卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第210話 結界支配者

「ままままままだあわてて」

 

「荒罹崇、落ち着いて♥」

 

「落ち着いてますけどー!?でもじゃああのボタンなんなんですか!?なんの効果あったんですか!?」

 

「何も効果ないですけど……。意味深に設置しておいたら深読みしてくれるかなって」

 

 いやいやいや、あの視線がなければ別にそんなに怖くなる要素はなかったですよね!?片手落ちですよね!?

 

「でも荒罹崇が言ってる視線はわたしも感じてたよ。妹ちゃんの仕込みじゃなかったの?」

 

「私はお姉ちゃんですっ。でも、ちょっと心当たりがないです……」

 

「みんななんのおはなししてるの?ぼくもまぜて!」

 

 ابتسامةさんかわいい。なでなで。

 

 いじわるをしてるのかと思ったのだけど、何度聞いてもやはり心当たりがないとのこと。灑智がそんな頑なに嘘をつくはずがないし、やっぱり外部からのいたずらなんでしょうか。

 

 聞くところによると人を驚かせていたずらをしちゃう『異形』もいるらしいですし、そういうほのぼのとした展開なのでしょう。たぶん。……大丈夫ですよね?

 

 ちなみに今回のダンジョンはボクにドッキリを仕掛けるために急造したダンジョンらしく、普通のモンスターが出るダンジョンもしっかりと作ってあるらしいです。……つまり、ボクが存在を忘れてたから作ったってことなんでしょうね。ごめんなさい。

 

 なんだか精神的に疲れたので、そのダンジョンに行くのは後日ということになった。今度こそ忘れない!そう約束して、どこかまったりできるところへリラックスしに行くことにした。

 

 そうだ!さっきのうさぎさんと戯れれば心も安らぐかな?また行ってみましょうか。

 

 再び魔族の街に行くことに決めたボクはポータルをくぐり【グレイブウッド】へ。そのまま今度は入口のポータルを逆側からくぐって街へ入る。

 

 さて、さっきの草原はどこだったかな?きょろきょろと周囲を見渡して草原を探す。けれど見つからない。あれ?あれだけ背の高い草が生い茂っている場所なら目立ちそうなものだけど……。

 

 たしかあの辺にあった気が……。うろ覚えの記憶をたどりながら、草原があったはずの方を見ると、そこは——。

 

 

「ヒャッハー!うさぎを狩らせろー!【ペネトレイト】!」

 

 

「【アトラクト】!【カバーリング】!精霊さん、守ってー!」

 

 

「【カタパルト】そうてんかんりょう!くたばれうさぎさんの敵め!」

 

 

 ——戦場になっていた。

 

 生い茂っていたはずの草が刈り取られ、炎上し、焼け野原となった荒れ地で、めりぃさんたちが謎のPvPを繰り広げている。

 

 いや、流れは想像がつきますよ?うさぎさん狩りを阻止するために戦闘が繰り広げられているんですよね。しかし、それにしてもかなりの大規模な戦いだ。

 

 めりぃさんや」さんだけではなく、多くの有志が集まってうさぎさんや猫さんの避難活動や陣地の形成を行っている。

 

 ただし陣地といっても、現環境では防壁程度なら簡単にすり抜けられるし、盾役(タンク)が物理的に道を塞いでもほぼほぼ無駄だ。この場合の陣地とはエリア魔法のことだ。

 

「〈癒やしの領域にて、長きに渡る祝福を〉【ヒーリングエリア】!」

 

 純白の翼さんが【ビショップ】のスキルによって継続回復(リジェネ)効果を持つエリア魔法を発動させる。恐らくは【守護の奇跡】も乗っているのだろう。回復に加えて一定のダメージカット効果が乗った結界が、他の【ビショップ】の魔法と合わせて何重にも構築された。

 

 同じ付与(バフ)の重ねがけができないのは【フォッダー】の常識だけど、フィールドに効果がある類の間接的な付与(バフ)スキルは他者のスキルと重ねれば重ねるほど効果が増加する。

 

 1人では重ねられないけれど、複数人の【ビショップ】が協力して形成した【ヒーリングエリア】はまさに無敵だった。

 

 たまに流れ弾のように攻撃が陣地の方へ飛んでくるのだけど、偶然命中した猫さんはのんきにあくびをしてだらけている。見た限りではHPゲージすら開示されず、まったくダメージを受けていないのが明らかだ。にもかかわらず【応報の奇跡】が適用され、流れ弾を撃ち込んだプレイヤーへ不思議な力によるカウンターが決まった。

 

【ヒーリングエリア】

[アクティブ][自身][エリア][聖属性][回復][魔法]

消費MP:6 詠唱時間:5s 再詠唱待機時間:30s 効果時間:2m

効果:[自身]を[起点]として、[味方]の[HP]を[継続的]に[回復]させる[エリア]を[形成]する。

 

【守護の奇跡】

[パッシブ][スイッチ]

効果:[自身]の[発動]した[エリア]にいる[味方]の[受ける][ダメージ]を[減少]させる。

 

【応報の奇跡】

[パッシブ][スイッチ]

効果:[自身]の[発動]した[エリア]にいる[味方]が[攻撃]を[受けた]とき、[攻撃]を行った[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。

 

 これこそが【ビショップ】の花形(ビルド)、『結界(エリア)支配者(ドミネーター)』!【ヒーリングエリア】のような持続発動型のエリアスキルを起点に何重もの追加効果が受動(パッシブ)によって適用されていく。

 

 ちなみにこの(ビルド)はとがみんの【ジュエルラビット】が持つ【支配領域】との相性が良い。起点となるエリアスキルをわざわざ発動しなくても常に受動(パッシブ)の効果が周囲に適用され続けるのだから。

 

 ただし、【守護の奇跡】でダメージを無効化にまで持っていくならば数十人規模の【ビショップ】が必要なはず。ぱっと見る限りエリア内にいるプレイヤーは3〜4人。【女神像】の職業(クラス)チェンジを考慮してもそれだけの数の【ビショップ】が確保できているとは思えないのだけど……。

 

 改めてエリア内を見回して起点となるプレイヤーを探すと——不自然に棒立ちの一人が【女神像】を片手にうさぎを見つめつつ、思念を送っているのが見受けられる。

 

「あの人、【サイキック】ですね……。【マインドハック】で【ビショップ】を取得できるように誘導しているのでしょう」

 

 【マインドハック】は、本来ならほんの一瞬【モーションアシスト】を割り込ませて行動をハッキングするスキルだ。成功率はかなり低いけれど、相手が身を預けてくれるなら話は別だ。人懐っこい気質のうさぎさんたちを操って、【女神像】によって【守護の奇跡】を獲得させているということか。

 

「そして【ジュエルラビット】は【支配領域】を持つ。だからこそ、あの場所に形成されている密集地帯はあらゆるダメージを無効化する究極の安全地帯になったのでしょう」

 

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>召喚モンスターならまだしも一般モンスターまでスキル取得するのか……(呆れ)

 

>あのうさぎさん連れてったら無敵じゃねーか。仲間にしよう

 

>テイムシステムなんてねーよハゲ

 

>そんな仕組み無くても交渉すればいけるやろ

 

>まあ中身は半オートとはいえAIがやってるはずだから気前が良ければワンチャンあるな

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