ゆうぽむの間に挟まりたくねぇ!   作:ぁさ

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4-③

 

 

 恒例の"原作"振り返りたーいむ。どんどんぱふぱふー……ごほん。愛ちゃんとりなりーが加入したって事は、間違いなく今日から"4話"スタートと見ていいだろう。

 

 

 未経験の楽しさの可能性を感じて、璃奈ちゃんと同好会入りを決断した愛ちゃん。

 いざ何からやろうか、何を目指そうかと尋ねたところ、返ってきたのは"答えはない"という応え。

 これまで部活の助っ人において、誰かが定めた明確な目標に向かって協力してばかりだった愛ちゃんは、それがない活動にどう向き合うのが正解なのか、迷ってしまう。

 道なき道に足を踏み入れた愛ちゃん、ヒーローの迷い込んだ道のそのゴールは果たしていずこに――

 

 

 だいたいまとめるとこんな感じ?

 なんでもできるが故に誰かを助け、自分の確たる夢や目的を後回しにしてきた愛ちゃんが、初めて見つけかけた自分のやりたいことに迷うお話だ。

 良いよねぇ。ワタシ"4話"大好き。如何にも青春!って話だ。

 

 

「おーい。そろそろ押してー?」

「ん?あぁごめんごめん。よいしょ」

「おいしょー!」

「うわ、柔らかっ」

 

 

 ぐいっと押せばほぼ抵抗なく前へと倒れていく体。

 "原作"で予習済みのシーンとはいえ、こうして目の当たりにするとやっぱ凄いわ。

 

 

「ふっふふ。普段から柔軟は欠かしてないからね!けっこー血行良くなるし!」

「ぶほっ!」「侑ちゃん……」

 

 

 ……なんか流れ弾喰らってるやつがいるな。

 

 

 さて。本来ならこのトレーニングをする場面、"原作"ではみんながやりたい練習毎に分かれ、それらすべてに愛ちゃんが参加する、というものだった。

 ……なのになんか流れで、今日は全員一緒に一通りのトレーニングをやる事になっている。今は屋上でみんな揃って柔軟中だ。

 いつの間にかエマさんに引っ張ってこられてた果林さんも、向こうで付き合ってる。2年生5人と1年3年の6人で分かれた形だ。ワタシがなぁなぁで今日の練習は付き添う事になったが故の結果ですか?まぁ次からは参加しないから組み合わせは混ぜこぜになるだろう。良いね、CPに幅が出る。

 ……あれ、そういや"原作"じゃカチカチだった彼方さんがめっちゃ柔らかくなってる。これもどれかの介入の影響かなぁ。はっはっは……笑えねぇ。体固くて怪我するより全然良いけどさ。

 

 

「いやぁ、やっぱすごいな。部室棟のエースの二つ名は伊達じゃないって感じ?」

「あれ?それも知ってんの?しずくもだったし、キミって結構情報通?」

「多少でも運動系の部活に関わってて知らない生徒はニジガクにゃいないよ」

 

 

 スクールアイドルはニジガクでは運動系の部活のカテゴリだからね。まぁ実際、"原作"インストール前から知ってたし。実は去年活動してた時にスクールアイドル同好会に入ってくれないかなーと目星つけてたりした。途中で日和ってやめたけど。

 ……良かったぁ声掛けてなくて!!なんか愛ちゃんなら少しの切欠でも覚えてそうだし!!過去からスナイプされるのはもうゴメンでござる!!

 

 

「んじゃせつ菜ちゃん、解説よろー」

「……えっ?なんでですか?」

「歩く生徒図鑑に任せた方が詳しく分かるでしょ」

「そんなポ○モン図鑑みたいな……」

「お?」

 

 

 なんとなくせつ菜ちゃんに振ったら思わぬ返しが来た。ここでそういうオタクっぽい面出してくる?発声練習の時まで待てなかった?……まぁ、我慢しなくなったって証拠か。良い事だ、たぶん。

 

 

「せっつーポ○モンやるの?愛さんもやるよ!」

「あら?ギャルのオタクアピール?」

「サンダースなんて36匹いるし!」

「うーん、判定がムズイ」

「サンダースが3ダース!なんつって!」

「言いたかっただけかーい」

「ホントにいるよ?」

「いるんか(↑)ーい!」

「ひーっ!」「侑ちゃん……」

 

 

 これまた何となく愛さんを揶揄ってみたらめっちゃ付き合ってくれた。コミュ強パネぇな。こんな下手っぴな漫才で喜んでくれる侑もいいお客さんだよ。

 ふと横を見たら愛ちゃんが片手を掲げていた。パァン!と音を鳴らしてハイタッチした。うん、コミュ強パネぇぜ。

 

 

「ひぃ……ひぃ……まぁ、今は、ポ○モンに少しも、触れてない子の方が、少ない、かもね」

「ほら、深呼吸しよ?侑ちゃん」

「…………」

「止めてね愛ちゃん?今また笑わせると酸欠になるから」

「てへ、バレたか!じゃあポ○モンの話する?近所の子達もやってっからアタシもやるようになったんだよねー」

「私もやってますよ。所謂ガチ勢ではないですが」

「リザードンとかルカリオ手持ちに居そう」

「何故それを!?」

 

 

 適当に言ったのに。イメージ通りにも程がある。主人公が使いそうなカッコいい系のがいっぱいなんだろうな。

 

 

「愛ちゃんはでんきタイプが似合いそうだよね。ピカピカ光るし華やかだし!」

「あはは、ありがとー!ゆぅゆはなんだろなー……んーまだピンとこないや。歩夢なら割とイメージしやすいんだけど。とりあえずフェアリータイプ!」

「そんな居酒屋の最初の注文みたいに……」

「分かります!ニンフィアなんてピッタリです!」

「実際育ててたよね。でも一番好きなのはー?」

「……アーボック」

「アーボック!?渋っ!」

「みんなそう言う……あんなに可愛いのに」

「へー?どの辺が刺さったん?」

「えっとね……」

 

 

 そんな感じでしばしポ○モントークに花を咲かせた後、再び話題は愛ちゃんの事に舞い戻る。キッチリ柔軟は続けながらだ。ホントみんな真面目だよね。

 

 

「愛さんは色んな部活に助っ人として参加されているんですよ。主に対象は運動系。その活躍は、どの部活からも即戦力として認められるほどです」

「ど、どの部活からも?ニジガクで?」

「えぇ。多種多様な才能の持ち主が集まる虹ヶ咲で、です。ここまでスポーツ万能という言葉が似合う方はそう居ないでしょうね」

「いやぁ、そこまで言われると照れちゃうなぁ」

「おぉ、謙遜もしない」

「それだけの成果残してるって自負はあるよ!……成果くらいは正確に!なんつって!」

「ばぶっ」「侑ちゃん……」

 

 

 あいつ今日あんなんばっかりだな……腹筋大丈夫かな?

 

 

「でもそんなにスポーツが得意なのに、どの部活にも入ってなかったの?」

「うん。アタシ、今までどれかひとつにのめり込みたいって思ったこと無かったんだよね。どっちかって言うと色んな事を色々やりたい、楽しみたい!って。ギャルやってるのもその一環!ギャルって人生楽しむ天才だからね!」

「そ、そうなの?」

「おう!自分が楽しいと思うことに全力で正直、それがギャル!やりたい気持ちに嘘つかないでなんでも取り組めるってとこ、超リスペクトしてる!」

「そうなんだ。そっか……凄いね、ギャルって」

 

 

 そんな愛ちゃんの熱弁に、歩夢ちゃんはしみじみと頷いた。その様子に愛ちゃんも笑みを深める。自分の好きなものに理解を示してもらえるのって嬉しいもんね。

 お前は理解されないだろうって?ふん、そんな事ないやい。ワタシにだって同好の士くらいいるし。嘘じゃねーし。

 

 

「でっしょー?歩夢も興味出てきた?ちょっとギャル体験してみる?」

「……え?私?」

「そそ、ギャルメイク!」

「ギャル歩夢……ギャル夢か。見たい!!」

「ワタシも!」

 

 

 勢いよく侑と2人揃って手を挙げる。こんなの賛成しないワケがない。ギャル夢ちゃんめっちゃ見てみたい!

 

 

「はぁ、また2人はそうやって……」

「わ、私もちょっと……」

「せつ菜ちゃんも!?」

「よーし決まり!今日……はちょっともう時間ないし今週末まで練習あるから来週やろっか!ふっふっふ、腕がなるぜぇ!」

「え、え、えっと……そ、そうだ!せつ菜ちゃん!せつ菜ちゃんも一緒にやろ!」

「……えっ!?」

 

 

 動揺した歩夢ちゃんは裏切り者の生徒会長をみちづれに選んだ。

 ふむふむ……ギャル菜ちゃんかい?それも良いんでないかい……?

 

 

「な、何言ってるんですか!私、生徒会長ですよ!?いくら校則違反ではないとはいえ、生徒の模範としては相応しくありません!」

「生徒会長は菜々ちゃんだから!せつ菜ちゃんなら問題ないでしょ!」

「ぐうっ!?」

「ふむふむふむ……良いじゃん良いじゃん?せっつーちょっとハメ外して見よーぜ?新しい世界、見に行かない?」

「えええええ……!?わ、私が?私が、そんな……!?」

 

 

 完全論破されてアタフタしつつもそこまで嫌がってない。うん、これはあれだね?内心やってみたいと思ってんね?ギャルに染められる生徒会長……アリやな!!

 

 

「いやぁ、滾ってきたね!来週が待ち遠しいや!」

「よし、ワタシも顔出すわ」

「部室に鍵かけてやる」

「お前の血は何色ダァ!なんでそんな無体な事するんだよぉ!」

「ふっふっふ。同好会メンバーじゃない自分を恨むがいい!」

「くぅぅ……っ!」

 

 

 こんちくしょう侑め……!そこまでしてアイドル達を独占したいか……!良かろう、そうくるならワタシの写真コレクションから侑のブロマイド作ってばら撒いてやる!微妙に人気になって歩夢ちゃんにむくれられるが良い……!

 

 

「そっちのお二人!お二人の方が似合うかと!」

「え?いやー私はどうかな?でも愛ちゃんやってくれる?」

「オッケー!腕振るっちゃうよー!」

「躊躇なく!?」

「侑ちゃんはそういうの寧ろ進んでやるから……諦めよ?」

「巻き込んだ張本人に慰められても……!」

「ふふ、でもギャル菜ちゃんが見たいのはホントだよ?せっかくだから楽しもうよ」

「う……うぅ……それでしたら……」

 

 

 お、ようやく完落ちした。意外と粘ったなぁ。

 うんうん、しかしせつ菜ちゃんもすっかり馴染んだようで何よりだ。まぁ全員普通にコミュ力高いしこうなるのも必然だったけど。良いシーンが見れそうで楽しみですねぇ!

 

 

「そんで、キミはどうする?」

「あ、ワタシは遠慮しとく」

「おう、この流れで?ちょっと愛さんビックリした。いや、もち強制するつもりは無かったけどさ」

「気を悪くさせたらごめんね?ただ……」

「ソイツ、メイクとか苦手なんだよ。着るもの身につけるものも決め切っててさ。偏屈なの」

「そーなの」

「ふぅん、こだわってんだねー」

 

 

 そうやってワイキャイして仲良くなってやる気が満ちたのか。愛ちゃんはその後のトレーニングでも怒涛の活躍を見せた。

 走ればかすみんを置いてけぼりにし、歌えばかすみんを息切れさせ、踊ればかすみんが隣で転ぶ始末だ……かすみちゃん、そんなに新人さんに張り合わんでも。

 でも、そんな所もかすみちゃんの良いとこの一つだよなぁ。愛ちゃんも気に入ったのか全部の勝負を受けて立ってたし、せつ菜ちゃん達も気合が入ったし。うんうん、良い循環だね。場を盛り上げることにかけては天下一品の愛ちゃんが居ることで、よりそれが加速してるのを実感するよ。

 

 

(……はぁ。今回は本当に何もないと良いなぁ)

 

 

 みんなに囲まれて実に朗らかに笑う愛ちゃんから、少しだけ目を離す。その先にあるレインボーブリッジ……恐らく今週末の、彼女のメインの舞台へと。

 

 

(今度こそ、憂いなく観劇させてくだせぇ)

 

 

 "3話"から数日経った今。

 ワタシは改めて、そんな風に、誰かに祈り直した。

 

 

 

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