メジロアルダン短編集『to the MEJIRO ARDAN』   作:いずさわ

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マシロ

「……い、よぉーし!完成!」

「まってました♪もうお腹、ペコペコです♪」

 

土曜日の昼過ぎ、静まり返るカフェテリアの厨房に鳴り響く、花咲くような彼女の笑い声と……お腹の音。

『久しぶりにトレーナーさんの作るご飯が食べたいです♪』なんてせがんできたのは他でもない、我が担当ウマ娘、メジロアルダン。そういえば最近バタバタしてて、彼女との手作りランチの時間も取れてなかったなぁ……なんてパチリと気がついたが吉日。早速僕らは料理長に話を通して、買い込んだ食材を両手に厨房へ転がり込んだのだった。

 

「しかし、今日はお手伝い差し上げなくて良かったのですか?ただ待っているだけというのは、少し申し訳なくって……」

「いいんだよいいんだよ、最近はアルダン、色々忙しかったでしょ?それにね……」

「それに?」

「……ここ最近、ちょっと『凝った』料理にハマっててさ?一目見た時に相手をびっくりさせちゃうような料理、自己流で研究してるんだ」

 

相当昔から、半ばルーティンのように繰り返している『料理』という行為。だが……このままでいいのだろうか?

現状維持に決して満足せず、日々精進を続ける彼女の……アルダンの姿を見ていると、そんな焦燥感をひしびしと感じてしまう。僕も彼女のように、なにか一つでも、一歩でも、ひたすら前に踏み出すべきなのではないか、なんて。

 

「まあ、それで調理中の模様も内緒にしていたのですね?ふふふ……しかし私はそう簡単には、びっくりなんてしませんよ?」

「ふふ、まあまあ、まずは一回見てみてよ?という訳で……はい!おまちどうさま!」

「こ、これは……!」

 

くすくすと爽やかに口元を抑える彼女に、僕は渾身の一杯を差し出した。想定通り、じわじわとその目を丸くしていく彼女に、僕は高らかにその名を宣誓する。

 

 

「名付けて……『若鶏と夏野菜のブルーベリージャム煮込み丼』!!!」

 

 

「……えっ???」

 

……あれ、なんか思ってた反応と違うな。

 

「えっ……と?今、なんとおっしゃいましたか?トレーナーさん?」

「え……その、『若鶏と夏野菜のブルーベリージャム煮込み丼』だけど……」

「あっ、ブルーベリージャム。それでその、こんなに紫に。それに『丼』ということは、まさか、間違いでなければ、この下に、白米が」

「えっ、うん、そうだけど……」

「………………」

「………………」

 

絶句。

 

まるで地獄の奥底を垣間見たような形相で丼の中を覗き込む、アルダン。

 

『えーっ!?この色、本当に食べて大丈夫なんですかー!?』

『えーっ!?ジャムとお米なんて、本当に合うんですかー!?』

 

みたいな、こう、可愛げのある反応を僕は待っていたのだか、のだが……

 

「これは、箸でいただけばよろしいのでしょうか。それとも、スプーンでしょうか」

「あ、僕の想定としてはスプーン……かな……はい、これ」

「あ、ありがとうございます。では……いただきます」

「う、うん、どうぞ」

 

あからさまにテンションが叩き落ちた様子で、おずおずと食器を手にする彼女。そのまま……スプーンの面積の半分程に丼の中身を掬いとって、ゆっ……くりと、それを、口に、運ぶ……

 

「………………!」

「………………」

「……まずは、その、申し訳ございませんでした。先程の私、明らかに不機嫌な顔をしてしまいましたね?」

「えっ?いや、そんなこと…………うん、気にしてはないよ?全然?」

「見た目と料理名をうかがった時は、一瞬トレーナーさんが、食べ物で悪ふざけをし始めたのかと思ってしまって……ふふ、そんな事有り得ませんでしたね?本当に、ごめんなさい」

「いや、ほんと大丈夫大丈夫!」

「本当に、意外な程味が纏まっていて、驚きました……!ええ、悪くないですね、本当に、悪くないですよ、トレーナーさん……!」

「ほ、ほんと!?良かったぁ……」

 

ようやく、僕の想定通り瞳を丸くしながら、彼女はもう一口、もう一口と匙を進めていく……いやほんと、良かった……アルダンはとにかく、やると決めたらやるウマ娘だ。もしこれで味までふざけてたら、その時は……

 

「悪くない……ですが、トレーナーさん。一つ、お伝えしてもよろしいですか?」

「ん?う、うん、どうぞ?」

 

「『迷走』してますね。間違いなく」

 

「めっ……迷走!?」

 

丼の半分程平らげた後。一時手元にスプーンを置いてから、彼女は爽やかな表情を崩さぬまま、つらつらと語り出す。

 

「確かに、悪くはありませんでした。が、申し訳ございません。このお味はなんとも……『悪くない』以上でも以下でもないと言いますか……」

「……うっ!」

「鶏肉と夏野菜……この具材で丼物にするのであれば、正直醤油か出汁ベースで普通にまとめあげた方が確実に美味しくなったかと思います。それを思うと、どうしても『勿体ないなぁ』という言葉が脳裏に……」

「う、ううっ!」

「もちろん、味だけが全てとは言いません。料理には、見た目の楽しみというものも間違いなくあります。が、その点で言ってもこの料理は……びっくりするような見た目というより、ただただシンプルに、『あまり美味しくなさそうな見た目』以外の何物でもないというか……」

「ぐはぁっ!」

「総じて、味に振り切る事も見栄えに振り切る事も出来ず、迷走した末なんとも中途半端な場所に着地してしまった。というところ、でしょうか……?」

「うぐはぁあっ!!!」

 

彼女か並べ奉る、この料理の数々の問題点。それらを耳にして、僕は、僕……は……

 

……何も、言い返せなかった!

 

「あ……あ……あ……」

「……はっ!す、すみません!ごめんなさい!ここまで言うつもりではありませんでしたが……つい、『本音』が……」

「ほ……本音……うっ……」

 

バターーーン!!!

 

「えっ!?と、トレーナーさん!き、気を確かに!」

「め、迷走……中途半端……う、うーん……」

「トレーナーさん!?トレーナーさーーん!」

 

 

──────────────

 

 

「さ、先程は申し訳ございませんでした……」

「う、うん、こっちこそ急に倒れちゃって、ごめんね?」

 

しばらくの後、カフェテリアの長椅子の上で揺り起こされた僕。いつの間にやら丼の中身をきっちり空にしていた彼女に、改めて向き直る。

 

「そう、ですね。特に求められてもいないのに、人様のお料理に口出しするなど……大変な御無礼を……」

「いやいや、本当にそれはいいんだよ。全部事実だから……さ……」

「と、トレーナーさん……」

「紫色の食べ物って、ロマンチックで綺麗だなぁ、って思って。どうにか綺麗に紫色にするのと、美味しく食べられるのを両立しようと思ったんだけど……アルダンの言う通り迷走してきて、なんかもう、紫色ならなんでもいい域に入ってきて……」

「どうしてそこまでして紫色を……?ううむ、確かに先程のお料理は、ロマンチックな紫色というより、ファンタジーに出てくる毒沼としか言いようがありませんでしたからね……」

「毒沼……まあ、毒沼なら毒沼で、そういう方向性で見た目を統一すれば面白そうだけど……」

「あっ、それはそれでいいんですね?」

 

彼女の言葉を受けて、再び稼働を始めようとする脳に、慌ててストップをかける。なんだか今の頭でものを考えれば、余計暗礁に乗り上げてしまいそうで……

 

「……では、ここはひとつ、思考をリセットしてみましょう?」

「ん?というと?」

「一度自分の考えを脇に置いて、私のリクエストに沿ってお料理をしてみましょう?また明日の、お昼にでも♪」

「ほほう、なるほどね……?」

 

確かに、考えてもしょうがない状況に追い込まれた時に大切なのは、『視点を変えてみる』こと、か。流石はアルダン。

 

「おっけー、わかった!じゃあ早速リクエスト聞こうか。アルダンは、何食べたいの?」

「そうですねぇ……では、私からのリクエストは、一つ」

「はいっ!」

「『お粥』です♪私、トレーナーさんの作った『お粥』が食べたいです♪」

「……お、お粥?」

 

両手を綺麗に合わせ、朗らかに笑みを浮かべながら口を開くアルダン。しかし、お粥か……難しいものじゃなくてよかったはよかったけど……けど、それはそれで……

 

「お粥って……なんかこう、流石に誰が作っても同じじゃない?それで料理の善し悪しって、あんまりピンとこないんだけど……」

「あら?そんなことはありませんよ?お粥にはちょっとだけうるさいので、私♪」

「せめて、こう、もう少し具体的に指定して欲しいんだけど……具はどうとか、付け合せがどうとかさ?」

「ダメです、お粥はお粥です。あとのことはご自身でお考え下さい、トレーナーさん?」

「え、ええ……」

 

 

──────────────

 

 

「お粥……お粥……」

 

夜中のスーパーマーケット。普段は真っ先に飛びつく半額シールの惣菜にも目もくれず、右往左往と歩き回る僕。流石に人生で初めてだなぁ、こんなに『お粥』について考えたのは……

 

「どうだろう、無難なのは卵とか梅とかか?いや、いくらなんでも無難過ぎるよな……なにかいい感じの食材……とか……」

 

野菜コーナー、肉コーナー、冷凍食品にお菓子売り場まで。ピンとくるようなお粥の具材を探し回る僕、であったが。

 

「ん、チーズかぁ。チーズとコショウで洋風にアレンジしてみたり……それ、リゾットだな。流石にレギュレーション違反か?あ、ナスだ。ナスを丸ごと入れれば、今度こそ綺麗な紫色に……じゃない!もう紫はいいんだよ!」

 

どれもこれも、ちょうど良いような、なんだか違うような……なんとも自分のセンスに自信が持てず、まるで明かりのない樹海の中をひた進むような気分で、僕はガラガラと空っぽのカートを押し進める。

 

「お粥、お粥って……なんだってアルダンは急にそんなリクエストを?お粥なんて正直、風邪引いた時くらいしか食べな……ん?」

 

……そうだ、考えてもしょうがない状況に追い込まれた時に大切なのは、『視点を変えてみる』こと。すなわち。

アルダンは、どうしてわざわざ『お粥』なんてリクエストしたんだ?

 

『あら?そんなことはありませんよ?お粥にはちょっとだけうるさいので、私♪』

 

「風邪……体調不良……そうか、アルダンにとっての『お粥』って……」

 

脳裏に浮かんできたのは、逞しく生命力溢れる、瑞々しいいつもの彼女の笑顔。けれども、それは当たり前の事ではない。きっとその裏には、幾重にも連なった苦悩の日々があったはず……そして、そうか、『お粥』というのは、すなわち。

刹那、僕の瞳に映りこんだ光明。まるで夜明けの陽射しのように、木々の間から真っ白な光が差し込んだ、ような……

 

〜♪〜〜♫

 

『本日は、ご来店ありがとうございます。間もなく閉店のお時間となりました。お会計のお済みでないお客様は……』

 

「……えっ!?もうそんな時間!?ていうか自分の晩ごはんのこと全然考えてなかった!ちょ、待って!待ってください!」

 

 

──────────────

 

 

「……よし、完成だっ……!」

「まってました♪もうお腹、ペコペコです♪」

 

日曜日の昼過ぎ、静まり返るカフェテリアの厨房に鳴り響く、花咲くような彼女の笑い声と……お腹の音、けれども。

 

「さてさて、今日は『お粥』というお題でしたが。果たしてトレーナーさんは、どんなものを……」

「…………」

「……トレーナーさん?どうされました?」

「ああ、僕なら大丈夫だよ、アルダン」

 

昨日とはまるで違う重々しい雰囲気に、さしもの彼女も、固唾を飲んでこちらの様子を伺っていた。そんな彼女の、美しく広がる宇宙のような紫の瞳を更に見つめ返して、今一度僕は、口を開く。

 

「あれから、ずっと考えていたんだ。君がどうしてそんなリクエストを、僕に投げかけたのかを」

「……?」

「『理解った』よ。これが、これこそが、僕の答えだ」

「こ、これは……!」

 

真っ直ぐに口元を噤んた彼女に、僕は渾身の一杯を差し出した。想定通り、じわじわとその目を丸くしていく彼女に、僕は高らかにその名を宣誓する。

 

 

「これが僕の……『お粥』だよ」

 

「……えっ???」

 

 

『始』を、忘れる事なかれ。

それこそがきっと、彼女の伝えたかったメッセージ。

 

元来、身体が弱く入退院を繰り返していた彼女にとって、きっと『お粥』という食べ物は……当時の薄暗い記憶を思い起こさせる、トリガーのような存在、なのかもしれない。そうでなくても、少なくともそこまで前向きなものでは、ないはずだ。

それでも彼女は今日、そんな『お粥』という存在と改めて向かい合う事に決めたのだ。後暗い過去もまた自分の一部なのだと、メジロアルダンというウマ娘は、この苦しみをもって産み出された存在なのだと。そんな事実を丸ごと飲み込む姿を、僕に見せつけてくれたのである。

『迷走』し、自分が元来何を目指していたのかを暗闇の中見失った僕に向けて。『前に踏み出すだけではいけない、時に向き合いたくない過去の己とも対峙せねばならない』ということを伝える為に。その背中を見せ、真っ白な光へと導く為に……

 

で、あるならば、僕も覚悟を決めなければならない。自らの『始まり』とは何だったのか、何故、僕は彼女に料理を振舞っているのか。その理由を、真髄を、彼女に示すためには。

 

「あの、このお粥……具材などは?」

「ないよ、お米と水と、塩だけ」

「そ、それはそれは……」

 

僕は、今の我が身に纏わりつくもの達……欲望、虚勢、プライド……そんなものを一度、捨て去ることに決めた。美しさよりも、驚きよりも、ただ純粋に『彼女に食べて欲しいもの』を。ただ、それだけを追求したまっさらな姿で、僕は彼女に向かい合うことに決めたのだ。

であれば、頼れるのは米と水と塩、そして己の腕前のみ、これしかないだろう。僕は僕の記憶の中の彼女と共に、夜通し『彼女に最も喜んで貰えるお粥』の研究に没頭した。彼女が最も美味しいと感じる米の炊き具合を一秒単位で考えて、彼女が最も食べやすいと感じる水の分量を一滴単位で調整し、彼女の身体に最も優しい塩加減を、一粒単位で計り尽くした。

そしてそれが一つの実を結んだ時、僅かに閉まりきっていなかったカーテンの隙間から白くなりゆく朝日が差し込んできた。その光が鍋の中のお粥に反射して、まるで純粋無垢な雪原の如く煌めいていたのをよく覚えている。これが、これこそが今の僕の最高到達点、純粋に一つのことを穿いた果てに視える、至高の領域。

 

「……トレーナーさん。一つ、お伝えしてもよろしいですか?」

「ああ、もちろんだ。何かな、アルダン?」

 

 

「『迷走』してますね。またしても」

 

 

「まっ……またしても!?」

 

彼女はおずおずとその純白な丼の中を覗き見ながら……半ば呆れ返ったようにつらつらと語り出した。

 

「その、何が『理解った』のかは分かりませんが。私がお粥をリクエストしたのは、『アレンジしやすい、簡単な料理だから』以外の何物でもありません。卵を溶き入れたり、七草を採り入れたりなど……そういった優しげなアレンジの感覚を取り戻していただきたいな、と……そういった意図でしか、なかったのです」

「あっ……ああー……そうなんだ……」

「はい、その、すみません……」

「………………」

「………………」

 

絶句。

 

まるで地獄の奥底を垣間見たような形相で丼の中を覗き込む、アルダ……

 

「……ふ、ふふっ、ふふふっ!」

「……!」

「ふふ、はぁ……♪もう、貴方のその癖は本当に、どうやっても治りはしなさそうですね?」

「それは…………はい、おっしゃる通りです……」

「はぁーあ……まあ、なんだかよく分かりませんが、せっかくトレーナーさんがあそこまで自信満々にお出ししてくださったのですから、余すことなく、いただくとしましょうか♪」

「う、うん!?はい、どうぞっ!」

「ふふふ、では、いただきます♪」

 

なんだかテンションが上げ止まらない様子で、おずおずと食器を手にする彼女。そのまま、スプーンの面積いっぱいに丼の中身を掬いとって、ゆっ……くりと、それを、口に、運ぶ。

 

「………………!」

「………………?」

「……トレーナーさん、この、お粥は」

「えっ?ど、どうしたのアルダン?」

 

一口、たった一口お粥を食したアルダンは、突然その匙を目の前に置き、こちらに丸々とした目線を向けてくる。まるで今までに見たことがない彼女の反応……僕の心臓も、じわりと跳ね上がる、が……

 

「……貴方は、どうしてこの味を?」

「え、えっと、どうしてって……」

「同じなのです。幼い頃、ばあやが毎日のように作ってくれた、あの味と、食感と、塩加減に……本当に、どうして?ばあやに聞いたりしたのですか?」

「え、えーと……なんだろうな?今まで色んな食べ物を君と食べたり、作ったりしてきたのを思い出して……その時々の君の反応から逆算して、一番好きそうな味付けをしてみた、って感じかな?ばあやさんっぽい味付けになったのは……まあ、必然ではある、のか?」

「……本当に、貴方ときたら。ふふ、たまには迷走してみるのも、いいかもしれませんね?」

 

なんだか、すっかり納得したような表情で再びスプーンを取り、一口、もう一口と匙を進めるアルダン。なんだかもうめちゃくちゃだけど……ま、気に入ってくれたなら何よりだ。

 

「……しかし、そうですねぇ……トレーナーさん、お塩はありますか?」

「え?あ、ああ、はいどうぞ?」

「ありがとうございます♪そして……申し訳ございません、失礼いたします!」

「えっ、えっ!?」

 

なんとも爽やかな笑顔を携えて、指先で小さな塩の瓶を受け取ったアルダン。まさかと思った時には、既に遅し。彼女は鼻歌混じりでその便を開いて、そうして……

 

「ふんふんふん……こんなものですかね?」

「おお……!?し、塩、足りなかった!?」

「ふふ、まあそうですね?確かに『あの頃』の私にとっては完璧な味付けでした。が……私だって、前に進んでいるのです♪」

「……???」

「ふふ、貴方の作ってくれる、舌が痺れるほど味の濃い料理のおかげで……私もこの程度では、満足出来なくなってしまいました♪貴方のおかげですよ、トレーナーさん♪」

「……ふふっ!もう、せっかく一粒単位まで調整したのに……そんじゃまた、計り直しじゃん!」

 

現状維持に決して満足せず、日々精進を続ける彼女の……アルダンの姿。進む先が成長に繋がってるんだか、はたまた延々と迷走してるだけなのかはまだまだ分からないけど。でもまあ、それでも積み重ねたものは結局消えはしない。いつか完璧なまでに彼女を唸らせられるようになるまで……今は、のんびり続けていければ、それでいいかな、なんて。

 

「あ、それとですね、私からも一つご提案が。昨日トレーナーさんに作っていただいた『毒沼丼』についてなのですが……」

「『毒沼丼』て」

「色々言ってしまいましたが、やはりあのお料理、封印するには惜しい気がするのです……味も悪くはなかったですし……」

「あ、アルダン……そうだね、確かに僕的にもアイデアは悪くなかったと思ってるし、頑張ってもっと美味しくできるように……」

「と、言うわけでご提案なのですが……あの中に入っている鶏肉、あれを骨付き肉に変更すれば、より危険な毒沼感が出そうだと思いませんか?」

「毒沼感の方をパワーアップするの!?」

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