卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
新しいフォルダさんのお店にて、ゴブ蔵が指さしたのは【メモリシード】だ。無造作に山盛りに積まれている。以前はわざわざダンジョンに取りに行ってたけど、こんなに売ってるんですね。
「最近は〈オートジャッジ〉とかいう仕組みで【マクロ】が組めるようになっただろう?知り合いがそれを使って全自動で収集してるんだよ。なんか作ってくれって押し付けてきたんだけどな。こういうのは猫ですさんの仕事じゃないか?」
「いやいや、新しいフォルダさんも斬新な発想でアイテムを作ってるじゃないですか!そろそろ【アンプルアロー】のような新作をお願いします!……で、ゴブ蔵はこれが欲しいの?なにか作りたいんですか?」
どうやら彼自身が何かを作りたいというわけではないらしい。ただ、これを使って何かを作ってみないかと、オススメしている様子。このタイミングなら妖精さんに関係するアイテムを、といったところでしょうか……?
「妖精さんをロボットに搭乗させてみます?きゅーとじゃないですか?」
それだとロボットが強いのであって、別に妖精さんはいらないんですよね。
そもそもの問題として、アイテムや装備はプレイヤーに装備されることによって、ステータスの恩恵を受けて力が増す。
装備されていないアイテムが独自に動いて殴りかかったとしても、適用されるのは装備由来の攻撃力と大きさ相応の物質干渉力だけだ。プレイヤー同士の戦いにおいては、そこまでのパワーを発揮できない。
例えば、システムによって装備している武器を投げるのと、ただ【ストレージ】から取り出した装備を投げるのでは、雲泥の差だ。
妖精が装備スキルを使ってくれる仕組みが強力なのは、あくまで装備しているのがプレイヤーであり、発動したスキルのダメージ計算がプレイヤーのステータスによって行われるからだ。
「つまり妖精さんを装備すれば妖精さんが強くなる……!?」
----
>妖精さんを握りしめて殴りかかってきそう
>こわい
>かわいそう
>やめてあげて
----
「なるほど、いいアイディアだ!剣としての要素を妖精に持たせれば装備としては扱われる。投げたりすることで手から離れた装備が、システム上で装備状態のままであることは〈無限投擲〉などのテクニックでも活用されている以上、独立行動ができる妖精は使用者の手から離れていても使用者のステータスを行使できる。……卍さんがその戦い方をしても前衛系ステータスが足りないんだが」
「ですよねー。妖精使いの前衛
使い方としていい案は浮かばなかったけど、【メモリシード】はあって困るものではない。ざっくり1パックを袋詰めで購入して店を出る。この【メモリシード】は何かの施設を作るときにも使えそうですね。
「さてっ。まだまだ時間はありますけど、今日は配信を終わりにしておこうと思います。帰って灑智と、とがみんに甘えてきます。今日は見てくれてありがとうございましたー」
----
>おつー
>さて、妖精乱獲してくるわ
>使い道はいろいろありそうだな
>俺は普通に憑依で使ってるよ
>室内にたくさん撒いておくだけでも癒やされるぞ
>この前おまえの家臭いから嫌だって妖精が言ってたぞ
----
さて、『VRステーション2』から抜け出ると、残念ながらとがみんはまだログイン中のご様子。ボクが早く戻ってきただけですからね。しかし灑智は〘リアルステーション〙なので、ログイン中でも
「灑智、ただいまー」
「おかえりなさい、お姉様。今お姉様のためにホラー系ダンジョン第2弾を作っているんですよ」
「やめて!?」
どうやらボクが本気で怖がっていたのを面白がって、さらなるダンジョンの制作に取り掛かっているらしい。灑智の作った要素しかないのなら喜んでプレイするんだけど、あの視線みたいなイレギュラーな要素が混じってそうで普通に怖い。
でも灑智にお願いされたらたぶん潜っちゃうと思う。辛い。
それから少しして戻ってきたとがみんに、今日はどんな配信をしていたのか聞いてみる。とがみんもくーてくちゃんねるの配信を続けているのだ。聞くところによると、ボクの配信と2窓で視聴している猛者もいるのだとか。
「わたしはうさみみ帽子以外の装備が使えなくなっちゃったからね、市場を回って装備集めしていたよ♥」
そう、アバターが分割されたのはとがみんにとってはメリットばかりではない。装備を共有することができなくなったから、ボクの装備を使った炎属性特化の戦術が使えなくなったんですよね。
必ずしも炎属性に偏重した戦術を取らなくてもよくなったということでもあるのだけど、これからはどういった
「やっぱり【ビショップ】で
「うーん、でも【サイキック】は明日香ちゃん要素として引き継いでいきたいからね。【ビショップ】スキルの方は装備や【ジョーカー】で埋めていって、なんとかする予定だよ♥ ただ、【パイロキネシス】特化はさすがに厳しいから、
「そっか。【ジョーカー】があるならそこまで装備厳選を追求しなくてもいいですもんね。」
「そうそう。あとはめりぃちゃんの戦術も一部使わせてもらおうかなって。」
「……戦闘中にラーメンを食べるんですか?」
「……召喚の方だよ?」
「わかってますよ」
「それで、そのお試しに明日の定期【ダブル杯】に出場してみようかなって。荒罹崇も出てよ♥」
「もうそんなイベントに出場しようと思うくらい
「灑智ちゃんも出るんだよねー♥」
「お姉ちゃんですからねっ!」
「灑智と、とがみんの仲が良くてボクも嬉しいなあ。でも明日はとがみんと灑智がタッグを組むんですよね?そんな即席で仲間は見つけられないですし、明日は見学しておきますよ」
もうちょっと早く予定が決まってたらなんとかなったかもしれないけど、当日結成の付け焼き刃で挑んでも仕方ない。その分だけ2人の活躍を精いっぱい応援しますよ!