シャーレの夜に出る幽霊ちゃんとの生活   作:めろんムーン

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 日間ランキング入りしてました!皆さんありがとうございます!

 UAも1万を超え、平均評価も8.5を上回って……ものすごい伸びてます!
 これからも本作をよろしくお願いします!


調印式

 

 

 

 …

 ……

 …………

 ……………………

 

 

 

 ピピピピ ピピピピ ピピピピ

 

 ピピピピ ピピピピ ピピカチッ

 

 

 

 ベッド脇のサイドテーブルに置かれている目覚まし時計を止め、目を開けた。

 

 隣にはスヤスヤと眠っているミズキが────

 

 

 

 

 

────────スヤスヤと眠っているミズキ!?

 

 バッと起き上がり、慌てて確認すると、やはり私が寝ていた場所のすぐ横で眠っているミズキが。

 

 ど、どうして私の横でミズキが……いや、そういえば昨日…………

 

 

 

 

 

 〜昨日の夜〜

 

 

 

 いつもと同じようにふわりと現れたミズキ。

 

「おはよう、ミズキ」

 

「おはようございます、せんせい!」

 

 いつものように挨拶を交わし、残っていた仕事を片付け、雑談をして眠る時間になった。

 

「あ、もう寝る時間ですね」

 

「そうだね、そろそろ寝ようか」

 

 寝る支度を済ませ、私が布団に入りいつも通りにミズキが電気を消す時、ミズキがふと思い出したように喋りだした。

 

「そういえばせんせい、明日はエデン条約の調印式でしたね」

 

「うん、そうだよ。ミズキはテレビで見るんだよね?」

 

「はい!なので、今日は先生と一緒に夜に寝て朝に起きます!」

 

「うん、わかった。じゃあ、おやすみ」

 

 

 

 

 

 こうして普通に寝たのだが……もしかして、「一緒に寝る」って……これのこと……?

 

 ううん、どうしよう……

 

「おーい、ミズキおきて」

 

 寝てる女の子に触るわけにもいかない……いや、そもそもミズキには触ることもできないけど……いやそうではなくて、触るわけにはいかないから私は声をかけた。

 

「うぅん……むにゃ」

 

「ミズキ、起きて。朝だよ」

 

「うにゃ……うぅ?」

 

 …………起きない……仕方ない。

 

 

 

「スゥーーー…………ミズキ!!!!

 

「うひゃあっ!!!???」

 

 ばっ!!と垂直に浮かび上がり、天井付近にまで飛んで胸を押さえているミズキ。

 

「起きたね。おはよう」

 

「あ、せんせい……おはようございま────!?」

 

 ミズキは挨拶の途中にいきなり顔が真っ赤になった。

 

「せ、せんせい!?私より先に起きて!?」

 

「うん、そうだよ」

 

「は、はう……いつもは寝ずに朝まで見ているのでわすれてました……せんせい、ふつうに早起きです……

 

「どうしたの?」

 

「い、いえ!なんでもないです!」

 

「そう?あ、どうして私の隣で寝てたの?」

 

「えっ!?えっと、それは……///」

 

 私が質問すると、ミズキは何やらもじもじとした後、顔を両手で隠しながら答えてくれた。

 

「……1人で寝るのが、さびしくて……2人とも寝るなら、一緒に寝てもらいたくて……///」

 

 そう恥ずかしそうに、ボソボソと私に答えてくれるミズキ。しかしその後、

 

「ごめんなさい、だめでしたよね……」

 

 と少しテンションを落として私に謝った。

 

「……いや、大丈夫だよ。ミズキはずっと1人ぼっちだったもんね……私でよければ、ミズキがして欲しいことはなんでもしてあげるから。今日の夜からは一緒に寝てもいいからね」

 

「ほ、本当ですか……?」

 

「うん。それで、ミズキの寂しさが紛れるなら、私は喜んで協力するよ」

 

「……はい!よろしくおねがいします!」

 

 

 

「……せんせいに、直接『好きだから』なんていえません……うぅ……///」

 

 

 

「というか、いつもは朝になったら消えているのに今日は消えてないんだね」

 

 そう私が疑問に思ったことを呟くと、ミズキが元気いっぱいに答えてくれた。

 

「はい!昨日は起きていた時間が短かったので、消耗が少ないみたいなんです!」

 

「消耗?」

 

 初めて聞く用語に、新たな疑問が生まれる。

 

「あ、せんせいには言ってませんでしたっけ……わたしは、寝てる間に溜めた力を使って夜起きているんです。いつもは完全に見えなくなるくらい存在を薄めていることで、力を効率よく溜めているんです!」

 

「へぇ」

 

「今回は、あまり力を使わずにもう一度寝たので、体を薄めさせずとも最大まで力が溜まってるんです!」

 

「おー……ん?それ、力を使い切ったらどうなるの?」

 

 頭の中を悪い想像がよぎる。ズキリと胸が痛む。

 

「眠るだけです!」

 

「よかった、消えるわけではないんだね?」

 

「はい!大丈夫です!」

 

 よかった……

 

 

 

「それじゃ、行ってくるね」

 

「はい!いってらっしゃいです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先生がシャーレのビルを出てからしばらくして。

 わたしは、エデン条約の調印式の時間をワクワクと待っていました。

 

「そろそろでしょうか?」

 

 時間は11時30分。

 

「テレビをつけて……番組表からエデン条約……えーっと?」

 

 まだあまり使ったことがないので、モタモタとリモコンを操作し、なんとかその特番をみつけます。

 

「あ、ありました!『クロノス報道部エデン条約緊急特番』!」

 

 ぽちぽちと操作して、それを見始めると、ちょうど始まったようだった。

 

 

 

『今この動画をご覧の皆さん、こんにちは!クロノススクール報道部のアイドルレポーター、川流シノンです!』

 

「おおー」ぱちぱち

 

 ……思わず拍手しちゃいました。誰にも見られていないのが救いです。

 

『本日はついに締結される、ゲヘナ学園とトリニティ総合学園の「エデン条約」の調印式。その現場に来ております!』

 

『私は今、「通功の古聖堂」の前にいるのですが……』

 

『すでに現場には熱がこもっており、互いに譲らまいと張り詰めた空気になっております!誰かが一歩間違えば、この場が大惨事になりそうなほどの雰囲気です!感じられますでしょうかこの空気感!』

 

「すごい……人がいっぱい……」

 

 今まで見たこともないような大勢の生徒が、規律正しく整然と並び、向き合ってます!

 

「……ぴりぴりしてる」

 

 わたしは、なんとなく人の感情がわかります……きっと幽霊だからでしょうか?

 初めて会った時のホシノさんがわたしを警戒していたり、ハナコさんがよくわからないですけど何かに期待されていたのも分かりました。

 

 今画面に映っている人たちは、警戒と敵対心、そして少量の期待感が混ざった感情が感じられます。

 

 ……テレビ越しでも感じられたんですね、わたし……

 

 

 

『ものすごい威圧感ですね!ここが調印式の会場である、古聖堂の様子です!』

 

「わぁ……!」

 

 とっても大きくて、綺麗な建物……立派で、すごいです……

 

 いつか、行ってみた()()()なぁ……

 

 

 

 ……?

 

 わたし、いまなんて……?

 

『ややこしいですね、簡単に言いましょう!』

 

「はっ!」

 

 ふと気がつけば、このエデン条約についての説明がテレビで流れていました。

 

『これまでいがみ合ってきたことでも有名なこのキヴォトスの二つの巨大な学園が、ついに平和のため手を取り合おうとしているのです!』

 

「へぇ……」

 

 あのゲヘナとトリニティが、ですか……()()()()()()()()()()()()

 

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『さあそんなタイミングで、我らが連邦生徒会は何をしているのでしょうか?』

 

「!」

 

 連邦生徒会……!

 

 テレビの映像に、昨日行われた連邦生徒会の緊急記者会見の様子が映し出されました。

 

 

 

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「……あれ?」

 

 気がつけば、連邦生徒会の記者会見は終わっていました。

 

『それでは次に、このエデン条約に参加する各学園の主要人物につきまして──』

 

 そうして映し出されたのは、軍服に白髪を着た、目付きの鋭い生徒。

 

『ゲヘナ学園の議長、すなわち生徒会長の羽沼マコトです!』

 

 ……ゲヘナの生徒会長、ですか……

 

 ……この人は喜びの感情……いや、これは……なんでしょう?

 

『そして、トリニティ総合学園におけるティーパーティーのホスト、桐藤ナギサも古聖堂に到着したようです!』

 

『そろそろゲヘナの風紀委員長も到着とのことで──』

 

 あ、この方たちは知ってます!先生から聞いたことがあります!

 

『──皆さん、引き続きこの様子をご覧ください!』

 

 ふふ、楽しみです!

 

 

 

 もう少しで調印式が始まるみたいです!

 

『そろそろ調印式が始まるようで────

 

 

 

 

 

 ドガァァァァァン!!!────』

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

 いま、なにがおきて……?

 

 

 

 目の前の画面で起きたのは、一瞬の閃光。そして、爆炎と爆煙が舞う様子を、はっきりとわたしの目は捉えていました。

 

 

 

『緊急事態です!古聖堂が、正体不明の爆発に包まれ……!』

 

『これは一体……せっ、尖塔が崩れています!』

 

 

 

「……うそ」

 

 あの場には、先生もいたはずです……

 そして、先生は生徒さんたちとは違って怪我しやすい……

 

「……うそです!」

 

 画面から、苦痛と悲しみ、混乱がわたしに直接叩きつけられてきました。

 

「ぅあ……!?」

 

 ジリジリと身体が燃えるような、ギリギリと全身が痛むような感覚がやってきます。

 

「せん……せ……!」

 

 それでもわたしは、テレビに手を伸ばしました。

 

 なぜか、そうしなければならないと本能で理解していました。

 

 テレビに触れたその時────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ゴォォォオ!

 

 目の前にはテレビではなく、燃え盛る建物と瓦礫の山が広がっていました。

 

「……ここは……!」

 

 瞬間、わたしはここがシャーレのビルではなく、あのテレビの会場なのだと理解しました。

 

 同時に、一気に溜めていた「力」の数割を持っていかれたような感覚で、思わずふらついてしまいます。

 

「うぐ……でも……!」

 

 なぜわたしがシャーレの外に出ているのか、どうしてここにいるのかという疑問は尽きません。だけど……!

 

「せんせい……!」

 

 わたしは先生を探して、走り出していました。

 

 

 







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