卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第114話 時神の祠

「というか、なんですか【三つ葉のクローバー】って……【四つ葉のクローバー】の廉価版ですか?」

 

 アイテムの情報を見てみると、効果のないアイテムにランダムで効果を1つ付与できるらしい。一見すると強力なアイテムに見えるが、効果のないアイテムに、というところがミソ。

 

 武器や防具であれば鍛冶で効果が付加されるのは当たり前。それなのにあえて効果の付いていないアイテムをわざわざ作って強化する意味はない。

 

 それでも【ストレージ】を開いて、なにか付与できるアイテムがないかと探してみたところ、【円盤ハウス】に付与できるようだったので、使ってみた。

 

 しかし、水属性魔法の威力を1.5倍にするとかいう、なんの役にも立たない産廃スキルが付いてしまった。おそらくこの効果を活用する機会は二度と訪れないだろう。

 

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>近年稀に見る超性能の効果が付加されてやがる……

 

>宝の持ち腐れにも程があるぞ

 

>水属性かわいそう

 

>おい、ふざくんな!!なんでそんな良効果引くんだよ!!11

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「今なら【カード】31枚と交換しますよ!」

 

 現環境で31枚も【カード】を持っている人はいないだろうけど。

 

 それにしてもネットの情報は信用できませんね。諦めてボクもこれから徹夜でモンスターを倒し続けるべきでしょうか。

 

 思考する時間すらもったいない状況なので、とりあえず村の外で敵を乱獲しながら考えることにした。ゴブ蔵と共に、可愛いうり坊のモンスターを淡々と虐殺していく。

 

「おっ、【カード】出ましたよ!これで1枚。あと30枚ですね」

 

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>当たり前のようにサバイバル杯の優勝賞品を勘定に入れてるのか……

 

>これは負けますね

 

>俺、大会に出て優勝したら卍さんにカードを見せびらかすんだ……

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 結構早い段階で出現したので、これは狩りだけで集めきれるかも?と思ったけれど、甘かった。それから1時間くらい、まったり雑談しながら狩りをしているけど、まったく出ない。さっきのは運が良かっただけだった。

 

「2時間ごとに1枚出せれば大会の日まで不眠不休の狩りでいけるんですけどねー。やっぱり誰か【カード】売ってくれません?」

 

「【カード】を5枚出そう。代わりに協力してくれないか?」

 

 視聴者さんに文句を言いながらモンスターを倒し続けていると、背後から声をかけられた。振り返ると、そこには『千幻の騎士』ことゆうたさんの姿が!

 

「なんですか!?なんでも言ってください!!馬車馬のように働きますよ!!」

 

「そうか。ではいったん【アンネサリーの街】に向かおう。そこからが近い」

 

 何が近いのかはわからないけれど、どうやらそこにゆうたさんの目的である『何か』があるらしい。

 

 とりあえず【ギルドリターン】で【ギルド】に戻り、貢献値で追加した【ワープポータル】で【アンネサリーの街】へ向かう。

 

 ゆうたさんもボクの【ギルド】に所属しているようで、同じようにポータルを経由して速攻で現地にたどり着いた。

 

 【コールグループ】に頼っていた頃に比べると素晴らしい利便性ですね!アレは人に頼らなければならないという都合上、使うのに少し躊躇してしまうんですよね。

 

「さて、ここから近いって話ですけど、目的地はどこですか?」

 

「ああ、南部にある【インカパタ雪原】に、【祠】が見つかったんだ」

 

「……【祠】!」

 

 つい先ほども新たな【祠】から【加護】を得たところだけど、まだまだたくさんあるんですね。

 

「ただ、解放条件が達成できないんだ。基本的に【加護】は【黄金の才(ユニークスキル)】の使用を前提とした条件になっているから当たり前ではあるのだが。そこで調査に協力してもらいたい。仮に解放できなくても【カード】は支払おう」

 

 そう言うと、先払いとして5枚の【カード】を譲ってくれるゆうたさん。本当にありがたい!【加護】の解放はゆうたさんのみならずボクを含めたあらゆるプレイヤーにとっても望まれていること。課金者さんには気の毒だけど、絶対に解放してやりますよ!

 

 

 【インカパタ雪原】は常に猛吹雪に見舞われている超絶危険地帯。防寒装備をしていなければHPも削られてしまうし、靴によっては移動も阻害されてしまう。

 

 モンスター自体はそこまで強くないけれど、自然の暴威こそが最も恐ろしい。そう実感させてくれるエリアだ。

 

 けれど【世界の果て】とは違って、基本的には探検され尽くしているエリアだし、こんなところに【祠】があるのなら、もっと早く見つかってもおかしくないとは思うのだけど……。

 

「雪に埋まっていたんだ。ただのオブジェクトだと思われていたから気づかれなかったのだろう」

 

 そして案内されたのは、神殿のような形をした建物。埋まっていたと言っていたが、雪はすでに取り除かれている。時間が経てばまた埋まってしまうかもしれないけれど、ここにあるということがわかっていれば問題はないか。

 

 神殿の中に入ると、真正面には色とりどりの宝石で彩られた扉があり、その奥に【祠】があるということは容易に推察できる。そしてその扉の隣には、この神殿についての説明が彫られた石板が埋め込まれていた。

 

「この部屋の四隅にあるスイッチを1人でタイムラグなしに押すことができれば扉は開かれる……ねえ」

 

 部屋の隅から隅への距離はそこそこ遠く、少なくともバカ正直に走って移動するだけでは、タイムラグなしに押すことなど不可能だ。

 

「4人で隅に移動して同時に押すのではだめなんですよね?」

 

「そのようだな。荒罹崇を呼ぶ前に一度試したのだが。どうやら1人のプレイヤーでなければならないらしい」

 

「あとは銃とか矢の飛び道具で押すくらいですけど……。それでもタイムラグなしなんて無理ですよね。4連射するスキルなんてのもありますけど、名前の通り4連射であって同時発射ではないですから」

 

「そもそもスキルでも押せないようだ。さすがにそこらへんの穴は塞がれている。自分の手で押すことが条件のようだな」

 

 そもそもこの【祠】が本来想定している【黄金の才(ユニークスキル)】はどんな力なんだろう。タイムラグなしに四隅のスイッチを押す……。自分の手で……時間……。

 

「ああ、【『クロノス』】ですか!!帝王龍さんに頼めば開けてもらえないですかね?」

 

 というわけで痛チャットを送ってみたけれど、『おととい来やがれ』って言われて終わった。当たり前ですね!

 

「この扉を開ける方法。それを求めているんですよね?」

 

「そういうことだ。俺も試行錯誤してみたんだがな。やはり難しい。それで相談相手を頼んだわけだ」

 

「なるほどなるほど……わかりました。うまくいくかはわからないですけど、ボクも試行錯誤してみましょう!」

 

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