"ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会"。
その"原作"であるアニメ1期は、登場人物一人ひとりが最低でも1つの主役回を持つオムニバス的な構成になっている。前回の"7話"は"彼方さん回"、って感じにね。
個々人が抱える悩みや迷いを、メンバーや周りの人々との触れ合いを通して乗り越えていく青春成長譚。一つ壁を乗り越えた姿で披露されるライブシーンが胸を打つんですよ、これが。
……なんで今更そんなこと振り返ってるのかって?今、それが、超重要だからだよ。
まず飛ばされてしまった"6話"、この回の主役は「りなりー」こと璃奈ちゃんである。
表情を顔に出す事が出来ないというコンプレックスを抱える璃奈ちゃんは、相手に誤解を与える事を恐れ、虹ヶ咲に入るまで……いや、愛ちゃんに声をかけられるまで、人付き合いを避けていた。
先入観を持たずに誰とでも仲良くしようとするその気質に惹かれた人が集まり、常に周りに笑いが絶えない愛ちゃん。彼女のツナガリに憧れ、焦がれた璃奈ちゃんは、勇気を出して同級生に告げる。
「ライブをするから、見に来て欲しい」と。
昔の自分とは違う。変わったんだ。その想いを胸に練習に励み、メキメキと地力を付けていく。
これなら、大丈夫。きっと私もみんなとツナガれる。
実力と共に付きかけていた自信は……けれど、ガラスに映った自分のカオを目にした事で、粉々になった。その表情が、まるで変わっていなかったから。
どれだけ頑張ったって、このカオが変わらなければ、伝わらない。その恐怖が拭えない。
意気消沈して自宅に籠ってしまった璃奈ちゃんは、果たして再び立ち上がることは出来るのか……
そして、"8話"はしずくちゃんのストーリーだ。
……みんなと少しだけ好みや考えが違った。そのズレがいつか大きくなって、仲間はずれにされるのが怖かった。
異端は孤独だ。幼心にそれを恐れた少女は、自分を偽るようになった。
変わったものを好きだと言わないように。
興味のないものを悟られないよう相槌を打って。
その場にいるのが自然な女の子を、演じ続けた。
嫌われない。波風を立てない。それは確かに一つの処世術で、楽になれた。
ウソで塗り固めた仮面は、いつしかとても顔に馴染んでいた。自分ですら外せないほどに。
そんな彼女に舞い込んできた、大きな演劇舞台でのヒロインの座。求められたのは、自分の心を曝け出す歌。見るもの全てに、自分の思いの丈を叩きつける歌。
自らを偽っている少女では、それを成せない。苦悩するも仮面を外せない少女は、その座を降ろされそうになる。
哀れなりや、仮面道化。塗り固めたウソの重さに、本当の自分が押しつぶされるのが運命なのか?
…………とまぁ、それぞれの話はそんな感じ……なんだ、け、ど。
どーーーーーにも今回、この"6話"と"8話"が同時進行しそうな気配がある。
"8話"のスタートは、部室にて同好会メンバーが新聞部から取材を受けている最中に、藤黄学園との合同演劇祭で主役に抜擢されたことをしずくちゃんが語るシーンから……先の侑の発言からして、これはもう消化済みのイベントだろう。
一方"6話"はジョイポリスに遊びに来た璃奈ちゃん一行が、同級生3人組である色葉ちゃん、浅希ちゃん、今日子ちゃんに出会うところから始まる。
……ね?どっかで聞いた話でしょ?
微妙に日程感があいまいな"原作"だけど、"9話"のイベント、そして"8話"の合同演劇祭だけはハッキリとその日にちが分かった。学生の都合に左右されない、キチンとした催しだから。
いくらボケナスなワタシとはいえ、その貴重な情報くらいは押さえてる。だからこそ……おそらく遠からず、しずくちゃんが役を一度降ろされるだろうって事が、分かる。
合同演劇祭は、4週間後。どのタイミングで降板が告げられるかまでは流石に不明だけど、開催日から逆算すると再オーディションは遅くとも再来週だろうか。
そして"原作"通りなら、璃奈ちゃんがライブをすると言い出すのは来週の土曜日、である。
これが、マズイ。すこぶるマズイ。
個人回の順番が逆になるだけなら多分何とかなった。でも、重なるとなると事情が変わってくる。
なんせ――しずくちゃん回である"8話"のキーパーソンの一人が、璃奈ちゃんなんだから。
・しずくちゃんがヒロイン役から降ろされ、再オーディションが行われることになる。
→しずくちゃんを元気づけるため、かすみちゃんと璃奈ちゃんが3人でデートする。
→憂いが晴れきらないしずくちゃんを心配するかすみちゃんに、璃奈ちゃんが発破をかける。
→かすみちゃんがしずくちゃんの手を引っ張り、"恐れ"を取っ払う。
これが、"8話"の大まかな流れ。
かすみちゃんが目立つ回ではあるけれど、璃奈ちゃんも居なければ成り立たない。
……なのに、その璃奈ちゃんがしずくちゃんを気に掛けられない状態になりそうになってる!
いくらニジガクの皆が友達思いだからって、自分が手一杯な時に他の子の事にまで気を回せられるか?ただでさえライブの準備もしないといけないのに、精神的にも負荷がかかってる、そんな状態で!?
絶対無理とは言わないけどさぁ!ワタシなんかがメインキャラ様達を心配するなんて烏滸がましいかもだけどさぁ!流石にキツくないかなぁ!?
璃奈ちゃんが後押ししなかったらしずくちゃんを救えない!
しずくちゃんを救えなかったら璃奈ちゃんも沈んじゃうかもしれない!
どう考えてもヤベーイでしょコレ!?
「どうすんのよマジでーっ!?」
「助けてーっ!?」
「二人とも!今助けに行くからねっ!」
うわーんっ!歩夢ちゃーんっ!
* * * * * * * * *
「璃奈ちゃん凄いね!スコアランキング、トップレベルだよ!」
「ぶい。ゲームなら任せて。FPSも結構得意だから」
「ホントりなりーってばすっごいよ!愛さんも結構自信あったんだけどなー」
「愛ちゃんもハイスコアじゃない。ふふ、璃奈ちゃんと愛ちゃんに助けられちゃったね」
ワンゲームを終えたワタシ達は、そんな風に今のプレイの感想を話し始めていた。
大活躍だった璃奈ちゃんに愛ちゃん。堅実に頑張ってた歩夢ちゃん。ダメダメだった侑。みんな楽しそうだ。
ちなみに今後の展開に気を取られてたワタシはズタボロにされました……はいはい、言い訳ですよ。普通にやってもダメだったでしょうよ。どーも現実と感覚が合わないゲームは苦手らしい。
「でも、歩夢さんも上手かった。正直、ちょっと意外だったかも」
「あー確かに?こういうの苦手だとばっかり思ってたよ。先入観って持っちゃダメだねー」
「そんなことないよ。全然スコアも伸びなかったし……」
「でも代わりに被ダメージが少なかったでしょ?歩夢はコツコツ丁寧に進めるタイプだから、その辺が結果に表れてるよねー」
そもそも歩夢ちゃんも結構ゲーマーだしな。しかもかなりクセ強いのを選んでやるタイプの。そういうのに比べたらコツも掴みやすかったんだろう。
「歩夢さん、今度ウチで別のゲーム、する?そういうのが得意なら、歩夢さんに合いそうなの、持ってるよ」
「そうなの?じゃあ、またお邪魔しちゃおっかな?」
「……それに比べて私達は……って、どうしたの?キョロキョロして」
「ん!?え、あ、いや……まだ目の端にさっきのゲームの敵が見える気がして……ははは……」
会話する皆の輪から少し離れて辺りを伺ってたら、侑に見咎められた。
いや、"あの子達"が居なかったら嬉しいなー……なんて、ね?
ワタシが参加した事でその辺ズレたりしてないかなって……ね?思ってたんすけど、ね?
「……あれ?天王寺さん?」
「あぁっ!?愛先輩!?」
「歩夢ちゃんもいるぅ!?」
「え?」「お?」「……えっ?」
ほら居た!やっぱ来た!璃奈ちゃんの友達(予定)3人組!
あぁぁぁぁぁ……ダメだもう"6話"待ったなしだぁぁぁぁあ!