原神×仮面 〜剣‹ブレイド›、『永遠』の地にて〜   作:ジュンチェ

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ドュームズデイ

 

 

 ……ふりしきる雨、夜闇深まれどなお止まず

 

 

 白い仮面が下す裁きは粛々と燦々と大挙として挑む愚者たちに振り注ぐ… そう全ては『善・正義』という建前の元に全てを滅ぼす勢いで。

 

 

「――全ての悪を絶つ。この絶対の正義で。」

 

 

 廃墟に佇む正義を騙る化身の名は『仮面ライダーゼイン』。純白のマントを靡かせる姿は聖職者のようで、自らに楯突いた者たちの死屍累々の中心に佇む彼は血の気を失った無機質な声で呟いた。全ては起こり得る悲劇の芽を摘むために……そのためなら、かつての盟友とて容赦はしない。

 

 そして、ついに最後のひとりが討ち取られ……仮面ごと首が地面に転がった。もうこれで『最善の結末』を阻む者はいない………

 

 

 

 ――否ッ!!

 

 

【 FUSION JACK 】

 

「ハアアァァァ!!!」

 

「!」

 

 

 まだひとり…残された最後の切り札が金色の翼を拡げ、闇夜を裂く。『仮面ライダーブレイド・ジャックフォーム』がゼイン目掛け、一気に飛翔し迫るが動揺することなくゼインは機械的にカードを1枚選びドライバーへ入れてレバーを引く。すると、バックルのユニットに挿し込まれたカードは裁断され秘めたられたライダーのチカラをゼインへと与える。

 

 

「まだ生きていたのか…」

 

【 バルカン! 《 執行! 》 ジャスティスオーダー!! 】

【オール!ランペイジ!! 】

 

 

 出力され、執行者の手に握られるのはランペイジガトリングプログライズキーが装填されたショットライザー。引き金を引けば、大量の多様な動物たちを象るライダモデルが飛び出し、空を駆けるブレイド目掛け襲いかかっていく。

 

 

「!!」

 

 

 まともに当たればひとたまりもない。ブレイドは一時、ゼインへの接近を後回しにして全速力で空を目指す。ライダモデルたちもこれを追って上を向く形で一直線上に……

 

 今だ! すかさずブレイドはブレイラウザーにカードをラウズする。

 

【 SLASH 】

 【 THUNDER 】

 

【 LIGHTNING SLASH 】

 

「はっ! ウェェェェイ!!!」

 

 

 刀身が電撃を帯びるや、上空で反転して一気に急降下…そして、次々とライダモデルを流れるように斬り裂いてゼインへ肉迫するまであと一歩まで届く……しかし、剣先が届くより先に執行者の手には新しいカードが握られていた。

 

【 響鬼!《執行!》ジャスティスオーダー!! 】

 

「フンッ!」 

 

「!?」

 

 

 裁断されるやゼインの目の前に波動の障壁が張られ、弾きとばされるブレイド。その拍子にジャックフォームの強化変身が解除され、チカラを失った白銀の鎧がゴロゴロと瓦礫だらけの地面を転がる。

 翼を失い、大きな隙を見せた反逆者。トドメと言わんばかりにさらなるカードをドライバーで裁断するゼイン。

 

 

【 カリス!《執行!》ジャスティスオーダー!! 】

 

 

「! その武器はハジメの!?」

 

 

 出力された弓の武装は双剣・ワイルドスラッシャーを連結させたカリスアロー……ブレイドの盟友・仮面ライダーカリスが最も最強の武器。それがゼインが持つということは…盟友は善の化身を騙る執行者の手にかけられたことの証明。

 動揺するブレイド…そんな彼を嘲笑うようにハートのラウズカード13枚を1枚に融合させたゼインはカリスアローにそれをラウズする。

 

 

【 WILD 】

 

 

「消えるが良い。」

 

 

 バシュッ!!と音をたて放たれる殲滅の矢。疾風が如き速さと上級怪人ですら簡単に消し飛ばす威力の一撃が一瞬でブレイドを捉え、悲鳴すら呑み込む爆発が巻き起こった。

 

 

「フン…」

 

 

 どうせ生きていやしないだろう。立ち昇る爆煙を一瞥し、カリスアローを投げ捨てたゼインは背を向ける………だが…!

 

 

【 EVOLUTION KING 】

 

 

「はあぁぁ!!」

 

「!」

 

 

 剣、尚も折れず。黄金の輝きを放ち、煙を振り払うと権現するはスペードの13体のアンデッドと融合した重厚な鎧を纏うブレイド・キングフォーム。苦痛をもたらす不気味な緑の鼓動を胸に帯びながら雄叫びをあげ、キングラウザーの切先を向けゼインに突撃する。

 咄嗟にゼインもカードをドライバーに装填して対応しようと……

 

【 ゼロツー!《執行…》…… 】

 

「!? ――イズ!?」

 

 

 裁断が止まる。まるで、チカラを使われることを拒否するかのように…… この致命的な隙となった挙動で回避など間に合わうわけもなく、執行者の鎧を王の大剣が貫いた。

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

「―――どうしてだよ、若社長。」

 

 

 ブレイドは仮面の下で涙を流す。

 己の手で貫いた執行者は仲間だった… そして、廃墟に転がる亡骸の数々も目標としていた先輩、自分を慕ってくれていた戦友、頼もしい戦友たちだったもの。同じ理想、同じ夢、互いに理解して同じ旗の下に集ったはずなのに……たったひとりの凶行の果てに彼・彼女らは命を落とした。

 

 自分は訊く権利がある――唯一の残された者として。

 

 

「……答えろ! どうして皆を…!」

 

「………ごめん、これしか…出来なかったんだ…。人が善意や悪意に囚われる以上、悲劇や争いは繰り返す…。

 でもゼインは教えてくれた…この連鎖を断ち切る手段はただひとつ、人類を有限の命から解放する『永遠』しかない…!」

 

 

 『だから…!』と天へ手を伸ばすゼイン。それはまるでなにかの合図のようで……

 

 

 ――待て…まさか、『永遠』とは……!?

 

 

 ブレイドは高鳴る邪悪な胸の鼓動に促されるように天を見上げ……その眼に映したのは曇天すら貫いて妖しく光る緑の箒星。その正体は衛星軌道上でパラボラアンテナにエネルギーを放射しようとしている人工衛星だ。肉眼では見えないが判る…そして、解る…自分の中に芽生えた異形の本能が伝えるこれから起こる『惨劇』を。

 

 

「……これで、限りある生命は進化し、人類は…救われる…」

 

「やめろォォォォォォォ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――その日、空から光の柱が落ちてきた。

 

 人類や地上の生き物たちを断罪するように降り注いだそれを『審判』『祝福』…誰かによってその見方は違う。

 

 ある者は燦々と振り注ぐに耐えきれず、命を落とし…

 

 ある者は異形と化し、もたらされた永遠と超常のチカラに酔いしれた…

 

 仮面の英雄たちが倒れ、世界で人類の絶滅が決定的な幕開けとなったこの日は『ドュームズデイ』と人間として生き残った者たちはそう呼んだ。

 

 

 

 

 

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