ショt…幼い皇帝に憑依した。   作:サテライト

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 『人は何をいい考えるかにしたがってではなく、何を行うかによって判断される。』

                            byウラジーミル・レーニン





ショタとタツミ 魔王と英雄

「どうした?飲まないのかタツミ?」

 

「…………。」

 

彼、ヴィクターは今先ほど危険な所を助けられたタツミと少し小洒落た喫茶店でお茶を飲んでいた。

最もタツミの方はすごい眼でヴィクターの方を睨んでいる。一方のヴィクターはまるで気にして居なようであるが。

 

タツミが人攫いの男二人からヴィクターを助けた後、タツミはインクルシオを抜こうとした。だがその時、帝具が発動しない事に気が付いた。十中八九ヴィクターの仕業であるし、タツミはインクルシオ本体の剣で切りかかるつもりでもいた。だが突如として彼に得たいのしれない視線と殺気が突き刺さるのを感じ剣を抜くのをすんでの所で堪える。

 

そしてその時に

 

「御礼がしたい、それに少し話をしないか?」

 

と言われ、タツミは躊躇したが周りから刺さる視線に根負けして甘んじて敵からの施しを受ける事にした。

暗殺稼業をしていたり、こういった血なまぐさい関係の仕事をしていればまず罠に自分から飛び込んでいく事はしないのだが、タツミは未だ経験が浅い。同時に彼はヴィクターの話を聞いてみたいとも思っていた。まだ小さい子供が何故あんな狂気に染まった笑みを浮かべる事が出来るのか知りたかったからである。

 

そうしてタツミは今ヴィクターとお茶をしているのだ。ヴィクターの前にはケーキが一切れおかれており、タツミの前にも同じものがおかれていた。

 

ヴィクターは紅茶を楽しみながらケーキを少しづづ突きながら食べていた。

タツミはそんなヴィクターから目を離さず紅茶にもケーキにも手を出していなかった。

 

「助けてもらったお礼なのだから別に毒など入れていないよ?それとも敵からの施しは嫌かね?」

 

「…………。」(カチャッ)

 

ヴィクターの言い方が気に食わないのかタツミはムスッとしながらだが紅茶を一口飲む。それを見たヴィクターは「それでいい。」と小声でつぶやいたがタツミには聞こえなかった。

 

「……あんたに聞きたい事がある。」

 

紅茶を二~三口飲んだタツミが話を切り出す。

タツミの眼は真剣そのものだがヴィクターの眼はおもちゃで遊ぶ子供の用だった。子供だが……。

 

「竜船で見たあんたは、あんたの表情そのものは狂喜そのものだった。どうしてあんなに嬉しそうだったんだ。人が大勢死んだのに。」

 

Moerder(殺し屋)、一つ教えておこう。この世の中には様々な喜びがある。それは歓喜であれ、快楽であれ、狂喜であれ。ありとあらゆる喜びがあるだろう?」

 

タツミの歯に衣着せぬ問いに平然と答え始めるヴィクターはとても嬉しそうに答えていく。

 

「そのなかでも、余はどうしようも無いろくでなしの部類のようでね。常人ではありえないような事に歓喜を感じるのさ。それは病気と言ってもいい。だが誰に間違っていると言える?“私が狂っていると君が証明してくれるのなら、いったい誰が君の正気を保障できるのかな?”」

 

「ッ!?それは…………。」

 

「ではこちらから問う。君の戦う理由はなんだ?民の為?世の為?国の為?それとも己の正義感の為か?」

 

ヴィクターの吐く答えにタツミは背中に嫌な汗が噴き出す。彼自身考えていなかった。自身が正気である保障といわれて言葉が詰まる。そして今度はヴィクターが質問してきた。

その姿は知的好奇心に飢えた純粋な子供そのものである。だがその姿にタツミは言いようのない恐怖を感じる。彼にしてみれば異常でしかないからだ。その疑わしいまでの純心さが。

 

「俺は変えたいんだ。この国を。大臣の専横で国が荒れて、民が苦しんでいる。俺はそれを救いたいんだ!」

 

「……。素晴らしい考えだ。だが、どう変える?革命か?だが革命軍に本当に君の望む理想があるか?」

 

「?何が言いたい。」

 

タツミはすでに不気味さと居心地の悪さを感じていたが、それに加えて背中に汗が吹き出し始める。

その感覚に気分が少し悪くなる。対して彼の前に居るヴィクターは平然としていた。

 

「君の正気の保障が無いのと同様に、君の信じる組織である革命軍にも理想があると証明できないのだろう?」

 

「ッ!?それはお前の同じだ!!お前は狂ってる!町を二つも!破壊しつくしているじゃないか!お前の国の国民だろ!!」

 

「余の国に住まう臣民ならば、余の命に逆らい反逆など起こす筈ないであろう?世は常に国家の利になる政策しか行っていない。それを邪魔する輩は全て余の敵だよ。」

 

「な!?彼らはただ救われたかっただけなのに!!邪魔だからとすべてをねじ伏せると言うのか!!」

 

タツミは怒りにまかせて怒鳴る。さほど広くない店内で他に客はいない。

彼の怒りは至極まっとうであるが目の前にいるヴィクターにはその怒りは届かない。

 

「そうだとも、余の前に立ちふさがる者は全て排除する。それが例え親であろうと、臣民であろうともね。」

 

「ッ!?」

 

タツミはもはや何も言えなかった。無駄だと理解できたから。目の前に居るのはただの幼い子供等ではない。人の姿をした怪物だと。少なくともタツミにはそうとしか思えなかった。目の前にいる子供が同じ人間であると信じることができなかったのである。

 

「タツミ、君は心優しく、温和で、正義感が強いのだろう。まがった事が許せない。君ほどまっすぐで芯の通った人物はそうそういない。帝国の未来に必要な人材なのはあきらかだった。だが君は革命を選んだ。選んだのならばそれを貫けばいい。君にはその権利と義務がある。」

 

「……言われなくてもつら抜いてやる!そしてあんたをいつか俺の手で殺してやる!!」

 

タツミはある決心をする、目の前の怪物をいつか殺すと。いてはいけない獣を自分自身で殺さなければと。彼はそう心に誓う。そして宣言する。高らかに、雄々しく、迷いなく。

その瞬間ヴィクターは口をニィと吊り上げる。まるで喜んでいるかのようだった。自身の真の意味での打倒されるべき敵が生まれた事に。

 

ヴィクターは歓喜する自身の好敵手の出現を確認できたことが。

そして始まるのだ。この瞬間から。

 

“狂喜の魔王”と“革命の英雄”の戦いが。

 

「こんなにうれしい事はない。だが、いまだ“その時”ではない。今日は楽しかった。礼を言う。」

 

それではまた、とヴィクターは“言い残し姿を消した”まるで霧となって消え失せたかのように、闇に影が溶け込むように。

 

一人だけとなったタツミは店からすぐにでるとナイトレイドのアジトへと走るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ゆっくりと流れて来た濁り水はついにあたり一面を覆い尽くす。

 

―まるで全てを呑み込まんと、広がるそれは―。

 

 

 

 

 

 

                   ―やがて、英雄すらも呑み込むだろう。




眠気眼で書いたので確認はしてますが誤字が多そう。
後表現が可笑しかったり話が唐突だったりしてそう。

でも頑張った。取りあえずおやすm……zzz。

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