少し趣味に走った
「片手でも当てられるわ」
後ろから凛とした頼もしい声がした。
彼女の相棒、ワインレッド・アドマイアーを片手で構えるその様は堂々としてり、爆破等でついた煤などが美しく彩る。
ダンッ!!
片手で支えられた狙撃銃から放たれる神秘を纏った弾丸が一寸の狂いもなく、放たれた飛行中のパンツァーファウストへ吸い込まれるように弾着。
そして、彼女の神秘の効果である爆破が発動し、パンツァーファウストごとまとめて爆破させる。
BOMB!!!
「ゲッホッ!!ゲッホッ!!ゴホッ」
13号車に煙が充満し、まだ残っていた風紀委員たちを覆うがそれも数秒のうちに収まった。風穴と言うには大きな破壊の後から煙が流れ出ていき、視界を遮っていた煙は無くなる。
だがこの数秒を稼いだことによって
「なっ?!列車が離れていく?!」
12号車と13号車の間の連結を外し、一瞬のブレーキを掛け脱線しない程度の衝突を引き起こし、そしてそのまま先頭車のブレーキを緩めるとどうなるか。
答えは13号車からは慣性によって動いているが、衝突によってある程度スピードは落ちており12号車と離れ、ただ追いかける物体となる。
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錆びて廃れ、半分近く崩れ落ちたアーチ状の門を列車が走り抜け、そのすぐ後ろに牽引車の無いまま走る暴走列車が追いかけくぐり抜ける。
いくつもの線路が複雑に絡み合う信号所に列車が突入する。いつもだったらこのまま解体するために工場方面へ線路を繋げてるが今回用があるのは隣に併設されている操車場のためポイントを変える必要があった。
だが残念なことに、デッドエンド解体場の切り替え装置は旧式のものしかない。分かりやすく言うと現代式はコンピュータ制御のものだが、旧式はきか〇しゃトー〇ス等でよく見る手動で切替えるタイプのことだ。
弁明をさせていただくと、ここがアビドス一の整備工場と操車場を持っていた時代の主流がそれだったということと、砂嵐等の被害によって機械制御だと故障を頻発しやすく交換が進まなかったのも原因だろう。結果的に信頼性の高い手動で切替える方式の方が整備もしやすく自分的には大助かりなのだから。
それで、ここのポイントを切り替えるためには1度止まる必要があるがそう入ってられない状況だ。
ならどうやって変えるか。
答えは言うは易しの曲芸技術。
ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!ガチャンッ!!
と、運転室から上半身を乗り出し、右手でしっかり構えたゴットレッドで無理やりポイント操作のレバーを動かした。原理としては、神秘で威力を上げた弾でレバー部分を跳ね上げる形で動かすのだが、最初に当てた弾と同じ箇所に2発目を当て、ダメ押しにまた同じ箇所に当てるという相当な技術を使うため自分はもう二度とやりたくないと思う。
ギィギィ!!ギィギィ!!ギィギィ!!
最低限の補修しかされておらず、赤錆に塗れた線路が悲鳴をあげる。後で修理する項目が増えたと頭の片隅で考えつつブレーキレバーを握る手に力が入った。
操車場内は解体予定の列車が所々に放置され、中には何十年も昔に捨てられたと思われる機関車が赤錆に塗れたまま線路脇に投げ出されたままだったりする。
時折、この機関車達から強い気配と恨みの籠った視線を感じる、とアビドス高校の奴らや廃車輸送担当のハイランダー生から言われたことがあるが、死体ならば黙って朽ち果てろとしか言いようがない。
「よしよしよしッ!!」
一番端の最後の分岐点まで走り抜けるとそのまま切り替えられた路線に入る。一番奥には古い車庫があり、中には朽ち果て動かすのも面倒で放置してる貨車や客車が入っておりこのまま突っ込めば、後ろからの追突もあり大事故は必須だ。このまま後ろも行けばだが。
「急ブレーキッ!!」
ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!
トランシーバーに向かって吐き捨てると同時にブレーキを引く。数秒も経たずに全車両にブレーキがかかり始めるが、ついさっきまで90キロ前後のスピードを出していた鉄の塊がピタッと止まるはずもなく、車輪から火花を飛ばし線路から絶叫をあげさせながら滑っていく。
後方ではどんどんと暴走列車がブレーキをかけることなく近づいてくる。だが俺達はポイントは超えた。
「アルッ!!撃てッ!!」
『一撃で十分よ』
ダンッ!!・・BOMB!!ガチャンッ
ポイントが爆破によって変わり、隣の線路を暴走列車が高速で通過する。たった一言、しかも事前の打ち合わせ等は殆どしていないのにも関わらず狙ってた場所へ当てる、その技術に私は歓喜で打ち震えそうだ。
ギィィィィィィィィィィッッッッ・・・・・
ブレーキをしっかり掛けた私の列車は全車輪をしっかり線路につけたまま止まった。ブレーキや線路の修理をしなきゃなと思いながらも、この後起こることを考えると誤差だと気づいたので無視をする。どうせ後でなんとでもなるし。
ブレーキを掛けてない暴走列車の方はと言うと、そのまま車庫まで走り抜け、扉や中に放置してあった貨車、しまいには壁もぶっ壊して停止した。
派手に行ったなぁ。
topic
【スクラップ機関車達】
何らかの理由によってスクラップになった機関車達の残骸。デッドエンド解体場の至る所に捨てられてる。
種類は豊富で蒸気機関車やディーゼル機関車、電車等が放置されている
彼らは妬み、恨んでいる。
「縛ったヤツらは邪魔にならないところに置いといて」
「意識戻ったヤツはどうするの?」
「頭に一発撃ち込んどけ」
どんな戦いでも始める時より、片付ける方がめんどくさいのは世の常か。
暴れ出さないように縛り上げたり、脱線した車両を線路に戻したり、無事な車両を工場の中に戻したり。
地味にやることが多いがこの後の交渉次第では短期間だが労働力が増えるので程々にしておく。
シュー!!シュー!!シュー!!
「もう少し・・ポイント!!」ガチャン
役割分担としては、便利屋が気絶した風紀委員を縛り上げたりポイント操作の雑用を、私は構内専用の入れ替え機関車に乗ってクレーン車を引っ張って来たり工場内へ運んだりと。
「あっ、そうだそろそろ空崎ヒナが来ると思うから隠れとけよ」
「へっ?」「はぁ?」「えっ・・?」「ハハッ」
「なに、コイツら引取りに来るってよ、後5分位で」
「なっ、なんですってぇえー!!」
史哲サイモン
・労働力!!金!!嫌がらせ!!
・後で便利屋にはもう少し報酬をあげようと思ってる
・修理箇所の多さに辟易してる
便利屋68
・満身創痍1歩手前
・報酬はしっかり貰う
・空崎ヒナはトラウマです
・この後、廃車の解体作業の仕事をすることを忘れかけていた陸八魔アル(白目)
風紀委員
・全員気絶しました
空崎ヒナ
・アビドス路線を全力で走っています
・とりあえずアコは反省文でも書かす
【構内専用機関車】
史哲サイモンがスクラップの山から見つけた機関車。
中の機関はコール・オブ・ベンディー号と同じディーゼルハイブリッド。
外見はLB&SCRClassE2蒸気機関車
車軸配置は0-6-0
深緑色のボディーに黄色い文字が彩ってる
あのタンク機関車に寄せているのはちょっとした感傷とロマンに走ったからだろう
《使用目的》
構内における雑用
短距離輸送
型式番号『D.E-110』
《メアリー・スー号》
【元ネタ&裏話】
・深緑色のLB&SCRClassE2蒸気機関車
きかんしゃトーマスの主人公【トーマス】がソドー島に送られた時のカラー*1、彼はここからあの美しい青いボディになったのだ。
・番号《110》
モデル機であるClassE2は全10機あったが最終番号は109号機であり110番は存在しない。
・メアリー・スー
モデルや元ネタはない
ただ、青く透き通るこの世界の物語をちょっとづつ壊している自覚に対する主人公の戒め。