ペチュニア・ダーズリーと偉大なる子供たち   作:野菜生活

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ついにコンパートメントにドラコがやって来ます。
ドラコは相変わらずなレイシストです。
さあ、一体彼らはどうなってしまうのでしょうか?


ドラコ・マルフォイとの出会い

彼の後ろには、ガタイの良い男子生徒が護衛のように2人も立っている。

 

 

「このコンパートメントにハリー・ポッターがいると聞いてね、ここまで来たんだが……もしや、君がハリー・ポッターかい?」

 

 

美少年は、訝しげな顔でダドリーをじっと見つめる。

 

 

「……またかよ……おれじゃなくて、このヒョロいのがハリーな」

 

 

ダドリーは以前、家に来たハグリッドにもハリーに間違われており、不快感を顕にしている。しかし、美少年はダドリーの言葉を聞くやいなや、興味をハリーへと映し「へぇ」と笑った。

 

 

「……僕はドラコ・マルフォイだ。我がマルフォイ家は英国魔法界ではかなりの富と財を築いてきた、古くから伝統ある名門貴族家だ。後ろのやつはクラッブとゴイル。家柄はまあ、申し分ないだろう。よろしく、ハリー・ポッター」

 

 

ドラコが手を差し出すと、ハリーは恐る恐るその手を取り握手をした。マルフォイはハリーを値踏みするようにジロジロと見回した後、アミィとダドリーに視線を移す。

 

 

「……ところで、君たちは純血の魔法使いかい?服装や君たちの持つトランクを見る限り、物は良さそうだが魔法界の物とは思えないが」

 

 

マルフォイは"純血"という言葉を妙に強調して尋ねる。

 

 

アミィはスネイプや本から得た知識を思い出し、彼の言う"純血"という言葉の意味を瞬時に理解し、質問に答える。魔法界では、先祖代々魔法族で非魔法族──通称マグルの血が入っていない魔法使いを純血と呼び、魔法使いとマグルの混血を半純血、マグル生まれの魔法使いをマグル生まれの魔法使いと呼ぶ。魔法界では未だ根強い差別が続いており、特に高貴な純血の魔法使いたちはマグルの血を引く魔法使いやマグルを毛嫌いしているそうだ。

 

 

そして、この少年がこんな質問をしたということは、彼は高貴な血を引く家の生まれで、マグルやマグル生まれの魔法使いを嫌い、差別しているのだと分かる。つまり、アミィはマルフォイの質問に対しての回答は既に決まっているのだが、答えた瞬間強く軽蔑されるだろうと考え、酷く悲しい気持ちになった。

 

 

「……私は純血の魔女ではありません」

 

 

アミィが純血ではないと応えると、マルフォイは続けてこんな質問をする。

 

 

「では、君の御両親はどちらかが純血なのかい?」

 

 

アミィはこの質問に困った。

 

 

母親はペチュニアの女学校時代の友人なので、彼女がホグワーツに通わなかっただけの魔女という線を除けば、どう考えてもマグルである。そして父親については、ペチュニアやバーノンは知らないそうで、今日叔父に会った時に聞こうとも思ったがそんな時間はなかったため、不明なのだ。

 

 

父親が不明だと言えば、この少年は更にアミィを罵倒し、傷付けるだろう。アミィは人を傷付けることが嫌いな少女だ。そして、人に傷付けられることを誰よりも恐れている。しかし、彼の質問に答えなければいつまでたってもこの尋問は終わらない。そう考えたアミィは勇気を出して彼の問いに答える。

 

 

「母は魔法使いではありません。父については、私は一度も会ったことがないので正直なところ分かりません」

 

 

アミィの答えを聞いたマルフォイは、先程よりも侮蔑と哀れみを込めた瞳をアミィに向けた。そして「へぇ」と相槌を打つ。

 

 

「そうか、つまり君はマグル……穢れた血が流れているんだね……なんて」

 

 

マルフォイは一段と低い声で「穢らわしい」とアミィを侮辱した。アミィはその言葉に泣きそうになり、すぐに俯いてしまう。その姿を見たハリーがマルフォイを睨み付け、ダドリーは今にでもマルフォイに殴りかかりそうなほどの、怒りの形相をしていた。

 

 

「ちなみにだが……君もマグル生まれの魔法使いなのかい?」

 

 

マルフォイはハリーに睨まれていたり、ダドリーが必死に怒りを抑えようとしていることなんて全く知らず、アミィと同じようにダドリーにも質問をする。

 

 

「ママもパパも魔法使いじゃない。一応、叔母さんは魔女らしいけどね」

 

 

ダドリーが早口でそう言うと、マルフォイはまた軽蔑したような表情で彼を嘲笑う。

 

 

「ハハハ、君もマグル生まれか。そこの彼女よりはマシみたいだが、所詮はドングリの背比べだな。」

 

 

マルフォイは、今度はアミィとダドリーを比べて、小馬鹿にした。

 

 

「君たちのような汚らしい血を持つ奴らが、この車両に他に乗っていると思うとゾッとするよ……特に……」

 

 

マルフォイはそう言いながらアミィを見てニヤリと笑った。

 

 

「君みたいな卑しい血の者にね」

 

 

アミィはマルフォイという少年の言葉に酷く傷付き、スケッチブックをギュッと強く握り締めた。

 

 

「……ん?そんなに大事そうに何を抱えているんだい?」

 

 

「あっ、ダメ!」

 

 

マルフォイは強引にアミィのスケッチブックを奪い、ペラリとページをめくる。そしてその絵を見て凍りついた。

 

 

「……動く絵?魔法画家の才能があるようだね。君、本当にマグル生まれなのかい?普通、マグル生まれの魔法使いはホグワーツに通う前にこんな才能を発揮することなんてないはずなんだが……」

 

 

マルフォイが目を見開き、驚愕の表情でアミィに問掛けるが、アミィには彼の声は聞こえない。大切なものを奪われた、最愛の兄であるダドリーと自分自身を侮辱され、怒りと悲しみでどうにかなってしまいそうだった。

 

 

「……」

 

 

アミィの瞳から、一筋の雫が流れ落ちる。その瞬間、部屋にバンッと大きな音が響いた。その音を響かせたのは、マルフォイに馬鹿にされた内の1人であるダドリーだ。

 

 

「お前、さっきからごちゃごちゃうるせぇぞ。おれとアミィには確かに、お前たちの言うマグルの血が流れてる。だけど、それがどうした?おれたちだって、来たくてホグワーツに行くわけじゃない!ママもパパも魔法や超能力なんて大嫌いだ!それなのに、変な力を持ったおれとアミィを受け入れ、守ろうとしてくれた。お前は、おれとアミィの血を馬鹿にした!それはつまり、おれとアミィの家族も馬鹿にしたってことだ!お前は自分の母親と父親を馬鹿にされたらどう思うんだよ!嫌じゃねぇのかよ?お前、育ちが悪いな。英国紳士の風上にも置けねぇ、クソだな」

 

 

ダドリーは強い口調で捲し立てるように言い終えると、マルフォイからスケッチブックを奪い返してアミィに手渡した。

 

 

「ほら、大事に持ってろよ」

 

 

「あ、ありがとう、ダドリー……」

 

 

アミィは涙を流し、強く強くスケッチブックを抱き締める。ダドリーは、ドラコを睨み付け「次はお前を殴ってやる」とでも言わんばかりの態度をとる。

 

 

一方マルフォイは、自分クラッブとゴイルを自分の前に立たせ、じっとダドリーを見つめる。

 

 

「……ポッター、こんな野蛮で非常識なマグル生まれと一緒にいては、君にまで変な噂が立つぞ。さあ、僕と一緒に別のコンパートメントへ行こう。君は魔法界についてまだ知らないんだ。友達の選び方は僕が直々に教えてあげよう。さぁ、早く行こう」

 

 

マルフォイはハリーにそう言い、手を差し出す。ハリーはマルフォイの顔を数秒見つめてから、彼の手を払いのける。

 

 

「な、何するんだ?!」

 

 

「悪いけど、友達は自分で選ぶよ。後、彼女は僕の大切な義姉で、ダドリーは一応従兄だ。ダドリーには嫌な思い出しかないけど、それでも彼はアミィの兄でもある。アミィは僕にとって大切な、ダーズリー家で唯一の味方だった。そんな人を悲しませる君とは、絶対に友達にはなれないよ。真の貴族とは、他者を気遣い、弱き者に手を差しのべられる者のことだ。つまり、アミィみたいな優しい人のことだ。君は真の貴族ではないよ」

 

ハリーの言葉に、マルフォイは顔を真っ赤にする。そして、またもやハリーとアミィを侮辱し始めようとした時、アミィは涙を拭い口を開いた。

 

 

「私は確かにマグル生まれで、魔法界では差別の対象となる身分でしょう。そしてあなたは、私のような身分の者が嫌いなのでしょう。私を侮辱するのは構いません。魔法界に根付いた差別にどうこう言う気はありません」

 

 

アミィは自分を傷付ける人間は嫌いだが、それ以上に家族を傷つけられることが何よりも嫌だった。ダドリーは暴力に出ることなく、言葉でマルフォイに剣を向けた。ならば、アミィも彼を守るために言葉で立ち向かわなければいけない。筋を通すとはそういうことだ。

 

 

「ですが……家族を侮辱されれば話は変わります。家族とは、かけがえのない何にも変えられない大切な存在です。あなたも、愛する人を侮辱されれば怒りや悲しみが込み上げてくるはずです。あなたが、人の心を持っているのであれば、どうかダドリーに謝罪をしてください。私を侮辱するのは結構ですが、家族をする人間には私も容赦しませんよ」

 

 

アミィの瞳は、強い意志を宿していた。その瞳に見つめられたマルフォイは、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。

 

 

「……悪かった、君たちの家族を侮辱したかった訳じゃないんだ。僕だって、家族を侮辱されれば怒り狂うだろう……確かに、紳士として、英国魔法界の貴族としての振る舞いではなかったかもしれない」

 

 

マルフォイはそう言い、自分の非を認めた。

 

 

「だが、それでも僕は君たちを侮蔑の対象としてみる。マグル生まれとは、魔法界で軽蔑の対象だ。このことをよく覚えておくと良いだろう」

 

 

マルフォイはそう言い、クラッブとゴイルにコンパートメントを出るよう促し、彼自身もコンパートメントを出て去っていった。アミィはドサリと椅子に倒れ込み、その様子をハリーは心配そうな顔で見つめる。

 

 

「……ありがとう、ダドリー、ハリー」

 

 

アミィはハリーとダドリーに改めて礼を言った。2人は互いに顔を見合わせて笑い、アミィの方を向き直した。そして、ハリーは真剣な眼差しで彼女を見つめる。

 

 

「あのね、僕ずっとダドリーが嫌いだった。いつも僕を虐めてくるし、バーノンおじさんもペチュニアおばさんもそれに便乗してくる。だから僕、ダドリーが大嫌いだった……でも、さっきのダドリーはちょっとカッコ良かったと思う」

 

 

ハリーがアミィを真っ直ぐ見つめながら言った。その言葉に驚きを見せたのは、当のアミィではなくダドリーだった。

 

 

「お、おい!何言ってんだよハリー!」

 

 

ダドリーは目を見開き、声を荒らげてハリーの言葉を止めようとした。

 

 

「ダドリー、照れなくてもいいよ。私もさっきのダドリーは凄くかっこよかった。勿論、ミスター・マルフォイの手を振り払ったハリーもよ!2人のおかげで、私勇気を出せたの」

 

 

アミィはそう言い、いつも通り上品で穏やかな笑みを浮かべる。

 

 

「……おれだってハリーは嫌いだ。だけど、ハリーよりもさっきのやつの方が100倍ムカつくぜ」

 

 

ダドリーはそう言い、顔を隠すように窓の外を見つめる。彼の耳は少し赤く染まっているように見えたが、ハリーは見なかったフリをしてこう言った。

 

 

「……同意だね。僕も、マルフォイとは仲良くなれなさそうかな」

 

 

ハリーはそう言って、ダドリーとは逆にコンパートメントの扉から見える廊下の方へ視線を向ける。そんな2人の様子をアミィは微笑ましく思いながら、スケッチブックを開く。すると、そこには驚きの光景が広がっていた。

 

 

「な、何これ?!」

 

 

アミィが描いたホグワーツ特急の絵は、画用紙の中で動いていた。汽笛がなる度に煙を出し、背景はどんどん変化し、流れていく。

 

 

「……え、絵が動いてる?」

 

 

「なんだこれ」

 

 

ハリーとダドリーも目を丸くして驚く。絵が動くなんて、普通じゃない。異常だ。

 

 

「……もしかして、これも魔法だったりする?」

 

 

ハリーがそう言った時、アミィはマルフォイが話していたことを思い出した。あの時は気にする暇すらなかったが、冷静さを取り戻した今ならばむしろ気になって仕方のない内、としか思えない。

 

 

「……さっき、スケッチブックを奪ったミスター・マルフォイは絵を見て驚いていたわ。動く絵、魔法画家の才能があると言っていた。その後に、私に本当にマグル生まれなのかと再度聞いてきた。つまり、 彼ならこの絵について何か知っているのかもしれないわ」

 

 

アミィはそう言い、コンパートメントの扉に手をかける。その行動に驚いた2人は慌てて彼女の前を塞ぐように立つ。

 

 

「ちょ、ちょっと!どこ行くつもり?」

 

 

ハリーがアミィの手首を掴んでそう聞いた。アミィは振り返り、少し困ったような表情をして答える。

 

 

「さっきのミスター・マルフォイに話を聞こうと思ったの」

 

 

「えぇ?!さっきあんなに険悪な雰囲気で喧嘩別れみたいになった相手に普通聞きに行くか?!考え直せよ!」

 

 

ダドリーもアミィを引き留めようと必死に言葉をかけるが、彼女はそれでも行こうとする。

 

 

「で、でも!……気になるじゃない」

 

 

「ならせめて、ホグワーツについてから聞けば良いだろ!さすがに、今行くのはダメだ」

 

 

この後、ホグワーツに着く15分前になるまで、ハリーたちの攻防は続き、ホグワーツに着く寸前になると制服に着替えなければいけないため、渋々アミィはマルフォイへの質問を諦めたのだった。

 

 

こうして、ハリーとダドリーは駅に着いた頃には、すっかり疲れ切った顔で、多くの生徒に訝しげな顔で見られるのだが、そんなこと今の彼らは知る由もない。





ドラコ、めっちゃ嫌な奴に見えますが、アンチヘイトの意図はありません。
これはドラコの環境や純血を重んじるナルシッサとルシウスの教育によるものなので、価値観の違いです。
ハリーとダドリーが仲良くなっているように見えるかもしれませんが、これは共通の家族であるアミィを大切に思うが故の共感であり、彼ら自体は同じ家に住む同居人、一応従兄弟程度の認識です。
ただ、原作より互いに互いを強く嫌っていたりはしません。

次回、ついに組み分けの儀式が始まります。
さぁ、一体アミィはどの寮に組みわけられるのか?
この物語においてかなり重要な意味を持つシーンなので、なるべく丁寧に書いていきたいと思います。
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