ゆうぽむの間に挟まりたくねぇ!   作:ぁさ

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ゆうかすぽむの間にも挟まりたくねぇ!
2-①


出来るわけがないと嗤われる。

 

分不相応だと諭される。

 

身の丈を知れと憐れまれる。

 

それでも、高い理想を追う人が居る。

 

 

人生はいつだってままならなくて、思い通りにならなくて。

 

それでも、そんな世界でなりたい自分になろうとする。

 

ちゃらんぽらんなワタシとはまるで違う、尊敬できる人が居る。

 

 

もし、そんな人が挑戦する事に苦悩してしまったら。挫けそうになってしまったら。

 

それを励ませるのは、同じく夢を追う人だけじゃないだろうか。

 

自分の力不足に悩んでも、自分を追い越していきそうな人を目の当たりにしても。

 

それでも胸を張って、前に進もうとする人の姿こそが、光になるんじゃないだろうか。

 

 

 

――ほぉら。そんな光が、また一つ。眩く煌めき始めた。

 

黄色く、可愛く、パチパチ弾ける。

 

ココロを躍らせる、楽しい光だ。

 

挫ける事なき、無敵の光だ。

 

 

さぁ、広がれ。

 

お台場一つに留まる事なく。

 

そのまま溢れて。

 

地球の果てまで、そのまた果てまで。

 

 

届け。 届け。

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

 

「あ……あぁ、スクールアイドル?そっかそっか、歩夢ちゃんスクールアイドルやる事にしたんだ!」

「……なんか煮え切らない?歩夢がスクールアイドルやるの、そんなに意外だった?」

「いや意外でしょーよ。人前に出るの苦手な歩夢ちゃんだよ?てっきり侑とマネージャーやると思ってたもん。またでっけぇ一歩を踏み出したもんだ」

「お、大袈裟じゃない?だって、あなただって……」

「いやいや、ワタシのあんな失敗談聴いてもやりたいって宣言できるの凄いって。それに今までのパターンなら侑がスクールアイドルで歩夢ちゃんがマネージャーだったじゃん」

「う、うーん……それは、そうかも……」

 

 

 歩夢ちゃんと侑が素晴らしい未来(CP厨の理想)を進み始めた、その翌日の朝。

 敢えて連絡を絶ってたワタシは、改めて侑と歩夢ちゃんからあの後のあらましを聞いていた。

 

 侑がスクールアイドルへの想いを手放しかけていたこと。

 歩夢ちゃんがそれを拾い上げたこと。

 一緒にスクールアイドル活動をやってみようって決意したこと。

 

 ぜーんぶ赤裸々に教えてくれた。主に侑が。歩夢ちゃんは隣で赤面しっぱなしだった。可愛いね?

 しっかしこの子らホント良い子だなぁ。ヨゴレたワタシとは大違いだ。是非とも末永く爆発してほしい。

 

 

「そういや、侑はやりたいと思わなかったの?」

「ん?何を?」

「スクールアイドル」

「私が?いやぁ、なんかそんな気は全然……それに私みたいな特別可愛いわけでもない子がアイドルなんて、ねぇ?」

「そんな事ないよ?」

「……歩夢?」

「侑ちゃん?そんな事ないんだからね?」

「……いやこの手の話で歩夢の意見はさ……ほら、アナタもなんか言ってよ」

「歩夢ちゃんにフォローしといて貰ってその言種はなんだこのヤロウ」

「誰の味方?じゃあ私がスクールアイドルやったら推してくれんの?」

「え?やだよ歩夢ちゃん応援するもん」

「だよねー!」

「ねー!」

「侑ちゃんは可愛くなくなんか」

 

「「ねー!!」」

 

「むー!」

 

 

 思いっきり声を揃えて叫べば、歩夢ちゃんはフグのように膨れ上がった。

 これやって可愛いのマジで奇跡だと思う。侑がやったらたぶんワタシ張り手するもん。ワタシがやったら?蹴られるんじゃない?

 

 ……うーん。けどそろそろ言った方が良いかな。どうしようかな。

 なんで手ェ繋いでマンションから出てくるのキミら。なんで今に至るまでずっと繋いでんの。

 ワタシ(CP厨)がなんも言えない程の衝撃の大きさ、誰かに分かち合いたい。

 何の告白されるのかと思っちゃったよ、もう。

 

 

「むー……ほら、そろそろ行こ?バス来ちゃうよ?」

「おっとっと。定期定期……」

「……ん?あれ。侑、パスケース変えた?」

「え?あぁ、これ?へっへー……これはねぇ……歩夢からのプレゼント!」

「なん……だと……?」

「あ。昨日あげたの、使ってくれてるんだ……」

「もちろんだよ!」

「これが……敗北感……くっ!歩夢ちゃん!ワタシのは!?」

「……だってアナタ、自分の選んだものしか使わないでしょ?」

「…………まぁうん、はい。いや確かに身に着けてはいないけど大切にしまってるよ?今まで貰ったものとかも捨てたりしてないよ?」

「せっかくお揃いのものを渡すなら、一緒に使ってくれる人が良いでーす」

「ぐはぁっ!」

 

 

 にべもない歩夢ちゃんの言葉にワタシは崩れ落ちた。侑はポンポンとワタシの肩を叩きつつ、歩夢ちゃんと一緒に先にバス停に向かいだす。こんにゃろう、勝者の笑みを浮かべやがって……

 まぁ欲しいかって言われたら欲しいけど……歩夢ちゃんが言った通り、ワタシは身に着けるものにはかなり条件付けてるからね。それに合わなきゃ残念ながらお蔵入りだ。

 

 だってスニーキングしてる時ってホント色々気を付けないとなんだもん。

 光の反射とか衣擦れとか。

 

 それに何より侑と歩夢ちゃんの間に挟まりたくないからね!

 よし、今日のノルマ達成!

 

 

「おーい、いつまでそこに居るのー?」

「ご、ごめん!そんなに落ち込むなんて……!」

「ん?あ、ごめんごめん考え事してた!待ってー!」

 

 

 知らないうちに結構離れていた二人との距離を、小走りで詰めていく。

 

 でもそっか……歩夢ちゃんがスクールアイドルか。

 

 正直なところ、今の歩夢ちゃんにそこまで適性があるとは思えない。こういっちゃなんだけど歩夢ちゃんってヒロインではあるけどヒーローって感じじゃないんだよな。誰かに寄り添って支えるのはめっちゃくちゃ得意だけど、自分から前に出て引っ張っていくタイプじゃないっていうか。

 その歩夢ちゃんが、海外留学するほどに成長するなんて……まったく、CP抜きでも追いかけ甲斐があるよ。

 できる限り、近くで見たいもんだ。

 

 いい茂み、あっちこっちにあるといいなぁ。

 

 

「……ねぇ。アナタはスクールアイドル同好会には、入らないんだよね?」

「んー?」

 

 

 さほどかからずに追いついた後、少しだけトーンを落として歩夢ちゃんが問いかけてきた。

 ……まぁ歩夢ちゃんとしては気になるよね。どうしても。

 

 かつて、スクールアイドル同好会の結成に失敗したワタシ。

 スクールアイドルになる事を、諦めたワタシ。

 今、スクールアイドルになろうとしている歩夢ちゃんと、それを支えようとする侑にとって、そんなヤツがどうするか……気にならないわけないよね。

 ま、答えはもう決まってんだけどさ。

 

 

「まぁそのつもり。人数合わせが必要なら全然協力すっけどね」

 

 

 ワタシは"原作"にはいない。ワタシは"原作"にとっての異物である。

 そんなワタシが改めて同好会に入るだなんて、どこでどんな影響を及ぼすか分かったもんじゃない。

 極力関わらず、されど遠すぎず。そんな位置をキープするんだ。ワタシは。

 

 あと単純に外にいた方がCP追いやすいし。

 

 

「……同好会に入らなくても、私の夢は、応援してくれる?」

「……はぁ?」

 

 

 珍しく。本当に珍しく、歩夢ちゃんに対して呆れるような声が出た。

 

 まったく、何言ってんのかね?このお姫様は。横見てみなよ、侑すら苦笑いしてんじゃん。

 あーぁ、こんなに信頼されてないなんて悲しくなっちゃうなぁ。ワタシってそこまで信用無いかね?……無いな?ワタシならワタシなんか信用しねーな?こんなテキトー人間の信用なんて皆無だな?

 と、ともかく。これだってワタシの答えは決まってるんだ。

 

 

「そんなの……」

 

 

 ピロンッ

 

 

 …………ん?なんか今、変な音が……

 

 

→・もちろん!ワタシはいつだって歩夢ちゃんを応援してるよ!

 

 ・歩夢ちゃんが望まなくたって応援するけど?

 

 

 !?!?!?

 なんだこれ!?なんかイキナリ脳内に選択肢浮かんできた!?

 乙女ゲーじゃないんだぞ!?やったことないけど!マジでナニコレ!?

 

 

「……そんなの?そんなの、何?」

 

 

 しかもゲームにはない時間制限ありっていうね!

 ちょ……セーブ!セーブさせて!?それも現実にはないって!?うんそうだね!?

 

 

「いや、えっと……」

「…………」

 

 

 あ!?なんか歩夢ちゃんの不安ゲージが溜まってきてる!?ついでに隣の侑もなんか不審がってる!

 えっとえっとえっと!?……ええぃ!ままよ!

 

 

「そんなの……歩夢ちゃんが望まなくたって応援するけど!?

 

 

 …………

 ど、どうなるんだ…………?

 

 

「……ふふ、そっか。ありがとう」

 

 

 そう言って歩夢ちゃんははにかんで、どこか弾むように歩き出した。

 ……?え?これだけ?

 と……とりあえずこれで良かったのかな……?

 

 

「……ねぇ。何で一瞬どもったの?」

「えっ?あー……ちょっとヘンタイすぎる発言が思い浮かんじゃって……それをオブラートに包むのに苦労してた」

「包んでも渡さないでよそんなもの」

 

 

 囁くような侑からの追求を煙に巻きつつ、とりあえず改めて今日という日が始まった。

 

 

 なお。

 その後放課後に至るまでの間に、謎の選択肢はそれっきり思い浮かばなかった。

 ……なんやねん、もう。

 

 

 ついでにあいつらはバスに乗った時にようやく手を離していた。

 長ーよ。




恥ずかしながら続きました。
相変わらず見切り発車なので、ゆるゆると見守っていただけますと幸いです。
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