卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「【アイテムマスター】……名前の通り、アイテムの使用に長けた
【女神】様に祈りを捧げて新しい
新しく取得した
一覧をのぞいた限りでは、アイテムの効果を反転させる【オーバードーズ】や自動的にアイテムの効果を適用できる【オートユーザー】など、消費アイテムを有効利用するためのスキルが揃っているようだ。
「どのスキルを取得すべきか、迷いますね……。ひとまず後回しにして、まずは【パーティ】メンバーの勧誘をしようかな?」
スキル一覧を視界の隅に追いやって【フレンドリスト】を開き、現在ログイン中のプレイヤーを確認していると、背後から声がした。
「ヘイ! そこのキミ、仲間をお探しかな?」
「あ、はい! そうですけど、視聴者さんですか?」
振り返ると、そこにはホスト服のようなチャラい服を着た金髪の男性の姿が。髪にはラメが散り、胸元ではペンダントがギラついている。派手な香水の甘いにおいが一歩遅れて漂ってくる。
「そうだぜベイビィ。俺の名前はおっ。なかなかにナウいイベントが行われていると聞いてね。戦力を募集しているというなら俺を混ぜてくれないかい?」
なるほど、非常にありがたい話ですね! 言動がちょっと面白いところも配信的には評価ポイントです。この人は画面に映っているだけで、何をやってもウケそうな気がしますよ。
「ありがとうございます! 大歓迎です! ただ……すいません、お名前をもう一度伺っても……」
「おっと、メンゴメンゴ。俺の名前は『おっ』だぜ。もう覚えられたかい、子猫ちゃん?」
「なるほど。非常にわかりやすいお名前ですね……よろしくお願いします。おっさん」
すごい、この人ネタになる要素しかない。
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>過去最悪の名前では??
>さん付けしないとキレられそう
>加齢臭が凄い
>なんか草
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「ちなみに、おっさんの
今回の戦いは力を合わせての総力戦になる。互いに連携を組むためにもどのような
ゆうたさんが連れてくるであろうサポート役の人とチャラいおっさんが加入するとして、最後に残った1枠は連携の穴埋めを考慮して決める必要があるかもしれない。
「クラスかい? 俺は【メイジ】だよ。どういう
右手を銃の形にしてボクに向け、口で「バキューン」と効果音を鳴らしながらドヤ顔でキメるおっさん。なるほど。一見するとただもったいぶっているだけのように見えるけど、その実、非常によくわかってらっしゃる。配信に新しいネタを提供するとともに、ボクが新しく取得したスキルや
「――なるほど? 後悔しないでくださいよ。ボクは【フォッダー】界最強の炎属性【メイジ】を目指していますからね。他の【メイジ】に負けるわけにはいきません」
「まあ俺は配信でキミの構成全部知ってるから多分勝てるけどね。メンゴメンゴ」
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>ナチュラルに卑怯なこと言ってて草
>おっさんがクズすぎてダメだった
>こんな奴にさん付けする必要ないぞ
>くたばれおっ
>↑なんかかわいい
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「それはまずいですね。では、ボクが配信外でアイテムや装備を整えてから戦うというのはどうでしょう? 知ってるかもしれませんが、新しい
「モーマンタイっ! 構わないぜ。じゃあ、準備ができたら呼んでくれたまえ」
そう言うと、フレンド申請が届いたので即承認。おっさんは無事フレンド登録されたことを確認すると、ボクに背を向けて後ろ向きに手を振りながら立ち去っていった。
「さてさて、今回はあくまで
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>キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
>もう永久に中断してていいよ
>わっふるわっふる
>はよ
>スクリーンセーバーマダー??
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「というわけで中断っと。あとはネットに上がっていたゆうたさんの水着画像でも流しておきましょう」
ボクの水着姿がそんなに安いわけありませんよね? だまされた人には、ゆうたさんを眺めながら精神を見つめ直していてもらいましょう。
ですが、あまり長いこと中断はしていられません。あまりにも長引くと、新規視聴者さんにゆうたさんの水着姿を垂れ流すだけの配信チャンネルだと勘違いされてしまいますしね。
まずは装備を整えよう。今のボクの装備は、【ルビーロッド】と【ボアーピアス】を除けば炎属性の威力を高めるだけの汎用装備がほとんど。必ずしも都合の良いものが売っているとは限らないが、定期的に品ぞろえを確認しないといけない。
普段からさまざまなお店を巡回しているのだが、最初に向かうのはボクがいつもお世話になっているお店だ。
その店では、炎属性に関する装備があったら取り置きしていただけるよう、店主さんにお願いしてあるので、一番の有力候補ですね。【ルビーロッド】みたいな掘り出し物があるといいなー。
「すいませーん、炎属性装備くださーい」
お店の中に入り、大きな声であいさつをすると、鉄と油のにおいが鼻を突く。棚いっぱいに並ぶ武具がくすんだ光を放つ中、店の奥から店主さんが顔を出した。
この人は新しいフォルダさん。武器や防具の生産を趣味としているプレイヤーだ。ボクがつけた二つ名は『戦う鍛冶職人(予定)』。このゲームの生産は一種のガチャのようなモノなので、正確にはガチャを趣味にした結果として武器や防具を量産し続けているらしい。
自分が装備するに値する最強の装備が厳選できたら戦闘もしてみたいと言っていたけれど、結局は延々とこのお店で装備を供給している。装備に対する理想が高いのだろうか?
「お! 卍さんかい。ちょうど高性能の装備が手に入ったところだよ。まあちょっと問題もあるんだけど……」
「問題? 強けりゃなんでもいいですよ! 見せてください!」
そう言ってボクが迫ると、新しいフォルダさんが店に飾ってある装備を指さした。ボクはその装備をまじまじと見つめる。真紅の布地がショーケースの照明を浴び、まるで炎のように揺らめいて見えた。
間違いなく炎属性であることを確信させる真っ赤な装備だ。装備に対する理想が高いはずの新しいフォルダさんが高性能だと言うのだから、買わない選択肢は存在しない。
しかし、ひと目でその問題点にも気づいてしまった。
まさかこんなにもタイムリーな装備に遭遇してしまうなんて……嘘でしょ……?
上下で分割されているにもかかわらず、システム的には2つで1つのアイテムとして設定されており、布面積の少ない大胆な衣装だ。人前で着るには相当な覚悟と自らのスタイルへの自信が必要だろう。
この装備はまさしく……。
「水着……!!」