シャーレの夜に出る幽霊ちゃんとの生活   作:めろんムーン

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 ルーキーランキング1位らしいです。
 読んでくれたみなさま、ありがとうございます!


たのしいです

 

 

 

 パン!!パン!!

 

 

 

 夜のシャーレに響き渡る破裂音。

 

 

 

 パン!!パン!!パン!!

 

 

 

 鳴り響いている音は、シャーレオフィスに存在している射撃場から聞こえてきていた。

 

 仕事を早めに終えた私は、その音の主人……と言っても誰かはわかっているけれど、その人の元へと向かった。

 

 

 

「やぁ、ミズキ。何してるの?」

 

「あ、せんせい」

 

 私が来たことに気がついたミズキが、私の方を見る。右手には、持ち手のついた黒い板のような銃を握っていた。

 

「いまは、射撃練習をしています」

 

「射撃練習かぁ……って、その銃はどこから出したの?」

 

 そう私が質問すると、きょとんとした顔になった後にはて、というように首を傾げるミズキ。

 

「……うーん?どこからでしょう……念じると出てきます!」

 

 そういってミズキはパッと銃を消したと思えば、直ぐにパッと銃を何もないところから出現させ、それを数度繰り返す。

 

「え、えぇ……」

 

 果たしてそれは大丈夫なんだろうか……

 

「あ、弾は?流石にマガジンは……」

 

「弾ですか……あれ、どうしてたんでしょう……いつもマガジンを取り替えたいとおもったらいつの間にか手に持ってるんです」

 

「?????」

 

 ……この銃の存在、謎すぎる……

 

 

 

「……とりあえず、その銃が何かはわかるの?」

 

「はい!わたしの愛銃、『KRISS Vector』です!通常モデルと違ってストックを取り外してあって、アタッチメントも邪魔なので取り外してあります!私のつけた名前は【HOME GUARD】です!!」

 

 よくぞ聞いてくれましたとばかりに熱く語り始めるミズキ。

 普段のクール(?)で清楚、健気な印象と違い、今は大好きなものを語りたい!というような熱を感じる。

 いつもの滑舌の幼さもどこへいったのやら、とてもハキハキとわかりやすく発音している。

 

「使う弾は『.45ACP弾』!通常の拳銃弾よりも高威力で、反動が大きいのですが……このKRISS Vector、その反動を吸収する『Kriss Super V』という機構を搭載しているんです!」

 

「お、おお」

 

「装弾数はこのマガジンなら30発、発射速度は毎分1200発!総重量は弾薬を含まない場合、約2.5kgでとっても軽いんです!」

 

「……2.5kgってそんな軽いかな……?」

 

「射撃方式はセミオート、フルオート、2点バースト!そして今は取り外してありますが、サプレッサー、ハンドグリップ、ストック、ドットサイトとアタッチメントもしっかりあります!」

 

「な、なるほど……」

 

「ふふふ、では実際に撃ってみますね」

 

 そういって銃を射撃場の奥の的に銃を向けるミズキ。

 特に息を整えることもせず、自然な動作で銃を()()()()()拳銃のように構えると同時に発砲した。

 

 パン!!パン!!パン!!

 

 横の命中確認の表示には、しっかりと眉間とこめかみ、心臓の3点を撃ち抜いており、この一瞬で狙いを定めて正確に発砲したことが一目でわかる結果だった。

 

 

 

「すごいね、ミズキ。上手だよ」

 

「ふふふ、せんせいが来るまでの数年、掃除をするか夜景を眺めるか銃を撃つかしかやることがなかったですからね!」

 

「お、おお……」

 

 どう反応するのが正解なんだ……?

 

「あ、そういえば……以前私が指揮をした子たちは息を整えたり、自分のタイミングを測ったりしてたけど、しないで撃ってたよね?なんで?」

 

「息を整えたり……ですか?わたし、幽霊なので息はしてませんよ?」

 

「そ、そうだった……」

 

 な、何か口をひらけば失言している気がするんだけど……?

 

「そしてわたしは幽霊、つまり生身の肉体を持ってません!つまり、手ぶれもないんです!狙ったところに百発百中ですよ!」

 

 ……まぁ、ミズキ本人があんまり気にしていないようだし、私もあまり気にしないほうがいいのかもしれない。変に気にされると嫌な気分になるかもしれないし。

 

「すごいね……少し羨ましいかも。私は銃があまり使えないからね」

 

「せんせいは以前はキヴォトスの外からやってきたと言ってましたよね?それならしかたないと思いますけど……」

 

「……大人の男の人はね、誰だって銃を持ったらカッコよく撃ちたいものなんだよ」

 

「そうなんでしょうか……」

 

 そうだよ!!きっと!!そうに違いないんだ!!(諸説あり)

 

 

 

 

 

「さて、次はフルオートで撃ちますね。マガジンがどこから来ているのかもせんせいが気にしてくれなかったらわたしには気がつきませんでしたし……すこし興味がわきました!」

 

「うん、じゃあ見てるね」

 

「はいっ♪」

 

 そうしてにこっと私に笑いかけてから再び拳銃を構えるように前に右腕のみを突き出し、左手を添えることもせずに的に狙いを定めてトリガーを引いた。

 

 たららららららららららららららららららららら!!

 

 体幹を揺らすこともなくマガジンの中身を全て撃ち出したミズキ。

 

 即座に()()()()()()マガジンを持った手で銃にセットしてあったマガジンを落とし、手に持っていたマガジンを即座に装填した。

 

 ミズキが落としたマガジンはまっすぐ下に落ちていった。私がそれを注視していると、マガジンは空中でスゥッと薄れて消えていった……

 

 

 

「やっぱりマガジンも突然現れたり消えたりしてるよ」

 

「あ、そうなんですね……ふふ、わたしもあらたな発見です!」

 

「うん、よかったね」

 

「はい!」

 

 ニコニコと嬉しそうなミズキ。最初はクールで物静かな雰囲気だったのに、ここ数週間でこれだけ表情豊かになってくれたのは私もとても嬉しい。

 

 

 

「ところでそれ……多分サブマシンガンだと思うんだけど……なんで拳銃みたいに撃ってるの?」

 

「えっ?撃ちやすいからですけど……」

 

「…………???」

 

 両手で押さえたほうが撃ちやすいんじゃ……?

 

 

 

 

 

 さて、射撃練習を終えたミズキは、私と一緒にいつものシャーレの執務室に戻ってきていた。

 

「やっぱりここは落ち着きますね……なんででしょう?」

 

「うーん、なんでだろうね……」

 

 この場所がなにか彼女と深い関係があったのかな……?

 

「あ、そうだ。ミズキ、ボードゲームをしてみない?ミズキのために買ってきたんだけど」

 

「ボードゲーム、ですか?やりたいです!」

 

 にこにこと微笑みながら私が用意するのを待ってくれているミズキの横で、私はボードを取り出した。

 

 緑色の板に白い線が8×8で規則正しい書いてあり、板の周りは黒い枠に囲われている。

 そして、私とミズキの手元には裏表で白黒のメダルのようなものが何枚もある。

 

 

 

 そう、オセロ……またはリバーシと言われるやつだ。

 

 

 

「わぁ、オセロですね……」

 

 ミズキはオセロ派らしい。

 

「知ってるの?」

 

「はい、どこかでみました」

 

 ……生前の記憶、かな?

 

「じゃ、ルールもわかるかな」

 

「はい、だいじょうぶです」

 

「じゃ、始めようか」

 

 

 

 パチ、パチとオセロの石が交互に置かれていく。盤面は黒と白、半分半分で拮抗していた。

 

「せんせい、つよいですね」

 

「ミズキこそ。少なくともその身体では初めてのはずなのに、とっても上手だよ」

 

「ふふ、ありがとうございます♪」

 

 そういいながら石を置いていくと、いつの間にか私の黒色の石を置ける場所は無くなっていた。ミズキの白色の石は一塊になっており、気づけば盤面の半分を綺麗に白が覆っていた。

 

「あれ?」

 

「ふふ、チェックメイト、というやつです」

 

「あれ、いつの間に!?」

 

「ふふふ」

 

「ミズキ!?」

 

 小悪魔的な笑いをしながらパチパチと石を置いていくが、私の黒色の石がミズキの白色の石にひっくり返っても私が置けるようになった場所では少ない個数の石を取ることしかできず、場合によってはパスをせざるを得なかった。

 

「これで、おわりです」

 

 気がつけば、一面が白色の石で塗りつぶされていた。

 

「ぱ、パーフェクト……」

 

「ふふ、やりました♪」

 

 圧倒的な格の違いをミズキに思い知らされた私。

 

「すごいねミズキ……頭いいね……私も自信はあったんだけど」

 

「ふふ、こういうゲームは今見えている範囲でできる選択肢を全て自分の勝ちになるよう見据えないといけないんですよ?」

 

「それ全部の通りを予測しろってことだよね!?」

 

「ふふ、そうともいいます」

 

「えぇ……」

 

 ミズキ、小学生低学年くらいにしか見えないのに……恐ろしい子……

 

 

 

 

 

 その後も数度対戦したが、パーフェクト勝ちを阻止することはできても、私がミズキに一度も勝つことはできなかった。

 

 そうこうしているうちに、日付が変わった。

 

「うーん……うーん……?」

 

「せんせい、あきらめてください……もう日付がかわりましたよ……?」

 

「うーん……仕方ないかな……お風呂行ってくるね」

 

「はい、いってらっしゃい」

 

 そうして私はお風呂に入るために脱衣所へ行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、せんせいつよかったです……」

 

「ひさしぶりに苦戦しました……………………?」

 

「…………わたし、せんせい以外の誰に苦戦したんでしたっけ…………?」

 

 

 

 

 

「あ、銃のお手入れわすれてました!やらないと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆっくりとお風呂に入り、戻ってきた私は、銃の手入れをしていたミズキに迎えられた。

 

「あれ、その手入れ道具も出てきたの?」

 

「いえ、これは射撃場にあったやつを持ってきたんです」

 

「へぇ……って、突然出たり消えたりする銃に使えるんだ……」

 

「あ、たしかに…………?」

 

 ……私やミズキはどうやってもお互いに触ったりすることはできないことはわかっているけど、銃は試してないよね……

 

「ねえ、ミズキ。ミズキは物体をすり抜けるけど、ポルターガイストだったり触りたいと思ったものなら人以外には触れるよね?」

 

「はい、そうですね……せんせいにさわれなかったのは予想外でした」

 

「……銃はどうなのかな?」

 

「……ためしてませんね」

 

「じゃあ、試してみようか」

 

「……そうですね、やってみましょう!はい、どうぞ!」

 

 スッとわたしに差し出されるミズキの愛銃。触ってみると……

 

 

 

 ピトッ

 

 

 

「あ、触れたよ」

 

「ということは、銃はもしかしてわたしのように幽霊ではないのでしょうか……」

 

「かもね……」

 

 そのまま借り受けて振ったり、構えたり、マガジンを抜いてみたりもしたが、いずれもすり抜けない。どころか、霊体ではあり得ない、銃の冷たさを手に感じる。

 

「……これ、多分物質だね」

 

「し、知りませんでした……」

 

「ということは、ミズキは自分の他のものを霊体のようにしてしまっておけるのかもね。弾も、数えきれないほど持ってるとか?」

 

「なるほどー……今度試してみます!」

 

「うん、私も手伝うね」

 

「その時はよろしくおねがいしますね!」

 

 そうしてその後はいつも通りに寝室に2人で向かい、ミズキに見守られながら私は眠りについたのだった。

 

 

 

「おやすみなさい、せんせい。良い夢を見てくださいね」

 

 

 





「感想と、高評価、くださいね♪」
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