卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第207話 ボーナスモンスター

「【たい焼きくん】、美味しいですね。特にこの尻尾の部分が美味しい!」

 

「いるよね、こんな人。メロンパンの皮だけ食べたいとか言っちゃう系?」

 

「むむっ、失礼な。鮭の皮くらいですよ!」

 

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>通販で鮭の皮買ってそう

 

>餃子の皮だけ食べてそう

 

>肉まんの皮だけ食べてそう

 

>いや、肉まんの皮は普通だよね?

 

>視聴者の卍さん像はすでにボロボロ

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 知らない間にコメントでボロクソ言われてるのは軽く流して、次の目的地に出発する。ボクもあれから【たい焼きくん】を2〜3匹釣れたので、釣りについては満足です。

 

 さて、次の目的地は草原だ。特になんの変哲もない背の高い草がたくさん生えているところなのだけど、草陰に猫だのうさぎだのが隠れて、まったり休んでいるゆるふわスポットとのこと。

 

 別にうさぎならとがみんがいるし、その場所を訪れることにゲーム的なメリットがあるのかはわからない。けれど……まあ紹介されたからには行ってみよう。コメント欄もきゅーとな猫を映してほしいという書き込みであふれていますからね。

 

 というわけで池から歩いて1分くらいのところにある草原にやってきました。思ったよりも草が高くて、ボクの身長くらいある。

 

 木の上から見たときには「草が生えてるなー」くらいの認識だったのですが、こうして同じ高さで見てみると、なんだか圧倒されそうなくらいの存在感を放っていますね。

 

 肝心の猫やうさぎも、視界が遮られているせいか見当たりません。もっと奥の方にいるんでしょうか?

 

 それでは草原探検を開始——そう思ったところで、草むらがざわりと揺れ、なにやら生き物が飛び出してくる。これは【ジュエルラビット】だ!

 

 とがみんはロップイヤーだったけど、この【ジュエルラビット】は耳をピンと立てていますね。種族的には同じだと思うんですけど、そこは個性の範疇なんでしょうか。額に煌めくダイヤモンドの宝石もくーるで素敵ですね。

 

 勢いよく飛び出してきた【ジュエルラビット】はボクの足に体当たりした。それから器用にボクの身体をつたって登っていき、頭の上に乗っかった。

 

「かわいいー!あたしの頭にもやってこないかなー?」

 

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>殺せ、経験値だ

 

>最高の稼ぎ場じゃねーか

 

>うおおおおお!!!!

 

>マジかよおまえら最低だな

 

>これがゲーマーの民度です

 

>は?所詮中身はAI、ガワなんて関係ないぞ

 

>これは戦争ですわ

 

>通報したわ。AI人権保護団体に潰されろ

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「なんか唐突にボクとは無関係の内容でコメント欄が炎上し始めましたね……。まあ見た目がきゅーとだと倒しづらいですよね」

 

 過去のVRMMOでも動物保護団体の主張で騒ぎになったタイトルもありますし、モンスターが可愛すぎて攻撃できないという理由で誰もレベル2に達せられないゲームがあったという話が業界では語り草(かたりぐさ)になっていますからね。

 

「ボクももはや慣れてしまったのですが、VRMMOが人格形成に悪影響を及ぼすという話はやはり否定できませんね。なぜか最近はとんと聞かない話ですが」

 

 もしかして誰かに潰されたとか。ユーキさんを筆頭としたVRMMO業界の方々ならやりかねない……。

 

 とまあ、ボクはどちらかというとアイテムや経験値のためにうさぎさんに手をかけることを厭わない派閥なのだけど、今日に限っては別だ。きゅーとなうさぎさんと戯れられる場所として訪れたんだし、それに倣って可愛がっていきましょう!

 

 うさぎさんごとボクの頭を撫でようとするめりぃさんのために、ちょっとだけしゃがみ込んであげると、めりぃさんはなでなでを通り越して勢いよく抱きついてくる。

 

 そしてきゃーきゃーと声をあげるめりぃさんに眠りを妨げられたのか、ここまで引きずってきた」さんが枕から飛び出してくる。

 

「あー!」もうさぎさん触りたいー!」

 

「ぐえっ」

 

 そして【『オネイロス』】の効果でボクの頭上に転移した」さんが勢いよくのしかかり、めりぃさんと一緒に崩れ落ちる。こんなことされたら現実(リアル)なら死にますよ!気をつけてくださいね!?

 

 【ジュエルラビット】はそのまま」さんにぎゅーっと抱きしめられて満足げな表情だ。ちょっとうさぎのHPが減ってる気がするけど、誤差だよね。

 

 さて、【ジュエルラビット】は」さんに取られてしまったので、今度は猫を探してみよう。【フォッダー】世界には【ジュエルラビット】に匹敵するメジャーな猫モンスターはいなかったと思うのだけど……なにが出てくるかな?

 

 先ほどのように飛び出してこないかとじーっと待ち構えていたけれど、どうやら恥ずかしがりやさんみたい。それならと草をかき分けて草原に入ろうかと思ったところで、めりぃさんが言った。

 

「閃いたー!向こうから来てもらえばいいんだよー!【タウント】ー!」

 

「それってモンスターを怒らせるスキルですよね!?」

 

 さて、めりぃさんの計算どおりかはわからないけど、スキルの効果はゲームのシステムにおいて絶対だ。今も」さんに抱きしめられていた【ジュエルラビット】も含めて、付近のモンスターはなんだかめりぃさんを攻撃したくなってしまう。そうなれば、草原に隠れていた猫さんが飛び出してくるのも自然な流れなんだけど……。

 

「うにゃー!?押しつぶされるー!?」

 

 やってきたのは猫やうさぎが数十匹もいる群れ。きゅーとなモンスターたちがめりぃさんに襲いかかる。圧倒的な物質干渉力を持つめりぃさんは小動物に囲まれた程度で押しつぶされるほどやわじゃないけれど、あまりの群れにびっくりしてるご様子。

 

「ほいほい、〈癒やしの領域にて、長きにわたる祝福を〉【ヒーリングエリア】!継続回復(リジェネ)でダメージ的には十分っしょ?」

 

 HPを地味に削られていくめりぃさんだったが、この程度の小動物が出せる火力では純白の翼さんの回復魔法の継続回復(リジェネ)にも及ばない。命の危険がなくなっためりぃさんは安心して、襲いかかってくる猫さんとうさぎさんに埋もれていった。

 

「だめー!うさぎさんはめりぃさんじゃなくて」とあそぶの!」

 

 そう言いながらめりぃさんに襲いかかろうとする【ジュエルラビット】をぎゅーっと抑え込む」さん。さらにHPが削られているけど、大丈夫ですか?

 

 さて、ボクは新たにやってきた猫さんを軽くでこピンで小突いてみる。ダメージを与えたことによってモンスターの名前とHPゲージが表示されたけど……この子は【フォーチュンキャット】というらしい。いかにもボーナスモンスターという感じの名前だけど、さすがにこの子たちを倒したりはできませんね……。

 

「きっとボクたちが倒さなくても他のプレイヤーが狩りに来るんでしょうけど……元気に生きてくださいねっ……!」

 

「にゃー」

 

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