卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第212話 アイテムショップ、再び、再び

 そしてやってきました。ここは【超高層射撃支援型展望台コメット】。あらゆるモンスターを蹂躙し、集団で街に入場した彼らは【フォッダー】のフィールド全域へ射撃できるこの地にたどり着いた。そして当然のようにモンスターにレーザービーム用の眼鏡を装着させ、一方的な狩りを始める。

 

 コメットの望遠鏡はさすがに小型の動物サイズには対応していない。防衛隊のみなさんが手に抱えて望遠鏡を覗かせ、射撃を続けていく。

 

「うわぁ……」

 

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>もうこいつら倒せるプレイヤーいなそう

 

>終わりなんだ。フォッダー世界はうさぎと猫にすべてを蹂躙されて崩壊するんだ

 

>逆にこいつらを倒せたらフォッダー最強のプレイヤーってことでいいよな?行ってくるぜ!!

 

>無茶しやがって……

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「強化したうさぎさんと猫さんはどうするんですか?」

 

「魔族の街やこの街に放流だねー。自分の家に連れてきたいって人は本人から許可が出たらってことでー」

 

 この子たちは冒険に連れていけば最上級のサポート役になりますし、引っ張りだこでしょうね。1匹だけだと無敵のエリア魔法多重掛けができないのも気になるところです。ボクとしては、いかに強くなったといえども流れ弾で死んでしまう可能性を考えると、気が引けますが。

 

 やがて比較的短時間でトッププレイヤーと同等のレベルに達した動物たちは、ついに放流されることになった。

 

 ぴょんぴよんと飛び跳ねながら街に散らばっていく姿はきゅーとで、同時にかなりシュールな光景だ。『結界(エリア)支配者(ドミネーター)』として戦えるように、ちゃんと何匹かの集団で移動している。

 

 そんな彼らを仕留めようと1人のプレイヤーが攻撃を仕掛けたけど……。

 

「何!?」

 

 ハンマーを持ったプレイヤーの攻撃はあっけなくすり抜けて無効化された。

 

「当然〈トンネル避け〉も仕込んであるよー!」

 

 そしていかに寛容なこのゲームといえども、街中で攻撃をすれば当然のように【ガード】がやってくる。

 

「はい、そこの君。話は署で聞きますからねー」

 

「ちょっと待て!街中にモンスターが散らばってるぞ!?」

 

「戦闘をしないのであれば、モンスターであっても無罪です」

 

「ふざけんな!離せー!」

 

 

「……厄災が解き放たれましたね」

 

 まあ、攻撃さえしなければ人懐っこいきゅーとなモンスターです。【フォッダー】の世界に新たな賑やかしが増えたことを喜びましょう。

 

 さて、防衛隊のお仕事も完全に終わり。流れ解散になったようなので、適当なうさぎさんを拾い上げて抱きしめながら久々に【アイテムショップ】に向かう。拾い上げたうさぎさんにつられて、何匹かのうさぎさんが追従してくる。

 

 【アイテムショップ】に向かう目的は、1週間後に開かれる予定の開拓イベントに向けた資材探しだ。

 

 実質的なユーザーイベントである以上(運営側のNPCのイベントだけど)、何をもって開拓とするかはNPCの主観に委ねられる。しかし、基本的にはなにか便利な施設を建てたりマップを探索したり、そういった行為が開拓と呼ばれるはずだ。何を建てるかはともかくとして、建築用の素材を用意しておくべきだろう。

 

「いらっしゃいませにゃん!かわいらしいお客さんが2人も来たにゃん!」

 

「ボクとうさぎさんはきゅーとランキングの『Tier1』ですからね!」

 

 いつものようにねこですさんが出迎えてくれる。さて、せっかくだし素材だけじゃなく、新作のアイテムも見ていこうかな?

 

 そう考えて店内をきょろきょろ見渡すと、どうやら他にもお客さんがいたらしい。【A−YS】からの輸入品アイテムコーナーで、ぶつぶつつぶやきながら考え込んでいるプレイヤーが1人。

 

 コメットの管理人であるシルヴィさんだ。あっちにいなかったとは思ってたけど、こんなところにいたんですね。

 

「何を見てるんですか?」

 

 声をかけながらシルヴィさんの見ているアイテムを覗き込むと、そこには小さな筒状の物体があった。

 

「ああ、これはただの【万華鏡】だよ?なにか参考にならないかなってね?」

 

「ほえー。また【万華鏡】ですか。といってもこっちは特別な効果もなさそうですね」

 

 ついさっき魔族の街で見たばかりです。流行ってるんでしょうか?

 

「仕組みがわからない得体の知れない【万華鏡】よりは、こっちのほうが好きだけどね?」

 

 ちなみにどういう感じで参考にするかは企業秘密らしい。せっかくなので1週間後のイベントについて話題を振ってみよう。

 

「ちなみに1週間後に開拓イベントってのがあるのはご存知ですか?」

 

「うん、【願いの石】がもらえるらしいね?当然新しい施設の建築案も複数考案中だよ?」

 

 さすが超巨大建造物を建ててプレイヤーに公共施設として開放したシルヴィさんなだけはある。またなにか面白そうな施設を建ててくれるらしい。

 

「ちなみにこっそり教えてくれたりは……」

 

「ふふっ、だめだよ?卍さんならともかく、配信先に聞かれたら真似されちゃうからね?」

 

「それは残念」

 

 それならボクはボクでその未知なる建造物に対抗する画期的な策を練る必要がありますね!

 

 というわけでアイテムの物色に入る。まずは新製品コーナー。素材ではなくてもなにかヒントがあるかもしれない。シルヴィさんと違ってボクは今のところ、具体的な案があるわけじゃないからね。

 

「新製品に興味があるんですにゃん?それなら私が解説しますにゃん!」

 

「あっ、お願いします!最近はどんなアイテムができたんですか?」

 

「一番最新ですと……これですにゃん!」

 

 まず店員さんが指し示したのは……一見すると普通の丸い石?不規則にさまざまな色の模様が描かれていてサイケデリックな色合いをしている。この色になにか仕組みがあるのかな?

 

「これは普通に使うとSTRが増加するだけのアイテムですにゃん。何度でも使えるタイプだから再使用時間(リキャストタイム)は30分ですにゃん」

 

「【メイジ】の付与(バフ)スキルである【パワーアップ】が入ってるってことですか。そこまでの要素だとどちらかといえば新しいフォルダさんの管轄な気がしてきますね」

 

 新しいフォルダさんがエンチャント効果の厳選に特化している一方、猫ですさんは仕様を考慮したうえで悪用するような装置を作ったりするのが好きな傾向にある。もちろん新しいフォルダさんも【アンプルアロー】を作っているし、必ずしもそれしか作らないというわけではないけど……。

 

「そうですにゃん。素体の方は新しいフォルダさんから余りものをいただいたものですにゃん!この石はそれをこちらで改造したアイテムですにゃん」

 

 つまりスキル効果自体は新しいフォルダさん由来なのか。

 

「ほら、ここを見てくださいにゃん。ヒビが入ってるにゃん?」

 

「入ってますね。この状態でもアイテムとして成立するんですね」

 

 今にも割れそうな状態ですけど……。

 

「で、割っちゃいますにゃん」

 

 割っちゃうんですか。

 

 パキッと真っ二つに分かれた謎の石。さすがにこの状態では元のアイテムとして機能はしないでしょうね。

 

「で、この欠片にはそれぞれ【ニノタチイラズ】と【インパクトアップ】がついていますにゃん」

 

「なんで!?」

 

【ニノタチイラズ】

[アクティブ][自身][補助]

消費MP:6 詠唱時間:0s 再詠唱時間:1m

効果:[攻撃][スキル][非命中時][直後]にのみ[発動]できる。[再度][同一][スキル]を[発動]する。

 

【パワーアップ】

[アクティブ][キャラクター][炎属性][支援][魔法]

消費MP:2 詠唱時間:5s 再詠唱時間:30s 効果時間:4m

効果:[キャラクター]の[物理威力]を[増加]させる。

 

【インパクトアップ】

[アクティブ][キャラクター][炎属性][支援][魔法]

消費MP:2 詠唱時間:5s 再詠唱時間:30s 効果時間:4m

効果:[キャラクター]の[物質干渉力]を[増加]させる。

 

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