卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
発展の一助となる計画を片っ端から実行する。そう決心したボクは、即座に準備に取り掛かる——わけではない。なぜなら【開拓会】の開催は1週間後だからだ。計画を立案するのは構わないが、実行に移すのはまだまだ先の話。
今はいつものように配信をしつつ、さりげなく開拓のヒントを探す。それが最もぱーふぇくとで完璧な作戦です。行き当たりばったりだとは言ってはいけない。
「というわけで今日も『フォッダー不思議探検隊』として謎や不思議を追って配信をしていきたいと思います!視聴者さんからの依頼なども受け付けておりますが、まずは——」
ボクは肩に座ってのんびりしている妖精さんを見つめる。この子の使い道を考えないといけませんね。と言っても素材にするとなると、なんかひねりつぶしたりとかそういうイメージしか思いつかない。
「なんだろう、すりつぶして注入すれば意志のある剣とか作れるのかな?」
そんな独り言をぽつりとつぶやくと、さすがに寝耳に水だったらしく妖精さんが震え始める。怖がっている様子もかわいい。
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>ひどすぎる……
>卍さん最低ですねチャンネル登録外します
>ガチで最低過ぎて駄目だった
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「冗談ですよ、そんなことはさすがにしませんよ」
妖精さんはボクの言葉を聞いて落ち着いたのか、再びのんびりとひなたぼっこを始めた。かわいい。でもそうなると武器とかを持たせて使う感じになるのかな。なんだかひ弱そうな気もするけれど……。
それだと召喚モンスターを使うのとあまり変わらないので、やっぱりアイテムだからこそできる独自の使い方を試してみたいなぁ。
と、そんなことを考えていたとき、ふと思い出した。そういえば最近はゴブ蔵を召喚していませんね。前回の【女神】戦のときにちょこっと召喚したっきりでしょうか。それもちょっと家をみんなといっしょに射出する程度のことしかさせてあげてませんでしたね。
それならと銃を取り出してゴブ蔵を召喚してあげる。「ゴブー!」ときゅーとな鳴き声をあげながら、ぽんとゴブ蔵が飛び出してきた。
そんなゴブ蔵の周囲をくるくる回ってアピールする妖精さん。ゴブ蔵もそれに小さく手を振って返した。かわいい。
さて、早速だけど武器を持たせてみよう。【ストレージ】の隅っこに埋まってたごくごく普通の短剣をプレゼントすると、持ち上げようと踏ん張るも重さに耐えられなくて地面に墜落していく妖精さん。かわいい。けれどアイテムを持たせるのは無理みたいですね。
仕方ないのでいったん【ストレージ】にしまい込んでアイテムの説明を見てみる。生産スキルにはアイテムを素材にしたときの簡単な性質変化が分かる機能がある。本来ならこの妖精をどう活用するかもざっくり分かるはずだ。
というわけで情報を見てみたけど、やはり『意志のある武器を作る』『ゴーレムを作る』といった使い方が一般的なようだ。今回は直接武器を持たせてしまったけれど、アイテムに憑依させればある程度の自立行動ができる武器になってくれるらしい。
ただし【サイキック】の【キネシス】のように自由自在に動き回ってくれるというわけでもなく、武器や防具に付与されたスキルを一定間隔で発動してくれる程度なのだとか。【ブレイズスロアー】付きの武器に入ってもらったら30秒ごとに炎を撃ってくれる、みたいな。
基本的にプレイヤーは2本まで武器を装備できるので、片方を妖精さん入りの剣にして自動でスキルを発動してもらうというのもありかもしれないね。
「ただ、攻撃スキル持ちの武器ってボクは持ってないんですよねー。【ボアーピアス】には【猪突侵】がありますけど、ピアスで自動的に【猪突侵】してどうするの?って話ですし、メイン武器の【ルビーロッド】は
ゴブ蔵の召喚媒体である【吸血悪鬼の機関銃】に憑依させるとか?でもただゴブ蔵を自動で召喚するだけになっちゃうからメリットは薄いですよね。
「なにより妖精さんのきゅーとな姿が見られなくなってしまうのは微妙ですよねー。妖精さんのままでうまく使えないのかな?」
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>愛玩用アイテムだぞ
>キャラクターじゃないならHPとかないんだよね。ぶん殴られたらどうなるの?
>普通にぶっ壊れるけど修理して貰えば復活できるよ
>いのちがこわれる
>妖精さんかわいそう
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装備に入ってもらわないと、付与されたスキルを使ってもらうことはできないし、重いものを持つこともできない。小さい装備を持って戦ってもらうというのも考えたが、あまり戦力としては期待できないか。
やっぱり都合のいい
妖精さんを連れてボクは新しいフォルダさんのお店に向かう。理想の効果である【ジョーカー】付きの装備が完成したあとも、彼はお店を続けているのだ。彼ならきっとうちの妖精さんにぴったりの住まいを提供してくれるに違いない。
「新しいフォルダさーん!なんか武器くださーい!」
「炎属性強化装備かい?作れたら言われなくても連絡するよ。効果値が低くてもいいならいくつか現物があるけどな」
「違いますよ!妖精さんの住まいです!」
「ああ、【オートスキル】用の武器ね。じゃあ炎属性のスキルが付いていれば何でもよさそうか。【ブレイズスロアー】付きでいい?」
「うーん、でも現環境だと自動で【ブレイズスロアー】を撃ってくれてもどうせ当たりませんよね」
「〈トンネル避け〉があるからな……」
高いDEX値があれば放ったスキルの挙動を変えて、量子の回避に対抗できるだろう。けれど自動で発動する類のスキルには適用できないと聞いたことがある。
「【フルバーニング】が付いた装備はないんですか?」
「ないね。他の炎属性
【フラムブレット】も投射攻撃だから【ブレイズスロアー】と変わらない。かといって諦めて他のスキルを使わせるというのも負けた気がする。仕方ない。いい装備が見つかるまでは愛玩用の妖精さんとして可愛がってあげますか。
そう考えていたときゴブ蔵が手を挙げて何かをアピールし始めた。
「ゴブー!」
「おっ、どうしました?欲しいものでもあるんですか?」