シャーレの夜に出る幽霊ちゃんとの生活   作:めろんムーン

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 感想、しおり。高評価、ここすき……いつもありがとうございます!

 前回の話を面倒で読み飛ばした人向けに、今後ミズキが使える能力について記しておきます。わかりやすくするため前話に書いた順番とは違うもの、まとめて書いてあるものもあります。

 ミズキの使える能力
・現存物質──霊的物質の変換
・霊的物質による物体の構築
・霊的物質変換構築による現存物質再構築
・霊的記憶領域と貯蓄霊的物質
・対象指定(マーキング)
・騒霊(ポルターガイスト)
・瞬間移動、透過、憑依
・発火、金縛り、ラップ音
・電気系統操作、被認識感知、夢干渉、ヘイロー干渉
・念話、精神感受
・呪殺

 前話を読まなくても特に不都合がないよう都度説明は入れていくつもりですが、分からない点などがあったらぜひご指摘ください。
 本編前に長文失礼しました……



先生が誘拐されました!

 

 

 

 先生がSRT特殊学園というところの1年生、RABBIT小隊の子達と知り合ってから数日。

 公園暮らしの彼女たちの様子を見に、先生は出掛けるようでした。

 彼女たちはご飯がなかったり、お風呂に入れる環境がなかったりしているらしく、たびたび先生が様子を見に行っています。

 

 しかし今日は、見に行く日ではなく普通の買い物。

 

「じゃあ、行ってくるね。帰りに連絡するから」

 

「はい!あ、先生ちょっと待ってください!」

 

「うん?」

 

 先生に近寄り、手に持っていたものを手渡します。

 渡したのは、紺色を基調にした布でできた、薄い袋。表には、白い勾玉のような印があります。

 

「これは……お守り?」

 

「はい!すこし前に先生に【マーキング】……私の霊的物質というものでつけた印の場所がわかる、【対象指定】という能力があるのを伝えたと思いますけど……結局先生にはしていませんでしたよね?」

 

「あ、あはは……流石に私本人にはね……」

 

 大人のわたし製、『すぐわかる!幽霊の力の使い方!』という本をこの前読んだ私は、【対象指定】という力にあったマーキングという行為をして先生の場所を把握できるようになったほうがいいと思ったんですが……許可を取ろうと説明したら、残念ながら断られてしまったんです。

 

「なので、代わりにこのお守りにマーキングをしておきました!肌身離さず持っていれば、わたしが先生のいる位置がわかります!」

 

 そう、このお守りはわたしが霊的物質の物体の構築の練習で1から作ったものです。いい感じに作れたし、マーキングして位置もわかるようになってます。

 

「え、ええ……?でも、そこまでしなくても……

 

「先生はキヴォトスでも有数の重要人物なんです!しかも、生徒さんたちと違って怪我もしやすいですし、身を守る手段も少ない……」

 

「うっ……そ、それは……」

 

「なので、せめて位置情報くらいはわからないと、と思いまして!電波の通じない位置でも関係なくこのお守りがあればわたしは先生の位置がわかります!」

 

「……うん、そうだね。ありがとうミズキ。心配してくれて嬉しいよ……ありがたくもらっておくね」

 

 そうしてお守りを受け取った先生は、今日もお仕事に出かけて行きました。

 

 そうそう、先生は最近、用事ができたり用事が終わった時にわたしに電話をくれるようになりました。

 突発的な用事が多くて、帰りが遅くなったりすることもあるから、と。

 ……先生の声が聞けるのはとても嬉しいので、わたしにとってはいい変化です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うん、買い物も終わったしそろそろ帰るよ』

 

「そうですか、分かりました。気をつけて帰ってきてくださいね」

 

 先生が買い物を済ませ、わたしに連絡してくれた先生。

 

『うん。……うん?』

 

 返事の後、不審げな声が混じる。

 

「先生?」

 

……そこの君。シャーレの先生かね?

 

 電話からかすかに聞こえてくる、先生以外の声。

 

君に用事があるんだ。ついて来てくれるね?

 

 先生はポケットに電話を切らないまましまったのか、音がくぐもる。

 

『ドサッ』

 

「せ、先生!?」

 

 倒れたような音がして、叫び、はっとなりました。もし仮に、今の声が先生の携帯から相手に聞こえていたら……助けを先生は呼べません。

 

「……!」

 

 どうにかして助けなきゃ……その一心で、わたしは今まで練習していた力を使い、シャーレを飛び出したのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …

 

 ……

 

 …………

 

 …………………ここは……

 

 

 

「……おや、お目覚めですか」

 

 私が目を覚ますと同時に歩いてくる人影。

 

「体調はいかがです?」

 

 歩いて来たのは、ロボット市民……頭には赤いバンダナ、体には布を羽織り、首からビーズのネックレスを幾本かさげた人だった。

 

「問題なさそうでしたら何よりです。下手なおもてなしで何かあったらどうしようかと……なにせ私たちも、キヴォトスの外の方をお迎えするのは初めてでして」

 

 あの方法が下手じゃなかったと……?

 ……まぁ、この言葉は飲み込んでおこう。

 

「……あなたは?」

 

「ご挨拶が遅れました、私の名前はデカルト。この組織、『()有せずとも()かな()せを探す集い』……通称、『所確幸』を率いるリーダーです」

 

「しょかっこう……?」

 

 聞き馴染みのない組織だ。

 

「お耳に入れたのは初めてでしょうか?清貧な人生を追い求める方であれば、一度は聞いたことがあるのではと思ったのですが……なるほど。まぁ、そうかもしれないとは思っていました」

 

「????」

 

 何が言いたいのか何にも伝わってこないんだけど???

 

「何せあなたは、部下を使って食べ物を強奪していたようですからね」

 

 ……はい?

 

「えっと、何の話……?」

 

 私がそうきくと、デカルトは憤ったように眉のパーツを釣り上げた。

 

「とぼけるのも大概にしなさい!私の仲間がこの目ではっきり見たのです、あなたとウサ耳の生徒たちが仲良くしているのを!」

 

「ウサ耳ってことは……RABBIT小隊のみんなのこと?」

 

「あの生徒たちの呼称については、特に興味ありません。大事なのはただ、あなた方が我々の求道を邪魔する、貪欲な者たちであるということ」

 

「何か邪魔をしちゃったっけ……?」

 

 本当に心当たりのないことを言われて、困惑する。

 

 

 

「……私たちは、時にこう呼ばれます。『穀潰し』、あるいは『社会の膿』、と……しかし、それはどちらも的を射ていません。私たちは何もしていないのではなく……ただ、『無所有』を実践しているだけなんです!」

 

「話の流れが見えてこない……」

 

 そう嘆くが、特に聞く耳を持っていないようだ。どうすれば良いんだこの状況……

 

「キヴォトスの人々は、あまりにも多くの物を所有しています。新しい戦車、高い小銃、ミサイルを防ぐためのバンカーなどなど……こういった欲望はしかし、満たされる物ではありません。より上に、より高く……それらは最終的に、人生を疲弊させるだけなのです」

 

 

 

 ……うん?何か窓の外にふわふわしたものが……あ、壁をすり抜けて……

 

「先生、大丈夫ですか!?」

 

(み、ミズキ!?何でここにいるの!?)

 

 現れたのは、シャーレにいるはずの、焦ったような顔をしたミズキだった。

 

 

 

「真の幸せは『所有』ではなく、『無所有』から生まれるもの……生存に必要な最低限のもの以外を全て手放し、無為自然の在り方を維持する……それでこそ、真の幸福に辿り着けるのです」

 

 

 

 デカルトが何か言ってるが、ミズキに静かにしてと……いや、ミズキの声は私にしか聞こえないんだった。

 

「先生、少し待ってくださいね……」

 

 耳元までやって来たミズキが、デカルトをどう倒すか思案しているようだ。この距離ならギリギリ聞こえるかな?

 

(ミズキ、待って)

 

「先生?」

 

(この人は勘違いか何かをしているみたいだから……それを解かないと)

 

「……なら、わたしは先生の身を守ることにします」

 

(うん、ありがとう)

 

 

 

「そこで私たちは働かず、所有せずの『無所有』を実践して生活していたのです……ところがある日、ここに招かれざる客がやって来ました。ウサ耳を付けて、何やら高価な装備を手にしたその生徒たちは、次々に廃棄弁当を手にしていきました。彼女たちが通った後、そこにはペンペン草も残らず……もやし弁当一つすら残っていなかったのです……ただでさえ『焼肉弁当』などは廃棄の対象になりにくいのに……それを含めて、独り占めを……!こんな非常識な行為が、許されて良いのでしょうか!?」

 

 

 

 私とミズキが会話していたことにも気が付かず、一人で喋り続けていたデカルト。

 

 なるほど、RABBIT小隊がキャンプ生活を始めて廃棄弁当を回収するようになったからここまで怒ってるんだ……って、

 

「えっと、『贅沢な嗜好品には興味が無い』って話だったのでは……?」

 

「そ、それはそうですが……とにかく!ラビット小隊なのかウサギ小隊なのか知りませんが、あの暴挙を許すわけには行きません!」

 

 露骨に話逸らしたよね?いまめっちゃ苦しい所突かれたって感じだったよね???

 

「……なんでしょう、この人……?言ってる事がおかしく無いですか……?」

 

 うわ、あの優しいミズキが辛口コメントしてる……

 

 

 

「そして、あなたが彼女たちのリーダーと見ました……さあ、約束してください。今後『焼肉弁当』が廃棄されていたら、それは私たち『所確幸』に譲ると!」

 

 はぁ……まったく。

 

「あの子たちは、私の部下じゃないよ。あの子たちはただ、私の生徒たちだ」

 

「部下であろうが生徒であろうが、どちらでも構いません。あなたの言うことなら聞くのでしょう?」

 

 いや、全く違うけど……そもそも、私は生徒に何かを強要したりはしたくないし……そして、RABBIT小隊の子たちに私は嫌われてるっぽいし……

 

「……何ですかその微妙な表情は。先生だというのに、自分の生徒たちも律することができないのですか?全く、仕方がないですね……こうなったらスマホだけ寄こして、そこで大人しくしていてください。私が交渉するとします」

 

 私からスマホを奪い、操作を始めるデカルト。

 

「多分無駄だと思うけど……」

 

「えぇっと……これですかね」

 

 

 

(……というか、ミズキに通話したままだったと思うけど……切ってくれたのかな?)

 

「はい、ちゃんと切ってから来ました!」

 

(うん、えらいね。ところでどうやってここに?)

 

「小物に【憑依】して、それを【ポルターガイスト】で運んできたんです」

 

(……え?それアリなの?)

 

 ゲームで無理やり飛行するグリッチみたいな使い方してるけど……

 

「はい、できましたから!これでどこでも行き放題です!まぁ、シャーレの外だとポルターガイストもかなり燃費が悪いですけど……」

 

(……無理はしないようにね?)

 

「はい!」

 

 

 

 ピロロン♪ピロロン♪

 

 電話の音が鳴ったあと、その生徒は電話に出た。

 

『……何の用ですか?私たちは今、食事の準備で忙しいんですが』

 

「あぁ、あなたが『RABBIT小隊』のリーダーですか?私たちは真の幸せを追求する都市の求道者、『所有せずとも確かな幸せを探す集い』……略して『所確幸』の──」

 

 プツッ、ツーッ、ツーッ、ツーッ

 

「……き、切られた?」

 

 そらまぁ……

 

「詐欺か何かだと思ったんだろうね……」

 

「あんな話初めだとそうなりますよね」

 

 

 

「こ、これだから真理を知らない凡人たちは……」

 

 そう言いつつも、もう一度電話をかけるデカルト。

 

ピロロン♪ピロロン♪ポッ

 

「み、みなさん?どうやら『いたずら電話』か何かだと誤解されているようですが……あなたたちの先生は捕らえました。こちらの要求に素直に応じなければ、今から先生に残酷な仕打ちを──」

 

『好きにすれば?』

 

 サキの声が聞こえた後、またもやプツッと切られる通話。

 

「「「……」」」

 

「……また切れた!?」

 

 サキ、それは流石に傷つくよ……

 

「どういうことだ、あなたは本当に『先生』なのか!?これっぽっちも心配されてないじゃないか!?」

 

「まぁ、複雑な事情があって……」

 

「せ、先生……」

 

(や、止めてミズキ……これほんとに事情あるから……)

 

「ま、まぁ……あんまりRABBIT小隊の皆さんと仲が良くないというのは聞いていましたから……」

 

(き、気を遣わないで……)

 

 

 

「くそっ、せっかくシャーレの先生を人質にしたというのに……これでは高級弁当が……」

 

「こうなったら、他の方法を……」

 

 

 

「……ちょっと試しに、私が電話をしてもいい?」

 

「あなたが直接交渉すると?別に構いませんが、その振りをして警察に通報……などという小細工は止めた方が良いですよ。私たち『所確幸』の武装は、ヴァルキューレを軽く凌駕していますからね!」

 

 デカルトの言うことを無視してRABBIT小隊に電話をかける。

 

ピロロン♪ピロロン♪ポッ

 

『ああもう、何なの先生……こっちは夜遅くまで作業して疲れてるってのに。大した用事じゃないならもう──』

 

「実は廃棄された和牛ステーキ弁当を見つけて……」

 

『!?』プツッ

 

 ……電話が切れた。

 

「はははっ!あれだけ自信満々だったのに、自分だって無視されているではないですか!はぁ

こうなったらもう他の生徒を脅して……」

 

 カチッ

 

 何か音が鳴ったのが聞こえた。

 

「「「??」」」

 

 

 

 ドガァァァァァァァァン!!!!

 

 

 

 突如壁が壊れ、現れる3人組。

 

「SRTだ!部外者はどけ!」

 

 

 

 そう言い放ったのは、RABBIT小隊のサキだった。

 

「サキ、私たちは今SRTの任務中ではないので、名乗らないほうが……」

 

「そ、それよりここに、本当に最高級の和牛が……?和牛ステーキのお弁当なんて、SRTにいた頃も食べた事なかった……」

 

 一緒にいたのは、ミヤコとミユだった。

 

『うん、絶対にそう言ってた。間違いない。逆探知の結果から推測するに、すぐその辺にいるはず!急いで!』

 

 無線から聞こえてくるのはモエの声。

 

「いやー、優秀だ……」

「こ、こんなに早くきてくれるんですね……」

 

 私とミズキがそう感嘆する。

 

「あ、先生……和牛ステーキ弁当はどこだ!?」

 

「迅速な収集は任務の基本。賞味期限が切れているとしたらその旨味は刻一刻と減ってしまうため、今すぐに確保を……と思ったのですが、お弁当はどこですか?」

 

 私を見つけ聞いてくるサキとミヤコ……

 

「えっと、それが……」

 

「はははっ!まんまと私たちの計画に騙されましたね!欲望の果て、それはあたかも存在しない虚像のようなもの……!欲に負け、その虚像に魅せられた者たちは、いつしか破滅へと足を踏み入れる他ありません!」

 

 デカルトが私の言葉を遮って叫ぶ。

 

「何言ってるか分からないけど……和牛ステーキ弁当は無いってことか?」

 

「勿論です。どうしてそんなものが廃棄されてると思ったのですか。どうかこれをきっかけとして、「無所有」の素晴らしさに気づかれてはいかがでしょうか」

 

「さあ、同志たちよ!彼女たちにそれを教えてあげましょう!」

 

 デカルトがそう叫ぶと同時に現れる、浮浪者の見た目をした集団……

 

 

 

「先生!巻き込まれないようこっちに!」

 

 ミズキが建物の端の廃材の山に行き、ポルターガイストでバリケードを作って私を招いた。

 

「助かるよミズキ」

 

 こうして、「所確幸」と「RABBIT小隊」の戦闘が始まったのだった。

 

 

 




 幽霊ちゃんがみんなに見えない関係上、原作のストーリーになってしまうのは申し訳ないです……
 できるだけ改変しようとはしてますけど……各々のキャラクターが好きなので見せ場を取ったりしたくなくて……!


 ファンアート乞食すればFAもらえるよ!という先人の言葉に倣い、FA乞食をさせていただきます。

 ミズキちゃんのファンアート、支援絵……ください!
 立ち絵メーカーもいいですが、やはりいきいきとしたミズキちゃんが私は見たい……!
 120cm白髪幽霊幼女のウチの娘の可愛い姿を……!どうか……!

 書いてくださったら、作者のXかハーメルンのDMに叩きつけてくださると大変嬉しいです。



「えっと、感想、高評価、ここすき?しおり?よろしくお願いします!先生が欲しがってました!」
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