ペチュニア・ダーズリーと偉大なる子供たち   作:野菜生活

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ハリーたちがホグワーツ特急に乗るまでの話になります。
最後にウィーズリー家がちょろっと出てきます。


ペチュニア・ダーズリーの子供たちと賢者の石
子供たちはホグワーツへと旅立つ


アミィが眠りについたことが分かると、ペチュニアは静かにアミィの部屋を出て部屋に戻り、手紙を書き始める。

 

 

「……こんなことって……いいえ、私は本当は見ないふりをしていただけ。あの子、かつてウチの女学校に通っていた後輩の……退学した女子生徒。あの子は家の窓から飛び降りて自殺してしまっていた」

 

 

かつて、ペチュニアが通っていた女学校で1人の女子生徒が自殺した。退学し、何に悩んでいたのか、何を恐れていたのかは知らないが、彼女は自分の部屋の窓から飛び降りて死んだ。即死だった。

 

 

『……下級生のあの子、退学してからすぐに死んでしまったそうよ』

 

 

『虐められてたって噂を聞いたことがあるわ』

 

 

『私は家族に虐待されてたって聞いたわよ?』

 

 

噂好きな女子生徒たちが、小さな声でクスクスと笑う。いつだって、ガールズトークは生々しくて、恐ろしい。夢を語る男たちとは違って、年頃の少女たちは現実的で非情な言葉を口にする。ペチュニアはそんな彼女たちを軽蔑しつつも、興味がある自分が大嫌いだった。

 

 

「……サフィ、あなたは……」

 

 

サファイアの夢が実際どんな内容だったのかは分からない。しかし、彼女の夢は現実となったのだ。

 

 

それからというもの、サファイアは不思議な夢を見ては泣きそうな顔でペチュニアに話す。そして夢の内容は一部違っていたりすることもあるが、概ね一週間以内に現実となる。

 

 

「……予知夢、預言者……そんな非科学的なこと、起こるはずがない、はずが……なかったんだけどね……アミィちゃん、どうか、どうか、あなただけはあの子のようにならないでちょうだい」

 

 

手紙を書き終えると、ペチュニアはリビングに向かい、部屋の窓を開けてから大鷲のいる鳥籠を恐る恐る開ける。そして大鷲の前に手紙をそっと置いた。

 

 

「……ヴィルトゥス、だったかしら?この手紙を、べスティアン家の小伯爵……クリストファーに届けてちょうだい。それから、こっちの手紙はあの人にお願いね」

 

 

大鷲、ヴィルトゥスは手紙を見ると嘴に咥え、窓の外へと羽ばたいていく。

 

 

「……さあ、私ももう寝ましょう。明日は少し、早起きをしなければいけないんだから」

 

 

そう言ってペチュニアは窓を閉め、自室に戻りゆっくりとベッドの中へ入り、目を閉じる。しかし、考えることが多くなかなか寝付くことはできない。

 

 

翌朝、バーノンに顔色が悪いと心配されるのだが、その理由をペチュニアは話すことなく、ただただ困ったように笑うのだった。

 

 

それから時は流れ、9月1日……ついにホグワーツへ入学する日がやって来た。ダドリー、ハリー、アミィはいつもより少し遅めに起床し、朝食を食べ、荷物の最終確認をする。

 

 

「よし!全部入っているわね」

 

 

アミィがそう言うと、ダドリーは困った顔で固まっていた。アミィは心配になり声をかける。

 

 

「ダドリー、どうしたの?」

 

 

「杖がない!杖がないんだよ!」

 

 

「えぇ?!い、急いで探しましょう!こんな時に物をなくすなんて、さすがにお母様たちにも怒られてしまうかもしれないわ!」

 

 

「そんな!……わ、分かった!急いで、さ、探そう……」

 

 

ダドリーはアミィに慰められながらも、自分の大事な杖を探すが見つからない。すると、様子を見に来たペチュニアが声をかける。

 

 

「みんな、もう準備は終わった?忘れ物はない?」

 

 

ダドリーが何と言うべきか迷っていると、ジャケットの下にキラリと光る尖った棒の姿を見つける。

 

 

「あった!」

 

 

ダドリーは急いで取り出し、杖を握りしめる。ペチュニアはやれやれと言った顔でダドリーに言う。

 

 

「まったく!大事なものなのだから、無くさないように気を付けるのよ?ダドちゃん」

 

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 

ダドリーが謝ると、アミィがフォローを入れる。

 

 

「まあまあ、お母様……無事に見つかったんだから良いじゃない」

 

 

「まあ、そうね……さあ!みんな準備ができたなら早く外に出なさい」

 

 

ペチュニアのその言葉を合図に、3人は荷物を持って外に出る。するとそこには、普段見ることのないような高級車が止まっていた。

 

 

「あれ?新しい車でも買ったの?ママ」

 

 

ダドリーがそう言うと、ペチュニアは車のトランクを開けながら答える。

 

 

「違うわよ。これはね、アミィ、あなたのおじの車なのよ。ご機嫌いかが?クリス」

 

 

ペチュニアが声をかけると、助手席から若く美しい美丈夫が降りてきた。

 

 

「お久しぶりですね、ダーズリーさん。君たちがハリー君とダドリー君だね。そして……君が、アメジストだね。初めまして、私はクリストファー・ルーカス・べスティアンだ。べスティアン伯爵家の時期後継者だよ。私は、君の実母の義弟……つまり、アメジスト。君の叔父さんなんだ。君に会うのはもう少し先かと思っていたけれど、やはり唯一の家族と出会えるのは嬉しいものだね」

 

 

優しい笑みを浮かべたクリスにアミィは頬を染める。そして、おずおずと彼に近づいた。

 

 

「よ、よろしく……お願いします」

 

 

「うん、よろしくね。アメジスト」

 

 

クリストファーが声をかけると、アミィは嬉しそうに笑い、ペチュニアはそんなアミィを微笑ましそうに見つめる。

 

 

「さぁみんな!車に乗って。今日はパパがお仕事だから、クリスの車で駅まで送って貰うわ。」

 

 

「……お父様に見送って貰えないなんて悲しいわ」

 

 

「おれもパパに最後に会いたかったなぁ……」

 

 

悲しそうに俯くアミィとダドリーにペチュニアはこう言った。

 

 

「ダドリー、アミィ、大丈夫よ。手紙を書きなさい。パパも私も2人を心から愛しているわ。些細などうでも良いこと、困ったこと、嬉しかったこと、その日の天気……なんでも良いから手紙を書いて。そうしたら私たちはすぐ返事を書いて送るから」

 

 

「そうね!それが一番ね。ダドリー、アミィちゃん、私もお父様も楽しみにしているわ」

 

 

ペチュニアの言葉に、アミィとダドリーは渋々頷いた。そんな2人の様子を見ていたハリーは、最後の日にバーノンに会えなくて本当に良かったと心の底から思った。

 

 

ハリーはダーズリー家でバーノンに幾度となく馬鹿にされ、両親を貶されてきた。だから嫌いな叔父に会わずに済むなんて、なんて素晴らしい日なのだと、心の底から喜んでいた。

 

 

「……そういえば、クリストファーおじさんって何歳なの?おれやアミィのお兄さんって言われても信じちゃうくらいには、若く見えるんだけど」

 

 

ダドリーが不思議そうな顔で尋ねると、クリストファーは苦笑しながらもすぐに質問に答える。

 

 

「そうか……お兄さん、か。まあ、そう見えても仕方ないかもしれないな。私は今18歳なんだ。今日から、ケンブリッジ大学入学するんだ。まだ学生の身だから爵位は継げないけど、これでも正当な伯爵家の次期後継者なんだよ」

 

 

「18歳!?その歳でこんなに大人っぽいの?!すごいね!おじさん!」

 

 

ダドリーが興奮気味にそう言うと、クリストファーは照れたように笑った。

 

 

「ははは……ありがとう。さて、そろそろ駅に向かわないと、汽車が出てしまうよ」

 

 

クリストファーの言葉を合図に、車はロンドンへと向かうのだった。

 

 

キングズクロス駅に到着すると、ハリーたちが車を降りる前にクリストファーは、彼らに綺麗に包装された小さな箱を手渡した。

 

 

「……まさか君たちが魔法使いの学校に行くとはね……さあ、これを渡そう。入学おめでとう、アメジスト。それから、ダドリー君、ハリー君もおめでとう。大したものでは無いけれど、君たちが素晴らしい学校生活を送れるよう祈っているよ」

 

 

「ありがとう、おじさん。でもこれはなに?開けてもいい?」

 

 

ダドリーが尋ねると、クリストファーは笑う。

 

 

「ああ!もちろんだよ」

 

 

3人はそれぞれのプレゼントを開けると、ハリーの箱にはHというイニシャルの掘られた、金色の装飾が美しい万年筆が入っていた。

 

 

「凄い……ありがとうございます」

 

 

「喜んでくれたのなら、選んだ甲斐があったよ」

 

 

ダドリーの箱には、前から欲しがっていたフランスの高級チョコレートブランドのトリュフの詰め合わせが入っていた。

 

 

「わあっ!美味そう!ありがとう!クリスおじさん!」

 

 

「ダドリー君が食べたがっていたとバーノンさんから聞いてね……でもチョコレートは1日3つまで。食べ過ぎたらいけないよ」

 

 

「えぇ、おれなら1日で全部食べられるのに……」

 

 

ダドリーはそう不満を漏らしつつも、渋々クリストファーの言葉を受け入れた。

 

 

「……これって」

 

 

不満顔のダドリーの横で、アミィはプレゼントに瞳を輝かせていた。アミィの箱に入っていたのは、有名高級ブランドのロゴが書かれた、クリアケースに入れられた淡いピンク色のリップクリームだった。

 

 

「アミィももう11歳、少し早いかと思ったんだが、そろそろこういうものにも興味が出てくるんじゃないかと思ってね。どう?気に入ってくれたかい?」

 

 

アミィもペチュニアが化粧をするのを見る度に、自分も化粧をしてみたいと何度も思った。ペチュニアが綺麗な色のリップクリームを付ける度に、アミィもしたくて仕方がなかった。嬉しくないわけがない。

 

 

「ありがとう!……えっと、クリストファーお兄さん」

 

 

「お、お兄さん?……一応私は君の叔父になるんだけどね……まあ、良いか」

 

 

クリストファーは、照れくさそうに笑う。そしてすぐに、優しい微笑みを浮かべた。

 

 

「さあ、汽車の時間が迫っているよ。みんな、気を付けてね」

 

 

ハリーとアミィ、ダドリーその言葉に頷き、クリストファーに別れの言葉を告げる。すると、ダドリーが頬を膨らませてこう言った。

 

 

「もうお別れなの?おれはまだクリスおじさんと話したいのになぁ」

 

 

ダドリーがそう言うと、アミィも彼の言葉に頷いた。その様子を見たクリストファーは照れたように笑うが、真剣な表情でこう言った。

 

 

「もし、おじさんと仲良くしてくれるのなら、ホグワーツから手紙を送って。ブレン、あれを……」

 

 

クリストファーは運転手の男性に合図をすると、彼は素早く懐からメモを取り出し、何かを書き始める。そして数秒後、それをクリストファーは受け取り、ダドリーに手渡した。

 

 

「これは私の家の住所だ。もし良かったら、手紙で学校について教えてくれ……さあ、時間だ。早く行きなさい」

 

 

クリストファーはそう促すと、名残惜しそうにアミィを見つめている。そんな姿を見て、ハリーもアミィの背中をポンっと軽く叩く。

 

 

「さあ、そろそろ行きましょうか。もう時間がないわ」

 

 

「分かったわ。クリストファーお兄さん、またお話しましょうね。クリスマスには帰ってくるから!」

 

 

アミィの言葉に、クリストファーは優しく微笑み頷いた。そして3人は駅構内へ向かって歩き始める。しかし、その時クリストファーがアミィの腕を優しく掴み、小声で話し始める。

 

 

「……アメジスト、実は君には伝えておかなければ「……何をしているの?早く来なさい、アミィちゃん」……長話はしていられないね。君の母……サファイアと君の祖父母は押し入った強盗に殺されてしまった。しかし犯人は未だ不明だ。くれぐれも……気を付けておくれ」

 

 

真剣な顔でクリストファーがそう告げると、アミィは驚いたような顔を見せ、すぐに小さく頷いた。

 

 

「……分かりました」

 

 

その後、ハリーたちはペチュニアに先導されホームへと向かった。しかし、彼らの切符に書かれている9と4分の3番線という乗り場が存在せず、途方に暮れていた。

 

 

「……まあまあ、ここはいつもマグルで混み合ってるわね。当然だけど」

 

 

その声にペチュニアが反応し、それに釣られてハリーたちも振り向くと、そこにはハリーたちと同じようなトランクに梟の入った籠を持った少年たちの姿があった。

 

 

「さあ、着いたわよ。ええと、何番線だったかしら……」

 

 

ふくよかな、赤毛の女性がそう呟くと、彼女の横にいる小さな少女が口を開いた。

 

 

「9と4分の3番線よ」

 

 

「ああ、そうだったわね……」

 

 

その後、少女が私も行きたいと不満を零すが、母親と思われるふくよかな女性は彼女を簡単に諌める。そして、女性が合図をすると1人ずつ柱の中に向かって入って行く。

 

 

「……き、消えた?」

 

 

ダドリーは目を丸くして驚き、ハリーも突然の出来事に頭が真っ白になっていた。アミィもめをぱちぱちと閉じたり開いたりさせて、固まっていた。

 

 

そして3番目の少年が柱に向かって歩き始める、というところでふくよかな女性はハリーたちに気づいた。

 

 

「あらまあ、こんにちは。もしかして、あなたが方もホグワーツへ?」

 

 

「え、ええよ。娘が1人、

 

息子が2人今年から通うことになっていますわ」

 

 

ペチュニアは毅然とした態度で、女性の言葉に返事をする。

 

 

「あら、そう。ウチの子たち3番目の子と4番目と5番目の双子、6番目の子がホグワーツに通うことになってるの。この子は、坊やたちと同じ学年だから良かったら仲良くしてあげてね」

 

 

女性は嬉しそうな顔で、ハリーたちを見て微笑んだ。その表情に、ハリーたち3人は少し緊張がほぐれ、肩の力を抜く。

 

 

「……ホグワーツに通うのは初めてなもので……9と4分の3番線を探しているのだけど、良かったら教えていただけませんか?」

 

 

ペチュニアは意を決したように、質問をする。すると、女性は一瞬驚いたような顔をするが、すぐに9と4分の3番線について教えてくれた。

 

 

「ああ!ホグワーツは初めてなのね。9と4分の3番線は、そこの柱に向かって真っ直ぐ歩いて行けば辿り着けるわ。もし怖かったら、小走りで行くといいわよ。大丈夫、みんなは魔法使いなんだから必ずプラットホームにたどり着けるはずよ。さぁ、行ってご覧なさい」

 

 

ハリー、ダドリー、アミィは顔を見合せ訝しげな顔で柱を見つめる。そして、真っ先に動き始めたのはダドリーだった。

 

 

「……よし、先におれが行くぞ」

 

 

ダドリーは意を決したように、全力ダッシュでトランクケースを押し、柱の中へ向かって突き進む。そして柱にぶつかると思った瞬間には吸い込まれるように消えてしまった。

 

 

「わぁ!ダドリーが消えちゃった!」

 

 

 

アミィは驚いたように声を上げる。そして、次にハリーが恐る恐る柱に近づいていくと、彼の身体は吸い込まれるように消えていった。

 

 

「……大丈夫、2人ともきっと向こうのホームで待っているはずよ。さあ、次はあなたの番よ」

 

 

ふくよかな女性はそう言うアミィを見て、優しく微笑んだ。アミィはゆっくり歩いて柱に向かって歩き始める。しかし、立ち止まり後ろへ振り返る。

 

 

「……お母様、行ってきます。クリスマス休暇にお会いしましょう!」

 

 

アミィは優しく笑い、ペチュニアに手を振る。そして、柱に向かって歩き出した。すると、次の瞬間には多くの人がいる、見たこともない見知らぬプラットフォームに立っていた。

 

 

「アミィ!こっちだ!」

 

 

声のする方へ振り返ると、ダドリーとハリーは特急の中に入ろうとしていた。アミィは慌ててトランクケースを押し、列車の入口へと向かう。

 

 

「良かった……アミィも無事来れたんだな」

 

 

ダドリーは、無事に妹に会えたことにほっと胸を撫で下ろす。

 

 

「じゃあ、早速中に入ろうか。もうすぐ出発するみたいだし」

 

 

ハリーがそう言うと、ダドリーとアミィはすぐに頷き、特急列車の中へと入っていく。中に入り、しばらく歩くと無人のコンパートメントを見つけたので、その中に急いで入り、荷物を上の網棚に置く。

 

 

「……なんだか、少しワクワクするかも」

 

 

ダドリーはそわそわとした様子でそう呟き、アミィも瞳を輝かせながら頷いた。

 

 

「そうね……魔法の世界なんて少し怖いけど、でも2人と一緒なら楽しいって思えるかもしれないわ」

 

 

ハリーもアミィの言葉に微笑みながら頷く。そうしてホグワーツへの淡い期待、ほんの少しの不安について語り合っていると、列車はゆっくりと動き出した。

 

 

「どうやら、出発するみたいね」

 

 

こうして、ハリーたちはホグワーツに向かって旅立っていくのだった。




次回、ホグワーツ特急の話になります。
一体、ハリーたちのコンパートメントに相席するのは、一体誰になるのか?
まだまだ投票受け付けていますので、ぜひ投票お願いします。

ホグワーツ特急で、アミィたちと一緒のコンパートメントになるキャラは誰が良いですか?

  • ハーマイオニー・グレンジャー
  • ロン・ウィーズリー
  • ドラコ・マルフォイ
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