卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「釣りだー!」
池にたどり着いためりぃさんが意気揚々と釣り竿を取り出す。すごい。釣り竿を常備してるなんて!
「あーし、釣り竿がないんだけど……どっかで借りられんのかな」
さすがに釣り竿を自分で作れっていうのはひどいですよね。一応木材でもあれば簡易的には作れますけど、どこかに救済措置があるのでは……?
そう考えながら周囲を見渡すと、池のほとりには小さな家が建っていることに気づく。魔族さん方が無意味に木の上に家を建てて暮らしていることを考えると、地上に家が建っているのは少々珍しい。何か理由がありそうですね。
「ほらほら、」ちゃん、起きてー!なんかあるよー!」
「うーん、あとごふん……」
一向に枕の中から出てこない」さん。もうこのまま【ストレージ】にしまっちゃいましょうか?どうせ【A−YS】側から脱出できるでしょ?そんなことを考えつつも、なんとか枕ごと抱えて家の前までやってきた。
「やっぱり釣り竿を売ってるみたいだねー」
上部に取り付けられている看板に記されているのは【釣具店】という単語。釣り竿に限らず餌なども取り扱っていそうですね。
「ちなみにめりたんは釣り経験あんの?なんか竿持ってるっぽいけど」
「あるよー!ちゃんとエンチャント付きの竿なんだからー!」
そう言って見せびらかしてくる釣り竿を見ると、柄の部分がなにやら機械的な部品で構成されている。それだけじゃなくて糸の部分にも違いがあるみたいだ。この糸、もしかして……。
「【メモリシード】でプログラミングしたんだー!魚が引っかかると自動で釣り上げてくれるんだよー!それに炎属性の追加ダメージで釣った魚が自動的に調理されるのー!」
「釣りと調理を同時に……。漆黒も最近【メモリシード】にハマってるっぽいんだけど、なんかスランプみたいでさ。今度見せてやったら?」
「こんなんで喜んでくれるかなー?」
漆黒の翼さんは利便性うんぬんよりイカれた発想を重視するきらいがありますからね。五分五分といったところでしょうか。
とりあえずボクたちも釣り竿を買ってみよう。家に入ると案の定、釣り竿が売られていた。汎用的な釣り竿だと紹介されたアイテムを購入し、さっそく釣りを始めてみる。
「……釣れませんね」
「釣り竿のスペックが悪いんかな?」
「すやすや」
「また釣れたー!うーん、こんがり焼けててジューシー!」
釣り糸を垂らしてもまったく釣れないボクたちの横でめりぃさんはこんがり焼けた魚を次々と釣り上げていく。
「めりたん、その釣り竿貸してよ。どうせそれがあれば誰でも魚がっぽがっぽなんしょ?」
「だめー!これはあたしのアイデンティティ!卍さんに自慢できる唯一の要素なんだからー!」
「釣り竿なんかよりアイデンティティになる要素ありますよね!?」
お得意の召喚モンスターとか。
とはいえ釣り竿が自慢できるという話もわからなくもない。ボクたちが1匹も釣れていないのにめりぃさんは10匹も20匹も釣り上げているのだから……。
「あっ【願いの石】釣れたー」
「えっ……えぇー!?」
確かに生産系の人とかでも【願いの石】を入手できるという話は聞いたことがあるけど、釣りでも入手できるんですか!?
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>これは釣りに全力ですわ
>釣りだけで願いの石集めたとして本戦で勝てるの?
>わざわざ戦わなくても集められるようにしてるんだからなにかあるんだろ
>ユーキちゃんを信じろ
>今世紀で1番信用できない奴を信用しなきゃいけない時がやってきたな
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「これで【願いの石】7個なんだよねー。どうしよっかなー?」
「さりげなくとんでもない爆弾発言が出てきましたね。すでに本戦出場が確定していたんですか」
「いろいろサブイベで出るかんね。あーしも5つまで来てるよ」
ボクもいろいろなイベントに手を出して【願いの石】を集めていると思っていたんだけど、ふと考え直して気がついた。ボクが【願いの石】を入手したきっかけは、基本的に他の人でも入手できるイベントだけだ。
メインクエスト関連で3つ。【A−YS】の階層突破で1つ。だからボクの入手数である4つという数値は最低ラインになるわけだ。もちろん一定の戦力がなければ突破できないクエストだけどね。
そう考えると、今回のイベントは優勝者にしか【願いの石】が与えられない貴重なクエストということになる。ぜひ突破したいところですね。
でもそれはそれとして1匹くらいは何か釣っておきたいところですね。全然釣れないですけど、こんなものなんでしょうか?
「あたしの釣り竿がすごすぎるだけで普通はそんなもんだよー。まったりいこー!」
「ぐぬぬ、自分だけすごい勢いで釣れてるからって……」
そういえばここでしか釣れないものもあるんでしたっけ。【願いの石】も当てはまるかもしれないですけど、他にどんなものが釣れてるのかな?めりぃさんが釣ったお魚さんの山をちょっと見せていただくことにした。
一見すると普通のお魚さんばかりに見える。けれど【フォッダー】世界では種類的に珍しいのかな?と思って軽く目を通していくと、普通の見た目の魚たちに紛れ、明らかに異彩を放つ意味不明な存在が混ざっていることに気づく。こ、これは……!
「【たい焼きくん】……っ!」
「カスタードクリーム味みたいだねー。もぐもぐ」
そんな釣れたてほやほやの【たい焼きくん】をめりぃさんはもぐもぐと頬張る。さっきまで水の中に入っていた野生生物を手づかみで食べていく。さすがフードファイターです。
ボクもせっかくだし、いただいてみようかと許可を取って【ストレージ】に入れる。性能を見てみると、けっこう面白い
食事によって付けられる
他の魚も簡易的な調理法ではあるけれど、さまざまな珍しい能力が付与されており、明らかに希少な食材であることがわかる。これは料理人の時代がやってくるかもしれませんね。