原神×仮面 〜剣‹ブレイド›、『永遠』の地にて〜   作:ジュンチェ

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切り札という名の怪人。

 

 ―――今は気分が良い。

 

 

 この群れる理性がないケダモノ如きにかける慈悲も加減も要らない…気の向くままにチカラを振るい、飛びかかる獣域ハウンドの頭を殴り潰し、逃走をはかるヒルチャールを踏み潰す。

 ジョーカーはアンデッドの持つ激しい闘争本能に身を任せ、蹂躙を限りを尽くしていた。いつ以来かぶりの衝動の開放は思わず口角が上がる…… 肉を裂き、瘴気の返り血を浴びる、抗うケダモノの攻撃や悲鳴すら自分を高揚させ止まらない。

 

 

『―――■■■■! ■■■■■■!(ハハハ! ハハハハハハ!!!)』

 

 

 まだだ、まだまだ。この長く乾き続けていた魂が潤うまで死に絶えてくれるなよ!

 背後から噛みついてきた獣域ハウンドの頭を握り潰し粉砕し、怯えるヒルチャールの群れへ更に襲いかかるジョーカー。

 

 狂戦士と言わんばかりに彼の苛烈すぎるその戦い方に沙羅や部下たちは呆然とするばかりだった。

 

 

「……な、何なのだアレは?」

 

「沙羅さま、いかが致しましょう?」

 

「まだアレに手を出すじゃない。コチラに矛先を向けられないよう距離をとりつつ、警戒を怠るな。」

 

 

 何故か人間は眼中に無い様子だが、魔物を倒してくれるのなら利用するまで… 共倒れしてくれれば一番有り難いが、あの調子なら魔物の大群をいずれ平らげてしまうかもしれない。その時はその時で討伐するまでだが…

 

 

『――■■■■■!!!!』

 

 

 今度はブシャアァァ!と音をたてて炎スライムを引き裂いたジョーカー。噴き出した炎元素に塗れ、その瞬間にチャンスを察した紫の弓持ちヒルチャールたちが一斉にバチバチと放電する雷矢を放つ。

 ジョーカーは特に避けようとしない。別に電撃が多少乗っていようがアンデッドの肉体にダメージなどろくに通るはずが……

 

 

 ――バチバチバチバチバチバチ!!!

 

 

『!?!?』

 

 

 否。雷矢は標的に届くや強烈な電撃が発生。

 元素反応・過負荷。炎と雷が組み合わさることでアンデッドの表皮すら焼け爛れさせるほどの熱と激痛が襲い、最終的にはジョーカーを呑み込むほどの爆発が巻き起こる。

 

 

『――yaa ?』

 

 

 ――やったか? 

 そう呟くように様子を窺うヒルチャール……その見立てはとてもじゃないが甘すぎた。

 

 

『―――■■■■■■■■!!!!』

 

 

『!』

 

 

 尚も響く雄叫び…直後、煙を飛び出してきたジョーカーがその勢いで弓持ちヒルチャールの頭を地面に叩きつけ肉片が飛び散った。残っていたヒルチャールたちもジョーカーの腕から隆起した鎌で次々と八つ裂きにされていく…

 

 

『――■■■■! ■■■■■■■■!!(どうした! こんなもんかァァ!!)』

 

 

「――ちょっと、やめて! 離しなさい!?」

 

『■■ッ?』

 

 

 その時、後方からの悲鳴に殺戮の手が止まる。

 振り向けば、巨躯を持つヒルチャール暴徒にまさに俵抱えされ連れ去られようとする千織が視界に入り、すぐさま跳躍。暴徒の顔面にパンチをお見舞いし彼女を開放させると、そのまま頭を掴み力任せに脊椎ごと引っこ抜く。脳との接続を失った巨体はドサッと力無く地面に伏し、瘴気となって霧散…… いささか乱暴になってしまったが人質の無事を確認。

 

 

『――■■■!(無事か!)』

 

「いたたた…… ―――ひっ!?」

 

 

 ――!

 

 恐れ。

 取りあえず、目立った怪我はないが近くにきた正体不明の異形に恐怖を浮かべる千織にジョーカーの動きが止まる。

 戦いの高揚も衝動も吹き消された蝋燭のように消沈し…いつも疼く胸の痛みとぽっかりとした空虚さが戻ってきてしまう。今までどんな攻撃すらものともしなかった身体が少女の小さな悲鳴ひとつで金縛りにあったように硬直してしまった…

 

 

『…』

 

「千織!! 離れろ、バケモノが!」

 

 

 そこへ、トーマの炎槍が一撃。千織に手をかけようと勘違いしたのだろう…全力のチカラと勢いが乗った矛先は容易く弾きとばされ地面に転がるジョーカー。

 飛び散った自分の緑色の血を虚ろに眺めなながらふと思う…

 

 

 ―――俺はいったい何をしているんだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

  ―――『センパイはかわいそうですね? 身体はすっかり怪物なのに、心はまだ人間のままなんて。だから、可愛いんですけど?』

 

 

 うるさい。脳裏から呼びかける愛らしくも残酷で忌々しい女の声にジョーカーは呻く。

 いっそ、心身ともに怪物であれたらどれだけ楽だったか。しかし、いくら怪物の本能に身を任せても人間性は拭いきれず未練たらしくまだ残る。どうしろというのだ?――どうしたら楽になれる?

 

 戦った……戦った……戦い続けた……… その結末は終わりが無い地獄。アンデッド13体と融合したキングフォームの代償としてこの肉体自身もアンデッドへ変生し、仲間は陰謀にその全てが倒れ、故郷は『醜い永遠』に溺れ人類は滅びに向かうばかり。

 

 

『――なんかもう、疲れたな…』

 

 

 目を閉じよう。現実はいくら辛くても、きっと夢だけは優しいはずだから……

 

 

 微睡みの闇が全てを覆い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ―――カズ、お前はジョーカーなんかじゃない。

 

 人のために剣となり盾となり血を流す…それが他ならぬお前が人間であり、『正義の味方(仮面ライダー)』であることの証明だ。

 

 

 

 

 

 

『――!』

 

 

 再び追憶の向こうからの声。厳しくも優しく懐かしい男の…かつて、絶望に折れる直前で自分を引き留めてくれたあの言葉が……残酷にも意識を奮い立たせようとしてくる。

 

 

『…(死んでも相変わらず手厳しいですね、立花さん。

 そんなこと言われたら…立ち上がるしかないじゃないですか。)』

 

 

 心身共にズタズタなのに手が地面を握りしめ身体を起こし、足がガクガクと揺れながら傷ついた男を再び立ち上がらせた。

 すると、呼応するようにジョーカーの元へブレイバックルが赤い帯を尾のように引きながら飛来し待ちわびていたかと言わんばかりに掌へおさまった。ご丁寧にバックルにはヘラクレスオオカブトが描かれた『スペードのカテゴリーエース』のカードがセットしてあるではないか。

 

 

『…(変わらないんだ。ここが何処でも… 俺が何者でも…

 

 ―――俺が仮面ライダーであるということだけはッ!!』

 

 

 元のサングラスをした人間の姿に戻り、ブレイバックルを装備。そして………

 

 

 

「変身!!」

 

 

【 -TURN UP- 】 【 -EVOLUTION KING- 】

 

 

 ベルトから展開された黄金のオリハルコンエレメントを通り抜けて今一度、彼は正義の味方として歩みだす。仮面ライダーブレイド・キングフォームへと変身した彼はキングラウザーを構えその切先を迫りくる魔獣の群れへ向けた…

 

 

 

 





 ブレイドが来た世界線などの説明。

 バトルファイトが存在しない世界線のブレイド。アンデッドたちは『永遠』の探求に使われていた。
 ブレイド以外にも他に仮面ライダーが多数存在し、最終的にゼインが誕生する。しかし、ゼロワン側のストーリーがこの影響で拗れて滅びの道へ人類は舵をきり、主人公であるブレイドも煽りをくらってジョーカー化。主人公は黒幕を追っていた際、意図せずにテイワットに漂着することになる。  


 因みに他原神✕仮面シリーズとの時系列は

 『稲妻ブレイド→フォンテーヌ龍騎→璃月アギト→原神本編✕???』になる。 スメールとナタはまだ悩み中…


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