超絶難産でした。
ミズキの力の説明回です。
細かい説明を読むのが面倒で読み飛ばした方のために、次回の前書きにもミズキの能力一覧について載せます。
先生が仕事で出かけており、当番の子もそれについていって暇になったある日。
仕事を終わらせてゆっくりしていたわたしは、ふとあの白いシャーレでの……大人のわたしとの会話を思い出していました。
『力の使い方と消耗量を纏めた物です。後で確認すると良いでしょう。いつでも思い出せますから』
大人のわたしは、確かこんなことを言っていましたね……
そういえば、まだ確認していませんでした。今は先生もいないですし……確認しておきましょう。
そう思って、思い出そうとすると、1冊の小さな薄い本をいつのまにか手元に持っていました。
「…………え?」
そして、突然現れた本に驚いて思わず声をあげてしまいました。
…………なんでしょう、これ……
表紙を見てみれば、そこには
……という文字が。いや、すぐ思い出せるっていうか……すぐ取り出せる、ですよね?これ……
大人のわたしは結構お茶目なのかもしれません。そう思いながら本を開けば中には目次が。
目次
はじめに……霊的物質について
・能力編
1.現存物質──霊的物質の変換
2.霊的物質による物体の構築
3.霊的物質変換構築による現存物質再構築
4.霊的記憶領域と貯蓄霊的物質について
5.対象指定(マーキング)
6.透過
7.騒霊(ポルターガイスト)
8.瞬間移動
9.憑依
10.発火
11.金縛り
12.電気系統操作
13.ラップ音
14.念話
15.精神感受
16.呪殺
17.被認識感知
18.夢干渉
19.ヘイロー干渉
・
・
・
……多いです!!
えぇ……すっごい多いですよこれ……
っていうか!呪殺とか発火とか危ないのも見えるんですけど!?大人のわたし、何してるんですか!?
……いや、実際にやったことはないですね、たぶん。流石に。
さて……とりあえず、気になるのから読んでいきましょうか。
まずはこれ、8番目の「瞬間移動」です。1番目から4番目は気になりすけど……難しそうな話なので、また後で。気になるのが3つほどありますからね。
瞬間移動……
・視界内で認識、または対象指定を行い認識している物、場所、人への瞬間移動を可能とする。
・霊力消費は非常に多い。
・現存世界における霊的物質の転送は非常に抵抗が強く、距離が離れるほど霊力消費も増える。
・理論としては──
……なるほど。エデン条約の調印式でのテレビを使ったワープは、やはりこれですね。
テレビに映っていた古聖堂に移動できたのも、古聖堂を認識していたから……でしょうか?
電気系統操作も関係してそうですね。要確認です。
霊力消費も非常に多い……実際、古聖堂への移動ではいつもの2倍ほどまで貯めた霊力の9割を使いましたからね……
大人のわたしによって霊基の修復と強化がされ、霊力も以前の10倍ほどになりましたが、乱発はできないでしょう。
……下の方に書いてある理論は、難しすぎて私にはわからないですね。ページ最後まで書いてあるんですけど……
次です!今出てきた5番目の「対象指定」!
多分いろんなやつの基礎になる大事なやつです!
対象指定……
・自身が認識した物、場所、人を対象指定する。
・霊的物質によりマーキングを行ったものを認識し、対象指定する。
・霊力消費はない。
・マーキングを行ったものは、どれだけ離れていても認識ができる。
・理論としては──
……マーキング?初耳です。
物、場所、人……とりあえず、シャーレにマーキングしてみることにします。
シャーレの執務室の机に触れ、(マーキング)と唱えると、何やら白い勾玉のようなマークが机につきました。
……うーん?よくわかりませんね……
理論はわかりませんから、もう飛ばしちゃいましょう。とりあえず、他にいつも使うところ……寝室にでもつけに行きましょうか。
寝室にやってきた私。ここに来る途中に気がつきましたが、マーキングをつけたものがどこにあるのかはっきりわかります。前にモモイさんが持ってきてくれたゲームの機能みたいな感じ。
とりあえず寝室に入り、ベッドにマーキングしてからシャーレの机のマーキングを目印に真っ直ぐ壁や床をすり抜けていきます。
普段は近い廊下に出てからシャーレの執務室に向かっているのですが、今回はそんなことをせずに目印に向かって真っ直ぐと。すると、ちゃんとシャーレの机にたどり着くことができました。目を瞑っても感じようと思えばしっかり感じることができますし、とても便利です。
……あとで先生にも付けておきましょう。
さて、次です。9番目の「憑依」。もしかしたら、これがあればシャーレの外にも出れるのでは?
憑依……
・指定した物、人に憑依することができる。
・完全憑依か、依代としての憑依かを選ぶことができる。
・物に憑依する場合、憑依した物を依代として霊体で活動できる。
・物に憑依する場合、霊力消費はない。
・人に憑依する場合、その人の神秘の質、意思の強さの2点に比例して消費霊力は大きくなる。
・楔のある礎から離れるほど、自身の力は弱体化する。
・理論としては──
ほうほう、なるほど……依代、ということはその依代から一定範囲の中では自由に行動できるようになるんですね……たぶん。
完全憑依は、おそらく乗っ取り……?恐ろしい力です。あんまり使わない方が良さそうですね。
でも、物に憑依すれば先生に憑いていくことも可能かもしれません。楔のある礎、というのはよくわかりませんけど……大人のわたしが、『貴女はシャーレにしか存在できない』と言っていましたね。おそらくシャーレが楔のある礎、なんでしょう。あまり離れすぎると弱体化する……覚えておいた方がいいですね。
さて……本題の1から4番目について、ですか……「はじめに」も読んだ方が良さそうです。
はじめに……霊的物質について
霊的物質とは、光を含む凡ゆる物を透過し、空間と時間、そして人の意思にのみ従う物質です。
霊的物質は元素材となる「神秘」によって構成されており、現存物質とは違う法則を持っています。
通常、霊的物質は霊界と呼ばれる異界に存在しています。世界と、そして存在している位相が違うため通常は認識も不可能ですが、死後の残留思念などと違い、確固たる物質です。
人の意思に感応する性質を持ち、霊的物質の支配主の願いを叶えるように作用することもあります。
純神秘による本質の抽象図形化となるヘイローと違い、霊的物質は純神秘ではなく現存物質的側面も持ちます。
純神秘は現存世界では純エネルギーとして人の意思に感応し、物理法則を超える現象を起こすという点で霊的物質と共通しています。しかし、純神秘はテクストやイコン、シンボル的な役割に過ぎず、物質的な役割を持つ霊的物質とは明確な相違点があります。
そのほかにも──
ふむ、なるほど……?なんとなくわかったような、わからないような……
とりあえず、
・霊的物質は光を含むあらゆるものを透過するので人には見えない。
・存在している位相も違うため、認識もできない。
・時間と空間、人の意思だけに従う。
・神秘で構成されているが、物質。
・普通とは違う法則を持つ。
・霊界と呼ばれる場所がある。
・純神秘は概念的で純エネルギー的。霊的物質とは違う。
というかんじでしょうか……
あ、あと「神秘」は元素材で、神秘によって構成された「純神秘」と「霊的物質」があることくらいですかね?
先生が言っていた、
難しいです……とりあえず深く読むのはまた今度にして、次は1番目……「現存物質──霊的物質の変換」ですね。
現存物質──霊的物質の変換……
・現存物質とは、現存世界に存在する物質。
・私たち「絹守ミズキ」の神秘は、これを霊的物質へと変換することが可能。
・質量保存の法則に則り、置き換えた場合同等質量の霊的物質と現存物質を交換しつつ変換しているため、霊力や貯蓄霊的物質の総量の変化はない。
・変換した霊的物質は、貯蓄霊的物質として貯蓄される。
・消費霊力はない。
・霊的記憶領域に現存物質状態のプリセットを記憶しているため、正しい形で瞬時に変換することが可能。
・理論としては──
……ふむ、こっちはわかりやすいですね。
・現存物質と霊的物質を相互に変換する。
・等価交換なのでその他の要素には影響しない。
・貯蓄霊的物質という形で貯蓄される。
・プリセットですぐ呼び出せる。
ぐらいでしょうか?
貯蔵霊的物質がなんなのかは分かりませんが……わたしが扱える霊的物質を保管しておく場所みたいな所があるのでしょうか?
次は、2番目の「霊的物質による物体の構築」。1から4番目の中では、一番気になるところです。
霊的物質による物体の構築……
・私たち「絹守ミズキ」の神秘は霊的物質に対して支配権を保持している。
・貯蓄霊的物質を利用し思い描いた構造に霊的物質を構築することにより、霊的物質で構成された物体を作ることができる。
・現存物質への変換を行うことにより、現存世界へ顕現させることも可能。
・消費霊力はない。
・存在していない状態から構築するため、非常に難易度が高い。
・理論としては──
……つまり、自分の考えた通りの物を作ることができる能力……?
……理論を読むに、非常に難解みたいですけど……うーん、要練習、でしょうか……
……もしかして、これを使えば着替えたりできるのでは……?よし、頑張って練習します!!
次です!!3番目、「霊的物質変換構築による現存物質再構築」!
霊的物質変換構築による現存物質再構築……
・「現存物質──霊的物質の変換」と「霊的物質による物体の構築」を併用した、現存世界の物体を修復、再構築する技法。
・対象の一部を霊的物質へと変換した後、物体の構築によって変換した対象の一部を修復して現存物質に戻すことで再構築を行う。
・消費霊力はない。
・理論としては──
今までの中で格段に理論が長いです……でも、やれることの幅はとても広そう……あとでしっかり読みましょう。
最後、4番目「霊的記憶領域と貯蓄霊的物質について」ですね。
霊的記憶領域と貯蓄霊的物質について……
・霊的記憶領域とは、霊的物質の形状や性質を記憶しておく領域のこと。
・本来霊的物質は何かを構築することはないが、霊的記憶領域によって形状や性質を記憶することにより、構築難易度を大幅に下げる。
・貯蓄霊的物質は「病棟」に貯蓄されている。
・霊界に成立した「病棟」は霊界の霊的物質の一定量を貯蓄しており、「絹守ミズキ」は貯蓄霊的物質のリソースを割いてさまざまなことを行うことができる。
・消費霊力とは別の概念である。
・消費霊力はない。
・理論としては──
……これは単に、プリセット機能とリソースの話ですね?理論は長いですけどわかりやすいですし……
……ただ、「病棟」ってなんでしょう?
……大人のわたしのいたところ……?
……とりあえず、今日はここまでです。難しい……
とりあえず本をぱたんと閉じて、ふっと消します。
……これは貯蓄霊的物質に、構築していた本を戻した……ということでいいんですよね?
……まぁ、検証はまた今度にでもしましょう。
もうそろそろ夕方ですし、そろそろ──
ガチャッ
「ただいま、ミズキ」
「先生!おかえりなさい!」
仕事から先生が帰ってきました!
「あれ、当番の生徒さんは?」
「送ってきたよ。時間も遅くなってきてたし」
……こういう優しいところが、皆さんが先生が大好きな理由の一つだと思います。
「それじゃあ、ミズキが片付けてくれた仕事の確認するね」
「はい、お願いします!」
デスクへと向かっていく先生。特になんの変哲もない、変わらない日々。
今日もシャーレは平和なのでした。
理論とかは完全に何もわからないです(文系)
この本は大体1項目1ページ分くらいの分量で書いてあり、その大半が理論についての説明と思ってください。
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