卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
ごちゃごちゃした【ジャンクショップ】とはいえ掘り出し物があるかもしれない。好き勝手に漁っていいという許可を店員さんからいただいたので、面白いアイテムを探して武器や防具をひっくり返していく。
そしてボクは発見した。究極の掘り出し物を。
「こ、これは……【願いの石】!」
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>草
>間違って捨てたのかな?
>最新のVRMMOでも逃れられない誤爆廃棄という恐怖
>おれのものだ。返してくれ!!!
>自分で捨てた奴がなんか言ってるぞ
>じゃあ俺が実は捨てたんだ。俺に返せ
>間違って願いの石を捨てた無能ワラワラで草
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大会に参加する気がなくても売れば儲かるわけだし、廃棄する理由はない。間違って捨てちゃったんですね……。かわいそう。
「かわいそうですね、【願いの石】さん!代わりにボクが有効活用してあげますよ!いくらですか?」
「さすがにそれは格安というわけにはいかないよ!!なにせなんでも願いが叶うと言われるすごい石だからね!!!」
「ですよねー。ちなみにいくらなんですか?」
「決まってない!!!どうしよう!!!」
「決めてくださいよ!!!」
「なんか伝染ってるよ卍さんー」
お店なのに値段が決まってない!!!ぼったくりでもいいから提示してください!!!
「じゃあクエストの報酬とかにするのはどうー?値段じゃなくてやってほしいことをやったらもらえるーみたいな」
「でもそんな都合よく困ってることなんて出てきますか?さすがに【願いの石】がここにあるのは偶然でしょうし……」
「あるよ!!!困ったこと!!!今作った!!!」
「今作った!?」
ご希望に合わせて即興で困りごとを作っちゃったんですか!?
「今度ね、魔族の街結成記念!!!ってことでイベントやることになったの!!!その名も【開拓会】!!!この世界をたくさん発展させた人が勝ちっていうイベントなんだよ!!!」
「あー、つまりイベにかこつけて開拓丸投げって腹なわけね」
「そうともいう!!!」
なるほどなるほど。そのイベントの賞品に【願いの石】を提供するわけですね。ボクが手に入れられるとは限らなくなったのはちょっぴり残念だけど、同時に新たなイベントが開催されるとなれば見逃せない。
「でも発展ってなんでしょう?家を建てたりマップを埋めたりとか?」
「そこは魔族の主観でファジーに決めてくよ!!!システムで用意されたイベントじゃないから仕方ないね!!!」
つまりNPCに気に入られるような感じに頑張っていけということですね!
「開催時期はいつですか?」
「1週間後から1週間でどう!!!???」
「わかりました!みなさん、1週間以内にここまでたどり着いてください!」
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>うおおおおおおお
>発展ってなんやねん!!!
>魔族の街をどんどん発展させていけ
>よっしゃスラム街作るわwwwww
>発展(衰退)
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開催は1週間後。とはいっても施設を建築したりする方面で発展させるのであれば部材などは用意しておいて損はありませんね。それでも1週間まるまる使うほどの準備は必要ないでしょう。魔族の街をゆっくり観光してから考えようかな。
と、そういえば何か他にやっておきたいことをスケジュールに入れていた気がしたのですが……。なんだったかな……?
急に何か忘れてる気がしたんだけど、何を忘れたのかわからない。まあ予定通り観光を続けていきましょうか。
【ジャンクショップ】を出て、辺りを見渡しながら他のお店や施設を探してみる。お店や特殊施設ではない普通のお家もあるようで、突撃したところ、美味しいおやつで歓迎してくれる素晴らしい魔族さんもいた。
「ほえー。魔族さんってみんな翼が生えてるんですね」
「そうだよ。猫耳が生えてたり、角があったりする魔族もいるからね。それ以外の部分に共通点はないけれど、羽だけは絶対あるんだ」
となるとヒュマデサタンさんは疑いようもなく人間なんですね。にもかかわらず魔王の力を持ってるのは地味にすごい。
今話している魔族さんは天使のような白い翼が生えていて、頭の上に浮遊する黒い輪っかが付いている。翼は見るからにふわふわそうで、ぜひ触らせてほしいくらいだ。
でもさすがに触るのは失礼かなと思っていると、」さんが動いた。ログイン&ログアウトを無駄に駆使して背後に回り込み、むぎゅーっと羽に抱きついていく。
「すごーい!抱き枕にほしいなー」
「ちょっとちょっと、羽が落ちちゃうよ」
魔族さんに拒否されてしぶしぶ離れた」さん。しょんぼりと落ち込んでいる。その姿がかわいそうに見えたのか、代替案を出してくれた。
「抜け羽を集めた枕ならあるよ?それを代わりにあげるよ」
「ほんと!?ありがとー!」
そうして受け取った抱き枕に頬ずりし、【ストレージ】からベッドを召喚して堂々とおやすみタイムに入る」さん。かわいい。
そっと枕に触れてみると、すごい!なんか指がそのまま飲み込まれていきそうなくらい柔らかい!ボクもこの枕、欲しいかも。
そう考えていると恐るべき事実に気づいた。どうやら」さんがだんだんと枕に沈み込んでいっているのだ。
「やばいよー!」ちゃんが枕に食べられてるー!」
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>トラップかな
>飲み込まれていく」ちゃんかわいい
>死因:枕に飲み込まれて死亡
>でも人生一度くらいは柔らかい枕に沈み込んで死にたいよね
>人生終わる定期
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やがて」さんは抱き枕に完全に埋まって出てこなくなった。別にHPは減ってないみたいだし、飽きたら出てくるだろう。枕ごとひょいと持ち上げて抱え込み、ボク用の枕も後で作ってほしいとお願いしてから家を出る。
「民家一軒ずつ見て回るのも悪くないねー。でも固有施設は【ジャンクショップ】くらいなのかなー?」
「あそこの魔族さんに聞いてみましょう。すいませーん。この辺になんか面白い場所ってありますかね?」
「あるよ。ほら、あそこに大きな池があるだろう?」
「ありますね」
「あそこでしか釣れない魚がいるよ」
「な、なるほど」
釣りかぁ。イメージとはちょっと違うけれどやってみてもいいかもね。
「それにほら、あっちに草原があるだろう?」
「ありますね」
「あそこにはかわいい猫やうさぎがたくさんいるんだ」
「な、なるほど」
便利なお店やシステムのようなものはどうやらない様子だ。でもせっかく紹介されたので両方行ってみますかね。