卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第193話 帰宅部タクティクス

 【トラップハンター】の発動に合わせてボクが繰り出すのは【アブソーブ】だ。

 

 回復量が多くなるほど威力が高くなる——そんな因果逆転の効果により、爆発分の威力がこのスキルに上乗せされ、さらに炎属性ELMによる威力増加と補正が掛けられる!

 

 瞬く間にHPを10%も削り取り、()()()()()H()P()()()()()()()

 

 とがみんの制作した【神聖なる魂のうさみみ帽子】のスキル、【超越の奇跡】により最大HPを超えてHPが大きく回復していく。超過したHPは時間経過とともに下降していくが——

 

 ——ボクはこの増加したHPの()()()()()()()()()

 

「【帝神の加護】、起動!」

 

 瞬間的に起動したのは【女神】と敵対する存在である【帝神】によって授けられた【加護】の力だ。土壇場の作戦だけど、調整する項目は決まっている。一瞬で設定を終わらせ、カスタマイズしたスキルの発動を開始した。

 

「いつまでも好き放題できると思ったら、大間違いよ!」

 

 【女神】が【ブロールート】を込めた【オリジン・アブソリュート】による殴打を叩き込む。【モーションアシスト】を無効化しつつ物質干渉力を上げてボクを弾き飛ばすためだろう。しかし、彼女の攻撃はむなしく空を切る。

 

「なっ!」

 

「何度も【モーションアシスト】に教えてもらったんです。アシストなんてなくても、量子単位の動きくらいならできますよ」

 

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>できない定期

 

>リアルでも壁抜けしてそう

 

>こわ、犯罪とか何でもできるじゃん

 

>通報しました

 

>現実世界終わったわ

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 『できちゃったから仕方ないんです』と言いたいのを我慢しつつ、大きな隙を晒した【女神】に対して——ボクは最大火力を叩きつける!

 

「【イグニッション】——【ソウルフレア】!」

 

【イグニッション】

[アクティブ][キャラクター][炎属性][支援][魔法]

消費HP:2500% 詠唱時間:2.5s 再詠唱時間:30s 効果時間:4m

 

 現在HPが100%を超えている以上、ボクは圧倒的なコストを惜しみなく投入できる。莫大なHPを消費して発動した炎属性スキルに、さらにELMの補正が乗る。生み出された白銀の炎はあらゆる存在を焼き尽くす。

 

 太陽の如き輝きが周囲を照らし、灼熱の劫火があたりを灼く。前代未聞のダメージを受けた【女神】の残りHPは半分を切る。まだまだ先は長いようだ。

 

「調子に乗ってんじゃないわよ!」

 

 【女神】は杖を思い切り振ってボクを殴りつける。それをあえて無防備に受け止め、物質干渉力によってふっ飛ばされていく。

 

 大幅に消費したとはいえ現時点ではHPも潤沢だ。即死スキルである【バニッシュ】以外は怖くないし、その【バニッシュ】も近距離でなければ当たらない。詠唱時間(キャストタイム)を省略する【ファストスペル】を切った以上、即座に撃ち込まれることはないはずだけど、相手がふっ飛ばしてくれるというのならそれに乗っておこう。

 

 そして吹っ飛んだボクと入れ違いに飛び出したのはアリンドさん。ボクが提供した«疾風迅雷»を行使して【女神】に接近する。

 

「攻撃しては逃げて攻撃しては逃げて……ヒットアンドアウェイは許さないわよ!【アンカー】!」

 

「奇遇だな、俺もだ!【アンカー】!」

 

 奇しくも互いが発動したスキルは同じ。【女神】はアリンドさんを縫い止めるためにスキルを行使したのだろう。だが、アリンドさんが使う【アンカー】はその逆——【ホームリターン】を行使するために、【アンカー】を発動した。

 

「じゃあな、また会おうぜ?【ホームリターン】!」

 

 アリンドさんは発動の瞬間に【ホームリターン】で帰還する。このエリアには現在撃ち出した家やら盾についている家やらが散乱しており、帰還先には事欠かない状態だ。

 

 けれど、辺りをカメラで見渡す限りではアリンドさんが家の近くに現れることはなく——

 

「ま————」

 

 言葉を発しようとした途端、【アンカー】が適用されて停止する【女神】。

 

 前回はかなりゆっくりではあったが意味のある言葉を発していた。しかし今回はそうならない。完全にぴたりと止まった【女神】の姿はまるで【女神像】のよう。

 

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>まさか……

 

>あいつ、帰りやがったwwwwwwww

 

>草

 

>最悪の糞戦術

----

 

 アリンドさんの【ホームリターン】による帰還先——それは【ディスポサル城下町】にある自宅だ。戦場でいくら距離を取ったところで【アンカー】の効果はたかが知れている。

 

 それならいっそ街まで戻ってしまえばその効果は最大まで引き出される!アリンドさんの尊い帰宅によって【女神】のモーションスピードは最低にまで下がり、身動き一つ取れない状態に。

 

 こうなってしまえば量子の動きなんて関係ない。これによって生まれた絶対的な隙に乗じて一斉攻撃が開始される!

 

 弾丸による空爆から盾の発射まで、やりたい放題。回避の余地もなく、〈トンネル避け〉を完全に無視して全力で集中砲火を浴びせていく。

 

 【アンカー】の効果が切れる頃には【女神】のHPは30%にまで減少していた。

 

「この勢いならいけるね〜!あかりちゃん、頑張るよ!」

 

「卑怯な戦術を使ってきやがって……!そろそろブチ切れるわよ!」

 




テクニックその94 『帰宅部タクティクス』
自身との距離が離れている程に出力が増加する【アンカー】。これを最大限に適用させる為にひたすら距離を取るという戦術です。距離を稼ぐには色々な方法がありますが、最も強力なのは【ホームリターン】による帰還。それも戦闘用の仮設住宅では無く、本物の我が家に帰ってしまえば妨害(デバフ)の効果は最大級に達します。
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