私がミレニアムサイエンススクールに行き、起こっていたゲーム開発部の廃部の危機の問題が解決したり、百鬼夜行連合学院やレッドウィンター連邦学園へと行って一騒動あったあと、その問題は起こった。
「あの、せんせい…………わたしの知らない小さなマイクがこの部屋だけでも15個設置されているんですけど……」
「……えっ?」
とりあえず盗聴対策として私は筆談に切り替えててから、調べてみることにした。
「私の声はマイクに乗らないので、普通に喋りますね」
『わかった』
「まず、こちらです」
その先にあったのは、先日ミレニアムサイエンススクールに行った時に知り合い、昨日当番になっていたコタマからもらったボールペン。
『これ?』
「はい。この中にマイクが仕込まれてます…………壊しますね?」
…………うーん……プライベートを無視するのは流石にダメかな。
『うん。壊して集めて欲しい』
「わかりました、では次にいきましょう」
ミシ、という音がしてボールペンの中の盗聴器をミズキが壊したようだった。
「これで壊れました。ちゃんと真っ二つになっていますよ」
ボールペンに手を入れて確認するという、なかなかホラーな光景を見せられた私。
壊した盗聴器の入ったボールペンを袋に入れ、次の場所へ行く。
「次はここです」
『これは……コンセント?』
「はい。正確にはコンセントタップですね」
……これはセリカから貰ったやつ……うーん、セリカのことだし騙されてそう。
『とりあえず壊して、別の袋に入れようか。今度アビドスに行った時に持って行くよ』
「わかりました」
バキッ!と言う音と共に中の盗聴器が破壊された音が鳴り、コンセントからタップを取り外してボールペンとは別の袋に入れた。
「次はこれです」
『ここは、パソコン?』
「はい、ここに3つあります」
『3つも!?』
そんなに……いつつけられたんだ……?
「えっと、まずここですね」
ミズキが指さしたのは、パソコンの土台。
『パソコンの土台?』
「はい、これをこうすると……」
ミズキが腕を振ると、スゥッとパソコンが持ち上がった。
「この、底面部分。くり抜かれて盗聴器が埋めこまれています」
『!?!?!?』
ものすごい場所にあるね!?
「抜き取りますけど、補修はせんせいがやらなきゃダメですね、これは」
『うーん、そうか……』
今度エンジニア部に……持ってっていいのかなぁ……盗聴器は仕掛けられないだろうけど、Bluetoothは付けられそうだよね……
まぁBluetoothならいいかな……?
「では外しますね」
腕を振ると同時にバキ、と言う音がして接着されていた部分が外れ、スッと綺麗にくり抜かれて盗聴器が抜き取られた。
『便利だね、その力』
「うごかしたいものだけえらべますから!とっても便利です!つかむひつようもありませんし!!」
『おー』
「さて、次はこちらを見てください」
パソコンの裏面部分をよーく見ると、何やら白く膨らんだところが。
「これも盗聴器です。極小タイプで、たぶんマイクで拾った音を録音するものですね」
『とんでもないね』
これといい埋め込まれていたやつといい、付けたのは誰……?
「あと、こちらにも」
そういってミズキが上側のとある一点を指さすと、そこにも白い膨らみ。
『二つも同じタイプが……?』
「たぶん、どちらか片方が見つかってももう片方あるとは思わず盲点になるのを狙ったんですね」
『えぇ……』
こ、巧妙……というより狡賢い……
「まぁ、シャーレに私がいたのが運の尽きです!」
『うん、ありがとうね、ミズキ』
「ふふ、どんどんたよってくださいね!」
うん、ミズキはいい子だなぁ……
その後も、さまざまな場所に隠されていた盗聴機を発見して行った。
「この壁の中です」
『壁の中!?』
「タコ足配線になっているところに埋め込まれてますね」
『え、ええ……』
「照明の傘の裏や、天井付近にも2つありました」
『……ほんとに、誰がこんなに……?』
「うーん……?」
「エアコンに普通に取り付けられてますね」
『本当だ……思いっきり無線装置みたいなのくっついてる……』
「あ、メモが貼ってありますよ?なになに……『アリスは極秘のお使いクエストを終わらせました!』ですって」
『あ、アリス!?確かにそういえば今日当番だった……誰に頼まれたんだろう……?』
「引き出しの裏にもありますね」
『……多いね……』
「ですね……」
「……せんせい、このオモチャにも付けられてますよ」
『オモチャじゃないよ!超合金KAITEN DXだよ!!』
「お、オモチャじゃないんですか……?」
『違うよ!!』
「え、えぇ……?」
「あ、こっちの……超合金?にもついてますね」
『それは超合金じゃなくてプラモデルのMG、【KAITENロボ】だね』
「ち、違いがわかりません……」
『今度説明してあげるね!!』
「は、はうぅ……」
「ベッドにもありますね」
『べ、ベッド……』
「あ、トイレにもありました」
『流石に看過できないなぁ……犯人は見つけて説教しなきゃね』
「これで全部でしょうか」
「これでようやく喋れるかな?」
「そうですね、おつかれさまですせんせい」
結局盗聴器はシャーレビル全体で
「しっかりと、お説教しないとね」
「あ、あはは……生徒さんたちには優しくしてあげてください……」
「とりあえず、持ち主が不明なやつ以外は本人に持って行って注意するね」
「はい、仕分けておきますね」
それにしても、いったい誰が仕掛けてたんだろうなぁ……
そうして今日も日付が変わり、寝る時間がやってきた。
「ごめんなさい……たぶん、盗聴器が仕掛けられていたのはわたしのせいです」
「ミズキの?」
「はい……私はせんせい以外の人には見えないので、私が先生と話していると周りの人にはせんせいは1人で喋っているように見えるはずなんです」
「なるほど……でも、私はここ以外でミズキの話を出したりは……いや、一回だけあったかな」
「あったんですか……」
「うん。ミレニアムサイエンススクールに、『明星ヒマリ』って子がいるんだ。その子がミズキとすっごくそっくりでね、関係性を聞いてみたんだけど……」
「その結果は……?」
「全く知らない、って……他人の空似だったみたい」
「まぁ……私もそのヒマリさんは知りませんからね……」
「ただ、その子は特異現象について調べる部活に入っているらしくてね。少し調べてみるって言ってたよ」
「あ、あの……それ、除霊とかされませんよね……?」
「……言っておくね」
「せ、せんせい!?うそですよね!?せんせー!?!?」
「あはは……まぁとりあえず、ミズキのせいではないと思うよ。私は結構複雑な立場にいるらしいし、多分そのせい。私としては、純粋に生徒の助けになっていればそれでいいと思ってるんだけど……」
「せんせい……」
「まぁ、そういうわけだから。ミズキは気にしなくてもいいよ。安心してゆっくり休んで」
「休むのはせんせいですけどね?」
「あはは、そうだったね。じゃあおやすみ、ミズキ」
「はい、おやすみなさい、せんせい」
こうして今日もミズキと過ごす夜が終わっていったのだった。
〜〜〜ミレニアムサイエンススクール某所〜〜〜
音瀬コタマは自室にて色々な機材と睨めっこしていた。
「……昨日の当番の時にシャーレに仕込んでおいた全ての盗聴器の反応がなくなりましたね……合計8つほど仕掛けていたはずですが」
「…………まぁ、仕方ありません。今度また──
ピロン♪
──うん?」
コタマがスマホを見てみれば、1件の通知が。
「……これは、モモトークですね」
チラリと覗いてみれば、『先生』の2文字が。
「……」
少し冷や汗をかきつつ、送られてきた内容を見ると……
『プライバシーは守ろうね、コタマ』
『今度、お説教だよ』
「……………………」
これは、もしかしてまずいのでは?そう思ったコタマであった。
〜〜〜ミレニアムサイエンススクール某所〜〜〜
シャーレにて盗聴器が設置されていることが発覚することから遡ること数時間前。
ゲーム開発部の部室では、ミドリがアリスと話していた。
「アリス、ちゃんと秘密のクエストしてきてくれた?」
「はい!アリスはシャーレに謎の装置を取り付けてきました!」
「ありがとう、アリス」
その会話をロッカーの中から聞いていたユズ。
(……大丈夫かなぁ……ミドリがコタマさんに影響されて変なことしてるけど……先生に教えた方がいいのかな……)
そう考えているうちに、1日が終わっていくのだった。
〜〜〜キヴォトス某所〜〜〜
暗がりの中で、1人の男が立ち尽くしていた。
「…………クックック、さすが先生……私が仕掛けた盗聴器をいとも容易く初日に見つけ出すとは……30個ほど取り付けていたはずですが、全ての反応が消えましたね……」
「…………まさか、トイレや寝室、超合金やプラモデル、果ては壁の中に仕込んだものまで全て見破られるとは……」
「クックック……ですが先生……これで安心してはいけませんよ……ゲマトリアは、いつもあなたを見ていますからね……」
「クックック……クックックックックックックッ……」
先生のストーカー黒服はそう笑いながら、踵を返して完全な闇の中へと消えて行った。
「感想と高評価、ここすき?でしたっけ……たくさんほしいってせんせいがいってました!」