べんりやの フルートが あらわれた!   作:ぽっとでの急須屋

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カントー地方のチャンピオンに会いに行こう

 おーす、未来のチャンピオン。

 俺の名はフルート。イッシュ出身のトレーナーだ。

 各地を旅しながら依頼を受け適当に日銭を稼いでいる。

 いわゆる便利屋だ。

 俺は今、カントー地方に来ている。

 カントー地方と言えば、ポケモン研究の第一人者であるオーキド博士に、今はなき悪の組織ロケット団の名が有名だろうか。

 そういえば、現チャンピオンのグリーンはオーキド博士の孫なんだっけ?

 オーキド博士も若い頃は強かったらしい、何でも現四天王のキクコとライバルだったとかなんとか。

 あのオーキド博士がねぇ、あんまり想像つかないよな。

 俺らの世代でオーキド博士といえば、こども向け番組のコーナーでポケモン川柳とかいうダジャレありボケありの怪文書を詠む変人のイメージだ。

 しかも、そのコーナーの内容がひどい。

 まず、オーキド博士が毎回違うポケモンの紹介をするのだが、自信満々に知識を披露した後、隣に座っているそのポケモンに必ずしばかれるのだ。

 そして、間髪いれず画面が切り替わり何事もなかったのようにオーキド博士が川柳を詠んで終わるという。

 体張りすぎだろ。

 オチがシュールすぎる。

 ポケモン研究の第一人者がやることじゃない。

 ま、だからこそお堅い研究者って感じじゃなくて、おもしろおじさんとしてこども達から慕われてるわけだけど。

 かくいう俺もオーキド博士は好きだ。

 依頼を終えて時間があればサインを貰いに行ってもいいかもしれない。忙しくて相手にされないかもしれないが、物は試しだ。一応菓子折りくらいは持っていくか。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 さて、前置きが長くなったが今回の依頼の話だ。

 依頼者はおじょうさまのヒマリだ。

 ヒマリとはホウエン地方のとある島のビーチで出会った。つばひろの白い帽子に白いワンピースがよく似合う黒髪の少女だった。

 ヒマリは言った。

 

 「カントーのチャンピオンに手紙を届けてほしいの」

 

 簡単そうな依頼だなと、俺は思った。 

 最近は携帯電話やパソコンが普及したことこともあり、メールで用件を伝える人が多くはなったが、それでも手紙の文化が廃れることはない。

 思いを込めて送るならやはり手紙がいいだろう。

 ファンレターかな?グリーンはイケメンだし女性ファンが多そうだな。そう思いながら話を聞いている内に、だんだんと俺は困惑するはめになった。

 届ける相手の特徴は、赤い帽子を被っていて、ピカチュウを連れていて、バトルがすごく強い少年?

 …いやそれ誰だよ。グリーンじゃないじゃん。

 グリーンは赤い帽子なんて被らないし、ピカチュウだって連れてない。駄目もとでグリーンの写真を見せるが「こんなキザっぽいわがままな感じのおぼっちゃんなんて知らない」とこてんぱんにけなされてしまった。

 えぇ…グリーンもこう見えていいやつだよ?

 会ったことないから知らんけど。

 

 「名前は?」

 「知らない」

 「住所は?」

 「知ってたらあなたに頼まないでしょ」

 「そりゃそうか」

 

 ヒマリはぷいと口を尖らせてしまった。

 ふむ、つまりこういうことか。

 ヒマリが"カントーのチャンピオン"と呼ぶ名前も分からないトレーナーを見つけ出し、そいつに手紙を渡してこいと。

 ばか言ってんじゃねえ、めんどくせえ。

 俺が後は適当に相槌うって帰ろうかなと考えていると、ヒマリは「じいやから交渉の心得は授かっているわ」と言いながらカバンからなにかを取り出した。

 ごとん、と音を立ててテーブルの上に置かれたそれは一目で高価だとわかった。

 それはマルマインのように真ん丸で、色違いのハガネールのようにピカピカで、モンスターボールくらいの大きさだった。

 

 「それはじいやの"きんのたま"よ」

 

 じいやの…!?

 俺は机の上できらりと光るきんのたまを見ると、思わずたまがヒュンとなる感覚に襲われた。まさか本当にじいやのきんのたまなわけはないが、想像するだけでも恐ろしい話だ。

 

 「じいやには慈善家の一面があってね。休暇の日には街に行って、困っている少年少女を見かけてはきんのたまを渡しているの。"おじさんのきんのたまだからね、大切にするんだよ"って」

 「今すぐやめさせた方がいいと思うぞ、捕まる前に」

 「あら、なぜ捕まる行為だと思ったの?でも残念ね、その勘は冴えてるわ。じいやは周囲の理解を得られず、今は父様からの指示で謹慎中よ」

 

 止めてくれる人がいてよかった。

 まあどうでもいいけど。

 

 「これで足りないというのなら、もう一つあるわ。"きんのたまは2つで1つ"とはじいやがよく言っていた言葉よ」

 

 じいや、ろくなこと言わないな。

 ただ、報酬は報酬か…。

 俺は白いテーブルに肘をつくと、正面からヒマリを見据えた。

 

 「どうして手紙を?」

 「恩人だからよ。一年前、ロケット団に身代金目的で誘拐されたときに助けてもらったの。あのときはドタバタしてたから、もう一度きちんとお礼を伝えたくて」

 

 その答えを聞き、俺はヒマリに右手を差し出した。

 

 「わかった、受けるよ。キリンリキのように首を長くして待っててくれ」

 「…あんまり遅いと怒って追いかけるから」

 

 おーこわ、オコリザルかよ。

 ヒマリは俺の手を握る。交渉成立だ。

 そうして日が沈むビーチを後にした俺は、手持ちのサザンドラの背中に乗って空を飛び、はるばるカントー地方へとやってきたのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 で、カントー地方についた俺が向かった先は。

 

 「ポケモンリーグへようこそ」

 

 入口の自動ドアを通ると、受付に立っていたのは一人の男だった。角刈りで皺一つない白い制服を着た姿はなんとも真面目そうだ。

 

 「チャンピオンのグリーンに会いに来ました」 

 

 そう、俺はグリーンに会いに来たのだ。

 ヒマリの話を聞くに目的の人物はチャンピオンほどに強く、そしてロケット団と戦ったこともあるという。

 強い人と言えば四天王、そしてチャンピオンのグリーンもかつてはロケット団と戦ったことがあることから、目的の人物と一番接点がありそうなグリーンに話を聞くことにしたのだ。

 もし目的の人物を知らなくても、グリーンはロケット団のことを知っている。一年前にヒマリが拐われた事件について何か聞けるかもしれない。

 うーん我ながらナイスアイディア。

 行き当たりばったりとも言う。 

 

 「申し訳ございません。グリーン様は今出掛けております。ご用件をお伺いいたします」

 「人探しです。グリーンさんに話を聞きたくて」

 

 グリーンはいないのか。まあ仕方がないな。アポも取ってないし。

 受付の男は俺の話を聞きながら何やらパソコンに打ち込んでいる。予約システムでもあるんだろうか。

 

 「お探しになっている方の名前や特徴をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 「わかりました」

 

 俺は言われた通りにヒマリから聞いた話を伝える。

 もちろんじいやのきんのたまのくだりは省いた。

 すると、俺の話を聞き終えた辺りでピタと男の手が止まる。

 

 「少々お待ちください」

 

 なんだろう?

 男は慌てた様子で誰かに電話を掛ける。

 数分話し終えた後、男は俺の方へ向き直り言った。

 

 「四天王のカンナ様がお会いになるとのことです」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 四天王のカンナと言えばこおりタイプの使い手として有名だ。彼女のポケモンはよく鍛えられており、中でも最古参のラプラスが放つ"ふぶき"は他のポケモンが放つそれよりも一際強力らしい。

 俺は受付の男に促されるままにゲートを通る。

 出迎えたのは一人の女だった。紺のスーツとタイトスカート、メガネをかけ、橙色の髪は後ろで一つに結ばれている。どことなく冷たそうだ。クールビューティーって感じ。

 何を隠そうこの女こそが四天王のカンナだ。

 ポケモンリーグの公式サイトで見た姿と同じだな。

 石畳の広いホールの中央でラプラスに足を組んで座るカンナに、俺は若干緊張しながら挨拶をする。

 

 「初めましてカンナさん。便利屋のフルートです」

 

 カンナが俺に会いたいなんて用件はなんだろう。

 食事の誘いなら嬉しい限りだが。

 

 「…挨拶をどうも、四天王のカンナよ。あなたタイミングが悪いわね。本当にただの人探しなら、だけど」

 

 カンナは腕を組み、警戒した様子だ。

 声色からも刺すような鋭さを感じる。

 うん、これは食事の誘いじゃないわ。

 

 「どういう意味ですか…、!?」

 

 俺が言い終わる前に辺りは冷気に包まれていた。

 見ると、ラプラスを中心にホール一面の床が凍っていた。

 なにこれ、こわい。

 

 「バトルよ。戦えばその人となりが分かるわ」

 

 冷や汗も凍りそうな極寒の中で、カンナは平然とボールを構える。

 

 「あの、申し訳ないのですが、今日は体調が悪くて、また後日、日を改めてお伺いいたしますので…」

 「逃がすと思う?」

 

 カンナのその言葉と共に、入口の扉はパキパキと音を立てて凍ってしまった。

 万事休すか…。

 よし、決めた。

 ぶっ倒してやる。

 

 「吠え面かいても知りませんからね」

 

 俺は腰につけたホルダーから一つのモンスターボールを掴む。突然のバトルだが問題はない。こんなときに備えて俺は常日頃から手持ちを鍛えているのだ。

 

 「ふん、弱いガーディほどよく吠えるものよ」

 

 レスバも強いのか、この人。

 レフェリーがいないこのバトルは相対する2人のトレーナーの掛け声と共に始まる。

 

 「「バトル!」」

 「行きなさい!ジュゴン」

 「行け!シャンデラ」

 

 カンナの掛け声と共に投げられたモンスターボールの中からジュゴンが飛び出した。白い体毛で覆われたジュゴンは前足と尻尾でバランスを取り優雅に着地する。黒い円らな瞳には闘志が溢れていた。

 こおり・みずタイプか、少し厄介だな。だけど…!

 俺が上へと投げたモンスターボールは綺麗な放物線を描き、ホールの天井まで到達したところで中からシャンデラが現れた。シャンデリアのような見た目をしたそのポケモンは、左右2本ずつ計4本の爪と、ランタンのような楕円形の頭のてっぺんから青い炎をメラメラと燃やしている。

 

 「シャンデラ、"だいもんじ"だ!」

 「ジュゴン、"みずのはどう"!」

 

 シャンデラは両手を前に出し爪の先端から炎を集めると大の字の形にして撃ち放った。

 対するジュゴンは迎撃の構えだ。大きく口を開け水の塊を作ると5つのリングに形を変えて飛ばした。

 

 ドーンッ!

 

 両者が放った技は空中で激突し、激しい音を立てた後霧散する。技の威力は"だいもんじ"の方が遥かに上だが、タイプ相性はみずのはどうの方が有利。そのため初撃は相殺という結果に終わった。

 技の衝突の副産物として発生した蒸気は、ホールを包む冷気に触れると霧となって辺りを覆った。霧によって視界を遮られたジュゴンはシャンデラを見失ってしまう。

 たが、シャンデラからは見えている。

 他者の魂を糧に炎を燃やすシャンデラは、霧に覆われた視界の中でもジュゴンの魂を正確に感知していた。

 

 「シャンデラ、"だいもんじ"だ」

 「くっ…! ジュゴン、"なみのり"!」

 

 反応が遅れたカンナのジュゴンは咄嗟に波を作り出しシャンデラの落下予想地点に疾らせる。

 またしても両者の技は激突する。

 しかし、今度の激突は勝者がいた。

 

 「ンギャッ…!」

 

 霧の中で苦悶の声を上げるジュゴン。

 技の撃ちあいで勝ったのはシャンデラだった。

 咄嗟に繰り出したなみのりでは威力が足りず、シャンデラの"だいもんじ"を相殺しきることができなかったのだ。

 ジュゴンは炎を正面から受け白い体毛が幾らか焦げている。

 シャンデラは余裕の表情で腕の炎をゆらゆらと揺らしながらジュゴンとの距離を取った。

 今みたいに無理矢理"なみのり"で突っ込まれるのが一番厄介だ。シャンデラにとってジュゴンが放つみずタイプの技は効果バツグンだ。ジュゴンが受ける"だいもんじ"とは違い、相殺しきれずに僅かに喰らうだけでもシャンデラは大きなダメージを負い体勢を崩されることになる。その隙に至近距離から畳み掛けられたらなす術なくゲームエンドだ。

 だから距離を取る。

 "なみのり"との激突の余波で更に霧は濃くなっている。

 俺は自らの足元を確かめると、作戦が上手くいっていることを確信した。

 俺の足元は水で濡れていた。シャンデラに命中率よりも威力を重視した"だいもんじ"を優先して撃たせていたのは、"だいもんじ"の余波で床の氷を溶かすことが目的だったのだ。

 ジュゴンはふかふかの白い体毛からも分かる通り、本来は雪が降り大地が凍るほどの寒い場所に生息するポケモンだ。図鑑によると寒ければ寒いほど元気になるポケモンとも書かれている。カンナがバトルの前にラプラスに指示を出し床を凍らせたのもジュゴンの本来の力を発揮できるようにするためだった。

 だから溶かした、地の利を消すために。

 そしてこの霧だ。溶けた床の氷を隠しつつシャンデラの姿を隠すこともできるこの霧は、魂を感知できるシャンデラにとっては全く邪魔にならず、むしろ視覚に頼らざるを得ないジュゴンに対して一方的に先手を撃てる独壇場へとフィールドを変化させた。

 もはや地の利は俺達にある。

 だが、それも長くは続かない。

 室温が上がり続ければ霧は薄まるし、なにより俺はこの盤面をひっくり返せる技を知っている。カンナがジュゴンにその技を覚えさせているかは知らないが。

 

 どちらにせよ、有利なうちに勝負を決める!

 

 「シャンデラ、"シャドーボール"!」

 「ジュゴン、"こごえるかぜ"!」

 「げっ!?」

 

 まずい。

 

 カンナが選択した"こごえるかぜ"は俺が危惧していた技だ。

 シャンデラが放った"シャドーボール"は"こごえるかぜ"を切り裂いて一直線に飛んでいきジュゴンに直撃した。

 ジュゴンに対して今までで一番効果的なダメージを与えられた俺達だが、その戦況は有利とは言えなかった。

 "こごえるかぜ"はもうその効果を発揮してしまっている。冷気を纏った風が瞬く間にホールの霧を凍らせる。凍った霧は霰となって床に降り注ぎ、遂には床をも凍らせてしまった。

 視界は澄みきり、肌が痺れるほどの冷気がホールを満たしている。それに伴いジュゴンは体力が半分も削れているはずなのにいきいきしだした。本領発揮と言ったところか。

 

 …まだだ!

 

 今まで与えてきたダメージの感触からして、おそらくカンナのジュゴンの特性はあついしぼうだ。ほのおタイプの技は半減にされてしまうが、"シャドーボール"ならあと一発当てれば倒せるはず。

 

 あと一発…!

 

 「ジュゴン、"なみのり"!」

 「シャンデラ、"シャドーボール"!」

 

 ジュゴンの足元に先程よりも大きな波が現れると、ジュゴンはそれを華麗に乗りこなしながらシャンデラに向け迫ってくる。ゴゴゴと音を立てる大波はまるで巨大な壁だ。

 "シャドーボール"は高速で宙を疾り、なみのりの壁を引き裂きながらジュゴンへと向かう。

 面で攻撃する"なみのり"に対して、"シャドーボール"は点だ。

 威力は僅かに"なみのり"に劣るが、カンナのジュゴンを以てしても相殺しきることはできない。

 

 一点突破だ、貫け!

 

 「甘いわね」

 

 それを読んでいたかのようにカンナのジュゴンは、巨大な波の上で一本の小さな波を枝分かれさせ、それに飛び乗りながら"シャドーボール"を避けきった。

 

 うそだろ…!?

 

 小さな波の奔流は止まることなく更に加速し、無防備なシャンデラの元へ突撃する。

 

 ドッパーン!

 

 シャンデラは避けることもできず、ジュゴンの"なみのり"が直撃する。

 効果はバツグンだ。

 水浸しのシャンデラは地に倒れ、頭と爪の炎が弱まり起き上がることもできない。

 勝敗は決した。…俺達の敗けだ。

 誇らしげな表情を浮かべるジュゴンにカンナは「よくやったわ」と声をかけモンスターボールに戻した。

 俺も倒れ伏すシャンデラに「よくやった」と声をかけモンスターボールに戻す。

 

 …勝ちたかったな。

 

 「見事だったわ」

 

 カンナは最初の頃とはうってかわって穏やかな声色で俺を労った。

 

 「本心よ。よく鍛えられたシャンデラとのコンビネーション、実戦的な作戦の考案と実行力、バトル中の些細な情報から勝利へと導く判断力。あなたほどのバトルができる人はそういないわ」

 「それはどうも」

 

 そんなに言われるとちょっと照れるが、負けた手前、素直に喜べないな。

 

 「あなたの人となりは分かったわ。悪い人ではなさそうね」

 

 そう言った後、カンナは腕を組み何かを考え出した。

 なんだろう。

 結局グリーンと会わせてくれるのだろうか。

 

 「あなた便利屋のフルートと言ったわね」

 「はい」

 「明日グリーンに会いに行くわよ、私と一緒に」

 

 へ? グリーンに会いに行くのは構わないが、一緒にってどういうことだ?

 

 「えっと、ポケモンリーグはどうするんですか?」

 「構わないわ、休業よ。どうせ挑戦者なんていないもの。ここ数ヵ月バッジを8個集めた人はいないのよ」

 

 ありがたい申し出だが、なんか裏がありそうだな。

 

 「そこまでしなくていいですよ。場所さえ教えて貰えれば一人で行きますし」

 「なに言ってるの? あなたは要注意人物かつ監視対象よ。だから私が同行するの」

 

 悪い人ではないと言ったけど、怪しい人だとは思ってるってことか?

 ハッ! まさか、鞄の中のきんのたまに感づいたのか?

 ち、違うんだ。これは俺のきんのたまじゃなくて、じいやのきんのたまなんだ。じいやのきんのたまと言っても本当のじいやのきんのたまってわけでもなくて…。

 

 「ふぅこれで久し振りに外で働けるわ。内勤もいいけど、挑戦者がいないと退屈なのよね」

 「…俺はちょうどいい理由ってことですか?」

 「正直に言うとそいうことよ。私もあなたの人探しに付き合うしギブ&テイクよ。いいでしょ?」

 

 ふむ、いいんだろうか。

 ぶっちゃけて言うと、ポケモン達と行くぶらり旅の方が気が楽なんだけど。

 俺が探している人物に関してカンナは何か知っていることがありそうだし、同行しているうちに聞き出すことができれば依頼達成に近づくかもしれない。

 

 「わかりました。よろしくお願いします、カンナさん」

 「こちらこそ、短い間だけどよろしくね」

 

 握手をするカンナと俺。

 ギブ&テイクの上になりたつ関係だが悪くない。

 こうして俺はカントー地方来訪初日に思いがけない形で同行者を得るのだった。

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