シャーレの夜に出る幽霊ちゃんとの生活   作:めろんムーン

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 曇らせではありません……ないよね?

 私の曇らせの価値観がバグってるのかもしれないですけど、これは曇らせではありません。許してください。
 幽霊ちゃんハッピーエンドのためにはエデン3章は外せないので……

 感想と高評価ください。


どこですか

 

 

 

 ……い!

 

 先生!

 

「先生!目を覚ましてください!」

 

「ぐ……うぅ……?」

 

 誰かに呼ばれて目を覚ました……うん?なんで私は寝ていたんだ……?

 

 そして呼びかけてくれていたのは……

 

「……アロナ?」

 

「先生、大丈夫ですか!?気を確かに……!」

 

 どうしてここに……いや、それよりも

 

「いったい何が……?」

 

 そうアロナに聞くと、精一杯答えてくれようとするが、焦っているのか切羽詰まった様子で話し始めた。

 

「古聖堂が爆破させられて……何とか先生を守ろうとしたのですが……」

 

「ば、爆破……!?」

 

 私以外のみんなはどうなって……ん?アロナも辛そうに……?

 

「もう、これ以上は…………しっかり……力が……」

 

「アロナ?アロナ……!?」

 

 だんだんと夢から覚めていくような感覚。シッテムの箱から出る時の感覚と同じだ。

 

「くっ……まだ……!」

 

 なんとか留まろうとするが、シッテムの箱自体が閉じようとしているのか強制力がとても強い。

 

「くっ……!」

 

 抵抗虚しく、私の意識は薄れていった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………!」

 

 目を覚ましたのは、瓦礫の山の中。

 

 伺えば、遠くで火の手が上がり、爆発に巻き込まれたのか生徒たちの悲鳴が聞こえてくる。

 

「きゃあぁぁぁぁっ!?」

 

「こっち、こっちに怪我人が……!」

 

「けほっ、けほっ……!だ、誰か……」

 

 

 

「……ぐっ……!」

 

 助けに行きたかったが、自分の状況がそれを許してはくれなかった。

 

 運良く瓦礫の間に挟まったのか、幸い大きな怪我は無いようだったが……危ういバランスで保たれている可能性を考え、迂闊に動くことができない。

 

 

 

 辺りを見回してみれば、確実に場違いな男が1人、瓦礫の山の中を横切ったのが見えた。

 

(今のは……!)

 

 全身をスーツで包み、ぎぃぎぃと音を鳴らして歩いていったその男。

 首は二つに分かれ、マネキンのような木の頭がそれぞれについた異形の存在。

 

(……ゲマトリアか……!)

 

 なんとか身動きしようと瓦礫の具合を確認していると、足音が聞こえてきた。

 

 

 

「……先生!」

 

 

 

 やってきた生徒が瓦礫を押し退け、私を助けてくれた。

 

 

 

「ヒナタ、ありがとう」

 

「いえ……お怪我は……無さそうですね。あの爆発に巻き込まれてほとんど傷一つ無いなんて、本当に奇跡のようです……」

 

 助けてくれたのは、古聖堂で直前まで私を案内してくれていた、シスターフッドのヒナタ。

 

「あ、ああ……」

 

 ……まぁ、確かに……

 

 時計を見れば、15時10分。

 

 そして、それを確認すると同時に、こちらに走ってくる、2人の足音が聞こえた。

 

「先生!ご無事でしたか!」

 

「せ、先生……!」

 

「ハスミ!ツルギ!」

 

 走ってきたのは、正義実現委員会のハスミとツルギの2人だった。

 

「正義実現委員会のみなさん……!」

 

「みんな、すごい怪我……」

 

 ハスミは全身がボロボロで、ところどころ血が滲んでいる箇所もあるようだった。

 

 ……ツルギは傷一つないが、服はボロボロで、血の跡がついていた……治ったの!?この一瞬で!?

 

「これくらい大したことありません。ですが先ほどの爆発で、正義実現委員会のほとんどは戦闘不能になってしまいました。それに、ナギサさんやサクラコさん……それ以外にも多くの方が見当たらなくなって…………ゲヘナ側も、ほとんど見当たりませんね……これはどういう──」

 

「っ!」

 

 ツルギがハスミの話を遮り、周りを警戒し始めた。

 

 すると、遠くから近づいてきた一団が、私たちの前に立ち塞がる。

 

「作戦地域に到着、正義実現委員会の残党を発見…………いや、訂正。残党じゃなく、正義実現委員会の真髄だ」

 

 黒いマスクと白いパーカーを身につけ、ロケットランチャーを持った少女が無線で報告している。

 

「ツルギにハスミか……兵力をこっちに回して。これより交戦に入る」

 

「アリウス分校……!?ど、どこからこれほどの数が……」

 

「ま、まさか……!!古聖堂の地下にある、あのカタコンベから……!!」

 

 ハスミとヒナタが動揺し、アリウスの生徒たちが銃を構える。

 

「……なるほど。つまりこの状況は、アリウスの仕業だと考えていいでしょう……許しません、その代償、今ここで……っ!!」

 

 

 

「ハスミ」

 

 

 

「っ!」

 

 激情していたハスミを、ツルギが一言名を呼び鎮めた。

 

「……そうですね、ツルギ。今は先生の安全が優先……先生を連れて、ここから離脱します」

 

 

 

「あぁ……暴れるのは、私の役目だ」

 

 

 

 ニヤリと口を裂き、その言葉を聞きたかったとばかりに笑うツルギ。

 

「くひひひひっ……さぁ」

 

 

 

「相手してやるぜ、虫けらども!かかってきなぁ!!」

 

 

 

「ひゃっははははああぁぁーーーっ!」

 

 

 

 

 

 こうして、アリウスとツルギ達の凄まじい戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せんせい……どこですか……?」

 

 わたしはこの調印式の会場にやってきてから、ふわふわと浮いて先生を探していました。

 あまり高いところから眺めると見逃す可能性があるので、人3人分ほどの高さを浮いていましたが……

 

 

 

ズダダダダダダダダン!!!!

 

ズバン!!ズバン!!ズバン!!ズバン!!ドガン、バンバンバン!!

 

 

 すると、遠くの方……2つの方向から、銃声が鳴り響いてきました。

 

「……せんせい?」

 

 ……ショットガンのような音のした方は、どうやらたくさんの生徒さんがいる様子。

 

 重低音なマシンガンの音のしたほうは、すぐに音が聞こえなくなってしまいましたが……

 

 

 

「…………」

 

 

 

 迷った結果、わたしはマシンガンの音のした方向に向かったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ!一体なんですかあれは!」

 

 ヒナタとハスミが私の身を守り、ツルギが突貫して包囲の穴を突き破る戦いをして数分。

 

「……」

 

 私たちの周りは、ガスマスクをつけた青白い少女達によって囲まれていた。

 

「……幽霊みたいだ」

 

「先生?」

 

「倒すと消えて、でも何度でも現れる……」

 

「……なるほど、幽霊……言い得て妙な気がします」

 

 私がハスミにそう伝えると、ヒナタが何かに気がついたようなそぶりを見せた。

 

「幽霊……なら……」

 

「シスターヒナタ?」

 

「あの姿、本で見たことがあります……あれは、『聖徒会』の服装……!『ユスティナ聖徒会』……数百年前に消えたはずの『戒律の守護者たち』が、どうして今ここに……!?」

 

 そう言うと同時に、またずらりと並ぶユスティナ聖徒会。

 

「ケヒャア!!消えろぉ!!!!」

 

 ズダァン!!ズダァン!!!

 

 ツルギが何人もまとめて吹き飛ばすが、すぐにまた数が戻る。

 

「くっ……きりがありませんね!」

 

 そうハスミが言った時、それは起きた。

 

 

 

 

 

 ズドドドドドドドドドドドン!!!

 

 轟音と共に飛んできた銃弾の嵐に薙ぎ払われていくユスティナ聖徒会。

 

「……っ!」

 

 黒いマスクの少女が息を呑むと同時に、銃声の聞こえた方から声がした。

 

 

 

「こっち!!」

 

「ヒナ……!」

 

 そちらを向けば、ゲヘナ学園風紀委員会委員長のヒナの姿が。

 

 全身大怪我で、血も多く出ているが、それでも両の足でしっかりと立っていた。

 

 

 

「ヒヨリ、ヒナを止められなかった?」

 

 黒いマスクの少女が無線でヒヨリと言う少女に問い合わせる。

 

『けほっけほっ……す、すみません、ダメでした……聖徒会が顕現する前に、まとめて全員薙ぎ倒されて……』

 

「……仕方ないか、こっちに応援に来て」

 

『はい……』

 

 

 

「正義実現委員会、先生をこっちに!今は時間がない!!」

 

 ヒナが叫ぶ。

 

「……先生、私たちがここで敵を止めます。後はあの風紀委員長がきっと何とかしますから、急いでください!」

 

「……でも、みんなが──」

 

 そう答えようとしたが、ハスミに遮られる。

 

「先生、今トリニティの首脳陣は壊滅状態です。先生にまで何かあっては、本当に収拾がつかなくなってしまいます!」

 

「…………」

 

「……先生の無事を祈ります。その道は、私たちが守ってみせますから!」

 

「……ごめん!」

 

 そうしてわたしはヒナの所へと走り出した。

 

 

 

「風紀委員長!先生をよろしくお願いします!」

 

 

 

 そうハスミの声が後ろから聞こえる。

 

「……任せて」

 

 そうヒナが呟いた。

 

「先生、こっち」

 

「うん」

 

 そうして私は、ヒナに連れられて走り出した。

 

 

 

 

 

「……行きましたね」

 

 ハスミが先生の方を狙うユスティナ聖徒会の1人を倒す。

 

「が、頑張りましょう……!」

 

 ヒナタがトランクの中からグレネードマシンガンを取り出す。

 

「……やるぞ」

 

 ツルギが先頭に立ち、ここから先は通さないとばかりに立ち塞がる。

 

「……ここを通りたければ、私たちを倒していけ」

 

 

 

「……言われなくても、あなたたちは無力化対象。でも、先生の方が優先度は高い……さっさと倒させてもらうよ」

 

 黒いマスクの少女は、3人に対して数十、数百のユスティナ聖徒会で囲みながら、そう宣言した。

 

 

 

「けひっ!」

 

 ツルギから笑みが溢れる。

 

「けひゃひゃっ!やってみろォ!!」

 

 

 

「ひゃはははははぁぁぁぁぁあ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どこでしょう……ここではなかったでしょうか……」

 

 先生は、無事なら戦闘指揮をしているはず……そう考えて、マシンガンの重低音のした方角に来たわたしがみたのは、大破した車だけでした。

 

 

 

「……こちらではなかった、ですよね……」

 

 悪い予感がよぎるが、そんなことはないはずだと信じて、頭からその考えを追い払います。絶対に、そんなことはないはずなんです!

 

 

 

「けひゃひゃひゃひゃひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

ズダァン!!ズダァン!!

 

 

 

「ひぅ……」

 

 遠くの方から聞こえてくる絶叫と、爆発するかのような音にすこしびっくりしてしまいました……

 

 ……そういえば、さっきもこっちと違い、あちらの方角から銃声が……

 

 ……もしかして、あっちですか……?

 

「……せんせい、無事でいてください……!」

 

 そうしてわたしは、全速力でそちらの方へ駆けて行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 幾人ものユスティナ聖徒会を退け走る私とヒナ。

 

「ぐっ……はぁ……はぁ……」

 

 ヒナは傷が痛むのか、顔を顰めながら走っていく。

 

 かく言う私もデスクワークの弊害か、走り続けて息が上がってきていた。

 

「はぁ……はぁ……ヒナ、大丈夫……?」

 

「ええ……先生も、もう少し耐えて……ここを抜ければ……」

 

 ヒナがそこまで言いかけたところで、1人の生徒が目の前に現れる。

 

「ひ、ヒナさん……また会いましたね……」

 

 そこにいたのは、帽子を被り大きなケースを背負った、水色の髪の少女。

 

「っ、性懲りもなく……!」

 

 それと同時に、後ろからも走ってくる音が聞こえた。

 

 振り向けば、先ほどの黒いマスクの少女が。

 

「追いついたよ」

 

「くっ……」

 

 ヒナが顔を歪める。

 

「……ここで、倒れてもらうよ」

 

「や、やられちゃってください……」

 

 ユスティナ聖徒会も続々と集まってくる。

 

「……先生、下がってて。すぐに倒すから」

 

「……わかった」

 

 こうして、ヒナとユスティナ聖徒会の包囲網との戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これは……」

 

 絶叫が聞こえてきた方角にやってきたわたしがみたのは、気絶した3人の生徒さんでした。

 

「こ、これは……せんせいの言っていた、正義実現委員会の制服……?こっちは、シスターフッド……?」

 

 1人は仰向けに倒れた、狙撃銃を側に落とした背の高い生徒。

 

 1人はシスター服を身にまとい、グレネードランチャーが側に横倒しになっている生徒。

 

「た、たったまま気絶してます……」

 

 そして最後の1人は、全身血みどろになりながらも無傷で2丁のショットガンを両手に持ち、しかし立ったまま血溜まりの中心で気絶している恐ろしい生徒。

 

「ひ、ひぇ……はっ!せんせいは……!」

 

 周りを探しますが、それらしい姿はありません。

 

「こ、ここも違う……?」

 

 もしかして、戦闘指揮をしているというのがそもそも間違いなのでは……そう思った矢先。

 

 

 

 ズダダダダダダダダダダダダ!!!!!!!!

 

 

 

「!」

 

 先ほどよりも近くに、マシンガンの重低音が聞こえました。

 

「さっきの場所にマシンガンの人がいなかったのは、こっちに移動していたから……!移動しているということは、せんせいと一緒かもしれません……!」

 

 その希望を胸に、わたしはまた急いで移動を始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ……くぅ…………」

 

 ドサッ……

 

「ヒナっ!」

 

 ヒナがついに力尽き、倒れてしまった。

 

「ゲヘナの風紀委員長……ようやく倒れた」

 

「や、やっとですか……痛かったですよねぇ、よくあの傷でここまで……」

 

 そこにやってくる、白い外套と顔を全て覆うガスマスクをつけた紫髪の少女。

 

「…………」

 

 そして、キャップを被り、顔の下半分を覆うマスクをつけた、1人の少女がやってきた。

 

「念の為、風紀委員長には銃弾を叩き込んでおけ」

 

「は、はいぃ……」

 

「……了解」

 

 ユスティナ聖徒会が、倒れているヒナに銃撃を加える。

 

「……っ!ヒナっ!」

 

 私は叫ぶことしかできない。

 

「トリニティとゲヘナの主要人物は全部片付いた。残りはもう貴様だけだ、シャーレの先生」

 

 

 

 声をかけられ、マスクの少女──サオリの方へと顔を向ける。

 

「……君たちが、アリウススクワッド?」

 

 

 

「…………ああ、そうだ。私たちが『アリウススクワッド』。ようやく会えたな、先生」

 

「…………そうだね」

 

 気がつけばヒナに対する銃撃は終わっていた。

 

「アズサが世話になったと聞いた。あいつには今から会いにいく予定だ」

 

「…………」

 

「……我々はトリニティに代わり、この『通功の古聖堂』で条約に調印した」

 

「…………どういう意味?」

 

 私が聞き返すと、サオリは目を瞑り、考えるそぶりを見せてから私を見つめ直した。

 

「……私たち『アリウススクワッド』が、楽園の名の下に条約を守護する新たな武力集団……『エデン条約機構(ETO)』になったということだ」

 

「!?」

 

 驚く私を無視してサオリは話を続けた。

 

「これは元々、私たちの義務だった。本来ならば第一回公会議の時点で、私たちが行使すべき当然の権利。だがそれを、トリニティが踏みにじった。私たちを紛争の原因、すなわち『弾圧対象』として定義し、徹底的に弾圧を行った」

 

「…………!!」

 

「……これからは、『アリウススクワッド』がエデン条約機構(ETO)としての権限を行使し、「鎮圧対象」を定義し直す。ゲヘナ、そしてトリニティ。この両校こそエデン条約に反する紛争要素であり、排除すべき鎮圧対象だ」

 

「それは、つまり……」

 

「トリニティとゲヘナを、キヴォトスから消し去る。文字通りな……この条約の戒律、その守護者たちと共に」

 

「…………っ!」

 

「貴様等は第一回公会議以来、数百年に渡って積み上げられてきた恨み……私たちの憎悪を確認することになるだろう」

 

「……だがその前に、貴様を処理しておくとしようか」

 

 

 

 ジャキッ!

 

 

 

 サオリが銃口を私に向ける。

 

「シャーレの先生……貴様が計画の1番の支障になりそうだと、彼女は言っていたからな」

 

 

 

「うっ……ぐっ……せん……せい……」

 

 

 

 ヒナが視界の隅で身動ぎしたのが見えた。

 

 しかし、身体が動かないのか、こちらに目を向けただけだった。

 

 

 

「……さらばだ、先生」

 

 

 

 

 

 

「だめぇぇぇぇぇええええ!!!!」

 

 ズダダダン!!

 

 

 

 

 

 私に向けられた、サオリの銃口が光った。

 

 

 

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