メジロアルダン短編集『to the MEJIRO ARDAN』   作:いずさわ

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Touch off

例えるなら、それはまるで『炎』のような衝撃だった。

 

 

『さあ残り200を切った、まだ伸びるのかまだ伸びるのか、大楽勝だ』

 

さながら陽炎を靡かせながら飛び上がるジェットのように、目の前を駆け抜ける一人のウマ娘。

生まれて初めて目の当たりにするその光景に、そのあまりの熱量に、僕の身体は、脳は、そして、まなざしは。ほんの瞬く間に焼け付き、真っ黒に、焦がされた。

 

『まだまだ後続を突き放し7バ身……いや8バ身はあろうといったところです。凄い、凄い』

 

全身にびりびりとこびり付く火傷跡。その隙間から仰いだ背中を、僕は今でも、全てはっきりと覚えている。

燃え盛るような深紅の勝負服、その膨れ上がったスカートの裾から浮き上がる芝生の断片が、鮮烈なオレンジの夕陽に照らされ、まるで舞い散る火の粉のように見えた事も。

 

『そのままの勢いで今、ゴールイン。いや、強かった。自身初のG1タイトル制覇に、まさしく感情が込み上げると言ったところでしょうか、その場で倒れ込みます』

 

西日とスタンドに出来た影、その暗がりの中で激しい火花に照らされた彼女が、まるで打上花火のように眩しかった事も。

そんな火の粉が、後続のウマ娘達にはまるで試練のように容赦なく降りかかっていた事も。

 

『おっ、と、駆けつけたのはトレーナーでしょうか、ふたり目を合わせ、勝利を称えあっています』

 

そしてその火の粉の一つが、巻き起こる旋風に煽られて。

偶然、僕の『眼』に、僅かに燃え移っていた事も。

 

 

──────────────

 

 

「ふっ、ふっ、ふっ……ふっ!」

「………………」

「ふっ……はあっ!」

「…………よしっ!」

 

優しげな夕陽が照らすオレンジに目を細めた、学園内ターフ。僕は粛々と手元のストップウォッチを止めて、彼女に向き直る。

 

「うん、最高だ!タイムもフォームも、昨日よりもずっと良くなってる!」

「はあっ、はぁ……ふふ、ありがとうございます♪」

 

両膝に手を付き、息を整える彼女……我が担当ウマ娘、メジロアルダン。

身振り手振り落ち着かず、興奮冷めやらぬ僕の様子とは裏腹に、ジッパーを解き放ち内に溜まった余分な蒸気を逃がしながら、彼女はいつもと変わらぬ安定した熱量でこちらへと笑みを浮かべてきた。

 

「けれども、こんなものではまだまだです。メイステークス、オープン戦ではなんとか通用しましたが、『重賞』となれば話が違う。そうでしょう?トレーナーさん?」

「ははは……まあそうだね、油断大敵だよね。ちょっとぐらい浮かれてもバチは当たらないと思うけど、ま、それもまた君のいいところか」

「ふふ、それほどでも♪しかし、『高松宮杯』までもうあと二週間ですか……」

 

メイステークス……彼女の一年ぶりの公式復帰戦。あの感動的な快勝から、もうひと月も経つのか。年々加速していく時の速さに慄きつつ、けれどもまだまだ容赦なく迫り来る未来に、それを真剣に語る彼女の姿に、僕は慌てて襟元を整える。

 

『高松宮杯』

中京、芝、2000M。七月の初旬、春の重賞戦線も完走し、一年の計も一段落という時期に執り行われるそのG2競走は、まさしく来たる秋への試金石。天皇賞・秋から連なる、シニア期のウマ娘達にとって最も熱いG1三連戦に向けた、夏合宿前最後の本番環境。

……故にG1級の実力者が群雄割拠し、G2とは名ばかりのオールスター戦と化す事も珍しくないこのレースこそ、僕達の、次の照準なのであった。

 

「……そして、天皇賞・秋までは十八週間、ジャパンカップまでは二十二週間、有馬記念までは二十六週間ですね?いかがでしょう、それまでにちゃんと、勝てる形に仕上げる事ができますでしょうか?トレーナーさん?」

「えっ?もうそんな先のことまで?」

「ふふっ、もちろん。盾も杯も何もかも、私はもちろん『全部欲しい』と、そう思っていますから♪」

「……あはは、ほんっと欲張りだなぁ、君は」

「貴方にだけは、言われたくありませんけどねっ?」

 

そんな誉高い秋のG1戦線を、幼い子供のようにもういくつ寝るとと数えるアルダン。どこか遠くを望むその瞳の中には、膨大な熱量を持った青い炎が燐々と輝いていた。

 

「……ああ、そうだね。僕だってもちろん、君にあげられるものは『全部あげたい』。盾も杯も、メダルもトロフィーも、見たことも無いような称号だって、全部、全部」

「ふふっ?そんなに沢山貰ってしまったら、トレーナー室には置き切れませんね?専用の倉庫を用意しなければ♪」

「ええと、メジロのお屋敷には置かせて貰えないのかな?」

 

肺から送られる酸素と、全身を廻る燃料を適正量くべられて、その炎は今日も1ミリも揺らぐ事なく、まるで予定調和のように安定して燃え続けている。

 

─── 高松宮杯。G1級の実力者が群雄割拠し、G2とは名ばかりのオールスター戦と化す事も珍しくない、このレース、けれども、なぜだか。

 

『大丈夫』だと、そう思えた。

絶対に、間違いなく、彼女はこのレースで一着をもぎ取って来るのだと。根拠はまるでないけど、僕の『眼』は、彼女の姿をそう捉えていた。

 

「さあさあ、そんな先の事を考えていても仕方がありませんよトレーナーさん?千里の道も一歩から、まずは二週間後のレースの事に、きちんと集中しましょう?」

「えっ、君から言い出したんじゃんそれ……」

「今回もいつも通り、いつでも貴方の策を完璧に遂行できるように準備はしておきますから。貴方もいつも通りの『観察眼』、よろしくお願いいたしますね?」

「……あ、ああ、いつも通り、ね?任せてよ、アルダン」

 

……不安があるとするならば、僕の方か。

 

『観察眼』。ウマ娘達の挙動、ターフの環境、その少し先の未来まで無意識下に観察し、考察できる。他のトレーナーにもウマ娘達にもない、天から僕に与えられた唯一無二の特異な『才能』……と、彼女のおかげで最近ようやくそう思えてきた、自分のこの眼。知識も指導力もカリスマ性も、並のトレーナー以下であるこの僕が持つたった一つの切り札であり、彼女のトレーナーとして、隣に立つための、免罪符。

事実、彼女の復帰戦までの間に走った模擬レース。『僕が視て、きっかけを作る』そして『彼女が気付いて、実行する』。そんな戦法で並み居る強豪に鋭く食らいついたことは数知れず。間違いなくこの役割分担はこれからも、どんな強敵にだろうと突き刺さる。僕は……そしてきっと彼女も、そう確信していた。これまでは。

 

「………………」

 

僕が視て、気付けたとしても。

彼女が実行出来る準備をしていたとしても。

僕が、きっかけを与えられなかったら?

僕と彼女の、繋がりが断たれてしまったら?

 

スタンドの僕とターフの彼女を繋ぐもの、基本的にそれは『声』、僕が彼女の名を呼んで、彼女がそれに応える。そうやって僕は彼女に、これまできっかけを作り続けてきた。

 

では、その『声』が届かない状況に陥ったら?

 

先日、ひょんなことから露呈してしまったこの戦術の脆弱性に、未だ僕はなんの手も打てずにいた。ましてやこれから彼女が乗り込んでいく日本最高峰G1の舞台は、これまでと比べ物にならない程人々の歓声に包まれるであろうことは火を見るより明らか。

そんな状況で、僕のこの眼は、僕だけのこの『才能』は、どう役に立つのか?今の僕に、自信を持って彼女の信頼に応えることが出来るのか?

 

何が足りない?何が過剰?オレンジにぼやける鮮烈な夕陽の光を浴びて、僕の眼も、風前の灯のように不安定に揺れ動く。このままではいけない、こんなことでは、彼女の勝利に貢献出来なければ、僕は彼女の隣に立つ資格なんて……

 

 

「あーーーーーーーーっ!!!!アルダン先輩、お疲れ様ーーーーーっス!!!!」

 

 

「あら?あの声は……」

「うっ!?この声は……」

 

と、これまたいつも通りの悪い癖で深く考え込んでいたノーガードな僕の脳に突き刺さる、竹を割ったような爆音。やっぱ僕、総じておっきい声に弱すぎるなぁ……

 

「オーーーーッス!バンブーメモリーっス!先輩達も、高松宮杯に向けたトレーニングっスか!?」

「ふふ、まあ、そんなところです♪」

 

その声の主は、他でもない『バンブーメモリー』。アルダンの同期で、なんだかんだ僕にとっても縁のあるウマ娘である。まあ、その殆どがだいぶ散々な思い出なんだけど……

 

「さっすが!気合入ってるっスねぇ!アタシも負けてられないっス!」

「あ、ああ、そういえば君も出走登録してるんだったっけ、高松宮杯」

「はいっス!宝塚じゃ悔しい思いをしたっスけど、今度こそ証明してやるっス!アタシは……バンブーメモリーは中距離でも長距離でも、どこでだろうと最強だってことを!」

 

これまで、芝ダート問わず短距離とマイルで圧倒的な実力を発揮してきたバンブーメモリー。であったが、つい先日行われた『宝塚記念』……阪神、芝、2200M。中距離G1の舞台に電撃参戦を果たし、世間を賑わせたのである。

 

「あらあら、随分と気合いが入っているところ申し訳ございませんが……譲るつもりなどありませんよ?最強は、この私です♪」

「あっはっはっは!それでこそアタシの宿命のライバルっス!アルダン先輩!」

「ふふふ、今回が初対決なのですけどね?」

 

そんな宝塚ではそれほど目立った活躍もなく五着に終わった彼女だが、やはり中長距離に対する憧れはまだまだ健在らしい。アルダンに少し似た、若々しくも決して振れることの無い青竹色の炎を、彼女もまた瞳の中に覗かせているのがその証拠……だけど。

 

「……やっぱり、どうしても出るつもりなんだね」

「当然っス!確かにこの脚は間違いなく短距離マイルの方が向いてるって、アタシ自身理解はしてますけど……」

「………………」

「けど、それでも背中を押してくれたんス。『信じている!』『君にだって、できる!』って……そう、アタシの『トレーナーさん』がっ!」

 

間違いない。彼女自身も自覚している通り、彼女の元来の適正はマイルまで。一切合切絶望的という程でもないが、このトゥインクルシリーズで勝てる水準まで仕上げる為には、恐らく丸一年くらいは見ておく必要はあるだろう……というのが、僕の『眼』から視た、彼女のその挑戦に対する評価、なのだが。

 

「ふふっ?随分とお熱いトレーナーさんなのですね?詳しくは存じあげませんが、きっとバンブーさんと相性ピッタリなお方なのでしょう♪」

「相性ピッタリ……ってのはわかんないっスけど、そうっスね。あの人は誰よりもアタシの事、アタシの夢を信じてくれるっスから。今回、中距離から先に挑戦したいって相談した時も、少しも笑わずにアタシの選択を受け入れてくれて……」

「あら、本当に良い関係ですね?私たちも、負けてなど居られません。ね?トレーナーさん?」

「……相変わらずなんだな、あの人も」

「……トレーナーさん?」

 

彼女のトレーナーは何か、それをギュッと縮めるような革新的なルートを、彼女に見出したのか……

それとも、『あの人』は、また。

 

「しっかし、飲み物の補充って言ってたのに、なかなか帰ってこないっスねトレーナーさん。きっとまた、どこかで誰かに囲まれてんスかね?」

「あらあら、バンブーさんのトレーナーさんはそれほど人気者なのですか?」

「当然っス!なんせアタシのトレーナーさんは……」

 

 

「やぁ!待たせたなバンブーメモリーくん!それと……久しぶりだな、少年!!!」

 

 

「…………!」

 

──そうだ、僕は大きな声が苦手だ。

だから、『あの人』に対してのこの気持ちだって、そう。僕はあの人の、その大声が苦手なだけであって、それ以外は、それ以外は別に、どうってことないはずだ。だってあの人は、あの人は僕の、ずっと憧れで。

脳内で慌てて誰も聞いていない言い訳を並べている、そんな僕の様子に知らぬ存ぜぬ顔を上から浮かべて、あの頃からやはり一ミリも変わらない凛々しく野太い声を携えて、彼は再び、僕の前に姿を表した。

 

「……お久しぶりです、美竹さん」

「ああ!元気そうで何よりだ、少年!」

「あら、あの方は確か、かのご有名な……」

「ええ!あの人こそがアタシのトレーナー……『美竹さん』っス!」

 

美竹トレーナー。指導者デビュー後、たったの二年目で教え子をG1勝利に導いた『神童』にして……それから十数年の間、二十個以上ものG1タイトルを教え子達に与えてきた『キングメーカー』。

 

「って、遅いっスよ美竹さん!担当を待たせるなんて、随分なご身分っスね!」

「はっはっは!すまない!帰りの道中でチームの娘達から相談を受けてしまってな!」

「ま、そんなところだろうとは思ったっスけど!美竹さんはほんっとお人好しなんスから!」

「いやはや、教え子に諭されるとは、私もまだまだ半人前ということだな!すまなかった、バンブーメモリーくん!」

 

そして、現在ではウマ娘二十名、サブトレーナー七名体制の、学園屈指の巨大チームを束ねる、誰もが認めるトレセン学園の『トップトレーナー』。様々な異名を持つ彼こそが、僕の元直属の上司にしてかつての恩人にして、子供の頃からの、僕の……

 

「しかし……あの時の少年が、とうとうここまで登りつめて来るとはな……初めての直接対決、私は嬉しいぞ!な!少年!」

「あはははは……まあ、お手柔らかにお願いしますね?」

「思えば、そうだな……着任したばかりの君が私の部屋を尋ねてきたのが、確か丁度……」

「ストップっス美竹さん!アンタの昔話はいっつも長いんスよ!」

「おっと?すまない、そんなに長話をしているつもりはないのだがな?」

「自覚ないんスかぁ!?全く、仕方の無い人っスねほんと!」

「はっはっは!はっはっはっは!」

「はは、あはは……」

 

「……トレーナーさん」

 

ドカンドカンと、堂々たる大股でこちらに歩み寄って来たかと思えば、至近距離で耳が灼けるような熱い言葉を浴びせ倒してくる、美竹さん。ああ、この人は本当に、本当に何も変わってないんだな。変わらず安定して、無為に熱くて、無為に、無責任で。

……まあ、この中で未だに、この期に及んでふらふらと揺れ動いているのは、僕くらいのものなんだろうけど。

 

「…………よし、自習だ!」

「はい?急になんスか美竹さん?」

「丁度いい!次の高松宮杯に出走するウマ娘が二人も揃っていることだ!今日のトレーニングは自己学習にして、トレーナーの目を気にせずお互いの技術を存分に吸収し合う時間にしてみてはいかがだろう?な?二人とも!」

「また美竹さんは、なんでも急に決めるんスから!アルダン先輩、嫌なら断ってもいいんスよ?」

「ふ、ふふ……まあ、悪くない提案だとは思いますが……トレーナーさんは、いかが思いますか?」

「え?えっと、その、僕は……」

「どうだろうか!なあ少年?」

 

天然なんだか、それとも、なんなんだか。もう直属の上司でも無くなったというのに、やはりこの人から何か強く頼まれると、僕は不思議と足がすくんでしまう。なんだか圧倒的な『正しさ』を口の中に押し込まれているみたいで、胸がつかえて、何も言えなくなる。彼女の前で、こんな情けないところなんて、見せたくないのに。

 

「わ……かりました、はい。今日のところは、そうしましょうか」

「よし、決まりだな!しばらくしたら迎えに来るから、二人とも思う存分競い合ってくるんだぞ!」

「ま、みんなそう言うんならお言葉に甘えさせていただくっス!さ、行きましょアルダン先輩!」

「は、はい……」

「はっはっは!私達が見ていないからと言って、羽目を外し過ぎないようにな!」

 

じわじわと沈みゆく鮮烈な夕陽の中、遠くなっていく二人の背を見つめた僕。はてさて、なし崩し的に時間ができてしまったけど、僕は一体これから……

 

「何をすればいいんだか……といった表情だな?少年」

「……えっ?あ、あ、えっと、その」

「解っているとも、それは今のこの時間だけではなくて……『これから先』自分はどうすれば良いのか、決めあぐねている顔だな?ああ、良く良く、解っているとも!」

 

と、僕の考えている事を、まるで骨の髄までビタリと言い当ててくる美竹さんに、僕は思わず、眼を見開いてその様子を観察してしまう。その様は……なんだか僕の知っている美竹さん『らしからぬ』様子であったからだ。

僕の知っている美竹さんは、もっとこう、尊大で、不遜で、人の気持ちなんて、これっぽっちも……

 

「人の気持ちなんて、これっぽっちも解らない。美竹という男は、そんな奴だったはず……といったところか?はっはっは!さすがに傷付くぞ!少年!」

「…………!?」

「どれ、時間が余っているのであれば、久しぶりにトレーナー面談でもしようじゃないか!かつて月に一度やっていたようなくだらない内容ではなくて、もっと、もっと腹を割ったような奴を、な!」

 

 

──────────────

 

 

「君は昔から、本当に私の事が苦手だな!」

「えっ」

 

学園内ターフの端に設置された、みすぼらしい色褪せたベンチに腰掛け、美竹さんに買ってもらった、ぬるいコーヒーに口を付けた、瞬間。僕の隣に堂々たるスペースを使って腰掛けた当の本人は、屈託のない表情でそんなことを言い放ってきた。

 

「えっ、いや、いやいやいや。全然?全然そんなことないですよ?み、美竹さんいい人ですし?仕事めちゃくちゃ早いですし?元気ですし?声聞き取りやすいですし?あと、ほら、そのーーー……」

「それに、嘘も苦手だな!はっきりと顔に書いてあるぞ!少年!」

「……あ、ははは」

 

話の内容とは裏腹に、いつも通りにそのぎらついた歯並びを至近距離で見せつけながら美竹さんはつらつらと言葉を並べていく。この人、苦手って思われてるの分かっていながらこういうムーブかましてたのか……一周回って、凄いな、ほんと……

 

「……まあ、今は昔ほど、苦手だなんて思ってませんよ。この世界の厳しさだって少しは解って、そしてその渦中で、そうやって常に安定した精神で明るく振る舞い続けることの難しさも、ちゃんと理解できるようになりましたから」

「はっはっは!いやはやそれなら結構!君を見ていると本当に、昔の自分を思い出すな!」

「昔の美竹さん?いやいやいや、美竹さんが僕くらいの歳の頃は、とっくにG1トレーナーになってたじゃないですか。僕なんて、まだまだ……」

「……なあ、少年」

 

だいぶ日も傾いてきた、黄昏時、まるで今日にしがみつこうとするあの夕陽を諭すかのように、丁寧に、一言ずつ美竹さんは言葉を紡いでいく。

 

「どうかな、メジロアルダンは?君のその『眼』から視て、彼女は高松宮杯、勝てそうだと思うか?」

「え?ええっと、それはどうでしょう?ほら、レースってものに絶対はありませんから……」

「はっはっは!いやいい、いいんだぞ少年!もう私は君の上司でもなんでもない!君がここでなんと言おうと、君の査定にも将来にも、何にも響きはしないさ!」

「……単純に、そうだとしても言いづらくはありますけどね。同じレースに担当を出走させるトレーナー同士では、ありますし」

「ははっ!まあ確かにそうだな!」

「けどまあ、良いと言われたので言いますが……『勝ちます』よ。根拠はありませんけど、アルダンは、きっと勝てると思います」

「はっはっは!そうかそうか!では君は、どうしてそう浮かない顔をしているのかな?」

「……それは」

「担当ウマ娘が、間違いなく勝てる。それはトレーナーにとって、これ以上なく良い事なのではないのか?」

「け、けどそれだって絶対じゃない、根拠がない。僕は確実に、絶対に彼女の望むもの、全てを彼女にあげたいんです。その為の方法が、僕は」

 

本当に、いつもの調子を崩さずに、けれども詰め将棋のように僕の精神をこれでもかと揺さぶってくる美竹さん。その意図が今一つ読めずに、僕はただ、口と脳を直通で通わせて言葉を捻り出していた。

 

「『対等』になろうとしているのではないのかな?君は、君自身がメジロアルダンと対等な存在になることを、最早彼女の勝利以上に、望んでいるのではないだろうか?」

「……!」

 

まるで、王手を指されたかのように、一瞬で僕の思考は止まる。そういえば僕は、何に悩んでいたんだろうか。根拠はなくとも、ちゃんと『大丈夫』だと思えたはずなのに、僕は何がそんなに、不安だったんだろうか。

 

そうか、僕は僕の『価値』がなくなる事にこそ、怯えていたのか。

 

「差し出がましいようだがね、少年。我々は皆、歯車だよ。君も私も、新人もベテランも、神童だのキングメーカーだと言われていようとなかろうと、皆、歯車でしかないのだ」

「………………」

「そう深く考えずとも、ウマ娘達は勝手に育ち、走り、歴史は紡がれる。我々が出来ることは、ただ己が役割をひたすら回し続ける事だけだと、私はそう思うぞ、少年」

 

きっと昔の僕なら、これっぽっちも理解出来ていなかったんだろうな。けど、今なら解る。多少なりともこの世界の、トゥインクルシリーズの厳しさ、思い通りに行かない運命の残酷さ、ままならなさを知った僕なら。

考え過ぎていたんだな。僕は、絶対に彼女にとっての何かにならなければならない、今すぐに何かをしなければならないと、『対等』でいなければならないと、そう思い込んでいた。そんな先の事を考えていても仕方がない、千里の道も一歩から、か。

 

揺らいでいたオレンジが、いよいよ沈みきって。僕の視界には、穏やかに安定した、青紫色の夜が映り込んでいた。そうだな、きっと大丈夫だ。彼女なら高松宮杯も、きっとその先だって……

 

「それにな、少年!絶対ではないことなんて、それこそ絶対にないさ!」

「み、美竹さん……」

「いいか?君はその『眼』で、メジロアルダンの勝利を、その未来を確かに視たんだろう!」

「……ええ、ええ、そうでした……!たとえ誰がなんと言おうと、僕は確かに視たんだ、この『眼』で、アルダンの勝利を!」

「はっはっは!それなら間違いないな!君も、そして私だって視たのだから!二週間後の高松宮杯の勝者は、絶対にメジロアルダンだ!重賞初勝利、本当におめでとう!少年!」

「っ!あ、ありがとうございます!美竹さんに憧れて、この世界に入って本当に良かっ……」

 

 

「え?」

 

 

「どうした少年!そんな間抜けな声を出して!」

「えっ?えと、いや、貴方がそう言っちゃ……なんというか、ダメじゃないですか?」

「はっはっは!おかしな事を言うな少年?自分の担当ウマ娘が勝つと言うのに、なんの不満があるのかね?」

「いやだって、美竹さんはバンブーメモリーのトレーナーなんだから、ちゃんと、こう、バンブーメモリーが勝つんだーって、ちゃんと、言っとかないと、こう……ダメじゃないんですかね?」

「………………」

「え?えっと、なんかおかしな事言ってます?僕?」

「……逆に、訊くがね、少年」

 

ニコニコと、目尻に深く皺を寄せていた彼の『眼』が、いよいよパチリと開かれる。その深淵を覗き視て、僕は酷く、身震いした。

───そうか、美竹さんの。この人が今までずっと発していたものは、『熱』なんかじゃなかったのか。

 

 

「今のバンブーメモリーくんが、短距離やマイル以外のレースで勝てると、ほんの僅かでも、君はそう思うかな?」

 

 

美竹トレーナー。彼のその目はまるでブラックホールのように黒く染まって、そこにはなんの炎も灯ってなどいなかった。そうだ、僕がずっと彼の熱さだと誤認して、避けていたものの正体……それはまさしく、絶対零度のような『冷たさ』だったのである。

 

「っ……それ、は」

「そうだな?一切合切絶望的という程でもないが、このトゥインクルシリーズで勝てる水準まで仕上げる為には、恐らく丸一年くらいは見ておく必要はあるだろう。というのが、私の『眼』から視た、彼女のその挑戦に対する評価……と、言ったところだろうか?」

「…………!」

「そして、恐らく君の『眼』から視た評価もまた、そう遠くもないのではないかな?少年?」

 

彼の、全ての熱を吸い込み無に帰してしまいそうな程黒い眼差しに視詰められて、僕はそれきり、喉が凍り付いたように何も言葉が出てこなくなる。ああ、『そう遠くもない』なんてどころの話じゃない。とても信じ難い、信じたくもないけれど、けれども間違いない、僕は、解ってしまった。

 

この『才能』は、僕だけのものじゃなかった。

美竹さんもまた、僕と同じ『眼』を。

 

……いや、だとするならば、やっぱりおかしい。バンブーメモリーの事もそうだし、それに、そうだ、あの日の『彼女』の事だって。僕はその疑問を解き明かすべく、引き裂けそうな喉を無理やり震わせて、何とか言葉を紡ぎ出す。

 

「……だったら、どうして出走を止めないんです?何か勝てる見込みがあるならまだしも、勝てないと解っているなら、すぐにでも!」

「はっはっは!言ったはずだぞ少年?我々は皆、歯車なのだと」

「…………?」

「『ウマソウル』というものを、知っているかな、少年」

 

……何とか捻り出した不安定な熱量など一瞬で0度に戻すように。彼は今までと変わらぬ冷酷さを纏いながら、僕の質問をあっさりと質問で返してくる。

そして、夜闇の中堂々と居座ったその様は、その質問は、なんだかいつか視たどこかの誰かによく似ていて、僕は思わず己が両耳に手を差し伸べた。

 

「ウマ娘は、別世界の偉大な存在の名前を受け継いで産まれ、その意思に従って走る存在なのだという論説……いいや、論説などではないな。既に私と君は、その一端を『覗き視て』いるのだから」

「……この眼が、そうだと言うんですか。僕達の才能が、そんなものだと」

「ああ、そうだとも。この世界はその『ウマソウル』が作り出したアニメか漫画か小説か、もしかするとゲームか何かといったところで。我々はその中で『役』を演じているに過ぎない。そうだな……この眼を持つ我々は、言わば『プレイヤー』かな?一本道のシミュレーションゲームを黙々とプレイする、観測者といったところだろうか?」

 

彼がつらつらと語る、身も蓋もない話。けれどもその言葉達は何故だか僕の身体の中、まるでミネラルウォーターのようにするりと入り込んできた、きてしまった。

やはり、足がすくんでしまう。圧倒的な『正しさ』を口の中に押し込まれているような感覚は、なるほど、本当に圧倒的な『正しさ』を押し込まれていたから。そんなふうに、本気で思えてしまうほど。

 

「故に、歯車なのだよ我々は。トレーナーも、ウマ娘達も、どこかの誰かが作り出した大きな物語の、一部品でしかない」

「………………」

「その事を教えてくれたのは『彼女』だったな。君も知っているだろう?私の初めての教え子にして、私が……」

「……!初めて、G1トレーナーになった、あの」

「はっはっは!よく覚えている!さすが私の元ファンボーイ!」

 

忘れない、忘れるはずがない。あの日、目の前で土埃と轟音を上げながら一着でゴール板を踏み抜くウマ娘の姿と、目線を合わせ、対等に喜びを噛み締め合うトレーナーの姿。紙吹雪と人々の拍手喝采に包まれたその、逞しい背中。あの日の二人の姿を目撃したからこそ、僕は今、この場所にいるのだから。

 

「……それ程のファンならば、当然知っているだろう?『彼女』がその後、どのような競走人生を歩んだのかを」

「……そ、れは」

 

───ああ、当然、僕は知っている。

あの日見たウマ娘は、その後もレースを走り続けた。

走り続けて、負け続けた。

負け続けて、ついぞあれから一勝もできずに、そのままなんの発表も、記者会見も、豪華な引退式もなく、僕の知らぬ間に、あっさりとターフを去っていった。

その後のことは、何も知らない。

 

「失礼、私の昔話はどうやら長いらしいが……この際だ、少し付き合ってくれないだろうか?」

「あ、は、はい」

「件のG1レースの後の話だか、彼女は突然、長距離路線に挑戦したいと言い出した。私は反対した、骨格のバランス、普段の歩き方から見て、彼女の元来の適正は2400Mまでで、それ以上の距離を走れば消えないダメージが身体に溜まり続けるだけだと。そう、この『眼』で視て、解っていたからだ」

「…………!」

「しかし、彼女は引かなかった。『たった一度の人生、後悔はしたくない』のだと、『運命だって変えられるはず』だと、そんな甘言を私に吐いてきた。未熟であった私はそれに乗せられ、策を練り、案を講じて、彼女をその舞台へと送り込んだ」

「……それで、結果は」

「三着、事前に私が視込んでいた結果とピッタリ同じであったよ」

 

僕の憧れが、夢が、そのメッキがポロポロと剥がれ落ちていく。あの日見たウマ娘とトレーナーは、何一つ、特別な存在などではなかった。中距離芝のレースがちょっと得意なだけの、毎年一定数現れる、ただの数あるウマ娘のうちの一人でしか、無かったのだ。

 

「その後も、ボロボロになった彼女がレースに出るのを、止めることは叶わなかった。必死に止めようとする度に『夢』や『希望』といった言葉で『軌道修正』させられて、気付けば彼女は、ターフの上で負けている。やがて程よいところで彼女はターフを去った、その決断もまた、私はなんの関与も出来なかった」

「………………」

「次に私の元にやって来た娘もそうだ、勝手に走って勝手に勝って、勝手に負けて、勝手に引退した。また次の娘も、次の娘もそうだった。私は、私の視た未来を一度も修正出来ないまま、気付けば何故か周囲から『トップトレーナー』『キングメーカー』と呼ばれていた。やがて理解したよ、美竹というトレーナーは、初めからそういう『役』だったのだと」

「そ、んな、こと」

「それに気付いた後は、実に身軽だった!私はただ、目の前のウマ娘の意思を業務的に肯定し、機械的に背中を押す!そうやって与えられた役を全うしていると、世界も私に優しくなった!トレーナーとして周囲には持て囃され、敗北や怪我の責をこちらに問うてくる者もいない!勝つものは勝ち、負けるものは負け、怪我をするものは怪我をする!全てはただの決められた物語、私も、君も、誰も自分事として責任を負う必要はない!この眼の、この才能のお陰で私は、いち早くその事に気付き、あらゆる苦悩から解脱することが出来たのだよ!」

 

夜闇に反響する、美竹さんの変わらぬ大声。突拍子もない、詭弁妄言。けれども、ああ、残念ながら僕は既に、視てしまっているのだ。

 

二週間後の高松宮杯、一着でゴール板を踏み抜くメジロアルダンも。

 

十八週間後の天皇賞・秋、三着でゴールするメジロアルダンも。

 

二十二週間後のジャパンカップ、そのターフの上に居ない、メジロアルダンも。

 

「……君を見ていると本当に、昔の自分を思い出すな、少年」

「……それって、つまり」

「どうかな少年。私と同じ才能を持った、若人よ。そうやって無駄に苦しむのを止めて、私と共にプレイヤーとして、この世界を楽しんでみないか?」

「楽しむ……?こんな世界をですか?」

「ああ!『対等』などではなく『上位存在』として、彼女達を天から眺めて、楽しむ!愛らしいウマ娘達が、努力してレースに望む様を見守り、時に交流して癒しを得る!そんなアニメや漫画、小説やゲームのようなフィクション作品として、彼女達を捉えるのだよ!」

「…………!」

「作品名は……そうだ!こういうのはどうだろう!」

 

取り出したメモ帳に、美竹さんは勢いよく文字を書き、記していく。やがて完成したその言葉に、僕はなぜだか酷く、懐かしみを覚えてしまったのだった。

 

 

 

『ウマ娘 プリティーダービー』

 

 

 

──────────────

 

 

「あ、トレーナーさん」

「……アルダン」

 

すっかりと、冷たい夜闇に包まれた学園内ターフ。いつ見てもまるで変わりなくそこに在り続けるその空間の真ん中、立っていたのは、メジロアルダンであった。

 

「あれ、バンブーメモリーは?」

「ああ、バンブーさんならいくらなんでも遅すぎると言って、ご自身のトレーナーさんを探しに行きましたよ?」

「あらら、どこかですれ違ったかな?まあ、丁度僕らも話し終わったし、丁度いいタイミング、だったかな?」

「………………」

 

……あれからの話は、正直よく覚えていない。確か焦燥しきった僕を見かねて、美竹さんが今日のところはお開きにしてくれた、んだっけか。

 

「……何か、嫌な事でもございましたか?」

「えっ……解るの、アルダン?」

「当然ですよ、貴方程の観察眼はないけれど、それでも、これまで一緒に歩んできた仲ではありませんか」

「……うん、そうだね、本当にそうだ」

 

いつものように、僕に対して緩やかに、穏やかに笑いかけてくる、アルダン。そんな救いの手に、僕もまた、いつも通りに手を……

いや、もしかしたら彼女のこの動きだってこの言葉だって、このやさしさだって。誰かから与えられた、運命に定められた……

 

「お説教でもいただきましたか?何か不当な事を言われたのであれば、私に教えてくださいね?たとえトップトレーナー相手だろうと、その時はメジロ家の力を使ってでも、猛抗議させていただきますので♪」

「…………!」

「…………?」

「っ、ふふっ……!ありがとねアルダン、流石にそこまでじゃないから、安心して?」

 

彼女の、冗談ともなんとも言えない生々しい提案に、思わず僕の瞳も揺れ動く。そうだな、たとえそれが、この世界の強固な真実だったとしても。

 

「では、一体何があったのでしょう?少しずつで良いので、お話していただけませんか、トレーナーさん?」

「………………」

「お節介で、わがままに思われるかもしれませんが……盾も杯も何もかも、貴方の、抱えている苦しみだって。私はもちろん『全部欲しい』のです」

「……ああ、そうだね。僕だってもちろん、君にあげられるものは『全部あげたい』」

 

『僕が視て、きっかけを作る』そして『彼女が気付いて、実行する』。そんな戦法で並み居る強豪に鋭く食らいついたことは数知れず。間違いなくこの役割分担はこれからも、どんな強敵にだろうと突き刺さる、はずだ。

 

「アルダンは、『ウマソウル』って……知ってたよね、そういえば」

「ええ、もちろん」

「今から話すこと、とんでもなく突拍子もないことだと思うけど……落ち着いて、聞いて欲しいんだ」

 

     ◆

 

「『役』を演じている。この世界のウマ娘も、人間も、皆、ですか」

 

一音、一音丁寧に、真摯に、取り零さぬように。僕は事の全貌を彼女に、我が担当ウマ娘メジロアルダンに洗いざらい全て吐き出した。あまりに突拍子のない夢物語に、さしものアルダンもしばらく困惑の表情を隠せずにいたが、それでも、ほんの少しも躊躇わずに僕の話を最後までその両の耳に収めてくれた。

 

「なるほど、貴方のその類い稀なる観察眼の鋭さは、そのような仕組みだったのですね?」

「ははは……まあそれだって、僕だけの才能って訳じゃなかったんだけどね?」

「それでも、才能というものは使い方次第です。貴方のその眼のお陰で救われている者もいるということは、どうか、忘れないでくださいね」

「……ありがとう、あのさ、アルダン」

 

そんな彼女に、僕はありったけの敬意と感謝を込めて、深く深く、頭を下げた。

 

「ごめん、本当なら君に、こんな余計な事を考えて欲しくはなかった。本当なら、僕一人で何とかしなくちゃいけないことだって、わかってる」

「………………」

「けど、やっぱり僕一人じゃ、限界だ。この状況をどう乗り越えていいか、分からない、だから」

「………………」

「お願いだ、君の知恵を、力を、その勇気を、僕に貸してほしい。この世界を、君の運命を、塗り替えたいんだ、だから」

 

そうだ、僕は彼女の『上位存在』で在りたくない。『対等』ですら、なくてもいい。

捧げられるものは、全て捧げる。僕に出来ることは、全てやる。対価など、無くてもいい。君が自由に笑っていれるなら、僕はそれでいい、だから。

 

「……一つ、私に考えがあります」

「アルダン……?」

「それは、もしかしたら貴方にとって、とても、とても耐え難いことかもしれません。貴方の、生きる意味を奪ってしまう行為なのかもしれません、それでも」

「ああ、いいよ、僕はそれでも、いい」

「……ふふっ、本当に貴方は、へんなひとですね♪」

「まあ、自覚はあるよ?」

 

静止した夜空に、星が流れる。彼女の安定した炎も、ほんの僅かに揺らぎ始める。そのあまりの美しさに、僕はほんの一瞬だけ、時間を忘れて、見蕩れていた。

 

 

「トレーナーさん。貴方の─────」

 

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