ショt…幼い皇帝に憑依した。   作:サテライト

22 / 26






「何かを生み出す行動でなければ、行動とは言えない。」

                     byカエサル


「封建社会の完成形は少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ。」

                                  byシグルイ


ショタと謀略

―帝都郊外、ナイトレイドのアジト。

 

 

今、そのアジトの会議室ではメンバーが緊急招集されて集まっていた。内容はタツミが現皇帝ヴィクター・ロマノフに接触したからである。しかしその場にはナイトレイドのボスであるナジェンダの姿はない。欠けた人員を本部から補充してもらう為に革命軍本部へと出かけているからである。

 

「それでさ、タツミ。大まかでいいから経緯を話してくれよ。」

 

「わかったぜ、姐さん。」

 

タツミはレオーネに促されて、話始める。

帝都にあるラバの店の地下アジトを出てからすぐに裏路地に入った事。するとその裏路地で少年が人攫いに絡まれていたこと。その少年を助けたらそいつが皇帝であった事。そしてお礼がしたいと言われて一緒に喫茶店に入り、話をしたことなど。その話の内容などを大まかではあるが、ナイトレイドの皆に話ていった。

 

「とりあえずこんなとこかな?」

 

「馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど、ここまでバカだとは思わなかったわ。」

 

話終えたタツミにまずはマインが何時ものように小ばかにしたように言う。しかし眼や表情は真剣そのものであるからか、タツミは何時ものように噛みつかなかった。

少しは自覚があったのかもしれない。相手は幼いとは言え、敵の総大将である。しかも仲間の仇である。そんな奴とお茶をしたとなどと言われれば「馬鹿じゃないの!」と言いたくもなる。

 

「バカだって自覚はあるさ……。でも……。」

 

タツミは一瞬落ち込むがすぐに表情を険しいものに変える。

 

「話はしてみたいとは……思ってた……。そりゃあアニキの仇だしさ、最初は憎たらしかった……今も憎いけどよ。」

 

タツミという少年は感情豊かである。ゆえに表情に出やすい、そして今彼の表情の変化を一言で表すならば“困惑”である。本人もまだ自分の思うところがよくわかっていないのだ。

 

「なんというか……こう……。」

 

「ああもう!!じれったいわね!!はっきりしなさいよ!」

 

「うるせーな!なんかよくわかんねーんだよ!!仕方ないだろ!!」

 

「だいたいね!あんたたるみ過ぎよ!!手配書出回ってないとはいえ、帝国側の人間に顔見られてるってわかってるのに気を抜き過ぎよ!!」

 

「はぁ!?前におびき出しやって引っ掛からないから大丈夫だろってマインや皆も言ってただろ!!」

 

「そのまま言葉を鵜呑みにするんじゃないわよ!!このバカ!!

 

困惑している様子のタツミを見てマインはじれったくなったのか声音を強くしてタツミに噛みつきそれがもとで二人の口論が始まる。ラバやアカメ、レオーネはまたかと呆れていた。

二人は年が近く若い男女であるからこういった場面はしょっちゅうである。内容はあれだが、まさに青春と言えよう。

 

「はいはい、二人共そこまでにしな~。」

 

さすがに見かねたレオーネに二人は止められるが、互いに勢いは収まりそうにない。

結局この後もまともに会議をする雰囲気にならず、ナジェンダ帰還後に再度会議をすることにしてその場はお開きになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、帝都“王宮内皇帝執務室”。

 

帝都郊外のアジトでナイトレイドメンバーが(特にタツミとマイン)騒いでいるのと同時刻に帝都の王宮内の自身の執務室で彼、ヴィクターは政務に励んでいた。

 

というのも帝国軍内における変化があった為である。まずはブトー将軍直下の近衛兵である。彼ら近衛兵はブトー将軍が直々に鍛え上げた屈強な精兵である。皇帝直属ではないが、宮殿の警護が主な任務である。最近は新設された皇帝直下の親衛隊と差別化され始めており、規模を考えて再編成されつつある。主な再編内容だが、近衛兵の武装SSへの編入である。

 

元々近衛隊は数が少数で宮殿警護のための一師団ほどしか存在しなかった。一方、新設の武装SSは設立時期は新しいもののすでにその数を増やし四個軍団からさらに二個軍団追加され計六個軍団にまで規模が膨らんでいたのである。後々に生じるかもしれない軋轢を憂いたブトー代将軍の進言により、武装SSに近衛隊を編入させ精鋭の武装SSの中でもさらにすぐれた者しか入団できない帝国最精鋭師団として再編されることに決まったのである。

 同時に装備の近代化更新が行われ、完全自動車化や鉄鎧をすて軍服を常時用の正装と野戦用の野戦服に変更するなど、今まででは考えられなかった改編が行われた。

 

一見、ブトー将軍が指揮する部隊が消えたかに思われるが、別段ブトー代将軍を失脚させる狙いは無く武装SSとは別に昔からある通常軍(以降国防軍と呼称)の全権をまかされるようになり(現在のアメリカの防衛大臣と同じような立場)実質軍部のトップとなる。

事実上武装SSを除くすべての帝国軍を統括する事になる。

 

軍部の全権を任されたブトー将軍は現在、比較的忠誠心の強い帝都近郊の部隊などから武装SSの装備にならった装備の近代化を推し進めている。

 

話は変わるが武装SSでは主力である中戦車パンターG型や四号戦車F2型に変わる新型戦車パンターⅡを開発し更新を開始し、四号戦車F2型は武装SSから完全引退し変わって国防軍へ主力戦車として再配備が進められている。また歩兵支援用の自走砲や駆逐戦車においては三号突撃砲、Grille(グリレ)が主力であったが、それぞれヤークトパンターやG.Wパンターの開発が完了したため更新が始まり、これらも武装SSから国防軍へ譲渡されるようになる。またプロイセン帝国航空隊も着々と編成されつつあり。第一から第三戦闘団まで編成される予定である。

 

このように変化しつつある帝国軍であるが地方軍は未だに今までの旧式装備が多い。と言うのも革命軍とつながっている可能性がきわめて高いと報告がSDから上がる部隊が多いからである。新型装備を革命軍へ横流しされるのを防ぐための処置である。

 

以上がここ最近の様子である。

 

執務机で書類にサインなどを行っていたヴィクターは一度ペンを置き頭の後ろに腕を持っていって大きく伸びをした。そして執務する際に使う眼鏡を外して近くの眼鏡ケースに仕舞う。すると期でも狙っていたかのようにセバスチャンが扉をノックしてから入って来る。

 

「失礼いたします陛下。SDより報告が参りました。」

 

「ん、待っていた。で?成果はどうであった?」

 

セバスチャンはどこからともなく一つのファイルを取り出し、執務机の上に置くと再びどこから出したかわからないがティーポットを取り出し、机の上にあった空のティーカップに紅茶を注ぐ。

ヴィクターはありがとうと一言礼を言ってファイルから取り出した書類に目を通しながら紅茶を一口飲み、カップをソーサーに置くとニヤリと笑い、何故か「ハラショー!」とこの国の北方の訛り言葉で素晴らしいと言う。

 

「ですが陛下、何故彼にあの情報をリークしたのですか?」

 

するとヴィクターの座る机の前に立っていたセバスチャンはヴィクターに対して質問をする。

 

「やはり疑問に思うか?」

 

「人並みには。」

 

しかしヴィクターはその質問は予想通りといった顔でセバスチャンに言う。セバスチャンはそのヴィクターの顔を見て面白いものを見ているような顔をする。

 

「彼は帝具の分野においては一定の成果や功績を残しており、生かしておけば後々の帝国に大きな利益をもたらすと思われますが?」

 

「奴は確かに生かせば帝国の利益になるだろうな。しかし、余は帝具のような兵器はこれ以上増えるべきではないと考えている……。理由はわかるか?」

 

ヴィクターはティーカップの中の紅茶の色を目で楽しみつつ話す。すると今度は一口紅茶を飲み、ソーサーに置くと両肘を机にのせ顔を前で指を組ませる。

 

「なにか御懸念でも?」

 

「そうだな、懸念だろうし“恐れ”でもある。」

 

ヴィクターは眼を細めて声音静かに言う。

セバスチャンは微笑みを浮かべたまま崩さない。

 

「余は恐れているのだよ。帝具のような巨大な力を、“たった一人の個人”に委ね続ける事に……。」

 

帝具は種類によって性能にばらつきがありはするが、いわば戦略爆撃機群や核兵器と同等の戦力をたった一人の個人に委ねる事は厳に慎まれるべきである。そうヴィクター・ロマノフは語る。彼は恐れたのだ。いくらそれに対抗可能な皇帝家にのみ使用可能な至高の帝具があろうとも、皇帝の血筋が途絶えれば国家は滅ぼされるかもしれないのだ。また、そのたった一人の人間の気の迷いによって国家だけでなく人類という種そのものが危機に瀕する恐れすらある。

彼はそれを憂うのだ。

 

「そういった“力”は国家存続の為に必要ではあるが、それは代替可能多数の人間によって運用されなければならない。であるならば、帝具は全てを完全に封印もしく破壊せねばならないと考えている……。それが国家を長く保たせる最善の策だと余は考えている。」

 

「……そこまでお考えであったとは、この私の浅はかな発言。失礼いたしました。」

 

「いや、構わない。意見を述べる臣下こそ王には必要だからな。」

 

「ありがとうございます、陛下。」

 

秦の始皇帝は中華を統一した時、元々自分の高級家臣であった尉繚(うつりょう)が、暇乞いをしたとき、何故かと尋ね、始皇帝の政策を批判した。その為に煮殺され。それ以降始皇帝へ諫言する者は居なくなり、秦は僅か十五年で滅びたのだ。その事実をヴィクターは前世の世界の知識で偶々知っていた。その為に彼は自身の臣下の意見はよく聞くようにしているのだ。

 

「まあいい、それよりもメイリンやフィニらに準備をするように伝えろ。それとV1の準備もしておけ。」

 

「かしこまりました。……ではそのように。」

 

そう言ってセバスチャンは退出する旨を伝えて執務室を出ていった。

 

「…………まあ、イェーガーズの戦力低下も狙いだがな。」

 

だれも居なくなった執務室でヴィクターは一人呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、帝都郊外ナイトレイドアジト近辺。

 

「スタイリッシュ様、結界のような糸がありますので私に続いてお進みください。」

 

「スタイリッシュ様、ここより先より人の騒ぐ声と物音が聞こえます。」

 

「でかしたわよアンタ達!」

 

暗い森の中を一人と三人?が進んでいた。一人の人間は聞くからにオカマ口調であり俗にいうオネエである。この強烈なキャラに思い当たる節は一つ。Drスタイリッシュただ一人である。

また彼の周りにいる三人?はそれぞれ耳、目、鼻が肥大化、もしくは巨大化しており、また彼らの名もその肥大化もしくは巨大化している部分の名称そのまま耳、目、鼻である。

 

「ドクからナイトレイドのアジトっぽい場所の情報貰ったから兵隊連れて来てみたけど。見事にビンゴっぽいわねえ!さすがドクだわ。」

 

一行はある崖の淵に着く。

そこから空からしか隠れていない隠す気が無いナイトレイドのアジトが見えていた。

 

「さあ!チームスタイリッシュ!熱く!激しく!!戦闘開始よ!!」

 

彼は知らなかった。国から命を乗らわれている事に。

 

…………知るはずもなかったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Drスタイリッシュが行動を開始したと同時に帝都からさほど離れていないとある発射場で飛行機のような“黒い何か”がいくつもゆっくりと発射台にセットされていた。




場面が変わりすぎましたね。

どうも、お久しぶりです。前回の投稿からまだそんなに日は開いてないなと思ってたら結構たってて驚いたサテライトです。

今回前書きの名言二つですけど片方は黒鷹商業組合様から意見をいただいたものです。

さて、なんとか気分の乗る内と比較的暇な夏休みの後半を用いてやっと一話投稿できたわけです。(相変らずの鈍亀進行です。)次は何時になるのか、さっぱりです。
感想はこの話投稿後返させていただきます。

(意見、感想お待ちしてます。)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。