ペチュニア・ダーズリーと偉大なる子供たち 作:野菜生活
その後はアミィ視点で新入生歓迎会です。
「ポッター・ハリー」
ハリーの名が呼ばれると、その瞬間賑やかな雰囲気の大広間は静寂に包まれた。ハリーはゆっくりと椅子に向かい、椅子に着くとすぐに帽子を被せられる。
視界が闇に染まるほど深く帽子を被せられているのに、何故か多くの視線を感じる。今までほとんど空気扱いされてきたからか、すごく不思議な気分だ。
『ううむ、実に難しい……さて、どの寮に組み分けるべきか』
(……もしかして、帽子が喋ってる?)
ハリーがそう思った瞬間、帽子はハッハッハと笑い声をあげる。
『そうとも。私は組み分け帽子。こうして帽子を被せられた者の頭の中を見ることで、君たちに合う寮へ組み分けを行う。それこそが私の使命じゃ』
(……そっか。じゃあ君が僕に合う寮を選んでくれるんだね)
『そうとも。さて、君の組み分けをしよう。君ならどの寮でもやっていけるだろう。君は今まで必死に勉強をしてきたようじゃが、本当は勉強なんてあまり好きじゃないようだね』
(……ああ、勉強はペチュニアおばさんに言われて仕方なくやってたんだ。本当はダドリーみたいに野球をしたり、サッカーしたり、外で思いっ切り遊びたかったんだ)
ハリーは魔力を持っていたが故に、稀に魔力を放出してしまうことがあった。家の窓ガラスを割ったり、棚が突然倒れたり、感情が昂ると物を浮かせたりしてしまう。だからか、外に出ることはほぼ許されず、学校と家を往復するだけの生活をずっと送ってきた。
そしてすることがないからか、暇な時間は勉強ばかりしていた。勉強をして、テストでそこそこの点数を取っていれば、学校についてバーノンもペチュニアも干渉してくることはなかったため、ハリーにとっても好都合だった。しかしだからといって好きではない。むしろ、ハリーは勉強は退屈でつまらないものだと思っているのだ。
『……だが、それでも君は真面目な子だ。リリーの血を濃く受け継いでいる。外に出てもバレない時でさえ、好奇心理性で抑えた。君は感情を隠すことができる、理性的な子じゃ』
帽子はうーんうーんと唸り、ハリーにこんな質問をする。
『君は将来、どうなりたい?魔法界で暮らしたいかい?それともマグルの世界に戻りたいかね?』
ハリーは少し考え、こう答えた。
『……マグルの世界は嫌だ。僕は魔法界で暮らしたい。将来の夢なんて考えたことないけど、僕のお母さんは凄く優秀な人だってスネイプ先生が言っていたんだ。だから、僕もお母さんみたいな優秀な魔法使いになりたいな』
ハリーがそう答えると、帽子は嬉しそうに笑った。
『そうか、なら君には……この寮が良いだろう。君はきっと、偉大な魔法使いになるであろう』
帽子はふわりと高く舞い上がり、大きな声で宣言する。
『スリザリン!』
帽子がそう告げた瞬間、グリフィンドール、ハッフルパフのテーブルから驚きの声が上がる。レイブンクローの生徒も驚いているようだが、声は出さずじっとハリーを見つめているだけだった。そして、その中にはアミィの姿もあった。アミィは心配そうにハリーを見つめている。
(……アミィ、そんなに心配しなくても大丈夫なのに)
ハリーはにこりとアミィに微笑み、混乱と抗議の声が上がる中、落ち着いた足取りでスリザリンのテーブルへと向かっていく。スリザリンのテーブルに着くと、上級生が驚きながらも祝福の言葉を述べる。
「お、おめでとうポッター。スリザリンは君を歓迎するよ」
「ありがとうございます」
ハリーはそう言い、空いている席に座る。すると、斜め前の席のマルフォイと目が合った。
「……まさか、君がスリザリンに来るとはね。正直驚いたよ」
「それは僕の台詞だよ。アミィ……と、一応ダドリーを馬鹿にした君と同じ
寮になるなんて、最悪な気分だ」
「ふん、僕だってそうだ。……だが、まあ良いだろう。僕は寛大な人間だからな、君がこの寮に来たことを歓迎してやらないこともない」
「……そうかい」
(なんだこいつ)
ハリーはマルフォイに呆れながらも、これからの学校生活に胸を馳せるのだった。
それからまた何人かの生徒の名が呼ばれ、最後にブレーズ・ザビニがスリザリンに組み分けられ、儀式は終了した。
◇◇◇
「へぇ、君ハリー・ポッターと義兄弟なんだ。びっくりだよ」
テリーは目を丸くして驚き、ハーマイオニーも興奮気味に話し出す。
「そうなのよ!でもまさか義兄弟だったなんて、予想もしていなかったわ!友達だと思ってたのよ!」
ハーマイオニーは大興奮でアミィ握手を求めた。アミィは少し戸惑いつつも、ハーマイオニーと握手をする。テリーはそんな二人を見て、やれやれと肩をすくめるのだった。
「それにしても、ハーマイオニー。君までハットストールになるなんて、今年は凄い年だね」
「ああ、確かにそうね。確か組分け困難者だったかしら?本で読んだわ。グリフィンドールとレイブンクローで帽子が迷っていたの」
ハーマイオニーがそう言うと、テリーは「興味深いね」と笑う。ハーマイオニーは、アミィの組み分けについても気になっていたらしく、彼女に直球の質問を投げ掛ける。
「アミィは組み分けはどうだった?長かったし、どこかと迷っていたんでしょう?」
「ええ、そうね……」
アミィは組み分け帽子との会話を思い出してから、話し始める。
「……結論から言うと、組み分け帽子さんは私にハッフルパフ、レイブンクロー……そしてスリザリンの適性があると仰っていたわ」
アミィがそう言うと、ハーマイオニーとテリーは顔を見合せて驚く。
「ス、スリザリン?!」
「闇の魔法使いを多く輩出してきたスリザリン寮に適性があるの?!」
二人は大層驚き、その表情には哀れみの色が見て取れるが、アミィは気を落とすことなくしっかりと話し続ける。
「……組み分け帽子さんは、言っていたわ。ハッフルパフは私の性格に合う寮だって。ハッフルパフに進めば、今まで通り平和で穏やかな時間が過ごせると。次にスリザリンに進めば、厳しい時を過ごすことになるけれど、この寮で得るものは人生の礎になるのだと。私は家族の為ならば、なんだってできる。そんな性質が身内を大切にし、目的を遂げる為に狡猾になれるスリザリンに合っているそうよ。最後に寮レイブンクローに進めば……」
「偉大になれる」と言おうとして、アミィは口を噤んだ。そんなことを言っては、アミィがおかしな女の子だと思われてしまうかもしれない。そこでアミィは別の言葉で言い替えることにした。
「……沢山の知識を得ることで、優秀な魔女になれるとそう仰っていたわ。私は勉強は得意ではないけれど、好きではあるの。だからレイブンクロー寮に行きたいとお願いしたら、帽子さんは叶えてくれたわ」
アミィはハーマイオニーたちにそう話すと、ハーマイオニーは「なるほどね」と言い、テリーはふぅんと頷く。
「……アミィ、あなたってとっても優しいのね」
「え……そう、かしら?」
ハーマイオニーはアミィの手を握り、そう言った。アミィは少し困惑した様子を見せながらも、にこりと微笑み返す。テリーはその二人の様子を微笑ましそうに眺めつつ、そっとアミィに耳打ちをした。
「……ハーマイオニーって、君のことすごくきにいっているみたいだね」
テリーがアミィにそう告げると、アミィは首を縦に振り、苦笑しながらも笑顔でこう答えた。
「……こういうの、あまり慣れていないのだけど、嫌いじゃないわ」
3人は楽しそうに談笑しながらディナーを楽しんだ。アミィは今頃ダドリーは美味しそうに肉を頬張っているのだと思い、微笑ましく思うが、ハリーについてはとても心配していた。
「……ハリー、大丈夫かしら」
ホグワーツ特急で出会ったマルフォイと同じ寮に組み分けられたハリーを心配しつつも、アミィは美味しいローストビーフを頬張る。
「……まあまあ美味しいわね。今度帰ったら、お母様のローストビーフが食べたいわ」
アミィはそんなことを思いながら、新入生歓迎会を楽しんだ。
◇◇◇
「全員よく食べ、よく飲んだことじゃろう。新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある。一年生に注意しておくが、校内にある森に入ってはいけません。これは上級生にも、何人かの生徒たちにも特に注意しておく」
なら校内の敷地に森を入れなければ良かったのにとアミィは思ったが、他の生徒たちは気にしていなさそうだったので、素直に静かに話を聞き続ける。
「次に管理人のフィルチさんから授業の合間に魔法を使わないようにという注意があったので、皆気を付けるように。それと今学期は二週目にクィディッチの予選があるから、寮のチームに参加したい人はマダム・フーチに連絡するのじゃ」
「……クデイッチって何?」
アミィがポツリと呟くと、隣に座るハーマイオニーが教えてくれた。
「クデイッチは2チームに別れて、箒に乗ってゴールに特殊なボールを投げ入れて得点を競い合うスポーツよ。マグルでいう、サッカーやバスケットのような人気スポーツと考えてちょうだい。詳しく知りたければ、図書室にある『クデイッチ今昔』という本を読むことをオススメするわ」
「へぇ、マグル生まれなのにもう知っているのか。ハーマイオニーは本当に勉強が好きなんだな」
魔法界育ちのテリーは関心したような顔でハーマイオニーを褒める。
「……そして最後に、とても痛い死に方をしたくない人は、今年いっぱい4階の右側の廊下に入ってはいけません。良いな?」
ダンブルドアがそう言った瞬間、多くの生徒は訝しげな顔でダンブルドアを見つめていたが、アミィは4階の廊下に何があるのかと気になって仕方なかった。
歓迎会が終わると、生徒たちは上級生に先導されて各寮へ向かう。レイブンクロー寮は、入る為に毎回問題を解かなければならないらしく、アミィは少し面倒臭いと思った。
「不死鳥と炎どちらが先か?」
「この答えがわかる子はいるかな?」
上級生が新入生たちに尋ねると、すぐにハーマイオニーは挙手した。
「……ええと、ミス・グレンジャー」
「はい。答えは『円には始まりがない』です」
「正解。このように問題を解くことで寮に入ることができる。君たちはレイブンクローに組み分けられた。つまり、謎や不思議を放置しない、ああなんと言えば良いのかな……そうだ、探究心に溢れているということだ。慣れるまで少し時間はかかるかもしれないが、君たちは必ずこの小さな試練を乗り越えることができる。君たちはロウェナ・レイブンクローに選ばれたのだから」
「さて、諸君。今から寮の部屋分けについて説明する。男女に別れて、監督生の指示に従ってくれ」
アミィとハーマイオニーはテリーと別れ、上級生の指示に従って部屋分けの発表を聞く。
「次にハーマイオニー・グレンジャー、アメジスト・ダイアナ・ベスティアン、パドマ・パチル。」
アミィは、ハーマイオニーと同じ部屋になれたことを心の中で喜ぶ。ハーマイオニーの方を見ると目が合い、互いに声を殺して笑い合った。
その後、寮の部屋へ向かうとそこにはホグワーツ特急に置いてきた荷物が全て届いており、部屋の中には等間隔でベッドと机が置かれていた。
「2人がルームメイトのグレンジャーとベスティアンよね?私はパドマ・パチルよ。よろしくね」
パドマは気さくにアミィとハーマイオニーの手を握り、挨拶した。
「ええ、よろしくね。ハーマイオニー・グレンジャーよ。これからよしくね」
「よ、よろしくね。良かったらアミィと呼んでちょうだい」
「あ、私もハーマイオニーと呼んでくれたら嬉しいわ」
「ありがとう!2人とも下の名前で呼ばせて貰うわね。私のこともパドマと呼んで」
2人もそれに返すように手を握り返す。
こうして、アミィはホグワーツに来て3人目の友達ができたのだった。
ハーマイオニー、テリー、パチル。皆レイブンクロー寮に所属しているだけあり、聡明で賢い生徒だ。アミィにないものを沢山を持っている。だからこそ羨ましくも思うが、彼らのようになれるよう努力しようと強く思った。
アミィはこれからの生活に胸を馳せ、沢山の友達が出来たら良いなと思いながら、眠りに着いた。
ハリーがスリザリンに組み分けられました。
ダドリーとも、アミィとも全く異なる寮です。
マルフォイとの仲が心配になりますが、一体どうなっていくのやら……
アミィは今後、ハーマイオニー、テリーの2人と深く関わっていくことになります。
パドマについては、次点の友達といったところですが、一応今後親友となっていく予定です。
ダドリーは今後ロンと仲良くすることになります。ダドリーからしたらロンは子分ですが、ロンからしたらダドリーは生意気なハリーの従兄弟で、マルフォイにも喧嘩を売れるタフな奴といった印象を持たれます。
ハリーについては……ノーコメントで!