ペチュニア・ダーズリーと偉大なる子供たち   作:野菜生活

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ダドリーの悲鳴が聞こえ、駆け付けたペチュニアとアミィは大量の手紙に驚いた。
アミィは一枚の手紙を手に取り、自分の苗字がおかしいことに気付く。
そして、アミィはその日人生で初めて自分の家族と向き合うのだ。


アミィの家族

慌てて駆け寄ろうとしたアミィだったが、先にペチュニアがダドリーの部屋へと入って行ってしまったので、少し遅れてから部屋へと入る。するとそこには、顔を真っ赤にさせて泣き叫ぶダドリーに、それを必死になだめるバーノンの姿があった。

 

 

「どうしたっていうの?ダドちゃん!」

 

 

「て、て、手紙がずっと窓の外から家の中に入ってくるんだ!もう20枚目だぞ?!う、うわーん!」

 

 

ダドリーが泣きながら指差した先を見てみると、そこには20枚近くの紙飛行機の形に折られた手紙があった。アミィはすぐに窓を開けて外を見ると、確かにこの家に向かって大量の手紙が投げ込まれているのが見えた。

 

 

「この手紙、やっぱりホグワーツからだわ!」

 

 

ペチュニアは手紙の束を見ると、すぐにアミィに告げた。色々なことがありすぎて、アミィは不思議でたまらなかったが、とりあえず今は泣いているダドリーを泣き止ませることが優先だと考え直すと、アミィはすぐに行動に移った。

 

 

「お母様!私に任せて」

 

 

「え?ええ……」

 

 

初めて見る娘の姿に驚いたペチュニアだったが、それでもすぐにダドリーを泣き止ませることが優先だとアミィにダドリーを任せる。

 

 

「ねえ、ダドリー、落ち着いて。大丈夫、手紙が来ただけで人は死んだりしないわ」

 

 

「嘘だ!絶対何かあるに決まってるんだ!」

 

 

「あら、どうしてそんなことがわかるの?」

 

 

アミィはダドリーをなだめつつ、質問をする。するとダドリーはしどろもどろになりながら答える。

 

 

「し、知るかよ!僕が聞きたいよ!でもこの手紙すごく嫌な感じがするんだ」

 

 

「そう……。私には分からないけど、ダドリーにはそれが感じられるのね。ねぇ、お母様。本当に魔法なんて実在するの?そんな非科学的なこと、有り得るの?」

 

 

アミィがそう言うと、ペチュニアはアミィに近寄り静かに話し始めた。

 

 

「私も最初は信じられなかったけれど、リリーが不思議な力を持っていたこと、ハリーが不思議な力を受け継いでいたこと、おかしな恋人をリリーに紹介されたこと、セブルスが魔法使いだったこと……色んな理由から魔法は存在していると思わざるを得なかった。でもね、魔法なんて信じたくない、私たちダーズリー家は普通なの。おかしくない、異常じゃない、普通の裕福なダーズリー家なの。」

 

 

ペチュニアはそう言うと、アミィからダドリーを預かり、泣き止みそうにない彼をあやしに行った。

 

 

バーノンと2人になったアミィは手紙の中身を見るため、適当に束の中からひとつ掴んだ。その手紙にはアメジスト・ダイアナ・べスティアンと書かれており、おそらくそれはアミィを指していると思われる。

 

 

「……お父様、アメジスト・ダイアナ・べスティアンって書かれてるこの手紙、私宛て、なんですよね?」

 

 

「ああ、そうだ。……アミィ、お前は本当は私たちの娘じゃないんだ。べスティアンという姓はね、イギリスの上位貴族べスティアン家のもので、君は前べスティアン伯爵の養女、サファイア・アンバー・べスティアンの娘なんだよ。つまりアミィ、君は本当は貴族なんだ」

 

 

アミィはバーノンの言葉に対して、何故か驚きはしなかった。ただ、ただただ納得しただけだ。そして、例えアミィの両親が今目の前にいる男バーノンと、何度も頭を撫でてくれたペチュニアでなかったとしても、アミィにとっての父と母はやっぱり彼らだけで、ダドリーもハリーもアミィにとって大切な家族だった。

 

 

「お父様……それでも、お父様もお母様も、ダドリーも、ハリーも、みんなみんな私の家族なんです。私は、みんなを愛しているんです」

 

 

「アミィ……」

 

 

バーノンは、自分の娘として育ててきたアミィが自分たちを本物の両親だと思っているという事実に胸が熱くなった。

 

 

「……アミィ、お前は本当に優しい子だ。誕生日の日、アミィに毎年プレゼントを贈る貴族との関係性について聞かれたな。あの時叔父だと言ったのは、君の実の母親の義弟だ。彼は平民の血が流れるお前を守るために、我がダーズリー家に預けたんだ。君の母親とペチュニアは女学校時代の親友で、私も何度か会って話したことがある。ああ、とても親切で真面目で、まともで、お前によく似た優しい女性だったよ」

 

 

「お母様と、私の実の母親が親友だったなんて……」

 

 

アミィはペチュニアが時折見せる寂しげな表情を思い出す。そして、その寂しさを自分が埋めることができればと思っていた。しかし、そんな日はもう来ないのかもしれないと思うと、アミィは悲しくなった。

 

 

「……お父様、私ね、本当はずっと前から知っていたんです。だって、ハリーとは全く似ていないし、ダドリーとも似ていない。ハリーと双子じゃないのは物心着く頃には分かっていました。でも、知らないふりをしたんです。だって、私はみんなを愛していたから、みんなと家族でいたかったから。」

 

 

 

「アミィ、お前が私たちを愛してくれていたのは知っているよ。私だってお前を愛しているさ。だからこそ、これからも私たちと家族でいてくれるかい?」

 

 

「私は!……お母様もお父様もダドリーもハリーもみんな大好きです。だからこそ、みんなとずっと家族でいたいです!約束します!」

 

 

アミィはそう言うと、バーノンに勢いよく抱きついた。バーノンは、アミィをしっかり抱きしめると静かに涙を流す。

 

 

「ありがとう……本当にありがとう……」

 

 

「……この手紙、開けても良いですか?」

 

 

「ああ、勿論だ。お前宛のものだからな」

 

 

アミィは封を開け、手紙を読み始める。

 

 

『親愛なるアメジスト・ダイアナ・べスティアン殿

 

この度、あなたがホグワーツ魔法魔術学校の生徒として選ばれましたことをお知らせいたします。

生徒は到着時に、受付となる商工会議所に報告する必要があり、その日付は正式に通知されるものとします。

ここに添付されている要件リストを注意深く確認してください。

ホグワーツの偉大なる歴史に、あなたを新しく迎え入れることを、我々一同大いに楽しみにしております。

 

敬具 教授 ミネルバ・マクゴナガル

 

ホグワーツ魔法魔術学校 校長 アルバス・ダンブルドア』

 

 

「……この手紙って、ハリーのもダドリーのものも同じ内容なんですか?」

 

 

「ああ、そうだ」

 

 

バーノンはそう言うと、アミィから手紙を受け取り差出人の名前を見る。

 

 

「……だが気にすることはない。お前は魔法使いではないし、ダドリーも魔法使いではない。ハリーについてはお前も知っているだろうが、異質な力を持ってはいる。だが、我々が魔法使いだと認めれば、もう逃げ場ない。大丈夫だ、ダーズリー家はみんな普通なんだ、何も考えずに勉強をしていなさい、その方が将来の役に立つだろう」

 

 

「……でも、手紙が来てるってことは、私は本当は、魔法使いだったりして……」

 

 

「それは……」

 

 

バーノンはそこで言葉を止めた。部屋のドアが勢いよく開いたからだ。そこにはダドリーとペチュニア、ハリーがいたが、3人とも何故かとても慌てている様子だった。しかしその中でも、ハリーだけは瞳を輝かせているように見えたのは、アミィの気の所為なのだろうか。

 

 

「パパ!アミィ!大変だよ!」

 

 

「どうしたんだ?そんなに急いで……」

 

 

「あの、あのね!さっき窓の外を見たらね、飛んでいた鳥が全部手紙に変わって飛んできたの!このままじゃまずいわ!」

 

 

「落ち着けダドリー、ペチュニア!一体どういうことなんだ?」

 

 

バーノンが2人を落ち着かせるように優しく話すと、2人は部屋のカーテンを全開にし、ハリーは窓の外を指さした。するとそこには、雀や鴉等の鳥たちが先ほど手にしていた手紙と全く同じものに変化し、パタパタと飛び始める。そして我が家の空いている窓や通気口から家内に侵入し始めたのである。

 

 

「な、何これ?!」

 

 

「な、なんなんだこれは!」

 

 

バーノンは驚きのあまり、尻もちをついてしまう。アミィも目の前の光景に驚き、開いた口が塞がらない。

 

 

それから、私たちは木曜日になっても、金曜日になっても、終いには郵便が休みな日曜日ですら、ポストいっぱいの手紙が詰まっている始末だ。そしてそれらは無限に増殖し続ける。ペチュニアが何度手紙をシュレッダーにかけても、ゴミ袋に詰めても、永遠に手紙が片付くことはない。

 

 

バーノンも、ペチュニアも、アミィももう限界だった。初めこそ楽しそうだったハリーですら、規格外の手紙の量にはうんざりしている様子だ。

 

 

「クソォ!もう我慢ならんぞ!私は決めた!ペチュニア、この家を出るぞ!全員着替えだけを持って、玄関の外へ集合するんだ!良いか?着替えだけ、だぞ!」

 

 

「ええ、勿論よ。私ももう限界だわ」

 

 

「わかったよ、パパ!」

 

 

「……ハリー、お前も来るんだぞ?」

 

 

バーノンがそう言うと、ハリーは少し不安げな顔を見せたが、すぐに首を縦に振る。ダドリーはというと、何故かそわそわとしていた。その様子を見てか、ペチュニアはダドリーに話しかける。

 

 

「心配しなくても良いのよ?大丈夫、あなたは私たちが守るわ。」

 

 

「わ、分かったよ、ママ」

 

 

こうして、ダーズリー家は着替えだけを鞄に詰め、車に乗って家から飛び出したのだった。

 

 

そしてどこかの港町のみすぼらしいホテルに泊まり、翌朝には森の中へ進み、おかしな老人の船に乗り、ポツンと小さな家がある孤島までやって来た。その日の天気は嵐で、一行は下着の中までずぶ濡れだったが、何故かバーノンだけは高笑いをし、万遍の笑みを浮かべていた。

 

 

「なんて最高なんだ!私はこの島が好きだ!気に入ったぞ!」

 

 

「ちょっとバーノン、あなたおかしいんじゃないの?!こんなおかしな所に来て喜ぶだなんて」

 

 

ペチュニアはそう言うと、まるで今にも壊れそうな薄汚れた家の中に入ってしまう。ハリーもダドリーもアミィも、それについて行く。しかし、バーノンはというと、何故かまだ外で雨に打たれていた。アミィが不思議に思って近づくと、バーノンの顔は真っ赤に染まっていたのだ。

 

 

「お父様、顔が赤いわ。熱でもあるんじゃないですか?」

 

 

「い、いいや、私は大丈夫だ。ただ少し考え事をしていただけだよ。アミィ、お前は先に家に入ってなさい」

 

 

そう促されるまま、アミィは家の中に入る。家の中に入るとすぐに、ペチュニアがタオルを持ってこちらへ寄ってきた。

 

 

「はいアミィ。これで拭いてちょうだい。早くしないと風邪をひいてしまうわよ?」

 

 

「ありがとう!お母様!」

 

 

「……ところで、バーノンはどこへ行ったの?もう中に入った?」

 

 

「それがね、外で雨を浴びているの。顔も赤いし熱があるんじゃないかって心配したんだけど、大丈夫って言うのよ!」

 

 

アミィが、そう呆れながらペチュニアに話す。すると、ペチュニアは手に持っていたタオルを落とし、玄関へ向かい勢いよく扉を開ける。そして、嵐の孤島に大きな雷が落ちたのだった。

 

 

「バーノン!何をしているの!」

 

 

そしてそれから数時間が経過しても、手紙は一向にやって来なかった。

 

 

「や、やったぞ!ついに手紙が来なくなった!ペチュニア、やっぱりあれはただの悪夢だったんだ!アーハッハッハ!」

 

 

「そ、そうね、悪夢だったのよ!私たちの娘と息子が魔法使いのはずがないもの!」

 

 

バーノンとペチュニアは上機嫌で家の中をスキップし、大はしゃぎしていた。その様子を見て、アミィも思わず笑ってしまう。ダドリーもはしゃいでいたが、ハリーは未だに少し不安気だ。そんなハリーに、アミィが小さな声で話しかける。

 

 

「どうしたの?ハリー」

 

 

「あ……ううん。何でもないよ」

 

 

「……もしかして、まだ手紙が来るんじゃないかって思ってる?」

 

 

「……うん。正直言うと、僕はホグワーツに行ってみたいんだ。ここでは、散々な扱いを受けてきたしね」

 

 

「そう、よね。ハリーのお父様とお母様は魔法使い?みたいだし、あなたもホグワーツが気になるわよね。私たちの勝手な感情にあなたを巻き込んでしまってごめんなさい。私酷いことをあなたにしてしまったわ。」

 

 

「アミィは悪くないよ、悪いのは魔法が嫌いなバーノンおじさんとペチュニアおばさんだ。」

 

 

ハリーはそう言うと、アミィに笑顔を向けた。

 

 

「でも、僕はホグワーツに行きたかったな」

 

 

「そうよね……。本当に、ごめんなさい」

 

 

2人はそう言い合うと、静かに笑ったのだった。

 

 

 




次回、ようやくダーズリー一家とハリー以外のキャラが出ます。
そう、みんな大好きハグリッドの登場です!
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