ペチュニア・ダーズリーと偉大なる子供たち 作:野菜生活
その後、勇気を称えられアミィ以外の全員が加点され、寮に戻るように促されると、4階に移動する階段が止まっていることに気付く。
そこにアミィが足を踏み入れると、ダドリーとハーマイオニーが必死に彼女を止めようと追い掛ける。
しかし、彼女の好奇心は止まらない。
2体目のトロールで随分疲弊していた彼らは、もうダメだと息を飲みトロールを見つめる。しかしその時、青い閃光がトロールに向かって飛んでいく。
「デパルソ!」
「……フ、フリットウイック先生?」
アミィが泣きそうな顔振り返り、そう呟く。そこには杖を持ち興奮した面持ちのフィリウス・フリットウイック、我らがレイブンクロー寮の寮監が立っていた。
「ああ、間に合って良かった。ミス・パチルから、君たちが地下に向かったと聞いて急いで来たんだよ……おや、まだ2体もいたか?」
フリットウイック先生はそう言いながら、杖をトロールへ向ける。
「「インカーセラス!/セクタム・センプラ」」
2体のトロールに向けて、マクゴナガルとスネイプが呪文を唱え、簡単にトロールを制圧してしまう。マクゴナガルとスネイプはトロールから視線を外し、ハリーたちに険しい顔を向ける。
スネイプは咎めるようにハリー、ダドリー、アミィを見つめてから、またハリーに視線を移し彼をじっと睨み付ける。スネイプはゆっくりとハリーに近付いていくが、彼は片足を引きずるように歩いており、怪我でもしているようだ。トロールとの戦闘で足を痛めたのだろうか、とアミィは不思議そうな顔でスネイプを見つめる。
「ミス・ベスティアン、よくもまぁ無事でいられましたね。怪我はありませんか?」
「はい、大丈夫です。皆が助けてくださいましたから」
アミィはそう言い、ハリーたちを見つめる。マクゴナガルはほっとしたようにため息を吐き、ハリーたちに向き直る。
「無事でなによりですが、ミスター・ポッター、ミスター・ダーズリー、ミスター・ウィーズリー、ミスター・マルフォイ、ミスター・ノット、ミスター・ブート、ミス・グレンジャー!あなたたちはどうして地下に来たのです?一歩間違えば、死んでいたかもしれないのですよ?」
「すみません、先生。私たち、アミィが地下室に忘れ物を取りに行っていたことを思い出して、彼女はトロールのことを知らないから、助けようと思ったんです」
ハーマイオニーはマクゴナガルにそう説明するが、マクゴナガルはまだ納得いかないという顔で「グリフィンドール、スリザリン、レイブンクローからそれぞれ30点ずつ減点」と言い放つ。
「そんな!」
マルフォイが悔しそうな顔で叫ぶが、マクゴナガルはそれを無視してニヤリと笑い、こう言った。
「しかし、友を心配し助けようとする行動は賞賛にも値します。グリフィンドール、スリザリン、レイブンクローにそれぞれ40点差し上げましょう。」
3寮に計10点が加算され、悔しそうな顔をしていたマルフォイはパアッと笑顔になる。しかし、マクゴナガルは「ですが」と言葉を続ける。
「我々教員の指示に従わなかったことについては、処罰を受けなければいけません。この場にいる全員に反省文10枚を書いてもらいますよ」
マクゴナガルがそう言うと、ハリーたちは項垂れる。マクゴナガルはそんな彼らを見つめ、「そして」と言葉を続ける。
「ミス・パチルのおかげで、私たちは皆さんを早期発見することができました。よって……ミス・パチルに10点、差し上げます。彼女には後でこのことを伝えてあげてくださいね?レイブンクローの生徒は」
「分かりました」
その後、彼らは速やかに寮に戻るよう促され、彼らは途中まで一緒に帰ることになった。
◇◇◇◇
「まさかホグワーツにトロールが侵入するなんて、ね。ホグワーツの防衛体制は一体どうなっているんだい?」
マルフォイは、疲れたようにため息を吐く。
「はあ……あの時はもう死ぬかと思ったよ。悔しいけど、ノットが居なかったら、僕はおそらく2体目のトロールに殺されていただろうね」
ハリーもため息を吐きながら、そう言った。
「本当に無事で良かったわ」
ハーマイオニーがそう呟くがノットは何も言わずに相変わらず手元の本に集中している。そしてアミィは「でも」と口を開く。
「一体どうしてトロールがホグワーツに侵入してしまったのかしら?」
アミィは不思議そうに首を傾げる。するとハーマイオニーが自分の見解を述べ始める。
「その事についてなんだけど、実はクィレル先生が倒れてから、私とパドマ、テリーはトロールがどこから来たのか、何故ホグワーツにいるのかという議題について話し合っていたの。そこで出された結論が……トロールは何者かの手引きによってホグワーツに侵入することができた、というものよ」
「手引き?」
ロンが驚いたようにハーマイオニーを見る。ハーマイオニーはロンの言葉に「そうよ」と頷く。すると本に視線を向けたままノットが口を開き話に割り込む。
「……その考えには賛同するよ」
「え?」
まさか、純血主義者のノットに賛成されるとは思っていなかったハーマイオニーは、驚き呆けた顔で彼を見つめる。
「2体目のトロールを相手にした時も言ったが、トロールには十分な筋肉があるが、アイツらは頭が本当に悪いんだ。だから、筋肉の活用方法を知らないが故に機敏な動きはできない。勿論、当然走ることだって不可能だ。しかし、2体目のトロールの動きは過去に存在したトロールの身体情報を遥かに凌駕したものだった。このことが指し示す答えは、トロールが洗脳……支配されている。もしくは遺伝子異常個体のどちらかだが、最も安全な守りの魔法がかけられているホグワーツに侵入している時点で、人間に操られていると考えるのが自然。となれば、ホグワーツに在籍している人間の手引きにより校内に侵入したと考えるのが自然だ」
ノットのあまりにも饒舌な言葉に、ハリーたちはただ呆気にとられていた。マルフォイとハーマイオニーでさえも、驚いた表情で彼をまじまじと見つめている。すると彼はその視線に気付いたのか不機嫌そうにハーマイオニーの方を向いて顔を歪める。
「……何か文句でもあるのか?」
「いや……あなたって意外と頭良いのね」
ハーマイオニーが素直にそう感想を述べると、ノットはフンッと鼻を鳴らしただけで再び視線を手元の本へ向けた。そして次に口を開いたのはアミィだった。
「でも、一体誰がどうしてそんなことをしたのかしら?ホグワーツに恨みでもあるのかしらね?」
アミィがそう言うと、スリザリン、グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフの生徒がそれぞれ別の階段へと別れる場に到着する。すると階段は動き出しハリーたちの目の前で止まった。しかし、その階段はグリフィンドールへも、レイブンクローへも、スリザリンへも、ハッフルパフへも繋がらない、禁じられた3階の廊下へと続くものだった。
「……この階段、確か次に4階の廊下へ移動する階段、よね?これ」
アミィは興味深そうな顔で階段に近付く。そして、入学式の日に自分が抱いた疑問を思い出し、何科に取り憑かれたかのように足を踏み出す。
「アミィ!ダメよ!」
「そうだぞアミィ!」
ハーマイオニーとダドリーは、アミィが階段を上ろうとするのを止めるためあとを追いかけて階段に足を踏み出す。そして彼らを見ていたハリーも階段を一段上る。
「おいポッター、何してるんだ!」
マルフォイがそんなハリーを止めるように階段を上り、目を釣り上げて怒りの声を上げる。
「……私、4階がとても気になるの。どうして禁じられているのか、何故4階に行くと痛い死に方をしてしまうのか」
アミィは好奇心旺盛な少女だった。疑問は早急に解消し、新たな知識として記憶しなければ気が済まない性格だった。だから彼女は階段を上がり続ける。
「アミィ、早く降りてくるんだ!先生方にバレたらなんと言われるか!」
流石にトロール事件の後に4階の禁じられた廊下に行くなんて正気ではないと、テリーが階段を1段上り止めに入る。その時、突然階段は動き出した。
「え?!ちょ、ちょっと待って!こんなに早く動き出すなんて聞いてないわよ?!」
「う、うわあ!動き出したぞ!」
マルフォイが戸惑いの声を上げ、ダドリーとハーマイオニーも困惑の表情を浮べ、テリーは呆れたように頭を抑える。そんな彼らの中で、何故かアミィとハリーだけは好奇心で胸がいっぱいだった。この先に何があるのかと気になって仕方なかった。
ノットは踊り場で動く階段を見つめていたが、気でも触れたのか勢いよくジャンプし階段に飛び乗った。
「な、なんでノットまで来るんだよ?!」
「4階については僕も気になっていたからな。お前が行って減点されるなら、僕が行って減点されてもそう変わらないだろう」
「いや、変わるだろう!どう考えても変わるだろう!」
ノットにマルフォイはそう突っ込みを入れ、寮杯が、得点が嘆き、しゃがみこんでしまう。
「ちょ、ちょっと!僕だけまた置いてけぼりなんだけど?!」
1人階段の踊り場に取り残されたロンはそう言い叫ぶが、階段は無情にもどんどん踊り場を離れていく。
◇◇◇
そしてロン以外の7人は4階の廊下までやって来た。アミィは階段をかけ上り、廊下の奥へ向かって歩き出す。その後をハーマイオニーとダドリー、ハリーとテリーは慌てて着いて行き、少ししてからマルフォイとノットも同じように歩き始める。
「まぁ!随分埃っぽいわね、ねぇもう戻りましょうよ!」
「そうだ!穢れた血に賛成するのもどうかと思うが、僕達は今日問題を起こして説教されているんだぞ?今すぐにでも戻るべきだ!」
「確かにここは最悪よ。正直二度と来たくはないわ。だからこそ、今確かめないと……」
ハーマイオニーの言葉に誰よりも先にマルフォイが賛同し、アミィとハリーに向かって声を上げる。しかし、アミィは立ち止まることなく廊下の奥へと歩き続けていく。
「アミィ!もう戻ろうぜ?何かあったらどうするんだよ!ママもパパも心配するぞ?」
ダドリーが焦った様子で声をかけるが、彼女は足を止めずにとうとう廊下の端までやって来た。目の前に広がる光景にハーマイオニーとダドリーは小さく悲鳴をあげる。
「……誰かいるわ!……フィルチの猫よ!」
「ってことは、フィルチが近くにいるんだよな?!」
ダドリーがそう言うと、寮杯に命をかけているマルフォイが小さな声でこう言った。
「あそこ、あそこに隠れよう!今見付かっては、スリザリンまで減点されてしまう!」
マルフォイが指差す方向には古びた木製の扉がある。ハリーたちは急いでそこに入り込むと扉をしっかり閉めた。そして全員が息を殺し耳をすませる。すると、コツコツと足音が聞こえてきた。
「見回りか?」
テリーが小さく呟いた。その足音はゆっくりだが確かにこちらに向かってきている。全員の額に冷や汗が流れる。彼らは物音ひとつ立てないように、細心の注意を払って息を潜めていた。数分後、ミャアという声がしたと思ったら足音は少しずつ遠ざかっていく。彼らはほっとし肩の力を抜いてため息を吐く。
「はあ、危なかった」
「もう、アミィ!あなたっていう人は!」
ハーマイオニーがそう言ってアミィを叱りつけると、突然彼女は声を失ってしまったかのように話を中断する。
「ハーマイオニー?どうしたの?」
アミィがそう言い、ハーマイオニーが見つめる視線の先を目で追う。するとそこには、大きな大きな3つの頭を持った犬のような生き物が寝息を立てていた。
「……いやああああああああっ!」
アミィはその驚きの光景につい叫び声を上げてしまった。そんなことしてはいけないと頭では分かっていたが、彼女は愚かにも恐怖に耐えられなかったのだ。彼女は
すると、先程まで寝息を立てていた怪物はパチリと目を覚ますとハリーたちを見つめた。そして鋭い牙をむき出しにしてこちらを威嚇してきたのだ。
「グルルルッ」
「みんな!逃げて!」
ハーマイオニーが叫び全員慌てて扉から出る。しかし、怪物が扉をドンドンと叩き開けようするので、全員で必死に扉を押え何とか事なきを得る。
「……な、なんであんなものを飼っているんだ?!ダンブルドアは一体何がしたいんだ……」
マルフォイが真っ青な顔でそう呟くと、彼は力なく床にへへたり込む。
「ダンブルドアが言ってたとても痛い死に方って、あの怪物のことを指しているのだろうか?」
テリーが平静を装うようにそう言うと、ハーマイオニーは「いいえ」と首を横に振る。そしてハーマイオニーが反論しようとしたところで、何故かノットがその役を奪う。
「あの怪物「君たちは馬鹿なのか?あの怪物の足元には床下に繋がる扉があった。つまり、あの怪物は床下にある何かを守る門番に過ぎない。今のホグワーツは、その何かを守っている、ということだ」……ちょっと!被せないでちょうだい!」
ハーマイオニーがノットに向かって怒りを顕にするが、ノットはどこ吹く風といった様子で全く気にする素振りを見せない。
「……守るって、一体何を守っているのかしら」
アミィがそう呟くと、マルフォイがハッと思い出したように小さな声でこんなことを呟く。
「そういえば、夏……8月の半ば頃に警備が強固なことで有名なグリンゴッツの713番金庫に侵入者が現れたと、日刊預言者新聞に書かれていたな」
「グリンゴッツって?」
ハリーがマルフォイに尋ねると、彼はグリンゴッツについて説明し始める。
「そんなことも知らないのかい?まあいい、特別に僕が教えてやろう。グリンゴッツとは、世界一安全と言われる銀行のことさ。そのセキュリティは完璧なものだと言われているよ」
マルフォイが得意げにそう話すと、ハリーは「ふうん」と興味を失ったように曖昧な返事をし、マルフォイは彼に怒り出す。そうして口論が始まったところで、アミィが「ふわぁ」と欠伸をし、彼らはこんなところにいる場合ではないことを思い出す。
「……そろそろ戻りましょう。今ならまだ夜時間にはならないはずよ」
ハーマイオニーの言葉に、全員が頷き、たまたま移動する階段がやってきていたのでそれに乗り、元いた階段の踊り場まで下りる。するとそこには、不満気な様子のロンが立っていた。
「もう!どうしてすぐ戻って来ないんだよ?!フィルチがそっちに行っていたけど、バレなかったのかい?」
「いや、結構危なかったよ」
「そうね。近くにあの部屋がなかったら、フィルチさんに捕まっていたはずよ」
ロンの言葉をにテリーとアミィが返事を返す。ハーマイオニーがロンの存在をすっかり忘れていたことに謝罪をすると、ロンは「1人だけ置いていくなんて酷いじゃないか!」と不満を零す。そこにダドリーがロンの肩を掴んで「悪かったな」と人相の悪い顔で言うと、ロンは渋々「もういいよ」と呟いた。
「そういえば、スネイプ先生足を引きずっていたけれど、トロールとの対戦で怪我でもしたのかしら?」
アミィがそう言うと、ハーマイオニーは少し考えてからこう言った。
「そういえば、さっきの部屋の床、一箇所赤く染っている部分があったわ。もしかして、彼がホグワーツにトロールを入れたんじゃない?トロールを入れて騒ぎを起こしている間に、あの怪物が守っている何かをうばおうとしたんじゃない?!」
ハーマイオニーが「どうだ」と言わんばかりの自信満々の態度てそう言うと、普段のスネイプを知っているハリーたちとマルフォイはそれを否定した。
「いや、多分それはない、と思うよ?」
「うん」
「スネイプおじさんがそんなことするわけないだろ?」
「ああ。あの方は父上の後輩なんだぞ?そんな危険な真似をしたらどうなるかくらい理解しているはずだ」
「そ、そうなの?名推理だと思ったんだけど、私もまだまだね」
それからは各自自分の寮に戻る為、別々の階段を使って寮へと戻って行く。アミィたちは寮に戻ると「どうしてこんなに時間がかかったの」かと、パドマに心配されるのだが、3人は4階の扉については一切口にしなかった。
まさかロンだけ置いてけぼりになるなんて……
まあ、ハリーがスリザリンだからこそ同寮生のマルフォイたちにスポットライトが当たるのは仕方のないことですし、なんとも言えませんね
ちなみに、この世界のハリーは飛行訓練の腕を認められてクディッチの選手に選ばれてはいませんし、ダイアゴン横丁でグリンゴッツにも行っていません。だから侵入者やグリンゴッツについての知識が全くないので、今回マルフォイに情報提供役をやってもらいました。
ちなみに、余談ですがネビルが骨折した時の授業でネビルの思い出し玉を取り返したのはダドリーです。
彼は一応下僕2号のネビルを馬鹿にされたのでマルフォイを突き飛ばし、玉を奪いました。
その後、マルフォイが学校にこの事実を報告したので、罰と減点も受けている、という設定です。
彼が変わりに選手に抜擢されるということもありません。
さて今後、一体この物語はどうなっていくのでしょうか。
原作とは違う、魔改造トロールに箒の技術が普通のハリー、知識枠をたまに奪われるハーマイオニーに、そもそも相棒枠を奪われたロン、ハリーのライバル枠兼相棒枠のマルフォイに、ハーマイオニーの見せ場を食うノット、そしてフラグを立てまくるアミィと問題児ダドリー……
こうして見ると、色んな意味で激ヤバ豪華なメンツですね。
ここにテリーがいる違和感が……と思われる方もいらっしゃるでしょうが、実はテリー・ブートは原作の人物です。
実はイルヴァーモー二ー創設者の1人である、チャドウィック・ブートの子孫で、この物語では元魔法大臣アルバート・ブートの遠縁という設定になっています。
なので一応魔法界の名家出身のお坊ちゃまです。
まあ、それでもパッとしませんけど……
ちなみに元魔法大臣アルバートはゴブリンの反乱への対処が上手くいかず、無能呼ばわりされ、政界か、失脚しています。