5枚全てが手札に揃った時、デュエルに勝利する。ただし運命力により初手で5枚揃うものとする   作:ロイヤルソイミルクインスタントコーヒー

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第5話 目と目は合ってないけど真面目にカードバトル (後)

 結論を言えば、楽斗少年の【ヴォルテックスドラゴン】による【iCPU ベーシックサーキット】への攻撃は素通りとはならなかった。

 

 考えてみればほとんど当たり前の話だ。

 というのも【ベーシックサーキット】には、召喚時にスペルカードをセットする効果の他に、以下の効果が存在している。

 

──────────◇──────────

■このカードを含む【iCPU】もしくは【iGPU】カードがHP全損によりフィールドから離れた時、墓地の好きなスペルカードを手札に加えることができる。

──────────◇──────────

 

 簡単に言えば、墓地からスペルカードを回収するサルベージの効果だ。

 しかし、五辻のオッサンの墓地はまだ空っぽ──と言っても、まだ1ターンしか経っていないので当然だが──で、スペルカードは1枚もない。

 拾うべきカードがないとなれば、せっかくのこの【ベーシックサーキット】の効果の発動は失敗し、ムダとなってしまう。

 

 逆に言えば、このタイミングでスペルカードを使えばあとで回収して再使用が可能であり、使わない理由のほうが少ないということでもある。

 じゃあいつ使うの、今でしょ。ということである。

 これは少し古いか。

 

 

 なぜ使ったカードを後出しのような形で回収できるのか、それを詳しく説明するならば……、ってホントに詳しい説明いる? 大した話じゃないんだけど。まあ一応するけどさ。

 

 まず結論として【ベーシックサーキット】の効果では、戦闘処理中にスペルカードを使えば、戦闘の処理後にはそのカードは墓地にあるという判定で効果を発動することができる。

 その理由として重要となるのが、【ベーシックサーキット】の効果に書かれた『■』のインクのシミだ。

──────────◇──────────

擬形:以下のカード名のカードとして参照することができる。

・【iGPU クレイジーサーキット】

●召喚に成功した時、手札からスペルカードをトラップとしてセットすることができる。

■このカードを含む【iCPU】もしくは【iGPU】カードがHP全損によりフィールドから離れた時、墓地の好きなスペルカードを手札に加えることができる。

──────────◇──────────

 同じ欄に書かれている効果でも、『●』が文頭に書かれてる効果と『■』が書かれている効果があるのがわかるよね。

 このうち、●は発動する効果ではなく、条件を満たした場合の即時の処理として扱うことになるのだ。具体的には、被発動者に対して5秒間のアドバンテージが与えられるインターバルタイムがなく、対抗するカードを発動することもできない。

 一方で、■のつく効果はインターバルタイムが必要となる効果。イメージで言えば、「使ってもいいですか」とお伺いを立てなければならない効果だ。代わりに、というか、これもデメリットとして機能することの方が多いけれど、一連の処理の結果に対して発動した場合には別の発動処理となる。

 

 しかし、このカードは、めずらしくいい方向にこれが機能した例といえるかもしれない。

 もし【ベーシックサーキット】のこの効果が●の効果だったなら、戦闘処理中に効果が終わらないカードの回収はできなくなってしまうだろう。

 例えば、【一抹の寿命】という『ユニットカードのHPの最大値を300上昇させる』というだけのスーパークソザコカードが存在するのだが、このカードを戦闘に対して発動した場合。戦闘処理の終了後、対象のユニットが破壊され存在しなくなることによって、はじめて【一抹の寿命】は効果が終了して墓地に送られる。戦闘によって破壊されるのが先であり、この時スペルカード【一抹の寿命】は墓地に存在しないため、戦闘破壊と同時に発動する●の付く即時効果の発動時には対象に選ぶことができなくなってしまうのだ。

 まあそうであっても誰もこんなカードわざわざ手元に戻さないと思うけど。

 

 なッが! 以上! ルール解説終わり!

 

 

 

 もちろん、戦闘に対して発動したスペルカードは【ベーシックサーキット】の効果による回収が可能にもかかわらず、使わないという選択をするケースも考えられる。

 まず、そもそも発動条件の合致したスペルカードがない。あるいは、もっと別のシーンの方が効果的なカードがある。情報アドバンテージを与えることを警戒している。……と、これくらいだろうか。

 そこまで細かい情報アドバンテージを気にするなんて、ちょっとオシャレすぎて実利から離れてるけど。数枚しかない手札がバレるというのは事実だからね。

 

 と説明したはいいけれど。

 結局のところ、五辻が取った方法は、順当にスペルカードを使っておくというものだった。

 今のいる!? いらねえよなぁ!!

 

 

「【ベーシックサーキット】への攻撃に対して、手札からスペルカード【無力監獄】を発動。対象は【ヴォルテックスドラゴン】」

 

──────────◇──────────

【無力監獄】

スペル 通常

■フィールド上のユニットカードを1枚選択して発動する。選択したユニットに300HPを追加で与え、効果を無効にする。選択したユニットは攻撃を行うことができない。

──────────◇──────────

五辻 手札4枚→3枚

 

 けど、そのカードは……。

 

「それじゃあまさに【アンバリックナイト】の効果の適用範囲じゃん!」

 

──────────◇──────────

■他のユニットカードを選択するスペルカードが発動された時、その対象をこのカードに変更することができる。●その後、このカードを破壊する。

──────────◇──────────

 彼の言う通り、それはまさに楽斗少年が召喚した【アンバリックナイト】の効果範囲のスペルカードだった。

 

 しかし、【アンバリックナイト】の効果は任意だ。

 対象を【アンバリックナイト】に移すかどうかは、楽斗少年の判断による。

 

 そして、楽斗少年の決断は速かった。

 

「当然、そんな効果は受けないぜ! それに【アンバリックナイト】に移せば使い損だろっ!」

 

 たしかにそれは正論だ。

 【無力監獄】の効果は、ユニットカードの効果を1枚無効にしつつ、『サモンエンゲージ』の3つしかないユニットゾーンを効果が無効にされ攻撃もできない不要なカードで埋めることでフィールドアドバンテージをとる効果。

 ただそれは、自身の効果によって勝手に自壊してしまう【アンバリックナイト】が相手であれば意味がない。たかだか一枚の除去になってしまう。5秒のインターバルタイムを考えれば1:1交換はマイナスよりだ。

 五辻は、カードを1枚切って【アンバリックナイト】による守りを剥がしたという見方もできるけども……。

 

 楽斗少年の素早すぎるほどの判断に対して、五辻はスッと目を細める。

 

「へぇ。カード効果を無効にする効果の処理について、意外とわかっているんだね」

「後から発動する【アンバリックナイト】の効果が優先的に処理されて、【アンバリックナイト】の効果はこの時点では無効にされない。そのあとの【アンバリックナイト】の自壊効果も即時効果だから、【無力監獄】で無効化されず、【アンバリックナイト】はその効果の通りに自壊する。だろ?」

「教科書通りだ。よく勉強してる」

 

 ご説明どうも~。

 

 しかし、とうの楽斗少年は照れてるとも疑っているともとれない微妙な表情を浮かべていた。

 図星であったはずなのにそれを褒められるという、五辻の不可解というべきか、……いやもっと直接的に言ってしまえば舐めているような行動に、困惑しているのだろう。

 

 やはり五辻はマナ悪なのではなかろうか?

 

 

「てか、それならセットしたカードは使わねーのかよ!」

 

 ごもっともな話だ。

 もし【無力監獄】を【iCPU ベーシックサーキット】の効果でセットしていれば、トラップとしてセットした【無力監獄】に対して、【アンバリックナイト】の効果は発動できず、確実に効果を通すこともできたはず。

 それをしないということは、よほど重要なカードを伏せているのか。

 

「切り札は取っておくものだからね」

「取っておいて腐らねぇといいけどな!」

「腐らないさ。このカードを使うタイミングは、もう決まった」

 

 再びの楽斗少年の怪訝な顔。

 

「で? このままだと【ヴォルテックスドラゴン】の攻撃は通るってことになるけどさ。ここで、そのセットしたカードでも使うのか?」

「いいや? 俺は再び手札からスペルカードを発動。発動するのは【ミラージュカウンター】」

 

──────────◇──────────

【ミラージュカウンター】

スペル 即効

■相手ユニットの攻撃時に発動できる。攻撃を行うユニットカードのコントロールを自分に変更して戦闘を行う。●戦闘処理後、コントロールは相手に戻る。

●戦闘処理において戦闘ダメージが発生した場合、元々の戦闘対象に対して同じ分のダメージを与える。

──────────◇──────────

五辻 手札3枚→2枚

 

 えーっと。なんというか、微妙なカードだ。

 痛み分けという結果になるようなカードのようだけど、それなら戦闘そのものを防ぐようなカードが他にあるような気がする。コントロールを奪うっていうルールをより分かりづらくする特徴があるくらいだろうか。

 【iCPU ベーシックサーキット】のHP全損時効果にはシナジーはあるかもしれないけれど、だからと言ってわざわざ採用するかと言われると首を傾げたくなる。

 まあ一言で言うと、めちゃめちゃあやしい。

 

 あえて擁護するなら、ピン刺しで運命力使って必要な場面で引くだけならワンチャンということになるのかな。基本的に運命力はゾアークにしか使えない私には、運命力を自由に使えるカードバトラーの発想は、訳がわからないよ。

 教えてほしいくらいだっピ。

 

 

「くっ! オレの【ヴォルテックスドラゴン】が!」

 

 【ミラージュカウンター】の発動後、ほどなく【ヴォルテックスドラゴン】のホログラムが五辻の側に移ったことを見ると、楽斗くんは返し札を使えなかったようだ。

 

 主人を裏切っているくせに【ヴォルテックスドラゴン】は呑気に電子音声じみた雄叫びをあげていた。

 そんな【ヴォルテックスドラゴン】を見させられている楽斗少年はというと。

 この世界あるあるらしく、自分のカード、とくにユニットに誇りをもっているバトラーとして、コントロールを奪われた苦々しさが楽斗くんの顔には出ている。

 

 奪われちゃったねぇ(ニチャァ)

 

「このままじゃあ、オレのほうがダイレクトアタックを受けちゃうってことか……。ゴメンな【ヴォルテックスドラゴン】。破壊しなくちゃならねぇ」

 

 ここまで使ってきたカードである程度予想がつくかもしれないけれど、五辻のデッキはパーミッションに近いコントロールよりのデッキ構成だ。対して楽斗少年のデッキは、あくまで自分で展開を進めるタイプ。妨害札は圧倒的に五辻の方が多い。

 それでもさすがに4枚も手札があれば1枚くらいは握っているらしく、少しすれば戻ってくるとはいえ、楽斗少年の中では破壊して戦闘ダメージを防ぐ方向性となったらしい。

 

 【ヴォルテックスドラゴン】のBPは1000。初期LP(ライフポイント)5000の内、5分の1も失うのは痛いと考えたか。

 HP400しかない【ヴォルテックスドラゴン】では、召喚直後の戦闘を済ませてしまうと使い道があまりないと考えたか。

 

 

 しかしそんな逡巡さえもをさえぎるように(激ウマギャグ)、五辻は次の一手を放った。

 

「では、このタイミングでセットしていたカード【iGPU オペレーション:サクリファイス】を発動。一応聞くけど、カードは発動するかい?」

──────────◇──────────

【iGPU オペレーション:サクリファイス】

スペル 通常

宣限:このカードを発動後30秒間、【iGPU オペレーション】スペルカードは発動することができない。

■自分フィールド上のユニットカードを任意の枚数選択して発動する。そのカードをHP全損扱いで破壊し、破壊したカードの元々のBPの合計分のライフポイントダメージを相手に与える。

●破壊したカードが【iGPU】ユニットカードである場合、手札を1枚コストとして捨てることで以下の効果を発動できる。

・■【iCPU】/【iGPU】ユニットカードを効果で召喚する。

──────────◇──────────

 

 【ベーシックサーキット】の召喚時効果でトラップとして伏せられてたカードだ。

 トラップに対して効果を発動できるのは、同じトラップくらいだ。

 楽斗くんのフィールドには伏せカードはなく。つまりほぼ確実に通る。

 

 

「射出カード……! ということは【ヴォルテックスドラゴン】は……どうなるんだ? 破壊されちゃったなら戦闘処理は終わらなくなるから、戦闘ダメージは発生しない? ならそもそも射出なんてしなくても……」

「その通りだよ、楽斗くん。本来なら、戦闘ダメージは生まれない。戦闘すべきユニットがいなくなるんだからね。本来なら」

 

 念押しするように「本来なら」と二度も繰り返したのだから、逆にそうじゃない、ってコト?!

 

「ところで、【ミラージュカウンター】ってマイナーなカードだろう?」

「そりゃあ、わりぃけど、もっといい効率のいいカードがあるってオレでも思うぜ。デメリットがないってだけでも【堅牢なるグレートシールド】とか【トゲ付きの城壁】とかオレでもいろいろ思いつく」

「だからね。こういう、マイナーで上位互換があるように見えるカードを使ってきたときは、何かしらの悪用か、カ(・)ー(・)ド(・)効(・)果(・)と(・)し(・)て(・)記(・)載(・)さ(・)れ(・)て(・)な(・)い(・)未(・)知(・)の(・)運(・)用(・)を(・)さ(・)れ(・)る(・)って考えた方がいい」

 

 『サモンエンゲージ』のカードは、元はと言えば人(・)間(・)が(・)つ(・)く(・)り(・)だ(・)し(・)た(・)も(・)の(・)じゃあない。

 カードに書かれている文言は、あくまでもそのカードを使って得た結果から推測して、解釈して後(・)か(・)ら(・)人(・)間(・)が(・)書(・)き(・)加(・)え(・)た(・)も(・)の(・)だ。

 カードの効果が先にありきで、それをもっともらしく文字にしているだけなのである。

 

 なので、矛盾するような効果やカードの組み合わせがあっても、カードの方でどのような振る舞いになるかが決まっている。

 なんなら、多少の矛盾が起きた場面なら、運命力によって押し切れるとかなんとか。

 

 ま、私にはそんなの関係ないんでね。よく知らないけど。

 ほらあれだよ。私って最強だからさ。

 

 

「【ミラージュカウンター】の効果は、戦闘を行うと書かれているけども、その途中で対象が破壊されても結果だけは双方に反映される。つまり戦闘自体がなくてもダメージ計算の結果だけは残るんだ」

「なんだよ……それ。カード効果間違ってんじゃねぇか」

「言ったろ。マイナーだって。あんまり解析されてないんだよ」

 

 カスみたいなムーブじゃあないか。

 ほんとに子供に対してやることか? これが。

 

「こう見えて、君にはけっこう期待してるんだよ。だからこういう裏社会っぽいのも教えておこうと思ってね」

「えーっと、じゃあそうなると結局この一連の結果は……」

「俺に1000ダメージ、そして楽斗君には2700ダメージだ」

 

 ホント、にこやかに笑いながら言うことじゃないと思う。

 

 

「それにまだ効果は終わってないよ。【iGPU オペレーション:サクリファイス】の効果で【iGPU クレイジーサーキット】として扱う【iCPU ベーシックサーキット】が破壊されたので、手札を一枚墓地へ。これで【サクリファイス】の最後の効果が発動可能だ」

五辻 手札2枚→1枚

 

「【iGPU オペレーション:サクリファイス】の効果で全損した【ベーシックサーキット】の効果で今捨てた【タイムリミットバーン】を回収」

五辻 手札1枚→2枚

 

 ちなみに【iGPU オペレーション:サクリファイス】の

──────────◇──────────

●破壊したカードが【iGPU】ユニットカードである場合、手札を1枚コストとして捨てることで以下の効果を発動できる。

・■【iCPU】/【iGPU】ユニットカードを効果で召喚する。

──────────◇──────────

 という『手札を1枚捨てれば召喚できる』と書けばいいように思える、やけに回りくどい効果は、ようするに手札コストにしたカードを【iCPU ベーシックサーキット】で回収可能ということを示している。

 

 

「【サクリファイス】の最後の効果を発動して、今度は本物の【iGPU クレイジーサーキット】を召喚」

──────────◇──────────

【iGPU クレイジーサーキット】

闇属性 機械種 コスト0

BP: 800

HP: 0/0

擬形:以下のカード名のカードとして参照することができる。

・【iCPU ベーシックサーキット】

●召喚に成功した時、手札からスペルカードをトラップとしてセットすることができる。

■HP全損によりフィールドから離れた時、デッキトップ3枚をめくる。3枚のうち、スペルカードは全て墓地に送り、ユニットカードは好きな順番でデッキトップに戻す。

──────────◇──────────

 

「さっきもやった通りにカードをセット」

 

 カードのすり替えマジックでもしない限り、誰がどう見ても伏せたカードは【タイムリミットバーン】だ。

 もちろん、マジックでごまかそうとすると、エンゲージテーブルがエラーを吐くからそういうチートはできないけど。

 そして伏せられたカード、【タイムリミットバーン】の効果はというと。

 

──────────◇──────────

【タイムリミットバーン】

スペル 即効

罠謀:このカードはトラップとしてのみ発動することができる。

■連続したインターバルタイムが30秒以上続いている場合に発動することができる。このインターバルタイムに発動したカードの種類の数×500のライフポイントダメージを相手に与える。

──────────◇──────────

 

 あっ(察し)

 マジでこのオッサン大人げないな。

 そしてやっぱり陰気くせぇカードである。

 

 

 ◇

 

 

 五辻のカスみたいなコンボにより一瞬で敗北を喫した楽斗少年は、うつむいていた。

 泣いちゃった!!!(泣いてない)

 

「たしかにオレのデッキは妨害が少ないさ。でもそれのメタ読みかよ」

 

 華麗に決めていたようでも、正直いって、五辻のコンボは妨害が簡単なほうだった。

 メタ読みでつっぱったと思われても仕方がないほどだ。使ったカードに耐性はないし、カードを使い切っているため、どこかを止められればすぐに止まってしまっていただろう。すくなくともワンショットキルのような形にはならなかったはずだ。

 

「メタ読みじゃあないよ」

「えっ……」

「君、【無力監獄】うたれたときに、すぐに【アンバリックナイト】に効果を移したよね」

 

 あの褒めているのか舐めているのかよくわからないところか。

 

「たしかに、君の反応は早かった。反応速度と情報処理は『サモンエンゲージ』では重要な能力だ。ハッキリ言って才能あるよ」

 

 またもや、同じような褒めているのかよくわからない言い回しだ。

 なんだかこっちを嘲っている心理学の専門家とでも話しているようで、あまりいい気分じゃない。

 

「でも早すぎだ。【アンバリックナイト】に無効の効果を与えたときの裁定なんてそうすぐにわかるもんじゃない。そんなに早いと、そ(・)れ(・)以(・)外(・)の(・)思(・)考(・)を(・)し(・)な(・)く(・)て(・)い(・)い(・)っ(・)て(・)こ(・)と(・)が(・)バ(・)レ(・)バ(・)レ(・)だ(・)。例えば妨害札を使うべきか、とかね」

「……っ!」

 

 こいつ、心療内科とかに努めた方がいいんじゃないか? いやこの世界だとカードバトラーの方が給料とかモロモロ高いか。

 

「しかも、ただ闇雲に使ったわけじゃないかを疑ってみれば、ペラペラと簡単にしゃべってくれるじゃないか」

「……やッ……」

「や?」

 

 ほ、ほんとに泣いちゃった……???

 

「やっぱスゲーよ、五ツの兄ちゃん!! オレも兄ちゃんみてーに相手のカードを読めるようになりてェー!! もっと教えてくれ!!」

「えェ……??」

 

 楽斗少年の熱意に、今度は五辻が困惑する方だった。

 

 

 

 そうして、「もう一戦!」とせがむ楽斗君に、五辻は今日はもう時間がないと告げ。何とか説得して楽斗と五辻は『C.S. サジン』から去っていったのだった。

 

 そういえば、五辻は最初に会った時に時間気にしてたね。忘れてたわ。

 って、私、こんなデッキと戦わされる予定だったの??

 

 

 ◇

 

 

 一人になった『C.S. サジン』に、気の抜けた柱〇男のテーマのようなメロディーが流れる。

 それはとある人物からの着信音。

 

 『ボス』と書かれたその通話相手は、顔も名前も知らないし、おそらく今後とも顔を直接会わせることのない人物だ。

 

 私は彼を手(・)伝(・)わ(・)な(・)け(・)れ(・)ば(・)な(・)ら(・)な(・)い(・)。

 命令に従うでも、盲目的に信じるでもなく、ただ『手伝う』。

 それが彼との契約だ。

 

 なぜなら私は彼に、一度負けてしまったのだから。




ちょくちょくカードの効果修正をしているのですが、ヴォルテックスドラゴンのステータスを下げました。さすがに2つもメリット効果あるのに戦闘力もHPも高すぎですね(話の都合とかじゃないよホントダヨ)
BP1500はLPが5000上限だとLP8000のOCG換算で2400。強すぎぃ
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