ゆうぽむの間に挟まりたくねぇ!   作:ぁさ

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やっぱりゆうぽむの間には挟まらねぇ!
11-①


 

 

 

 

 

 

―― スクールアイドル。

 

 

 

それは、学生という限りある時間を精いっぱい生きる者。

 

抑えきれない自分の心と想いを、思い思いに表現する者。

 

そのありようと生き様を、全身全霊で魅せる者。

 

 

 

突き抜けた個性も要らない。

 

運命に選ばれる必要もない。

 

誰に憚ることもない。

 

只人を特別(ステージ)へと導く扉は、常に開かれている。

 

 

 

スクールアイドルになるために必要なものは。

 

叫びたくなるほどの渇望と。

 

境界線から”一歩”を踏み出す、勇気だけ。

 

その"一歩"を踏み出す足は、重いけど。

 

それさえ成せれば、ただそれだけで、なりたい自分になれるのだ。

 

 

 

 

 

……そして。

 

そして、踏み出した後にも、走り続けたその子の足元には。

 

鮮やかに煌めく、光の道が出来るんだ。

 

 

 

 

 

ただ一人の高校生が、心のままに描く道。

 

その拙くも激しい眩しさに、魂が揺さぶられる。

 

それを人は、トキメキと呼ぶんだ。

 

 

 

 

 

―― それが9本も集まったら、そりゃもう圧巻の一言でしょ。

 

―― 見てる自分の心の奥底にも、火が灯っちゃたって、仕方ないでしょ。

 

 

 

 

 

アナタは、スクールアイドルにはならないかも、なれないかもしれないけれど。

 

けれど、それでも。

 

彼女たちの姿に、心震えたのなら。

 

胸の奥から溢れ出す衝動が、もう止められなくなったのなら。

 

 

 

ほんの少し、勇気を出して。

 

描き出し始めてみても、良いんじゃない?

 

あの雨上がりの空に。

 

アナタのミライへ続く架け橋を。

 

アナタの色で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― さぁ。

 

 

いこう、明日へ。

 

 

夢を奏でに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワタシ達が能天気に楽しんでるお祭りは、その裏で沢山の人に支えられている。

 

 そんな当たり前のことを、ワタシはあらためて実感している。

 

 

 

 この身をもって。

 

 今、この時に。

 

 

 

 

 

「入場口付近のマップ!無くなりかけてるそうです!ストックも微妙に無くなりかけてますっ!」

「うそでしょ!?想定参加者数よりかなり余裕持って準備してたのに!?」

「単純にそれより人が多いんじゃないですか……?記念に綺麗なものを持って帰ろうって、余分に取っていく人も結構いるみたいですし!」

「あ、あぁ〜……理解るぅ……彼方さんの絵、素敵だしなぁ……と、とりあえず職員室で印刷してきてください!用紙の余りがまだあるはずだから!先生にはこっちから連絡しときます!出来ればそのあと、紙の買い出しに……!」

 

 

「侵入禁止エリアに迷い込む人がいるって外部の方から連絡が!クレームってほどのトーンじゃないけど……」

「放置してたらヤバいやつっすね!?ニジガクの用具室から三角コーンとあの……なんか……縞々の棒もってってください!それで目立ったとこ塞いでください!かなり量ありますよね!?」

「あ、あると思うけど……それ学園側に許可取ってる?」

「今から取りまっすぅ!」

 

 

「公式サイトの動作が重くてヘルプとかが開きづらいってSNSに……あ、ほんとだ……」

「ぅぇっ……こ、これは流石に璃奈ちゃんじゃないと……でもイベント中だし……!」

「……私、触ってみてもいいですか?」

「え?な、なんとか出来るの?」

「璃奈ちゃんほどじゃないですけど、情報処理学科なので心得程度はあります」

「お願いしますぅぅぅぅう!これ管理者IDぃぃぃぃい!」

「それでその、上手くいったら果林さんのサインを……」

「打診させていただきますぅぅぅぅうっ!」

 

 

「クールスポットの送風機、止まっちゃったみたいです!」

「はぁ!?なんで!?今日かなり暑いのに!機械自体の故障はマジで嫌ぁっ!こ、これ!おなしゃす!」

「これは……送電線の配線地図?」

「それ辿って見た目に変なところないか確認してくださぁい!コンセント抜けちゃったとか程度のトラブルなのに賭けますっ!てかそれ以外だと打つ手がない……!」

「えっと……畑違いだと思いますけど、家電同好会の友達に声を掛けてみますね……」

「か、家電……?そ、それでもありがとうございますっ!」

 

 

「物販の在庫、売り切れ出てます!情報更新お願いしまーす!東雲や藤黄のもです!」

「うっ……こ、こっちの減りも予想外に早い……!今から学校からグッズ持ってきてもらえたりするかな……?」

「や、止めてください!?在庫復活したらしたで、一回並んで買えなかった人たちから文句言われちゃいますよ!?」

「そ、そっか……うー!もどかしい……!」

 

 

「にゃーお」

「にゃお?……なんではんぺん連れてきてるんすか!?」

「餌付けしようとする人が多過ぎて混雑してたから避難させてきたんです!」

「くっ……生徒会スクールアイドルフェスティバルマスコット役員、有能過ぎたか……!」

「なんですかその役職……あっ!?逃げた!?」

「えっ!?ちょっ!こ、こっちはヤメテ!あーっ!そっちもダメ!ここで暴れないでーっ!」

「みゃーっ!?」

「にゃー!」

 

 

 

 

 

 スクールアイドルフェスティバル当日。

 ご来場の皆様には、楽しんでいただけておりますと幸いです。

 

 ワタシは今、絶賛てんやわんやしています。

 しっちゃかめっちゃかです。

 侑と二人で叫びっぱなしです。

 

 

 

 ……なに!?なんなの!?イベント運営ってこんなに問題起こんの!?全然手ぇ回んないんだけど!"原作"じゃチラシ配りにその辺うろついてた侑もカンヅメだよ!みんなのステージ見に行く暇なんてこれっぽっちもないんだけど!?

 

 そりゃね!いくら才能あふれるとはいえイベント開催経験のないメンバー達が手探りかつ超短期間で組み上げたわけだから何事もなく終わるとは思わなかったさ!だからこそ猫の手よりはマシだってんでワタシも運営所に張ってたのさ!

 

 それがまさか侑とボロボロになりながらトラブル対応し続けるはめになるなんて……!皆のライブの歌声じゃなくて、侑の悲鳴しか聞いてない!ボランティアメンバーの皆さんにも申し訳ねぇ……!くっそ、栞子ちゃんにカッコつけてイベント行って来なって言わなきゃ良かった!!

 

 

「カラオケスペース!お忍びで来てた非参加校のスクールアイドルが歌ってバレてちょっと騒ぎになってますぅ!」

「「 おぅふ 」」

 

 

 

 いや無理!無理だって!こんな発生しまくる問題だとか課題だとかを捌くのワタシにゃ無理!侑には出来るのかもだけど明らかに経験不足!レベルが足りてない!もう回んなくなる!誰か助けて!誰かなー!?こういう場に適性があるの!真面目だけど融通が効いて!色んなタスクを整理して優先度付け出来て!適切な解決ができる人に分担して!全部に責任持つ覚悟と気概のある、そんな人かなー!はっはー!んな神人材が都合よく居るわけ――

 

 

 

 

 

「……あのー……」

「「 はぁい!なんでしょぉかぁっ!? 」」

「向こうの放送席のほうが安定してきたので、差し支えなければ私もこちらのお手伝いを、と思ったんですけど……」

「「 …………へ? 」」

 

 

 

 

 

「いえその、こっちの方がスクールアイドルの方と接する機会が多そうだなーとか、決してこの機にもっとせつ菜ちゃんとお近づきになりたいなーとか、そんな下心はなくてですね?純粋に大規模イベントだけに主催学校である虹ヶ咲の生徒会はもっと協力するべきなんじゃないかなって個人的に思っただけでして?色々と後学のためにもなりそうですし?ただその過程でメンバーと舞台裏で触れ合う機会があったら避けるのは難しいでしょうし、仕方なくですがそういった場合のやり取りを担うのもやぶさかではないといいますか。ええもうそれは仕方なく――」

 

 

 

 

「「 ……か 」」

「……え?か?」

 

 

 

 

 

「「 神キターーーーーーーーーーッ!! 」」

「はいっ!?」

 

 

 

 

 

 ありがとう!マジありがとう副会長ォ!世界は君を待っていたァ!!

 

 

 

 

 

 




遂にえいがさき最終章の予告が告知されました。楽しみでもあり、寂しくもあり。
そして本作も今章が最終章となります。
最後まで、お付き合いいただけますと幸いです。
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