ゆうぽむの間に挟まりたくねぇ!   作:ぁさ

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8-②

 

 

 

 ―― 藤黄学園との合同演劇祭を終えて、暫くの後。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会に、二人の客人が訪れた。

 

 一人は東雲学院の近江遥。

 もう一人は藤黄学園のスクールアイドル……綾小路姫乃。

 毎年お台場で行われている音楽イベント「ダイバーフェス」へ一緒に出ないか、二人はそう誘いをかけてくる。スクールアイドルのパフォーマンス枠が一つ、空いているから、と。

 

 

 是非にと意気込む部員たちだが、「ダイバーフェス」に参加できるのは出場時間の関係上、一人だけ。

 かつてのすれ違いの記憶が蘇ったメンバーはお互い譲り合い、角の立たない選び方をしようとするが、そこに朝香果林が待ったをかける。

 

 

 『互いに遠慮し合った結果、運頼み……そんなのでいいわけ?』

 

 

 メンバーを尊敬し、追いつき追い越さんとしている果林だからこそ、妥協はしたくない。

 自分たちの中で、本当に納得できるメンバーを代表として選ぶべき。

 そのスタンスに考えを改めた部員たちは、推薦方式へと舵を切り……結果として、その発端となった果林が選ばれた。

 

 

 「ダイバーフェス」当日。準備を整えていた果林は、しかし姫乃の言葉に足を止めてしまう。

 3000人以上の観客を前に、一人でステージに立つ。

 虹ヶ咲を背負って。

 その重さが実感となってのしかかってきたから。

 

 プレッシャーに押しつぶされそうになる果林は、果たして再び歩みを進めることは出来るのか――

 

 

 

 

 

 

 "原作"9話。果林さん回のあらすじはこんな感じだ。

 

 

 

 ……はい復唱。

 

 『推薦方式へと舵を切り……結果として、その発端となった果林が選ばれた』

 

 ……センセー!ここテストに出るって言ったじゃん!なんで回答が違うんですか!!

 

 

 

 

「え、MV……?えっと……なんで、そういう話に……?」

「あぁ、うん。まずこの前、遥ちゃんと藤黄学園の綾小路さんが虹ヶ咲に来たんだけどね。その時『ダイバーフェスに出ないか』ってお誘いしてくれたんだよ。彼方さんや璃奈ちゃん、しずくちゃんのステージを見て興味を持っててくれたみたい。嬉しいよねー」

「へぇ……」

 

 

 それは"原作"通り……

 

 

「でもね?フェスの枠は1つだけで、しかも出られるのは時間的に1人だけだったんだよ。それで皆でどうしようか話してたんだけど、結局最初は結論が出なくてさぁ」

「そこで全員で出ようってならないのがウチらしいよね……」

 

 

 そこも違いない……

 

 

「とりあえずその時は判断を保留したんだけど……その後、2年生のみんなでお出かけしてる時に、果林さんとバッタリ会って」

「それ呼ばれてないぞー……」

「いやいや。一応誘ったけど、アナタが用事あるって断ったんじゃん」

「そうだっけ……?」

「そうだよ」

 

 

 そうだっけ……まぁとにかく、ここも大丈夫……

 

 

「"同好会の皆に負けたくないから、ダンスを習ってる"……"同好会の活動は楽しいけど、やるからには手を抜きたくない"……"そうしないとライバルである皆に追いつけないから"……果林さんが、そんな風に言ったんだよね。そしたら……」

「そ、そしたら……?」

それをみんなに伝えたら、"じゃあ後腐れなく競って決めよう!"ってなったの

「うーん……そっかー……!」

 

 

 そっ……かぁ……!そこで熱血方面に行っちゃったのかー……!

 

 

「特に愛ちゃんがやる気になってた」

「愛ちゃんかー……!」

 

 

 あ。もしかしてさっきの「2年生」って愛ちゃんも居たのか。

 確か"原作"じゃ、侑・歩夢ちゃん・せつ菜ちゃんの3人でお出かけしてたはずだけど、そこに愛ちゃんも加わってたとしたら……対面で果林さんの熱さを受け取って、せつ菜ちゃんと愛ちゃんが勝負しよ!ってなっちゃった感じ……かぁ!確かにあの二人ならなりそうだもんなぁ……!

 

 

「なるほどねー……じゃあせつ菜ちゃんも相当燃えてるんじゃない?」

「あぁ、最初は確かに燃えてたんだけど……結局、今回は辞退したんだよね」

「へ?辞退?」

「今回の大舞台の辞退を、同好会をむかし廃部にしかけた事のケジメにするんだって。もう誰も気にしてないのに……」

「それは……」

 

 

 それは……なんつーか。生真面目っつーか、律儀っつーか……やる意味、あるかー……?

 

 まぁ……本人がそれで納得するなら、今回っきりはそれで良いんじゃない……かな。

 自分が自分を許せるなら、うん。そういう選択も、あるのかもしれない。これに関しちゃ他人がどうこう言うこっちゃない、と思う。

 

 

「じゃあ8人でMV撮るの?」

「ううん。彼方さん、璃奈ちゃん、しずくちゃんも辞退したから」

「その3人まで?……あ、もうステージに立った事があるから?」

「うん。みんなに手伝って貰った素敵なステージを経験済みだから、今回はフォローに回るって」

 

 

 みんな律儀ぃ。

 いや、ホントに人間出来すぎじゃない?学生だぞワタシ達?個性も主張も強いのに社交性が高いったら。こそこそ隠れてあっちこっちデバガメしてるワタシが社会不適合者みたいじゃん。

 ……そのとおりだろって?うっせうっせ。

 

 

「つまり結局、エントリーするのは……」

「愛ちゃん、エマさん、果林さん、かすみちゃん。それに、歩夢だね。今回出ないメンバーがそれぞれサブに付いて、ショートMVをアップする。で、その後1日の再生数が多い人が、フェスに出る。ってこと」

「1日?随分短いね」

「あんまり時間がないのと、累計だと早くアップした人がどうしても有利だから。他にも色々あるけど、とりあえずそんな感じ」

「ふーん……」

 

 

 ガチというほどじゃなく、ライト目な勝負って感じなのかな。

 フルメンバーじゃないし、今後なんかあったときの試しも兼ねてんのかね。

 とはいえ、結果は出るし、ダイバーフェスに出られるのが一人なのも変わらない。全員真剣に取り組んでくることだろう。

 "原作"では既にMV出してたような気もするけど……まぁその程度の差異は、今となっては、か。

 

 

「まぁやる事は分かったよ。じゃあ侑は歩夢ちゃんのサブに付くわけだ」

「いや、私はかすみちゃんのサブ」

「……は?」

 

 

 とりあえず分かり切ったことを確認しようとしたら、なんか耳を疑うようなことを言いやがった。

 

 

「どうしても、って泣きつかれちゃってさ。あそこまで言われたら断れないよ」

「…………は??」

 

 

 こ……こいつ……距離がどうとか言っといてそれか……!

 そんなんだから……!そんなんだから歩夢ちゃんがなぁっ……!

 いや、かすみちゃんは悪くないけどさぁ……!確かにここで歩夢ちゃんが安心しちゃったら今後の展開に響くかもだけどさぁ……!

 この時点の歩夢ちゃんが勝負に乗り切れない事なんか明白なんだから、そこでやる気を引き出すのが侑の役目じゃないのかよぉ……!

 

 

「……そんなら誰が誰に付くの」

「愛ちゃんと彼方さん、エマさんと璃奈ちゃん、果林さんとせつ菜ちゃん、歩夢にしずくちゃんだね」

「……なんかちょい意外な組み合わせだな……」

 

 

 若干憤りかけてたワタシだったけど、そのペア割を聴いてちょっと落ち着いた。

 CP脳の頭と心がくすぐられるじゃねぇの……

 

 

「うん。だからさ、アナタもちょっと手伝ってくれない?」

「……えー?今回ワタシなんかすることある?サブは足りてるんでしょ?」

「全体を見て回って欲しいんだよ。MV作った事ないペアもあるからね。その辺をちょっとだけフォローして、って感じかなー」

 

 

 なるほど。アドバイザー兼技術班的な感じね。

 まぁワタシなんかでも、特定のチームに付いちゃうと不公平感出ちゃうから妥当なとこか。

 なるほど、なるほど……全体を、ね。

 

 

「……分かった。それくらいで良いなら、やるわ」

「ありがとー!」

 

 

 MV再生数で競うんでしょ?

 ってことは、果林さんを無理矢理勝たせるとか出来ねーって事でしょ?

 つまり今回やれる事ねーって事、でしょ?

 

 ならいっそCP鑑賞を楽しませてもらうわ!

 みんなの居場所を教えて貰ってるなら赴き放題、隠れ放題だからなぁ!

 大義名分もあるから見つかってもOK!

 安心してのぞき見できるってもんよ!

 

 うっははははっ!

 

 

 

 

 ……ちっくしょーっ!!何とかなってよ、ホントさーっ!

 

 

 

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