ショt…幼い皇帝に憑依した。   作:サテライト

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            「苦境は、友を敵に変える。」

                      byユリウス・カエサル


ショタと謀略Ⅲ

ナイトレイドのアジトの上部の一部が吹き飛び、煙が上がる。

そこから何とタツミがインクルシオを展開し飛び出て来た。

 

ブラートの死後、インクルシオだけを回収できていたタツミはその意思を継ぐ事を決めた。

以後インクルシオは彼の帝具となって今にいたる。

 

 

 

タツミは地面に降り立つと自身を包囲する軍団に正面からツッコミ片端からなぎ倒す。しかも力任せではなく、彼らしいしなやかな動きと素早い反射神経をフルにいかしての戦闘である。実践を積みだんだんと戦士としての才能を開花させ昇華させつつあるのだ。

 

瞬く間に周りにいたスタイリッシュの私兵はすべて地面に崩れ伏している。

 

「まだいるのか!……ん?」

 

倒しても湧いて出てくる敵に悪態をついていたタツミだったが違和感に気が付く。

木々の間に敵がいるのが気配でわかってはいたのだが、その気配が先ほどの連中と異なっていたのだ。そしてそれを訝しんだ瞬間。

 

ダダダダダダダダ!!!!

 

という騒音とともにいくつもの銃弾がタツミを襲う。

その全てはインクルシオというある種の特殊な鎧が弾き飛ばす。

 

「な、なんだ!?」

 

タツミは驚愕した。今まで倒した敵は銃など使っていなかった。それに加え敵は装備を統一しているのか格好が同じであるので別種の敵がいるとは考えていなかったのだ。

 

「おやぁ、ついでにナイトレイドを襲ってみたが。お前さん坊ちゃん達にボロボロにされたネズミじゃないかい。」

 

「!?誰だお前は!!」

 

暗い林から一人の人間が不気味な紫の眼を光らせ歩み出てくる。

そいつは身長ほどもある巨大な鎌を持ち体の半身が呪いのように不気味な呪文とも見える文字で埋め尽くされており、胸のふくらみから女であると分かる。しかしその身に纏う雰囲気や顔にまである文字のせいで男に見えてしまうのだ。

 

「私かい?私はゾーリン。ゾーリン・ブリッツ大尉だよ。坊ちゃん。まあ死ぬなら関係無いか!アハハハハ!!」

 

ゾーリンと名乗った女はそう言うと右手の手のひらを地面に当てる。するとどうだろう、ゾーリンの手のひらから無数の文字が流れで始め、タツミごと空間を飲み込んでいく。

 

「!?なんだこれは!?」

 

タツミは混乱する、相手も帝具使いなのかと。しかしタツミの周りのおぞましい空間から一点、昼夜が違い昼だが穏やかなアジトの前になっていた。タツミは辺りを見回す。

すると後ろから誰か来たのか草を踏む音が聞こえた。タツミは敵かと思って後ろを振り向く。いや振り向いてしまった。

 

「!?…………さ、サヨ?……イエヤス?」

 

それはかつての同郷の仲間で共に帝都で出てきて、同時に死別した親友達だった。

そんな二人であったからであろう。タツミの気が一瞬緩んでしまった。そしてその一瞬を見逃してくれるほど、この世界の闘争は甘くは無い。

 

グシャッ!!

 

次の瞬間にはタツミの耳にはそのような音が届いていた。そして体に伝わる振動と焼けるような痛みが襲ってきた。

 

「……!?ガアアアアアアアアアアア!!」

 

タツミは痛みに倒れ悲鳴を上げる。自身の腹をまるで腹の中から焼かれるような痛みが彼を襲う。見れば、先ほどの昼間の穏やかな場所では無く、先ほどの敵の死体が転がる夜に戻っていた。またゾーリンの手に持つ巨大な鎌の先が血でぬれているのをみればそれでタツミが刺されたのだと簡単に想像がついた。

 

「アハハハハ!!情けないねえ!それくらいで喚いてさあ!!虫けら風情にはちょうどいい!!アハハハハハ!!」

 

ゾーリンは笑う、いや嗤う。彼女は人を虫けらとしてしか見れない。そういう愚かな思考しか持ち合わせていないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「陛下、ゾーリンが予想通り命令を無視しナイトレイドと戦闘に入ったと報告が来ました。」

 

「そうか、まああとは彼らに始末してもらうのを待とうじゃないか。」

 

周りをモニターのようなものに囲まれた巨大な部屋、その中央の椅子に皇帝ヴィクター・ロマノフは座っており、その椅子の傍らにはウォルターが控えていた。

 

「しかし、ゾーリンが陛下に反抗的だったのは知っておりましたが此処までとは。」

 

「そうか?人を虫けらとしか見ていない奴なら、余の事も虫けら同然とみていると思っていたぞ?」

 

「それもそうですなあ。」

 

そう言って二人はくすくすと笑う。

滑稽だったのだろう。虫けら同然に見ていた相手の策に嵌められているのだから。

 

「それはそうとウォルター、貴様の弟子は素直だな?まさか本当に命令を聞きいえれるとはな。」

 

「あの弟子は頭がよく回る奴でしてなあ、どうするのが最善か判断したのでしょう。」

 

「まあなんにせよ、命令にはちゃんとしたがっているのだ。ちゃんと“約束”は守ってやらんとな。」

 

ヴィクターは心の底から楽しみだと言わんばかりの笑みを浮かべる。

ウォルターもつられて笑みをこぼす。

 

「しかし陛下、私の弟子は狡賢くもあります。十分ご注意なされますよう。」

 

「分かっているさ。なにせ貴様の弟子だからな。そこら辺も仕込んでいるのだろう?」

 

ウォルターは答えない。しかしその口元を吊り上げた微笑みがすべてを語っていた。

そこへコツコツと足音をたてて少佐が入口より入ってきた。

 

「お話中の所申し訳ありません陛下。本艦は間もなく某地点に到着するようですぞ。」

 

「おお、そろそろか。…………待ち遠しいか少佐?戦争が始まる事が。」

 

「勿論ですとも!陛下!楽しみで寝るのを忘れているときさえありますよ。」

 

「そうか、楽しそうでなによりだよ。」

 

少佐はヴィクターの質問に嬉々として答える。まるで遠足が待ち遠しい小学生のようだ。

ヴィクターは椅子から立つと。右手を上げる。

 

「全降下猟兵降下準備、作戦領域に入ると同時に始めよ。」

 

Sieg Heil!!(勝利万歳)

 

今回、宮殿の守備を空にするわけにはいかなかった為、ミレニアム大隊の内中隊ほどしか連れて来れていない。その為彼らの搭乗する飛行船も小型のツエッペリンⅡである。

 

「さあ、我が闘争開始の初夜だ。楽しみだよ。」

 

「さようですな陛下。」

 

ヴィクターはその頬を吊り上げ黒い笑みを浮かべる

そしてウォルターは口元に笑みを浮かべ、かけているモノクル(片目眼鏡)は怪しく光っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「アハハハハハハハハハ!!!!」

「タツミ!!」

 

タツミの耳には二つの声が聞こえていた。

敵の笑い声と彼の名前を叫ぶ声。その声のする方に視線だけ向けるとそこには見知った顔がいた。

 

「大丈夫タツミ!?」

 

寝ていたのだろうか?彼女は寝間着のままだった。いつもと違う髪型なのも寝ていたからだろう。しかしその顔、髪色は月の光ではっきりと見えていた。

 

「なん……で……きた!マイン……。」

「あら仲間を助けちゃいけないかしら?」

 

それは彼の仲間(マイン)だった。

彼女はタツミを守るようにタツミとゾーリンの間に立つ。

 

「なんだい?小娘、そんなゴミ虫を守ろうって言うのかい?バk「黙れ」……あ?」

「あんたにこいつを馬鹿にする資格があるのかしら?オバサン?」

「……ッハ!挑発のつもりかい?その小僧もそうだったが、ゴミ虫どもがいきがるな!!」

 

マインの軽い挑発を軽く笑ったゾーリンは直ぐに先ほどと同じく地面に手の平を地面にあてると気味の悪い呪文のようなものが辺りに広がる。

そしてマインの視覚から光が消え闇になる。そして風船が割れたように辺りの景色が変わる。そこは帝国の西部にあるマインの生まれ故郷だった。そんな村の一角の道の端に一人の少女がいた。その姿を見てマインは眼を見開く。

それは紛れも無く、幼いころのマインであったからだ。

 

「……………。」

 

それを見たマインは静かに俯く。

またそのマインの様子を確認したゾーリンはニイッと嫌な笑みを浮かべる。

彼女の使用する帝具の名前は『“悪夢再来”シュピーゲル・アルプトラオム』という名前であり、その名前の通り相手の視覚に干渉し、その本人が最も揺らぐ幻影を見せる。しかもメカニズムなどははっきりしないが、脳内の記憶情報をもとに構築された悪夢であるので、起きながらにして悪夢を見させる精神攻撃型帝具で干渉可能範囲は周囲数キロ圏内であればピンポイントで悪夢を見せる事が出来る。弱点としては精神攻撃型であるためか使用者の精神負荷が高く、ヘタをすれば使用者は廃人になる危険なものである。

 

相手は滅多な事では適切な判断を下せない。何故なら、精神的にやられてしまい思考が混乱を起こすのだ。

 

―だからこそ使用者のゾーリンは油断していた。

 

ゾーリンは大鎌を振り上げる。その顔は実に楽しそうだ。

そしてその鎌が振り下ろされる………事はなかった。

 

突然だった。俯いていたマインは鎌を構え自身を刺そうとする相手に向けてパンプキンを向けたのだ。しかも正確にゾーリンの立つ位置に向けて。

 

「!?」

「遅い!!」

 

ゾーリンの表情が凍り、マインが叫んだ瞬間パンプキンから膨大なエネルギーの奔流が襲った。かなりの至近距離、しかもエネルギーの塊はゲシュペンストの上位種である彼女ですら反応できない速度で迫る。

 

「おのれえええええええええええええええええ!!!!!!」

 

彼女が光に飲み込まれると同時にマインを取り囲む空間も崩れ出した。

完全に崩れさったあとにはゾーリンの下半身のみが倒れていた。

 

「はん、あんなもの見せるからよ!」

 

マインはゾーリンの死体に向って吐き捨てる。

彼女にとって幼い時の記憶は嫌な物であるのは変わりはない、しかしそれ以上に今はその過去に対して腹立たしくすら思っている節があり、ある意味彼女の戦う言動力である。『“悪夢再来”シュピーゲル・アルプトラオム』は相手の記憶から辛いと“思われる”を悪夢として見せる。そしてその判定をするのは使用者なのだがゾーリンは彼女の過去の中で“仲間の死”よりも“幼いころの迫害の記憶”を選んでしまったのだ。確かに嫌な記憶に思えるだろうが、それが判断ミスであった事はこの結果から明らかであった。

 

「……タツミ!!大丈夫?」

 

マインはゾーリンの死体など気にもとめず倒れるタツミに駆け寄って声を掛ける。

 

「……ああ。」

 

タツミは弱弱しくだがそれに答える。ゾーリンに刺された腹部は赤く染まっており、息をするごとにヒューヒューと音が鳴っていた。見るからに危険な状態だ。

 

「まってて今他の誰かを……!?誰!?。」

 

マインはタツミの状態をみて仲間を呼ぼうとした時、林の中から人影が一人分姿を表した。マインは直ぐにパンプキンを構えその人影を見据える。

 

「…………。」

「なんだ、ラバじゃないのよ……ラバ?……!?」

 

その人影はラバックだった。そこまではよかった。しかし何故かその時は月が雲に隠れていて暗かった。そしてマインはラバックの様子を少し変だと感じたとき月が雲から現れ、周りを月明かりで照らす。

 

そしてその姿にマインは絶句した。ラバックはいつもの緑色のラフな服では無かった。

黒色を基調とし、全体的に固い印象を持たせるスーツのような格好に同色のブーツをはき、ロングコートと思われる上着を着ていた。

何よりも……。

 

「なん、で……アンタ!?」

 

軍の制帽に似たデザインの帽子と左腕の赤い腕章には“武装SS”を表すハーケンクロイツ(鉤十字)が描かれていたのである。マインは言葉に詰まる。その格好が表すこと……つまり。

 

「……ラバック……あんた!!裏切ったのね!!」

「……そうだ、お前らは此処で捕まえさせてもらう!」

 

裏切りを表すのだから。

 

『おいおい、ラバックよ。作戦が違うぞ?命令通りに動きたまえ。』

 

その場所を今度は恐ろしくまぶしい光が照らし。彼らナイトレイドが敵対する帝国の幼い皇帝の声が木魂した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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作中にある“・--・-”これにも意味が実はあったり。(新たな試み)

さてまだ返信していない感想欄であったようにナイトレイドで裏切り発生!!
ラバックが!?何故!?それはまた次回。

今さらですけど戦闘描写難しいですorz


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