メジロアルダン短編集『to the MEJIRO ARDAN』   作:いずさわ

26 / 137





イト(+スティルインラブ)

「ん!うまぁ……!」

「ふふっ♪ありがとうございます、トレーナーさん♪」

 

サックリ焼き上げられたその琥珀色の姿を掴みあげ、堂々とひとくち、鋭く尖った犬歯を突き立てる。中からとめどなく溢れてくるりんごとカスタードの甘美な甘みに、思わず僕は、悦楽の声を上げてしまうのであった。

 

「アルダンお手製のアップルパイ、かあ……こんなに美味しいものを食べれるなんて、実に幸せ者だなあ、僕ってやつは……」

「もう、大袈裟ですよ?行きつけの八百屋さんから、少し時期の過ぎたりんごを沢山譲り受けましたので。ただその処理にご協力いただければ……と思っただけ、ですので♪」

 

なんて謙遜してみせるのは、もちろん毎度おなじみ我が担当ウマ娘、メジロアルダンである。

彼女は自ら焼き上げたアップルパイを欲張りに頬張りながら、時間差でまだまだどんどん焼き上がるそれらを、鼻歌混じりで切り分けていく。人気のない、放課後の家庭科室でのことである。

 

「ふふん、任せて?こんなに美味しいパイならさ、いくらでも食べれちゃうよ?」

「まあ、それは頼もしい限りです♪が、いかがでしょう?パイの仕込みは、あとこれくらいはあるのですが……」

「……えっ?」

「ついでに、りんごの残りはあれくらい……」

「………………えっ???」

 

彼女が指さしたのは、机の上にずらりと並んだ、何十人前かの焼く前のアップルパイ。と、文字通り山のように積み重なった、ダンボールの箱。まったく、いくらでも食べれるなんて無責任な事、あんまり言うもんじゃないなぁ……

 

「……これは、そうだなぁ。食べ切るにはやっぱり『最高の調味料』が必要、かな?」

「ふふふ、それはナイスアイディアです♪では私はここでどんどん焼いておきますので、トレーナーさんは……」

「…………」

「……トレーナーさん?」

「ええと、その、ほんと情けない話だけど。多分その役割は、逆の方がいいんじゃないかな?」

「……そ、そうですね?私ができるだけ沢山の方々にお声をかけてくるので、トレーナーさんはアップルパイの方、お願いしますね?」

「う、うん!もちろん!任せて!」

「ふふ、では行ってまいります♪」

 

彼女の提案を聞いて、無意識に吊り上がる眉と口角……その意図をなんとも情けなく口にした僕は、ご丁寧にペコリと頭を下げ、家庭科室を後にするアルダンを見送る。

『最高の調味料』、すなわち同じ食事を笑顔で囲んでくれる、できるだけ沢山の友達を探す。ということであれば確かに友人と呼べる友人もいない僕より、彼女の方が適任であろう、が。

 

「……よ、よーし、とにかくどんどん焼いていくかぁ!」

 

一瞬ナーバスに向きかけた精神を叩き直し、じわじわと香ばしい匂い漂うオーブンに向かい合う僕。と、もうすぐ雨でも降るのだろうか、窓の外がうっすらと雲行き怪しく、暗く滲んでいくのを感じた。

 

「しっかし、本当に美味しいなぁ、アルダンのアップルパイ……前よりも生地がふっくら柔らかくなってて、彼女も日々成長してるってことか……あれ?」

 

サックリとした軽やかさを纏いつつ、芯の部分にぎゅうぎゅうに詰まった甘みが堪らない、アルダンのお手製アップルパイ。全部とまではいかないまでも、一切れ、もう一切れと伸ばす手がなかなか止められず……あっという間にワンホール食べ切ってしまった僕は、先程彼女が切り分けていた、焼きたての一皿に手を伸ばす……が。

 

「あれ……ここ、確かにあったよね?アップルパイ……」

 

なかったのだ。僕が手を伸ばしたテーブルの上、確かに先程までそこに存在したはずの、アップルパイが。

そのパイはアルダンがこの部屋を出ていく直前に切り分けていたもので、彼女がそれをテーブルの上に置いたのも、一切れだけ齧ってから部屋を後にしたのも、間違いなく鮮明に覚えている。そして今、この部屋に存在するのもまた、間違いなく僕一人だけ、と……

 

「パイがひとりでに消えて……ま、まさか、幽霊の仕業とか……いやいやいやいや、そんなまさか、そんな……」

 

 

『────だめよ、そんなこと……』

 

 

「ひっ……!?」

 

 

『ああ、そんなはしたないこと、してはいけないの……わかってる、わかってる、けれども……』

 

 

 

ワ タ シ  ガ マ ン

 

デ キ ナ イ ノ … … !

 

 

 

ガシャァァァァァァァァン!!!!!

 

 

「ぎ、ぎゃーーーーーーっ!?!?」

 

紫に光る稲光に照らされて、家庭科室中が鮮烈に照らし出される。そのど真ん中に伸びるのは……長い髪を携え、妖しくせせら笑う、巨大な、『怪物』の、影……

 

 

ダ   カ   ル   ?

  レ   イ   ノ

 

 

「ひ……ひいーっ!ゆ、許してくださいーっ!僕ほんと、何もしてませんからぁ!」

 

ゴ…………

 

ゴ…………

 

ゴ…………

 

「……?」

 

 

ゴ  メン    ナ

 

 サ    イ   !

 

 

「ひーっ!こちらこそごめんなさ……ごめんなさい?」

 

……一瞬だけ鳴り響いた雷鳴もあっさりと止んで、優しげな陽の光が射し込んで来た部屋の、そのまた隅の方。声のする方にじっと目を凝らすと、そこに立っていたのは……

 

「ご、ごめんなさい……すみません……あまりにも、あまりにも美味しそうな香りだったもので……つい……」

 

幽霊でも怪物でもなんでもない、ただの一人の、小柄なウマ娘の姿だった。

 

 

──────────────

 

 

「その、先程家庭科室の前を通りがかった時に、すごく甘くて、美味しそうな香りがしてきたんです。それで……メジロアルダン、さん?がお部屋から出てきたのを見て、こっそり中を、覗いて、みたら……!」

「この、沢山のアップルパイが目に入った、と?」

「ごめんなさい、ごめんなさい……昔から私、その、好きな物を見ると、た、昂りが、抑えられなくって……!」

「ああ、うん、それは現在進行形で見れば分かるよ……」

 

目の前の、ちょこんと椅子に腰掛ける彼女の様子を目に収めながら、慎重に台詞を投げかける僕……と、実に丁寧で謙虚な言葉を並べつつ、まるで僕の事など眼中にない様子で握りしめたアップルパイの皿を凝視する彼女。噛み合ってるんだかないんだか、実に奇妙な雰囲気に僕は、じりじりと胃がもたれてくるのを感じていた。

 

「あ、ハハハ……なんてオイシソウな、アップルパイなの……ああ、でも人のものに勝手に喰らいつくなんて、はしたない、とってもはしたないわ……」

「…………」

 

……彼女が今浮かべている表情については、一旦置いておいて。第一印象としては『普通の娘』だな、というのが正直なところ。

頭に纏ったレースのヴェールと、その目を引くような赤髪が……まあ、特徴的と言えば特徴的だが。良くも悪くも各々の個性のぶつけ合いの場と化しているこのトレセン学園において、これほど純朴なただの少女という印象を受ける娘は、逆に珍しく……

 

「…………?」

 

あれ、なんだろうなこの子。この赤髪も、真っ赤な虹彩も……どこかで見た事、あるような……

 

「……ええと、君名前は?」

「はァ……ハァ……ああァ……」

「そのー、聞こえてる?お名前は?」

「うう……だめ……だめよ、堪えて……」

「……そのアップルパイ、食べr

 

イ   イ

ノ      ! ?

 

「う、うん、いいよ、いっぱいあるからむしろ助かるっていうか……あ、あとその喋り方だけ控えてくれたらありがたいかなぁ。その、いきなりやられるとびっくりしちゃうから、ね?」

「でっ、では失礼して……」

 

イ   ダ   マ   !

  タ   キ   ス

 

「だからやめてって……」

 

僕の出したOKサインに食い気味に喰らいついた彼女は、そのままその小さな口をせいいっぱい広げて、手のひらに包み込んだアップルパイのひとかけを、口に運ぶ。

 

「……んっ!?」

「ど、どう?」

「お、おいひい……!生地はシンプルに、舌に残らないよう薄めの味付けだけれども、中のりんごの甘みがとびきり強くて……」

「おお……うんうん……!」

「でも、まったくくどくないのは、僅かに香るスパイスのおかげかしら?ふふふ、ほんとうにおいしい……おいしいわ……」

「おお、それはよかった!」

 

本当に、美味しそうに食べる娘だなぁ、こういうお菓子、よっぽど好きなんだろうな。ちょっとだけ言動がエキセントリックだけど、やっぱり間違いない、実に年頃の女の子らしい『普通の娘』なんだろう、彼女は……

 

「とってもおいしい……ふふ、止まらないわ、ふふふ……」

「…………ん?」

 

情緒たっぷりに、少しずつアップルパイを頬張る彼女の、その悦に入ったかのような表情……そうだ、間違いない。やっぱり『どこか』で見た事が、ある。

 

「……その、邪魔しちゃって悪いんだけど。そろそろ聞かせて貰っていいかな?君の、名前を」

「うふふ……はっ、あ、は、はいっ!すみません、まだ名乗っていません、でしたね?」

 

ようやく僕の言葉がその両の耳に届いて、慌てて佇まいを直す彼女。手元のアップルパイはしっかりと握りこんだまま、ゆるりと、控えめに、彼女はその口を開く。

 

「『スティルインラブ』と申します、以後、お見知り置きを……」

「スティルインラブ……これはこれは、なんとも情熱的なお名前で…………!!!」

 

刹那、僕の頭の中で弾けた、一閃の闇。

 

「やっぱり、聞いたこと、ある……!」

「……まさか、私達どこかで、お会いしたことが……?」

 

再び、暗闇に包まれる窓の外と、遠く鳴り響く遠雷の音。そしてすぐ近くでは、まるで何かの『運命』を示唆するかのように、烏の群れがその羽根を撒き散らし、高く遠吠えを鳴り響かせていた。

 

「そうだ……あれは……あれはたしか……!」

「………………っ!」

 

 

 

「うん、模擬レースだ、君が出てる模擬レースを、見た事があるんだった」

「あ、そういう事でしたか」

「うん、ごめんね大袈裟な雰囲気出しちゃって」

 

……さらりと流れ去るように、すぐに雲は晴れ、間抜けな鳴き声を撒き散らしながらカラスの群れも呆気なく飛び去っていく。なんてことは無い、つい先日たまたま見学していた学園内の模擬レース、そこで僕はごく普通に、何気なく彼女の姿を見ていたのである。

なんかこう、夢の中で出会っていて……とか、とある満月の夜に……とか、そういう運命的なあれこれでもあればちょっとは盛り上がったのだろうけど……まあ、現実なんてそんなもんか。なんとも拍子抜けなオチに、ふわりと肩の力が抜ける僕、だったが。

 

「……えっ?その、貴方、み、見たんですか?私が、走っている所を?」

「えっ?ああうん、もちろん見たよ?」

「………………」

 

……なぜだか、その真っ赤に染まった虹彩を開いてこちらを覗き見る彼女。あれだけ執着していたアップルパイを、齧る途中で手放してしまうほど焦燥するその様子、僕も思わず、背筋を正してそれを見守った。

 

「……恐ろしく、ありませんでしたか?」

「恐ろし、く……?」

「ええ、ターフでの私の姿を見て……貴方は、『恐ろしく』感じませんでしたか?」

「……っ!」

 

異常気象の始まりであろうか。再び暗闇に包まれた窓の向こうで、大きな雨粒と嵐風が猛烈に吹き荒れる。どこか『生存本能』を掻き立てられるようなその轟音に揺らされた頭で、僕は初めて彼女を目撃してしまった『あの日』の事を、鮮明に思い出していた。

 

「……ああ、確かに、あの時の君は、とても『恐ろしかった』」

「っ……や、やっぱり……」

「恐ろしくて、思わず目を逸らしたくなった。あんな、あんなウマ娘がいるのか?なんて、背筋が凍ったよ」

「…………それは、その、『ワタシ』は」

 

暗転した部屋で、彼女の滴るような真っ赤な虹彩だけが、妖しく光る。そうだ、こんな身の毛もよだつ恐怖を覚えたのは、初めてじゃない。震える唇と、凍り付く脳内から記憶を引っ張り出し、言葉に紡いだ、あの日の、彼女の……

 

 

「いやー、ほんとうに恐ろしかったなあ、あの時の君の『末脚』は!」

「えっ?」

 

……もはや慣れすら出てきた天気の急変で、再び部屋に差し込まれた陽の光。照らされて、彼女の健康的に白い肌が浮き彫りになる。

そう、僕が思い出したのはレース終盤……最後方から瞬く間に全員を抜き去っていった、彼女の恐ろしい程切れ味鋭い、その末脚であった。

 

「君、まだデビュー前の娘だよね?君のその脚、デビューしてたら話題になってないはずないからさ」

「え、ええ、まあ、はい……」

「そんな時期であんな末脚を使えるなんて、もちろん才能もあるかもだけど……それ以上に間違いなく、君が君自身の意思で血の滲む程の努力をしてきたんだろう。いやほんと、後輩からこんな娘が出てくるなんて、本当に末恐ろしいよ。ほんと、僕らもうかうかしてらんないなぁ……」

「………………あの」

「ん?」

 

雲の切れ間から現れる青空のように、じわじわと思い出してきた、あの日の記憶。鼻息荒くそれを語り出す僕に向けて、逆になんとも消え入りそうな声で、彼女はこちらに質問を投げ……かけて……?

 

「それだけ、ですか?」

「えっ、それだけ、とは?」

「え、えっと、その、なんと言いますか……」

「ええと……ああ!あとコース取りもめちゃくちゃ上手かったよね!序盤控えて、後半で一気に相手の虚を突くような、絶妙なテンポ感で……」

「ほ、他には?」

「も、もっと?ええと……ちょっと待って、今思い出すから……」

 

……な、なんだこの娘?見かけによらず、相当な褒められたがりだったりするのか……?もちろん僕だって応えられる限り応えてはあげたいけど、とはいえ数週間前に一回見たっきりの娘に言う事なんて、流石にもう無いぞ?

 

「その……走りのフォームが……いやでもそこはそんなにか……もちろん悪くはなかったけど……じゃあ、他には……ううん……」

「あの、その、すみません……」

「ん?どうしたの?」

「その、初対面の人にこんなことを言うのは、とっても失礼かもしれません、けど……」

「う、うん」

 

「あなたは、その……ものすごく『能天気』だと、周りの人に言われたり、していませんか?」

 

「…………うぐっ!?」

 

 

──────────────

 

『ああ、いえ、それは大丈夫です。私のトレーナーは私のトレーナーなので、お料理だけ、教えていただければと…』

 

『……うちのトレーナーもそうだけど、アンタも大概、周りから変なヤツだって言われたりしない?』

 

『貴方、どうしてアルダンさんのことになるとIQをかなぐり捨ててしまいますの?』

 

『つ ま ら な い の ね』

 

──────────────

 

 

彼女の指摘をモロに喰らって、脳裏に浮かんだのは……今まで僕がアルダンの友人達から受け取った言葉と、呆れかえるような冷ややかな目線達……そんなに気にしてなかったけど、もしかして僕、皆から能天気で無頓着な鈍感野郎だと思われてたんじゃ……

 

……というか、そうか。

 

「そうか、僕、僕は……」

「……えっ?あ、も、申し訳ありません!そんな……あなたがそんなに傷付いてしまうなんて、お、思わなくって……!」

 

……灯台もと暗しとは、まさにこの事か。ちょっとばかりの自分の眼の良さにあぐらをかいて、自分自身を疑い省みる事を、確かに最近の僕は、怠っていたのかもしれないな。

 

「本当にごめんなさい……気分を害されたと言うなら、私はこれで……」

「……いや、待ってくれ、スティルインラブ」

「……!」

 

先日見た彼女のレースだって、どうだろう。

所詮はただの放課後の模擬レース……だと心のどこかで侮っていたのではないか?少しばかり重賞やG1の舞台を経験してきたからといって、あの模擬レースも、そして彼女の事もどこか下に見ていたのではないだろうか?

『観察』し『考察』する事。あらゆる可能性を視て、喰らい、吸収し、どんな局面にも対応できるように、その牙を研ぎすましておく事。それこそがメジロアルダンの……そして、僕の本分だったはずだ。他人と比べれば無理が効かず、純粋な力比べのようなレースでは他のウマ娘にはまず勝てはしない。そんな繊細な彼女の脚で『こそ』映える武器。それを、そうか、僕は知らず知らずのうちに、手放そうとしてしまっていた、んだな。

 

「まずは、すまない。やっぱり君が言う通り、僕はどうしようもなく鈍感な男らしい」

「………………!」

「そこまで詳しく訊ねてくるくらいだ。きっとあのレースの中に、君自身が誰かに『気付いて欲しかった事』があったんだろう。けれども今の僕は、その事にどうにも気が付けそうにない。本当に、ごめん」

「………………」

「そして、お願いだ。君のレースを、その走りを、もう一度僕に視せてほしい。直接が無理なら、映像でもなんでもいいから。君の言いたいことを、気付いてほしいことを、その『意図』を、今度こそ僕は、紐解いてみせるから、だから、もう一度」

 

己のどうしようもないその鈍感さを恥じ、悔い改め、僕は誠心誠意、目の前の彼女に静々深々と頭を下げる。そんな僕の様子を、その真っ赤な瞳でまじまじと見据えてから……そうして、彼女は、彼女、は……

 

 

「???」

 

 

うん、これ『迷走』してるな。間違いなく、僕の方が。

 

「……僕の言ってることの意味、分かる?」

「分か……………………申し訳ございません、全く、これっぽっちも……」

「うん、ごめんね。なんか僕さっきから、盛大に空回りしてたみたい」

「い、いいえ、私も先程から訳の分からない事ばかり言ってしまって……」

「なんか、こう言っちゃなんだけど、僕らってものすごーく、『噛み合い悪い』ね?」

「そう、ですね。こんなにお互い話が噛み合わない人、正直初めてです」

 

なんとも気の抜けた雰囲気で、食べかけのパイに再び手を伸ばすスティルインラブ。そんな彼女の姿をすっかり晴れた無色透明の視界で見つめてから、先程焼きあがったばかりの一切れに齧り付く僕。なんというか、そうだな。この調子じゃ間違いなく僕は彼女の、『スティルインラブのトレーナー』にはなれそうにもないな。そもそも僕は『メジロアルダンのトレーナー』以外の何かになるつもりはこれっぽっちもないんだけど、まあ、それはそれとして。

 

「……そうだなあ、こんなこと頼むのもなんなんだけどさ」

「は、はい」

「本当に、本当に申し訳ないけど。例えば君が僕に何か伝えたい事がある時は、できるだけ遠回りにせずに、直接ストレートに話すようにして欲しい……かな?もちろん、僕から君にの方もだけどね」

 

もはや理解不能なまでにぐちゃぐちゃ絡まりあった互いの『意図』をとうとう放り投げて。僕はもはや身も蓋もない提案を、目の前の彼女へと提示する。

 

「まあ、そんな噛み合わない相手とわざわざ貴重な時間を使って話すなんて、そもそも無意味なのかもしれないけどさ。けど……せっかくこうして偶然出会えたんだ、どうせなら何か意味のある、運命的な出逢いだったって『ことにする』方が、面白いじゃない?」

「っ、ふふっ。運命だった『ことにする』ですか?本当に貴方の言うことは、とても理解ができませんね?」

「あ、はは、そうだよね……」

 

なんとなく、たまたま掴んだこの縁を手放さなかったのは……単なる『彼女』の真似事だけど。けれども理由はなんだっていい、運命の相手だろうがそうでなかろうが、誤解なく仲良くやっていけるのならそれに越したことはないはずだ。

 

「……あの!そ、それでしたら一つ。ご相談させて頂いても、よろしい、ですか?」

「……!も、もちろん!なんでも聞いて!」

「実は私、ずっとずっと悩んでいることが、ありましてですね?」

「悩んでいること、もしかして」

「ええ、どうしても逃れられない痛みを、胸の苦しみを……ずっと、ずっと抱えて、生きているんです、私は……」

「……それ、って」

「ええ、実は、実は私……!」

 

ふわふわと甘いリンゴの香り漂う部屋、それなりに晴れた空の、陽の光射し込むこの部屋で、スティルインラブはその小さな口を、控えめに開く。せめてその言葉くらいはきちんと聞こえるように、僕もまた、真っ直ぐその声の方に、耳を傾け……

 

 

「どうしても、好きで好きでたまらない方が……いるんですっ……!」

「えっ!?恋愛相談!?」

 

あまりに想定外な彼女の言葉に、思わず椅子から転げ落ちそうになる僕。って?え?何?今の流れでレース関係ないことある?

 

「れっ……!?れれれ、恋愛だなんて!?そんな、そんなつもりじゃありません!あ、あの方と、そっ、そんな関係になりたいだなんて、私、これっぽっちも……!」

「あ、そ、そうなの?ごめんね、早とちりしちゃって……」

「た、ただその……一緒におやつを食べたいとか、お休みの日にはお出かけをしたいとか。そ、その、一緒に歩く時は少しだけ、てっ……手を、繋ぎたいとか……そういう事くらいは、ちょっとだけ、考えたりは、します、けど……」

「世界はそれを!愛と呼ぶんだよぉ!」

 

部屋の中にたっぷり積まれたリンゴ達に負けない程、顔中を真っ赤に染めた彼女の姿。想像していたものとはまるで違ったけど、確かにこれは、一大事と言って差し支えない……のか?

 

「えっ?なになに?それってさ、どんな人?」

「そ、そうですねぇ……とっても真面目で、仕事熱心で、あと、私よりずっと背が高くて、他人から見れば少し無愛想で、怖く見えてしまうかもしれない……けど」

「けど?」

「……甘いお菓子を食べている時は、その、とっても可愛い笑顔を浮かべるんです……思わずこちらも笑顔になってしまうような、柔らかくて、優しい、そんな笑顔を……」

「ふむふむ……そういう所が、好きなんだね?」

「う……は、はい……大好き、です……」

 

あれ?なんだこれ楽しいぞ?恋バナ、めちゃくちゃ楽しいな?やだ、なんかもう、こっちまでキュンキュンしちゃう!

 

「本当に、素敵な方なんです……言葉にしなくても、私の言いたいことをいつも分かってくれて。こんな私の事を、『特別』だと、言ってくれて……」

「う、うおぉ……」

「……けど、どうでしょう。もしかしたらあの方の好きな相手は、もしかしたら『私』じゃないのかも……なんて、最近思っていて……」

「っ……と、と、と、というと?」

「ええ、あの方が好きなのは、きっと『私』じゃなくて、『ワタシ』なんじゃないか、って……」

「え?ごめん、もう一回言ってくれる?」

「あの方が見てくれているのは『私』ではなく、『私』の中の『ワタシ』……あの方にとっての『私』は、きっと『ワタシ』に纏わりつく不純物でしかなくって、本当に価値のあるものは、『ワタシ』だけ……なんです、きっと」

「…………」

 

先程までのカラフルで朗らかな声色から一転。窓の外、しとしとと降りしきる雨の音に混ざる、彼女の小さな小さな、一雫の弱音。そんなすっかり肩を落として縮こまる彼女の姿を今度こそはっきりとこの眼で視つめて、僕は、僕は……

 

「???」

「あっ、ごめんなさい、今のは少し遠回り過ぎました、かね?」

「う、うん、ごめんね?もう少しこう、シンプルめにお願いできるかな?」

 

……キャパシティ越えの情報を流し込まれた僕の頭は、そのまま重力に引かれ、ペコペコとお辞儀を繰り返すしかなかったのであった。そんな僕を見かねて、再び彼女は口を開く。

 

「実はその、私の中にはもう一人の『ワタシ』というものが居まして……」

「……?」

「その子はなんというか、ウマ娘の本能というか、レース……レースが凄く好きで、時々、レースに走りた過ぎて、暴走してしまったりして……」

「…………??」

「でも彼女は凄く、こう、速くて……レースでも、凄く強くて……それで私もどうにか、彼女とうまくやっていこうと、色々と、制御しようと、こう……」

「………………???」

「一回!一回図に書きますね!まずこれが私で!」

 

 

     ◆

 

 

「な、なるほど……なんとなく、なんとなく理解は出来たよ?」

「ご、ご理解いただけて、なによりです……」

 

メモ帳のひとページ、びっしりと書かれた彼女の解説でようやく僕は、おぼろげに彼女の言いたいことを飲み込んだ。要するに彼女の中には何かこう、もうひとつの人格的なものがあって、それがこう……なんか、すごくすごいらしい。

 

「って、ああ!もしかしてさっき君が、レースで気になった事がないかって、やたら聞いてきてたのも……」

「ええ、あのレースを見たということは、あの子が出てきた所も見ているはず……だと、思ったのですが……」

「もしかして僕の鈍感さって、ちょっと常軌を逸してる?」

「ええ、恐らく……」

「そんなあ……」

 

やっぱり、噛み合わないなあ……彼女と僕はやはりどう見繕っても、何の糸も繋がっていない赤の他人にしかなれないらしい。気付くべきところにはまるで気付ないし、夢の中で出会ってもいなければ、とある満月の夜に見つけたりも、してはいない。まるで関係も因縁もない、まっさらな、赤の他人……

 

「……そしてあの方は。きっと『ワタシ』が好きなんです、『私』じゃない。ターフの上のスティルインラブを愛してくれているのであって、そこを降りれば、あの方は、『私』の事なんて……」

「……なるほど、ね」

 

……だからこそ、救えるものだって、あるはずだ。なんの根拠もないけど、僕はそう感じてしまった。

彼女の消え入りそうな、マジックアワーに沈む夕陽のような姿を、僕は顎に手を置き、まじまじと観察して、考察する。僕がアルダンと共に何十回、何百回と繰り返してきたのと同じように、眼の前の彼女を、『スティルインラブ』を『疑い尽くす』。

 

「……こんなことを言うと、もしかしたら、かえって君を傷つけてしまうのかもしれないけどさ」

「…………?」

「とてつもなく無粋で、野暮で、ほんと、こんなことばっかり言ってるから、友達と呼べるような相手の一人もいないんだって、分かってるけど、さ。それでも、きっと今の君にとっては、この言葉が一番必要なものだと思うから。だから嫌われたって、縁を切られたって、これだけは言わせて欲しい」

「は、はい……」

 

 

「君のその苦しみは、『普通』の事だよ」

 

 

「…………えっ?普通?」

 

なんとも意外そうに、その真っ赤な虹彩を丸くするスティルインラブ。そんな彼女に向けて、これまた普通に、何のフリも溜めもなく僕は言葉を繋ぐ。

 

「普通の事だよ、自分の好きな相手が自分の事を見てくれないって。それこそこの世界に嫌というほどありふれた、普通の苦しみだと思う」

「………………」

 

彼女の話をまじまじと聞いて、なおも僕は、彼女の事を普通のウマ娘だとしか思えない。もう一人の彼女の事だってそう、その走りを視ても、僕はこれっぽっちも特別とは感じなかった。どこにでもいる、そこそこ将来有望なウマ娘。

お菓子とレースが大好きで、好きな物にはついつい没入し過ぎてしまう、そんな『一人』のウマ娘。僕から視たスティルインラブは、ただただ、そんなウマ娘でしか無かった。

 

「だからさ、そんな当たり前の、普通の恋の悩みなんだったらさ……解決法だって、この世界中にいくらでも転がってるはずだ」

「どう、でしょう……お伝えした通り私は他の方々とは違う、とても異常で、はしたないウマ娘で……」

「じゃあさ、さっき僕にしてくれたみたいに、君の気持ちや、やりたいこと、なりたいもの、その人にはっきり伝えたこと、ある?」

「そ、それは、その……」

 

そんな彼女が、他者と違う『特別』なウマ娘になってしまったのは……果たして、一体、誰の『意図』なのだろうな。

 

「そんでもって、そうだ、ウマ娘は走るために生まれた存在、なんかじゃない」

「えっ……?」

「ごく普通の恋の悩みでレースに身が入らなかったり、なんか満足しちゃったから、走るの辞めますとか。逆に、大好きなあの人に喜んでほしいから頑張って走ってみますとかさ。そんなんだって、許されて然るべきだ」

 

そんな彼女に、僕は僕の意図をまっすぐ、懇切丁寧に説明する。スティルインラブと僕は、別に運命の赤い糸で結ばれたような間柄じゃない。夢の中で出会ってもいないし、とある満月の夜に見つけた訳でもない。

だから僕のこの意図は、どんなに情けなくともテレパシーや以心伝心じゃなく、きちんと言葉を尽くさなければ伝わりはしない。他ならぬ僕とアルダンが、この数年間、そして今日もまた、呆れ返るほど繰り返してきたのと同じように。

 

「誰かに操られて……誰かの意図で……じゃなく、自分の意思でそれを選んだのなら、その選択は何よりも、例えばウマ娘の『本能』とかなんかよりも、ずっと尊重されるべき事なんだ、絶対に」

「……そ、んな事を、言ってしまって、大丈夫なのですか?貴方だって、トレーナーなのでは?」

「だからこそ、だよ。君たちは神でも、怪物でも、レースゲームのキャラでもない。お腹も空けば、恋もする、ただの一人の女の子なんだから」

 

まるで糸の切れた人形のように、呆気にとられた表情で五体を投地する、スティルインラブ。その手元でいつの間にか空っぽになってしまっていたアップルパイの皿を、僕はおずおずと回収する。

 

「……だからさ、まずは一回、もう一回。その人に君の事を、その想いを、その意図を。言葉を尽くして、図でも表でもグラフでもなんでも使って、ゆっくり説明してあげたらいいんじゃないかな、なんてさ」

「私の、意図を、もう一回……」

「まあ、今日みたいに上手くはいかないかもしれないけど……まだまだ出会ったばかりでしょ?のんびりしようよ、せっかく素敵な間柄なんだもん、ってことだよ?」

「……ふふっ、本当に能天気な人ですね?やっぱり私たち、噛み合いが悪いみたいです♪」

「ははっ、ほんとにね?」

 

彼女のゆるりとした笑顔からしばし目線を外して、窓の外を仰ぎ見る。雨雲と雷雲を遠くに望む、なんとも良い天気に、思わず僕は、目を細めた。

 

 

「お待たせしました、トレーナーさん♪」

 

 

「んっ?あ、ああ、おかえり、アルダン」

 

ほんの少しだけ、遠くへ向けていた意識にするりと入り込んでくる、誰よりも愛する我が担当ウマ娘の声。なんだかんだ、そんなに時間経ってたんだな。

 

「ふふふ、とにかく手当り次第沢山の方をお呼びしましたよ?皆様、もうすぐ来られる……あら?」

「ん、どうしたの?」

「ふふふっ、お一人でこんなに沢山召し上がられたのですか?そんなにお腹が空いていたのなら、もっともっと、張り切って焼かないとですね?」

「ん?いやいや、これは一人で食べたわけじゃなくて……」

 

 

「あれ?」

「……?」

 

 

──────────────

 

 

「んー!美味しい!こんな美味しいパイを焼けるなんて、さすがアルダンさんとトレーナーさんです!『良きニンジン有るところ、良き人間有り』ですね!」

「まさしく、アルダンさん、トレーナー殿……実に見事なお手前です……」

「むぐ、むぐ……むぐ!?まだまだ、食べていいのか……!?」

「アンタはもうちっと遠慮っちゅうモンを覚えんかい!」

「あらあら?タマちゃん、お口にクリームがついてますよぉ?私が拭いてあげましょうねぇ?」

「あーもう!自分の口ぐらい自分で拭けるわ!」

 

「ふふふっ、皆さん良い食べっぷりです♪ね、トレーナーさん?」

「う、うん、そうだね?」

遅れて、ぞろぞろと入ってきた彼女の友人達で賑わう家庭科室。ほのぼのと暖かな雰囲気漂うこの部屋中を、何気なく、本当に無意味に、僕は見回していた。

 

「……その、トレーナーさん?もしかして、どなたか探しているのですか?」

「えっ?え、ええと。多分、そう……かな?」

「多分……ええと、それは一体、どなたを?」

「探してる、探してるんだけど……あれ?」

 

なんだろう、なんだか頭にモヤがかかってる、みたいな……僕は一体、誰を探してるんだっけ……?

 

「……まあ、そんなに深く考えずとも、貴方が会いたいと思っていれば、そのうち会えますよ。『能天気』なのが貴方の取り柄……ですから♪」

「うぐっ!?や、やっぱりそうなのかなぁ……」

「取り柄、と言いましたでしょう?そういう所、私は好きですよ♪」

「……あのさ、アルダン?」

「はい?トレーナーさん?」

 

差し出されたパイの一切れを受け取って、ひとまず僕は、すぐ隣に腰掛ける彼女の瞳に目線を移す。ああ、本当に綺麗だな、まるで無限に拡がる、星空のような……

 

「……本当に、君がいて良かったな。このアップルパイもそうだけど、君と出会えた事自体、本当に幸運だと思ってる。君の事は、本当に、本当に一生、大切にするからね」

「っ………………も、もうっ!また何か迷走して変な事考えてますね!?そういう事は、二人きりの時に言ってください!」

 

何の気なしに、僕は誠心誠意、言葉を尽くして彼女に今の気持ちを伝えてみる。部屋の中にたっぷり積まれたリンゴ達に負けない程、顔中を真っ赤に染めた彼女の姿。なんだかただただ『普通』に可愛くて、僕の頬にも、無為に紅が灯りゆくのを感じるのだった。

 

 

「あの……」

 

「もう、いいですから早く手が口を動かしてください?もう次が焼き上がりますよ?」

 

「あの……」

 

「う、うんうん!とは、いえ、やっぱりアップルパイばっかりじゃなあ……なにか他のものも作ってみない?」

 

「あの……」

 

「他のもの、そうですねえ……なにか良いレシピでもあれば良いのですが……」

 

 

ア  ノ ッ!

 

ス    マ    ン   !

  ミ    セ    ッ

 

 

「っ!?う、わああああっ!?」

「あっ?えっ?あ、貴方は……?」

 

流石に焼けてきた胸を擦りながら話す僕とアルダンの間に……伸びる、一本の長い影。幽霊か、怪物か……いや、あれは。

 

「……っ!『スティルインラブ』!?いつの間にそこに……というか、いつの間にいなくなってたの!?」

「も、申し訳ございません……少し席を外している間に人が増えていて、少し、入りづらくて……」

 

……そこに立っていたのは、他でもない。ただの一人の、どこにでもいる普通の小柄なウマ娘の姿……スティルインラブの姿なのであった。

 

「あら、貴方は……?」

「あ、め、メジロアルダンさん……お初にお目にかかります、私、スティルインラブと申しまして……」

「たまたまそこを通りかかったらしくてさ。さっきまで、アップルパイを沢山食べてくれてたんだ」

「まあ……!気に入って下さったのなら幸いです♪パイはまだまだございますので、よろしければもう一切れ、どうぞ?」

 

真っ直ぐ相手の瞳を見詰めて、アルダンに誠心誠意自己紹介をするスティルインラブ。そしてそれを受け止めて、朗らかにもう一切れのパイを差し出すアルダン。二人の優しいアイコンタクトに、僕も思わず胸を撫で下ろした。

 

「あ、そ、それなんですが……よろしかったら、こちらを……」

「あら?このノートは?」

「わ、私とあの方が一緒に作った、リンゴのジャムサンドクッキーのレシピです。アップルパイをいただいたお礼にと思いまして、その、お口に合うかどうかは分かりませんが……」

「あら?これはなんとも良いタイミングですね♪早速……ご教授願えますか?スティルインラブさん?」

「は、はいっ!もちろんですっ!まず、材料がですね……」

 

彼女の持ってきたレシピを元に、互いの意図を絡ませ合う、アルダンとスティルインラブ。とても初対面とは思えない、まさしく『普通』の仲良し模様に、その間からとめどなく香ってくるりんごとカスタードの甘美な香りに、思わず僕は、悦楽の声を上げてしまうのであった。

 

 

「それにしても、ここに集まったウマ娘の皆さんは、本当に錚々たる方々ですね?すごく、すごくお強い方々、ばかり、で……」

「ふふ、そうですね?皆様今日のトレーニングは中止になったそうで、お暇だったみたいでしたので……ほら今日は先程から、何故だか妙なお天気でしょう?」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ……

 

「あ、ほら、このような感じで……」

 

……渇く

 

「……スティルさん?」

 

渇く……渇く、渇く渇く渇く渇く

 

「あの、大丈夫ですか?スティルさん?」

 

渇く渇くカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワクカワク───────

 

 

モウ

 

ゲンカイ─────

 

 

ガシャァァァァァァァァン!!!!!

 

「きゃっ……!」

「あ、アルダンっ!?」

 

 

……………………アノ

 

「……?」

「…………?」

 

「あの、申し訳ございません。先程アップルパイを食べ過ぎたせいか、喉が渇いて。何か、飲み物ございませんか?」

「あ、そういうことでしたか」

「ジュースとお茶と……あとコーヒーがあるけど、どれがいい?」

「ふふっ、では……コーヒーでお願いします♡」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。