卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第183話 女神

「なんで【女神】はそんなことをしたんだ?」

 

「かつての人族の想いが信仰によって神々の力となるからでしょう。【女神】は他の神々の力を削ぎ、信仰全てを自分の力へと変えるために様々な策略を練っていた」

 

「【女神】を倒せば魔族は元の状態に戻るの?」

 

「戻ります。いえ、そのままでは戻りませんが、解放された我らの力を使えば改変を修正することは可能です」

 

「じゃあ倒すためにはどうしたらいいんですか?」

 

「奴は自身の力を【テオス・エネルゲイア】に変換し、異界へと隔離しています。本来なら人に出入りできるような場所ではありませんが、そこを直接叩いてぶち殺すのが1番ですね。私がお送りします」

 

「封印されてたんじゃなかったっけ?信仰パワーがなくても大丈夫なの?」

 

「それくらいならできるんです。封印によって遮られてはいますが、信仰もちょっとだけ来ます」

 

「そういえば【帝神】って男じゃなかったっけ?」

 

「そういう説もありますが実際には女ですね」

 

「他の神はどこにいるんですか?会ってみたいなー」

 

「あー、今ちょっと留守ですね。会えないです」

 

「封印されてるのに留守にできるの?」

 

「正確には他の場所に封印されてるという意味です」

 

「じゃあその場所教えてください。他の神とも相談したほうがよくないですか?」

 

「ちょっとわからないですね。たぶんどっかにいますよ」

 

「ちなみに【女神】ってどんな感じの神なの?」

 

「絶世の美少女ですね。可愛すぎてやばいです。しかも性格も良くて明るくて元気らしいです」

 

「敵なのにずいぶん褒めるね?」

 

「あっ、いや。敵だけどそこは事実なので否定できないんです。事実なので」

 

「でも信仰パワーを独り占めにするために暗躍してるんですよね?性格いいんですか?」

 

「は?ぶち殺しますよ」

 

「今なんて?」

 

「あー、あれですね。たぶん崇高な使命があるんです。本当は良い子なんですよ。かつてはみんな信仰してました」

 

「それにしては歴史書にも名前出てなかったけどね。あかりちゃん結構調べたのに」

 

「眼科に行った方がいいですよ」

 

「?」

 

「あ、いえ。きっと、弱点とかバレないように検閲して隠してたんですよ、たぶん。当時はゆるふわアイドルでしたよ」

 

「わかりました。とりあえず神との戦いに向けて準備してきますね。たぶん強いですし念入りにしてきたほうがいいですよね?」

 

「そうしてください。ちなみに【女神】のところに行くと、『自分は【女神】じゃない!』とか言い訳してくると思いますけど嘘なので、ぶち殺していいですよ」

 

「なるほど、わかりました。では一旦帰りましょうか」

 

「そだね。戻ろっか」

 

 

「はい、じゃあどうやって倒しますか?あの【女神】」

 

「こっちが騙されてると思ってるなら不意打ちでいけない?」

 

「でも信仰パワーをたくさん持ってるんだろ?3人でいけるのか?」

 

 怪しんでくださいと言っているとしか思えない会話だった。アリンドさんもその不自然な違和感に気づいていたようで、意志の統一を図るまでもなく議論はあの【女神】との戦い方へとシフトしていく。

 

「ただ、【祠】の人たちはあそこに他の神様もいるって言ってたから、そっちも事実ではあるのかな?【女神】に送ってもらった場所に神様がいるのなら、協力を頼めるかもしれないですけど」

 

「いや、こっちにはこの前まで勇者だった俺がいるからな。【加護】を剥奪したということはこちらの行動を観察していたということ。騙して神を殺させるならまだいい方だが、下手すりゃ一緒に封印して一挙両得を狙う作戦かもしれねえ」

 

「となるとこの会話も聞かれていて不意打ちは通用しない可能性もありますね」

 

 それなら追加のメンバーを集めて堂々と攻めさせてもらうとしましょう。

 

「ボクは『近接対応(てくにかる)(ビルド)の【メイジ】、アリンドさんは【ビショップ】と育成中の【ナイト】。あかりちゃんさんは……前回戦った時は風【メイジ】でしたが、今回は【アサシン】ですか?」

 

「今は【アサシン】/【メイジ】だよ。サポートなら任せてね?」

 

 腰に手を当てて胸を張るあかりちゃんさん。【アサシン】は戦況を歪めることに特化した玄人向けの職業(クラス)だ。

 

「となると必要なのは盾役(タンク)。あとは自由枠だな。誰か候補はいるか?」

 

盾役(タンク)に関してはめりぃさんを引っ張ってきますよ。あかりちゃんさんには誰か良さそうな方はいますか?」

 

「そうだねぇ……」ちゃんでいいかな」

 

「え?今なんて?」

 

「」ちゃんだよ。あの【黄金の才(ユニークスキル)】持ちの」

 

 相変わらず原因不明の聞き取りづらさを感じさせる名前の方ですね。自由にログインとログアウトができる【『オネイロス』】の方でしたか。

 

「あの人は【モンク】/【メイジ】でしたね。もう1人は——純白の翼さんでも引っ張ってきましょうか」

 

 候補のプレイヤーにさっそく連絡を取ってみると、ちょうどクエストの攻略を狙っていたようで、喜んで集まってくれた。これで6人ですね。

 

 さっそく参加メンバーで再び作戦会議を始めよう。とりあえずボクの【ホーム】を取り出し、中に用意された椅子に腰掛けて戦術を練る。

 

 といっても、例によって【女神】に関しては戦いにおけるデータが1つも存在しない。だから「何かの対策をしよう」といった具体的な話し合いはできず、とりあえず臨機応変に対応できるような安定した戦術を考えていくことになるんだけど。

 

「まあ——ボク達が発見した数々のインフレテクニックを使っていけば勝てるでしょ!」

 

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>勝ったな。歯を磨いてくる

 

>家にぶつけたりイグニッションでフル強化したソウルフレア撃てば普通に倒せるよね

 

>そもそもマクロで攻撃躱し放題なんだよなあ

 

>裏ボスの魔王瞬殺できるのに今更苦戦するわけないよな!

 

>もしかして君達わざとフラグ建ててます?

----

 

「ククク……混沌に染められし叡智の結晶、その真価を見せてくれよう」

 

「」がいちげきでたおすんだよー!」

 

「あたしも準備OK!さあ、当たって砕けろでレッツゴー!」

 

 新規メンバーも意気込みはばっちり!さて、目指せ打倒【女神】!

 

 さて、改めて【グレイブウッド】に入場し、さらにポータルの裏側から捻れた空間に突撃すると、例によって推定【女神】が待っていた。

 

「準備はできましたか?付与(バフ)をかけて十分に用意していってください」

 

「«獄炎»【アブソーブ】!」

 

 【イグニッション】を最大まで乗せた吸収(ドレイン)スキル、そこに【オートユーザー】でお徳用ポーションをがぶ飲みし、...【コマンド】でINTを追加で増加させ、めりぃさんが炎属性ELMを増やし、その他付与(バフ)をふんだんに乗せたスキルが命中する。

 

 魔王ですらも一撃で屠れるレベルの圧倒的な一撃だ。これが決まれば優位に立ち回れるはず——。

 

 もしかしたら強力な専用スキルによってあっさり防がれるかも?と思っていたけど、無効化や減衰が行われた感触もなく、【女神】のHPを大幅に削り取った。おまけに【不死鳥の加護】で追加の継続ダメージが上乗せされていく。

 

 攻撃が通った。その結果だけを見れば大成功。だけど、命中と同時に出現したHPゲージを見て驚愕する。

 

「1ミリもゲージが減ってない……!?」

 

「やはり付け焼き刃の演技では騙されませんでしたか。いいでしょう。神に逆らう者には私が天罰を与えて差し上げましょう」

 

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