シャーレの夜に出る幽霊ちゃんとの生活   作:めろんムーン

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せ、先生!?

 

 

 

「い、1週間ですか!?」

 

「うん、そうだよ。エデン条約の調印式での騒動が収まって、私がシャーレに戻ってから1週間経ってるよ」

 

 シャーレで先生に抱きつかれながら言われた言葉に驚くミズキ。

 

「そ、そんなに……って!先生、抱きついてます!は、離してくださいっ///」

 

「あ、あぁ……ごめんね」

 

 抱きついていたミズキをぱっと離す先生。

 

 

 

「もぅ……って、なんで先生、わたしのこと触れたんですか……?」

 

「あ、確かに……?」

 

 普段と違うことに気がついた2人。

 

「うーん?ちょっと触ってみてください」

 

 ミズキがスッと右手を先生に差し出した。

 

「うん」

 

 先生がその右手を取ってみる。ミズキの右手に触れた先生の手は、そのまま手をすり抜けることなく触ることができた。

 

「触れるね」

「触れますね」

 

 2人して首を傾げる。

 

「うーん……?」

 

 その後、ミズキは周囲にあったデスクや書類などを触るも、すりぬけずに触ることができた。

 

「今までは意識すれば物に触れていたんですけど……普通に触れますね」

 

「うーん……意識すればすりぬけられるとか?」

 

「そうかもしれませんね」

 

 もう一度意識して触れば、しっかりとデスクや書類、そして先生の手などをすりぬけることができた。

 

「できましたっ!」

 

「よかったね」

 

「はいっ!意識すれば今まで通りみたいです!今までは触れなかった先生にも触れるようになりましたし、とっても嬉しいです!」

 

 わからなかったことが無事わかり、喜ぶ2人。

 

 

 

「……うん?」

 

「どうしたの、ミズキ?」

 

「いえ……」

 

 ふと自身の力に意識を向けたミズキ。

 

(これは……?)

 

 先ほど意識してすりぬけた時、妙な万能感と、溢れ出てくるような力を感じたのだ。

 

 より深い自分の内側、溜めた力を意識して確認すれば──

 

 

 

(なっ!)

 

 

 

 ──そこには、以前の10倍以上に溜まった力と、それを溜めてもまだ余裕のある器が存在していた。

 

(まさか……大人のわたし……!)

 

 あの白いシャーレのような空間での出来事を思い出すミズキ。

 

(修復だけではなく、もしかして自分の霊基を使ってわたしの器の強化までしたんですか……!?)

 

 脳裏に大人のミズキの微笑みが浮かぶ。

 

(……もう、次に会ったときは怒らないとです!)

 

 ミズキにしてみれば、大人のミズキも1人の人間。できれば自分を大切にしてほしいと思うのだった。

 

 

 

「ミズキ?」

 

「あ、いえ!なんでもないです!」

 

「そう?ならいいんだけど……」

 

 考え込んでいたように見えたミズキを心配する先生。

 

「え、えっと……あ、1週間って言ってましたよね!その間に何があったんですか!?」

 

「ああ、そうだね。ミズキが消えた後のこと、ちゃんと説明するね────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────って事があったんだ」

 

 先生から、調印式からの3日間の混乱を聞かされたミズキ。

 トリニティの混乱、アズサとアリウスの確執やヒフミの青春宣言、アリウスの戦術兵器であったヒエロニムスなどの話をじっくり詳しく聞くことができた。

 

「そんなことが……って、先生はあのあと丸一日寝てたんですか!?大丈夫でしたか!?」

 

「うん、問題ないよ。銃弾もミズキが防いでくれたから怪我も無かったし」

 

「そうですか……よかった……」

 

「私は、ミズキが私を庇った後に消えてたことの方が怖かったけどね。無理したんじゃないかって」

 

「あ、あはは……無理はしてないです」

 

 少なくとも、あの時点ではミズキはあれ程消耗するとはわかっておらず、霊基や器が壊れかけていたことは知らなかったので、嘘は言っていない。

 

「あんなに大変なことになるなんて思ってもいませんでした……」

 

「そうだね。でも、アリウスの裏には悪い大人──ゲマトリアが居るのがわかったから。彼女たちのことも、私は助けてあげたいよ」

 

「ふふ、そうですね。先生なら、きっと彼女たちのことも助けてあげられるはずです!」

 

 

 

 

 

「そういえば、なんだけど」

 

「はい?」

 

 しばらく雑談を続けた後。先生が話題を切り替えた。

 

「ミズキ、滑舌が良くなってるよね?」

 

「え?そうでしょうか……」

 

「うん。前は私を呼ぶときはせんせい、って感じの発音だったけど……今ははっきり先生って言ってるよ」

 

「そうでしょうか?えっと、先生?」

 

「うん、やっぱりハキハキと喋ってるよ」

 

「そ、そうですか……えへへ///」

 

 はにかむミズキ。

 

「ふふ、成長したみたい」

 

「うぇっ!?こ、子供だと思われてますか!?」

 

「ふふっ」

 

「先生!?答えてください!!先生ーーー!!!」

 

 こうして、またいつもの日常が戻ってきた。

 

 

 

「あ、もうこんな時間……」

 

 時計を見れば、いつもより遅い午前2時。

 

「……そろそろ寝ないとね」

 

「……ですね」

 

 寝る準備を整える先生。

 

 2人は寝室に行き、先生はベッドに横たわり、ミズキは椅子に座った。

 

「……ねえミズキ、遠隔で電気って消せる?」

 

「……?はい、消せますけど……」

 

「じゃあ、消すのはちょっと待ってこっちに来て」

 

「?」

 

 言われた通りに先生に近寄るミズキ。

 

「来ましたけど──「よいしょっと」──!?」

 

 先生が近寄ってきたミズキの身体に腕を回して、担ぐようにベッドに引き寄せた。

 

「ふぇっ!?!?!?」

 

 気がつけば、先生に後ろから抱きかかえられて2人でベッドの上で寝ていた。

 

「あ、え、せ、先生!?!?!?!?どういうことなんですか!?!?!?」

 

 すりぬけて抜け出せばいいものを、混乱して抱きかかえられたまま抗議するミズキ。

 

「ミズキ、エデン条約の朝に私の隣で寝てたでしょ?その時に、『これからは一緒に寝る』って約束したよね?」

 

「えっ、で、でも抱きかかえる必要は……!?」

 

「ふふ、ミズキが恥ずかしがっちゃうかと思ったから……イタズラしちゃった、ってところかな」

 

「ふ、ふぇぇ……///」

 

 後ろから抱きかかえられて耳元でそう言われ、両手で真っ赤になった顔を隠すミズキ。

 ミズキを抱き枕にした先生は、ニコニコしながらそれを見ていた。

 

「さ、電気消して」

 

「は、はい……///」

 

 真っ赤になった顔が見られないだろうと、すぐに電気を消そうとするミズキ。

 パチリ、という音を立ててミズキの力によってスイッチが押され、電気が消えた。

 しかし、電気が消え暗闇となり、寝るために目を瞑ったことで、ミズキは自分を抱きかかえている先生の腕をより鮮明に感じてしまう。

 

「…………///」

 

「おやすみ、ミズキ」

 

「は、はい……///おやすみなさい……///」

 

 もし心臓があったら爆発してたかもしれない……と思うミズキ。

 先生はミズキが帰ってきて安心したのか、疲労が溜まっていたのか……電気を消して数秒で眠ってしまっていた。

 

「…………先生の、腕……」

 

 男の人の、しっかりとした腕がお腹に回されていた。

 

 

 

「…………♡」

 

 

 

 ミズキは、暗闇の中で1人、顔を綻ばせた。

 

 

 




 思ったより短くなってしまいました

 先生が大胆になってきましたね……



 「感想、高評価、お願いしまーす!!」

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