原神×仮面 〜剣‹ブレイド›、『永遠』の地にて〜 作:ジュンチェ
ねえ、マーヴィカ実装されるんだよね…?(震え)
マーヴィカ実装されるんだよね??(震え)
……それから、しばらく
「いや、そのだな…」
ジョーカーこと、カズヒラを落ち着かせた八重神子だったのだが…現状、また別の事態に少々戸惑っていた。
「まあ、感謝しながら食べるが良いとは確かに言うたぞ?――しかしだな、泣くか食べるかどっちかにせんか!」
とりあえず、食事を出してみた。白米と味噌汁と焼き魚…あと、個人的に大っきらいだけど好き嫌いするなと同僚の巫女からしょっちゅうつけられる漬物や野菜と質素なもの。別に稲妻では特別なものではないのだが、カズヒラは白米をマジマジと眺め…それからおもむろに箸でほうばるや否や涙をボロボロと流しはじめ…その後、勢いよくかきこみはじめたのだ。
――薄々感じていたが、やはりまともな食事をしてこなかったのだろう。
「――がっ! がっ! もっ もっ…」
「これ! そんな勢いよく掻き込むと…!」
「むぐっ!? ゲホッ ゲホッ ゲホッ!!」
「ほれみたことか。」
咽る背中をさすりながら、神子は思案を巡らす……
とりあえず、まだ油断はできないがこの男が稲妻にもたらす危険は当面無さそうだが……
(問題は…周りのほうじゃのう。)
★ ★ ★ ★ ★ ★
海祇島……稲妻城がある本島から海を隔てた離島であり、こちらは本島とはまた違う独自の文化圏から成り立っている。故に稲妻幕府と諍いが絶えなかったが…神の目を強制徴収する『目狩り令』のせいでその対立は内戦という形で明確化することとなった。
そして、幕府に抗うための抵抗軍を率いる少女、珊瑚宮心海は本島からすっとんできた部下の報せに頭を抱えていた…
(――無想の一太刀を退ける黄金の騎士……)
「…残してきた密偵による続報によれば、今は鳴神大社にて軟禁状態にあるとのこと! 奉行たちもその対応に意見が別れ、混乱が起きているようです!」
「……その情報はまことなのですか?」
「はっ! 私自身もあの天から下された雷光が裂かれ、雷神に叩き返されるのをこの目でしかと見届けました!」
興奮ぎみな部下に対し、顔には出さないがげんなりとする彼女。正直、見間違いのほうがどれだけ良かったか。
稲妻において、雷電将軍の無想の一太刀は『絶対』の象徴…そして、海祇島の人間にとっては脅威と絶望そのもの。それが、打ち破れる存在がいるとしたら……言うまでもないだろう。
屈強な兵士のひとりがグイッと心海の前に出る。
「珊瑚宮さま、一刻もはやく助けに向かいましょう!」
ほら来た。続いて報告にどよめいていた他の部下たちも『そうだ!そうだ!』と続く…… 戦況は芳しくないのも事実で彼等は大切な仲間であるが一旦、冷静になってほしい。
「落ち着きなさい。まずその金色の騎士とやらが、我等の同志になりうる者のかはまだ分かりません。今は情報を集めるべきでしょう。」
「…し、しかし!」
「奉行府ではなく、あえて鳴神大社へ身柄が送られたことを考えれば判断に時間をかけたいということ…幕府側も決めあぐねているのでしょう。すぐに命が奪われることは考え辛いです。」
おそらく、鳴神大社に預けたのは九条沙羅の判断だろう。直接、相対したことはないが幕府の忠臣でありながら、冷静沈着でかなりのキレ者と聞く。
もし奉行府に連れていこうものなら、雷電将軍の狂信者として有名な天領奉行・九条孝行の手でよりろくな審議もなしに『将軍に刃向かった大罪人』としてすぐさま斬り捨てられていたことは想像しやすい。
「――とはいえ、放置するわけにはいきませんね…」
「! で、では……」
「ええ、テロ行為をした者を処断しなくてはなりません。」
「………え?」
直後、屈強な部下の膝が蹴られてひざまつかされると喉元に刃が宛てがわれる。刀を握るは抵抗軍の大将である獣人の青年・ゴロー…その鋭い眼は困惑と恐怖に震える彼を見据えていた。
「さ、珊瑚宮さま…? こ、これは……」
「しらばっくれても無駄ですよ。アナタがファデュイと密かに結託し、魔神の残滓を本島でばら撒いたことは調べがついています。作戦以外の行動に飽き足らず、無辜の民を傷をつけようなどと…恥を知りなさい。」
冷たい視線が愚者を見下ろす……弁明の余地なし。
有無を言わさず縛りあげられ、『廊に入れておきなさい』と告げられると無理矢理、ゴローやその部下に引きずられていく…
その際、彼は声を荒げた。
「クソッ 離せ! ええい、なにが現人神だ! 本島の連中はのうのうと暮らしているのに、俺達だけ不公平だって思わないのか!? なぁ!? いつになったら、俺達は勝てるんだよ!?」
「…」
捨て台詞…しかし、動じない心海。いや、動じてはならないのだ。
やがて、男がつまみ出された後……周囲のどよめく部下を下がらせ彼女はテーブルにつき頭を悩ませる。
(わかっている……このままではいけないことぐらい。でも、私たちがすべき事は本島の人間たちをチカラで捻じ伏せることではないし、それが可能であってはいけない。)
不満を持つこと事は理解できる。この海祇島は資源に乏しく、土地も痩せていて農業にも向かない……そして、頼みの綱である交易も雷電将軍が鎖国のために起こした周辺海域の嵐のせいでままならない有様。元より積み重なった宗教と歴史的な対立も相まって本島との関係性は最悪だ。
だからといって、テロなどもってのほか。これでは本島にいる味方や味方になりうる勢力からも見放されかねない。
(私たちの勝ちはあくまで『和平』と『目狩り令の廃止』。―――だけど、それ以上を望む者が多いのは事実…… ここで浮き足立つわけには……)
「こんにちは〜! 珊瑚宮さんのお宅はここですか〜??」
――!?
その時、見知らぬ女の声にバッ!と振り向く…と同時に心海の細い首に手がかけられた。一瞬で身動きも悲鳴も許さず、不意をついた『襲撃者』はシーッ…と口許に指先をあてがう。
「あまり騒がないで下さいね? 私はあくまでお話をしたいだけなんですから。」
(こ、金色の…騎士…!?)
現れたのは金色の冠が如き仮面をつけた戦士、仮面ライダーグレイブ。次の瞬間、変身を解除するとゴスロリ服を着こなす銀髪の少女が姿を現した。
「お初にお目にかかりますね、珊瑚宮さん。私は『獅子村シンジュ』…シンジュで構いません。少し、お話をしませんか?悪いようにはしませんから。」
「…!」
もがく心海だが、このシンジュなる彼女の腕力は変身解除をしても全く変化がない…気を抜けば一瞬で窒息して意識を失いそうである。
抵抗の余地などない……心海は何処からともなく来訪した不届き者に強引に席へとつかされるしかなかったのだった…。