ゆうぽむの間に挟まりたくねぇ!   作:ぁさ

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原作キャラに対するこれまで以上の改変・独自解釈が含まれます。
ご注意ください。


2-④

 

 明けて翌日の夕方。

 昨日はなんだかんだ言ってたけど、とりあえず別行動中だ。

 歩夢ちゃんはどっかで練習中、侑も用事だかで遅れるらしい。寂しぃ。

 

 

 ま、今日はワタシもそもそも合流しないつもりだけど。"ゆうかす"のシーンにしろ"あゆかり"のシーンにしろ、ワタシ邪魔でしかないからね。というかじっくり見たいからね。

 ワタシの最推しはゆうぽむだけど、他のCPも全然イケるし大好きだ。これからが楽しみですねぇ?

 

 

 ……だから百合は必ずしも性欲を伴うモノじゃねぇって言ってんだろいい加減にしろ最近の若ぇのは心の機微ってもんを蔑ろにしやがる(過激派)。っていうかそこまで行ってたら逆に目移りすんな純愛派なんだよワタシは。

 リアルでCPとかほざいてるヤツにどうこう言われたくない?

 そうだね!!

 

 

「……って、え?」

「げ?げっ!?」

 

 

 そんな事を考えてたら……なんか、背中を丸めて歩いているかすみちゃんと遭遇してしまった。

 なんでや。今日は会う気は無かったのに。

 

 

「いや、"げっ"って。ひどくない?」

「昨日の事を思い出してみてください?慕われるようなこと、何かありましたぁ?」

「昨日?可愛いスクールアイドルの可愛さを堪能してた記憶しかない」

「え?えぇ?いやぁ、そうですかぁ?」

「うん、可愛かったよね。歩夢ちゃん」

「言うと思いましたよコンチクショウ!」

「かすみんも可愛かったよ?」

「…………」

 

 

 あれ。おかしいな。

 ここでお礼言ってくると思ったのに。弄りすぎて愛想尽かされすぎちゃったかな?

 

 

「……かすみんは」

「ん?」

「昨日のかすみんは、本当に可愛かったですか?」

「……は?」

 

 

 いや何事?かすみんがそんな事言うとか雪でも降るん?なんでそんな、いかにも悩んでます、的な……

 

 …………

 

 ……………………

 

 

 あっ!?もしかしてワタシ、侑の出番取ろうとしてる!?侑より先に相談受けかけてる!?ゆうかすシーンに行く前の道中で割り込んじゃった!?

 

 ヤバいヤバい油断しすぎた!ここで相談受けちゃダメだ!この後の展開に響く!なんでワタシは自分でドツボにハマりにいってんの!?アホか!?アホだわ!

 と、とにかく!好感度を更に犠牲にしてでもなんとか話を逸らさないと……!え?元々ないものを犠牲に出来るか?そういうのは今はスルー!なんでもいいから絞り出せ……!

 

 

「……はぁ……なんだなんだ、残念だなぁ。そんな事言っちゃうなんて」

「……なんですかぁ」

 

 

 ワザと放った挑発的な物言いに、かすみちゃんは機嫌が悪そうに反応した。

 そうそう良いよ良いよ?そのまま言おうとしたこと忘れちゃおうねぇ~?

 

 

「ワタシはかすみちゃんが自分の可愛さに自信持ってる系スクールアイドルだと思って推しかけてたのに。自分で自分を可愛くないなんて言っちゃったらお終いでしょーよ」

「…………」

「何があったか知らないけど、もしかして誰かにバカにでもされた?それなら鼻で笑いなよ。誰にバカにされても自分の事を自分が擁護しないでどうすんの。ストレス管理の一つもできないとスクールアイドルなんてやってらんねーよ?」

「……辞めた人が言っても説得力ないですよ」

「そりゃごもっとも。でもワタシが負けたのはソレにじゃねーもん」

 

 

 えっと、ワタシ何言ってんだ?ちゃんと理屈通ってる?通ってない?ダメだ口から出るまま喋ってるから分かんにゃい……

 お願いかすみちゃん!勝手に解釈して!頼むから煽られて!……なんちゅうお願いしてんだワタシは!?

 

 

「……かすみんだって」

「ん?」

「かすみんだって、そんなのに負けたりしませんよぅ」

「ふぅん。そりゃ良かった」

 

 

 ……よ、よし。なんか上手くいったっぽい。少なくとも話題は逸らせてる……気がする。

 ちょっと気力も戻った?ならまぁこれくらいでいいでしょ……いいよね?

 じゃあとっととここからサラバだ!ごめんね!アデュー、かすみん!

 

 

 

 

 

かすみんは、よくバカにされてましたから。そんなのヘッチャラです

「へ?」

 

 

 

 

 

 …………あれ?

 なんか知らないエピソード掘り起こした?

 

 ……ってヤバ……思わず立ち止まっちゃったじゃん……

 

 

 

 

 

「いや、別に今回落ち込んでるのは誰かにバカにされたとかじゃないんですけど……」

 

 

 語り始めたかすみちゃんは、"原作"の活発さやここ最近の焦りとも違う、自嘲するかのような笑みを浮かべていた。心底似合わない、あんま見たくない顔。

 誰だ、そんな顔をさせたヤツは。ワタシか。大罪人じゃねーか。ギルティじゃ。

 

 

「ずっとずっと可愛いものが好きで、可愛い人に憧れてて、その中でもスクールアイドルは一番可愛くて。高校生になったら絶対スクールアイドルになるんだって、いっちばん可愛いスクールアイドルになってやるんだって……そう考えてました。小学生の頃から」

「……そりゃ、筋金入りだ」

「えぇ。だからスクールアイドル同好会だって、なければ自分で作ってやるって息巻いてましたよ。せつ菜先輩が作り始めてたので、結局はそれに相乗りさせて貰いましたけどね」

「ふぅん。いいじゃん、"夢への一歩"を踏み出したって訳ね」

「……なんか良いですね、そのフレーズ。なんでか心惹かれます。でも、一歩目は高校からじゃないですよ」

「そうなの?」

「言ったじゃないですか。小学生の頃から、です。かすみんの一歩目は、そこなんです。あるスクールアイドルを、知ったからなんです」

 

 

 か……かすみんのルーツ……?

 知らんぞ、そんなの。本当に知らない。

 ちょっとこれホントに"原作"設定なの?怖いんだけど!?これワタシが聞いて良いやつゥ!?

 

 

「何かの用事のついでで家族に連れて行かれた会場に、ある人がいました。スクールアイドルグループのメンバーの1人でした」

「へ、へぇ……ライブやってたんだ」

「えぇ。小さな会場でしたけど」

「ふむ。その中に居た超可愛い人に憧れたってこと?」

「いいえ。違います」

「あれ?」

「その人も可愛くなくはなかったですけど……客観的に見たら、同じグループにいる他の人の方が可愛いかったでしょう。パフォーマンスも決して飛び抜けてはいませんでした。背も高くなくて、スタイルも残念で。なんかもう真面目に比較してあげるのが可哀想になるくらいで……」

「いやこき下ろしすぎでしょ」

 

 

 思わず冷静になった。さっきまでの焦りが吹っ飛んだ。

 仮にも憧れた人に対してそこまで言う?

 

 

「でも」

「……でも?」

「なんででしょうね。かすみんにはあの人が一番可愛く、キラメいて見えたんです」

 

 

 そう呟くかすみちゃんはとても優しい顔を。夢見る少女の顔をしていた。

 

 

「小さな頃から可愛いのものが好きで、自分も可愛くなりたいって、色々頑張ってました。でも……色々やるほどに周りの子の方が可愛いんじゃないかって、普通なんじゃないかって、自覚して。小学生の頃は、全然自分に自信がありませんでした」

「…………」

「でも――その人のおかげで、考えが変わったんです」

「変わった……」

「めっちゃ失礼な話なんですけど」

「……うん?」

 

 

 

 

 

"基礎スペックが特別優れてなくても、ちゃんと超可愛くなれるんだ"って

 

 

 

 

 

「いやホントにめっちゃ失礼だなぁ!?」

「そ、そう言ったじゃないですかぁ!」

 

 

 さっきから何なの!かすみちゃんってシリアスできないの!?ワタシでももうちょっとシリアス出来るぞ!?尊敬してるんだよね?ねぇ!?それ本当に尊敬してる人に向ける言葉!?

 

 

「いや流石に本人を前にして言うつもりはないですよ!?ただ自分の可愛さを主張できなかったかすみんは、それで自信貰って"私は可愛い!"って胸張るようになったってお話なんですぅ!」

「……人に言う時はもっと美談っぽく整えた方がいいよ?マジで失礼だと思ったもん」

「は、はい……反省しますぅ……まぁ、それでも最初は色々うまくいかなくて。"全然可愛くないじゃん"なんてハッキリ言われる事もいっぱいありました。でもあの人の姿を思い出して、何言われても"知らん!私は可愛い!"って言い貫いてきたんです」

「あぁ、だからバカにされ慣れてるって……」

「今でこそ超絶可愛いかすみんにも、そういう時代があったんですよぅ」

 

 

 なるほどね。かすみんの打たれ強さにはそんな理由があったんだ。

 ……かすみんには悪いけど、やっぱどうしても"これワタシが聞いてよかったの?"って思っちゃうなぁ……

 絶対"原作"キャラに打ち明けた方が良い話だよねぇ?なんでこうなっちった?

 

 

「……でも」

「……ん?」

 

 

 

 

 

「"自分の事を、自分が信じる"だけで頑張るのは……もう、無理かも、です」

 

 

 

 

 

「……え」

 

 

 いや。

 いやいやいや。

 

 …………え?は?

 

 

 

 

 

「自分のやってることを認めて貰える喜びを、知っちゃいました。支えられる嬉しさを、知っちゃいました。挫折を分かって貰える気安さを、知っちゃいました」

 

「……かすみんは、家族以外から初めて貰って……知っちゃったんです」

 

「一人じゃないってことの、心強さを。それが無くなっちゃうかもしれないって考えた時の……怖さを」

 

「もしそれが無くなったら、心が折れちゃうんじゃないかって……アナタみたいに、辞めちゃう、かもしれないって……そんな未来を、思い浮かべちゃったんです」

 

 

 

 

 

 一度俯いて、顔を上げたかすみちゃんの瞳は、揺れていた。

 あの煌めき弾けるような強さが、揺らいでいた。

 

 

「ねぇ。アナタはそんなかすみんを、どう思いますか?」

 

 

 強かではなく、弱弱しく。

 媚びるのではなく、縋るように。

 他人に自分を、ゆだねるように。

 問いかけられる。

 

 

……そんな臆病な () でも、可愛いと思ってくれますか?

 

 

 

 

 

ピロンッ

 

 

→・もちろん。ちょっと落ち込んじゃってるかすみんも、可愛いよ。それにそれをバネにしてまた跳ね上がるって、信じてるから。

 

 ・かすみちゃんが自分に自信が無くなっちゃってたって、ワタシはかすみちゃんに"可愛い"って言い続けるよ。

 

 

 

 

 

 呆然と呆けるワタシを嘲るかのように。

 間抜けな音と共に、そんな選択肢が頭に浮かんできた。

 

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