原神×仮面 〜剣‹ブレイド›、『永遠』の地にて〜   作:ジュンチェ

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混沌からの目覚め

 

 

「どうしてこうなるのよッ!?」

 

「そう言われてもですね!? 取りあえず走りますよ!!」

 

 

 千織と荷台を引くトーマは全速力で背後から迫る魔物の大群から逃げていた。突然現れたヒルチャールやスライムに獣域ハウンドといった多種多様かつ大量に怒り狂う蜂のような勢いで執拗に追ってくる。ここ1時間は走り続けているが全く振り切れる気配が無い。

 

 しかし、稲妻城もだいぶ近い…ここまでくれば幕府軍も気がつくはず……

 

 

「ええい、貴様ら何をしているのだ!?」

 

 

 予想通り、怒りの形相の沙羅が幕府軍を率いて待ち構えていた。

 

 

「沙羅様! 地獄に仏とはまさにこのこと!」

 

「良いから下がれ、神里の小間使い!!」

 

 

 あのブチキレっぷりは間違いなくトーマの雇用主である神里家にもクレームが飛んでいくだろうが命には代えられない。

 トーマと千織は幕府軍の後ろに逃げおおせ、沙羅は雷の矢を番え幕府軍の指揮を執る。

 

 

「良いか、まさに背水の陣だ! 1体たりとも通すなよ!!」

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 ――ギャン!、ガン! ガッ!

 

 ―――■■!! ■■■■、■■! ―――■■■■!?

 

 

 騒がしい。いったいなんなんだ?

 重い瞼を開けてもまだ暗い。何か被せられているようだ。

 

 

「…うっ!?」

 

 

 がさがさと藁の敷物をよけると青空の眩しさに目を庇う青年。

 身体と服は濡れてベチョベチョ…サングラスは無事。ボー…とする痛みを抱えた頭で周りを見れば……

 

 

「なんだ、時代劇の撮影か?」

 

 

 見覚えがない海辺の砂浜、見知らぬ怪異と和風の甲冑姿の人間たちが戦っている。……様子を窺うに時代劇の撮影なわけはなさそうだ。まあ、もとよりそんなわけないのだが。

 

 

 ――ガッ!!

 

「ぐッ!?」

 

 

 唐突に後頭部に走る衝撃。手で抑えながら振り返ると仮面をつけた珍妙な小さい怪人が興奮ぎみに『Yaaa !!』と棍棒を振り回している。コイツがヒルチャールと呼ばれる魔物だと彼が知るのは少し先だが、明らかに小馬鹿にするようにはしゃぐ様にむかっ腹がたつ。

 成程、知性は少なからずあるようだが人間と理解しあえる精神性ではないようだ。―――なら、相応の態度で返すまで。

 

 

「だいたいわかった。」

 

『Ya!? ya… ya …』

 

 

 青年が立ち上がるとヒルチャールを見下ろす。

 すると、その姿は長い触角を垂れ流すカミキリムシのような刺々しい怪人へと変身しジリジリと迫っていく…

 

 

 虎の尾を踏んだ哀れなヒルチャール…数秒後、悲痛な断末魔が響いた。

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 本当に何処からこんなに沸いてきたのだ!?

 沙羅は弓で射続けてるも魔物の数は一向に減る気配が無い。ヒルチャールやスライム程度だったらまだ良い…問題は獣域ハウンドだ。この浮遊する狼の怨念のような魔物は狂暴性もさることながら、爪には毒を持つ上にかなりのタフさに加えて群れを為す。近接で一気に薙ぎ払う手段が乏しい弓では中々相性が悪い。

 

 

「何かが魔物を惹きつけている… まさか!」

 

 

 そういえば、トーマたちを執拗に最初は追っていた……そんな彼等が引いていた荷車… 今は横転しているがあの中にもしや…

 

 

「――ちょっと、何よこれ!?」 

 

 

 その嫌な予感が的中したことを千織の悲鳴が告げる。

 荷台から崩れ落ちた包みから漏れ出る邪悪な瘴気…これに魔物たちは惹きつけられてきたのだろう。そして、彼女は気がついた……

 

 

 ―――『城下の九条沙羅様のところまで送ってくれ! 中身は『こわれもの』…くれぐれもよろしく頼むぞ!!』

 

 

「なにがッ!こわれものよッ!!!」

 

 

 あの包みは離島を離れる際に図々しい侍から押し付けられたもの。つまり、まんまと自分たちは魔物を城下まで誘導することに利用され、侍は幕府軍には属さない偽物だったのだ。

 怒りで頭が破裂しそうになる千織…だが、その背後に黒い影が迫る。

 

 

『グルルルル…!』

 

 

「千織!」

 

「――!」

 

 

 破壊の衝動に駆られる獣の唸り…獣域ハウンドが不浄な涎を垂らし牙を剥く! 

 

 不意を突かれた彼女は応戦することもかなわず、トーマの叫びも虚しく飛びかかる魔獣から八つ裂きへ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――■■■!!』

 

『!?』

 

 

 ――なることはなかった。

 

 寸前で獣域ハウンドの動きが止まる。その尾は自らを遥かにパワーで上回る存在に掴まれ、そのまま地面に勢いよくブンッと叩きつけられた上にヘロヘロになったところを上顎と下顎に手をかけられ…

 

 

『…ガッ!? ウガガ!?!?』

 

『―――■■■■■■!!!!!』

 

 

 グシャッ!!と顎を力任せに引き裂かれ、返り血代わりのドス黒い瘴気が溢れ出す。普通の人間なら浴びたら耐えられない暗黒の潮流を受けても怯むことすら無く、煩わしげに振り払うと『乱入者』は人間と魔物の前へと禍々しい姿を現す。

 

 

「――アレは…なに?」

 

 

 千織も知識としても稲妻には人間の他に『妖』と分類される種族がいることは知っている……鬼や天狗や猫又など。しかし、この人間のフォルムをかけあわせたカミキリムシのような…まさに『怪人』と呼ぶしかない刺々しいシルエットの異形に未知からくる震えるような恐怖を感じた。自分は知らない、こんな狂暴でおぞましい妖なんて…!

 

 

『――■■■■…』

 

 

 そう、誰も知らない… もともと稲妻はおろか、テイワットにすら存在するはずもない異界の『不死者』の系譜にあたる人類種の脅威でその中でも『切り札の名前を戴く災厄』たる存在。

 

 ――ジョーカーアンデッドが永遠の国にて権現したのだ。

 

 





 こんばんは、雷電将軍お迎え記念として投稿しました新しい原神仮面シリーズですよん! ただいま、シロネンでヌマヌマしてるんですがね…石足らなくないです?(いつも)

 世界線は共通してますが、原神アギトのほうは読まなくても解るかんじにはなってます。他ライダーも回想とかで出てきたりしますが、あくまでメインはブレイドです!
 千織がフォンテーヌに来る前ってどんなかんじだったんだろうという拙者の妄想や諸々が含まれているし、現状のメイン更新はアギトなので不定期にはなると思いますがよければ何卒お付き合いを!では!


 やっぱ、シロネンほしいなぁ。

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