは関わるまいよ…………一先ずは外部協力者として扱わせてもらう」
「…………随分こちらにとって都合がいいな」
「お前の力を開示しろと言われる方が、俺には都合が悪いんだよ」
「……………お前は信用できそうだ。ひ──」
「また貧乳って言う気ですか!? 私は、立花響です!」
「…………響に無茶をさせるなよ。馬鹿っぽいから」
ブウウンとアクセルを吹かし去っていくラスティ。
「………しかし、
シルバーは見た目そのまま。ネフィリムは神話から取ったのだろう。では、あの仮面ライダーの名の由来は?
錆など、あまり良いイメージが湧かないのだが。
「あー、レバー食いてえ」
変身を解除し、大量の赤黒い液体を排出し激痛に悶えていたあきらはそうつぶやき歩き出す。しかし、まさか自分以外にも仮面ライダーがいたとは。
知っている仮面ライダーか、それとも自分と同じように仮面ライダーを名乗る全く新しいライダーか。名前ぐらいなら教えてくれないだろうか?
そういえば、自分はどうしてラスティと名乗っているのだったか………?
感想待ってます