ペチュニア・ダーズリーと偉大なる子供たち 作:野菜生活
原作をだいぶカットしてマイルドにしてますが、主人公がものすごい自我持ちで、ハリーもだいぶ原作と性格が変わってて、ダドリーも原作と色々違います。
原作とかなり変わってるお話です。
それからは平和な時間が流れた。しかし、そんな平和な時間は1人の大男によって壊されてしまったのだ。
バタンッ
大きな音を立てて、突然家の扉が吹き飛んだ。
「う、うわあ、な、なんだ?!」
ダドリーが大きな音に驚き、壊れたソファの裏に隠れる。バーノンは慌ててライフルを取りだし、扉の向こうに立つ人影に向ける。
「だ、誰だ!こんな時間にこんな天気の日にこんなところまで来るなんて、それに扉を壊したな?お前の行為は器物損壊、不法侵入だ。だが今すぐ去れば、その罪は忘れてやろう。さぁ、出て行け!」
バーノンは、大きな人影に向かってそう叫ぶ。しかし、人影は一向に出ていこうとしない。それどころか、こちらにゆっくりと歩み寄ってくるのだ。
「クッ……こ、こっちに来るな!撃つぞ!」
バーノンは引き金を引こうとしたが、ライフルの先にいる人物の顔を見て手が止まる。そしてその人物はぐにゃりとライフルの先端を潰し、バーノンを弾き飛ばした。
「……い、いやあ、あなた!しっかりして!」
ペチュニアの悲痛な叫び声が家中に響き、ダドリーは隅で小さく蹲り、ガタガタと震えている。アミィは慌ててペチュニアたち2人に駆け寄る。
「大丈夫?お父様、お母様!」
アミィが2人に声をかけるが、2人とも反応がない。ペチュニアとバーノンは、恐怖で顔を歪ませている。
「あ、あぁ……なに?なんなの?」
ペチュニアはそう呟き、アミィの後ろにいる人影に目を向ける。しかし、その人影を見た瞬間に気を失った。
「お、お母様!」
アミィは慌ててペチュニアに駆け寄り、ペチュニアをソファの陰まで引きずって行く。そして、誰も大男と対峙ができない今、アミィだけが正常に動けるという事実を静かに受け入れ、大男と対峙した。
「あなたは、一体何者なのですか?答えなさい」
「あぁ?おれか?おれぁ、ルビウス・ハグリッド。ホグワーツの鍵と領地を守る番人だ」
「ホ、ホグワーツだって?」
ダドリーが震えながら、絶望したような顔で力なく項垂れる。
「あぁ、そうだ。で、ハリー・ポッター、魔法界の英雄、ハリー・ポッターはドイツだ?お前さんはそもそも性別が違うな。大柄なお前がハリーか?ハリーは随分良い体をしておるな?」
大男──ルビウス・ハグリッドはダドリーの方へ目を向けてそう聞いてきた。
「ち、違う。おれはハリー、じゃ、ない……」
震えながらも、ダドリーは何とか否定の言葉をハグリッドに告げる。するとハグリッドは彼の言葉をスルーして、奥で呆然としている少年──ハリーの元へゆっくり歩いて行く。
ハリーはハグリッドが近くに来てやっと自分の元へ歩いてくる人物がいることに気付き、顔を上げた。
「お前さんがハリーか?」
「……う、うん。そうだよ」
「そうか……そうか!お前がハリーか!しっかりと食べとるか?そんなんじゃあ、大きくなれんぞ!……ああ、そうだ!ハリー!どっかで尻に敷いちまったかもしれんが、お前さんに渡したいもんがあるんだったわい……ほれ、これをやろう」
ハグリッドは懐から、ぐちゃぐちゃのクリームが着いたケーキのようなものを取り出し、それを切り分けてハリーに差し出した。
「ハリー、11歳の誕生日おめでとう!お前さんは、11歳!これからホグワーツに通うんだ」
「……え?でも僕……」
ハリーは戸惑いながら、ケーキのような物を持って固まっていた。
「ハリー、ホグワーツのことは知ってるか?お前さんがこれから通うことになる学校のことについて」
ハグリッドはしゃがみ、ハリーと目を合わせてそう聞いた。
「す、少しだけなら……」
ハリーはすぐに首を縦に振り、頷いた。
「じゃあ、どんな学校かは知っとるか?」
「えーっと……魔法を習うところ……って聞いてるよ」
ハリーが自信なさげに答えた。するとハグリッドはそうかそうかと言いながら何度も頷く。
「そうだ。ホグワーツは魔法を学ぶ学校だ。お前のお父さんとお母さんはそれはそれは素晴らしい魔法使いだった。二人の血を継ぐお前さんも、スゲェ魔法使いになれるぞ!ホグワーツで勉強を頑張ればな!」
ハリーは初めて聞く言葉に首を傾げる。ハリーは父親と母親が魔法使いだということは、最近知ったが、優秀だったなんて事実初めて知った。
「僕のお父さんとお母さんはそんなに優秀だったの?」
「あ?何故息子のお前さんが、自分の両親の偉業を知らんのだ?まさか、ダーズリー!お前たちはハリーに何も教えてないのか?」
ハグリッドは怒りの形相でバーノンとペチュニアを睨みつけた。ダドリーはハグリッドが一瞬恐ろしい顔つきになったので、近くにあった薄汚れたクッションを頭の上に置き、小さくまるまって震え出した。
ハグリッドは怒りで真っ赤になった顔を何とか落ち着かせながらハリーに向き直る。ハリーは初めて見る大人の怒りを真正面に受け、泣きそうになるのを必死で堪えていた。
アミィは今にも泣きそうなハリーと震えるペチュニア、バーノン、ダドリーを見てついに頭に血が上った。我慢の限界だった。
「ミスター・ハグリッド!あなたは、非常識な方ですね。」
「ああん?非常識なのは、英雄であるハリーをこんな目に遭わせたダーズリー家だ。」
ハグリッドは怒りを顔に浮かばせたまま、アミィを睨む。しかし、アミィも負けずに睨み返す。
ハリーはアミィの怒った顔を初めて見たので、恐怖を通り越してポカンと呆けた表情で彼女を見つめる。バーノンとペチュニアはハグリッドに睨まれて真っ青な顔をしているが、ダドリーだけはどこか他人事のようにこの光景を眺めていた。
震えを通り越して、感情すらも失いかけているようだ。
「ミスター・ハグリッド、私は全てを知りません。お母様やお父様、ハリーに何か確執があるのは分かっていますが、だからといって私の家族を脅し、怖がらせ、侮辱することは許しません。現にハリーはあなたに対して恐怖心を抱き固まっています。私の大切な兄であるダドリーは震えて今にも廃人になってしまいそうです。いつも頼りになる父だって、あなたに対して恐怖心を抱き、お母様なんて涙を流してる。私たちは、互い互いを全員が愛せているわけではないでしょう。しかし、私たちはせめて同居する親族としての尊厳だけは持っています。今、あなたが行っていることは他者に対する気遣いを欠く行為……よろしいですか?ミスター・ハグリッド。あなたは自分が知り得る情報や常識を当たり前だと思っているようですが、それは魔法界という条件が着くものであって、我々人間界で育つ人々にとっては非常識なのです。」
アミィの迫力に、ハリーとダドリーは呆然とし、バーノンとペチュニアは感動で涙を流した。ハグリッドはというと、アミィの勢いに押されてか黙り込み俯いている。
しかし、その数秒後。ハグリッドが突然大声で笑い出したのだ。ハリーはそれに驚き、肩をビクッと揺らした。アミィもハグリッドの笑い声に驚いて目を見開き固まっている。バーノンやペチュニアなんて、今にも気を失いそうだ。
「お前さん、見掛けによらずなかなか度胸があるな。たしかに、おれはおれの……魔法界での常識しか知らねぇ。すまんかったな、まあダーズリーに謝るのは癪だが、今回はお前さんに免じて仕方なく謝ってやろう。」
アミィはハグリッドが謝ったことに少し驚き、目を大きくした。しかしすぐにいつもの温和な表情に戻り、にこりと微笑む。
ハグリッドはそれを聞き、笑みを浮かべると、さてと言って立ち上がった。そしてハリーに顔を向けるともう一度笑顔を見せた。
ハリーはその笑顔を見てホッとし、無意識に強ばっていた体の力を抜いた。
すると突然ハグリッドの大きな手がハリーの頭に伸びてきて、わしゃわしゃとその髪を乱暴に撫でた。突然の事にハリーは驚いて固まる。
「ハリー・ポッター、ダドリー・ダーズリー、アメジスト・ダイアナ・べスティアン、お前さんたちはホグワーツに通う。これはダンブルドア先生が決めたことだ。ああ、ダドリーとアメジスト、お前たちには選択肢があるが、ハリーは必ずホグワーツに来なけりゃいかん。」
ハグリッドはハリーの頭から手をどけると、真剣な顔でそう言った。そしてソファから立ち上がると、杖を取り出した。
「ホグワーツなんて、異常者の集まりだ!何があっても、そんな学校には行かせん!」
バーノンが声を荒らげて叫ぶと、ハグリッドが傘を向ける。するとバーノンは何も話せなくなってしまう。
「「お父様!/パパ!」」
ダドリーとアミィが同時に叫ぶ。しかし、バーノンは声を出そうとしても発せられず、ヒューヒューと息をするだけだ。
「い、一体バーノンに何をしたの?!」
「心配すんな、直に喋れるようになる」
ペチュニアのヒステリックな叫び声に、ハグリッドは冷静に言葉を返す。どうやら、これは魔法やら魔術やらの類らしい。
「さぁ、ハリー。もう夜も遅い。明日は一緒に入学に必要なもんを買いに行こう。ダイアゴン横丁は初めてか?面白いもんが沢山あるぞ!」
ハグリッドは楽しそうに笑うが、ハリーは首を縦に振らない。
「ハリー?」
ハグリッドが呼び掛けると、ハリーはゆっくり口を開き、初めて自分の本心を語り始めた。
「……僕に不思議な力があるのは知ってた。魔法も、ホグワーツも、お母さんとお父さんのことも、全部気になる。でも、僕は1人でホグワーツに行くのは嫌だよ。」
ハリーは泣いていた。この涙は恐怖ではない。悲しみでもない。孤独に怯えたのだ。
「ハ、ハリー?何を言っているんだ、ホグワーツだぞ?お前のお父さんとお母さんが学んだ魔法の学校なんだぞ?ホグワーツに行けばお前さんは人気者になれる。そう、スター!スターになれるんだぞ?ダーズリー家でこんなに細くなるまで放っておかれることもない、美味いもんをたらふく食べられるんだぞ?何が不満なんだ?ハリー」
「僕は、ずっとダドリーやバーノンおじさんに虐められてきた。ペチュニアおばさんにも父さんの悪口を散々言われた。でも、アミィだけは違ったんだ。毎年僕の誕生日を祝って、誕生日にはプレゼントもくれて、バーノンおじさんやダドリーが僕に酷いことを言っても、アミィはいつも止めに入ってくれた。それから、バーノンおじさんもダドリーも少し、ほんの少しだけ変わった。この前の誕生日なんて、ダドリーが寝ぼけていたとはいえ、誕生日の歌を歌ってくれた。初めて、だったんだ。誕生日を身内に囲まれて過ごすなんて。嬉しかったんだ。だからこそ、ホグワーツには行きたくない。きっと、僕がホグワーツに行ったら今度こそ、バーノンおじさんもダドリーも僕をまた虐めるに決まってる。もう、1人は嫌なんだよ。」
ハリーは今まで言えなかった本音をハグリッドに打ち明ける。
「今分かったよ!僕は、ずっと寂しかったんだって!僕は、絶対に1人でホグワーツになんて行かない!ホグワーツは気になるけど、でも、1人で行くのは嫌だよ!」
アミィはハリーの言葉を聞いて、胸が張り裂けそうだった。ダドリーはまさか、ハリーがそんな思いを抱えているなんて思いもよらず、なんと言えば良いのか分からないようだ。ペチュニアは目を手で覆い隠し、まるで泣いているかのようで、バーノンは目を見開き驚くが、すぐに気まずそうに俯いた。
ハグリッドはハリーの本音を聞いて、少し考え込んだ。そして、何か決心したように頷くと、口を開いた。
「お前さんが1人で行くことが嫌だと言うなら……アミィも一緒に行けばいい」
「「え?」」
ハリーはもちろん、バーノンやペチュニアまでもが驚きで固まった。しかし、ダドリーだけは違った。
「な、何言ってるの?!アミィをホグワーツに?そんな危険なこと、絶対にダメ!」
「仕方ねぇだろ。ダーズリーの豚っ子は流石に連れて行けねぇし、アミィ。お前がホグワーツに通えば解決する問題なんだ。よし、アミィお前はホグワーツに通わにゃならん。」
ハグリッドはそう言うと、強引にハリーとアミィの手を掴んだ。
「うわっ?!」
「な、何をするんです?むやみに女性の体に触れるだなんて、紳士の風上にもおけませんよ?!」
アミィは顔を真っ赤にして怒るが、ハグリッドにはどこ吹く風だ。そして、ダドリーとペチュニアを振り返るとこう言い放った。
「じゃあ、お前んとこの甥っ子と娘は貰ってくぜ。じゃあな」
「い、いやあ!お母様!お父様!ダドリー!助けて!いやあっ!」
「いやあ!アミィ、アミィちゃんを連れて行かないで!」
「そうだ!娘を離せ!この巨人め!」
ペチュニアとバーノンが叫ぶが、ハグリッド吐きにする様子もなく出口に向かって歩き続ける。そして、彼が家を出ていこうとした時、後ろからダドリーの叫び声が聞こえた。
「ま、待てぇ!おれも、おれも!ホグワーツに通うぞ!アミィを1人にできるか!」
「「「え/は?/なんだと?!」」」
ダドリーのまさかの発言に、バーノンとペチュニア、ハリーは驚きの声を上げた。ハグリッドも驚いたようで、目を大きく見開いている。
こうして、ハリーが駄々を捏ねたことにより、アミィは強制的にホグワーツに通うことになり、アミィが嫌がったことでダドリーまでもがホグワーツに通うことになってしまったのだった。
ちなみに、別にアミィは1人でホグワーツに通う訳では無い。なぜならハリーと一緒だからだ。しかし、ダドリーにはハリーの存在が頭から抜け落ちていたため仕方の無いことなのである。
後、余談だがこの日ハグリッドは強制的にハリーとアミィ(とダドリー)を連れていくことは無かった。ハリーが、ひとまず一度家に帰りたいとハグリッドに伝えたからだ。そして、明日やって来る引率には別の魔法使いが良いと頼み込んだこともあり、明日ハグリッドが来ることは無い。ハグリッドは心底残念そうにしていたが、彼はどうやらハリーに甘いらしい。
原作と結構みんな性格が違っていたりしますが、この話は本来存在しないはずのペチュニアの親友がいたからこそ成り立っている物語なのです。
ペチュニアにあたたかさや優しさを教えたサファイアの存在があれば、ハリーの接し方も変わっていたかも……
そう寛大な心を持って読んでいただけると助かります。
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〈主人公の叔父〉
■氏名 クリストファー・ルーカス・ベスティアン
■年齢 18歳
■性別 男
■好きな物 フランス料理、愛おしい義姉、可愛い姪っ子
■嫌いな物 両親と姉を殺した強盗、弱気をいじめる者、過激なレイシスト
■家族構成 父 前べスティアン伯爵
母 前べスティアン伯爵夫人
義姉 サファイア・アンバー・べスティアン
祖母 クレメンス侯爵大夫人
姪 アメジスト・ダイアナ・べスティアン
■特記事項
伯爵家の息子で、イートン校を今年卒業し、ケンブリッジ大学に入学する秀才。
祖母のクレメンス侯爵大夫人に苦手意識を持っており、過激なレイシストを嫌っている。
聖女のごとく慈悲深く優しい義姉サファイアを心から愛しており、その娘である、姪のアメジストのことを大切な家族として愛している。
家門の事業として、有名なホテルと銀行を経営しておりかなり裕福な暮らしをしてきた。